日々の泡。

popholic diary

2023年11月18日~24日の話。

2023/11/18

土曜、休日。新聞の書評欄をゆっくり読んでトーストの朝食。午前中は音楽など聴きながら日記を書く。午前中に書く方が捗るなぁ。でインスタントラーメンの昼食をとり、京都まで出る。JRと地下鉄乗り継ぎ出町座まで。少し早く着いたのでおやつ代わりにいつものパン屋・ボナペティでちょうど焼きあがったレーズンのパンを買って河原でコーヒーとともに。しかし朝から炭水化物取り過ぎ。健康を考えなきゃならない年齢だが、まぁ休日ぐらいいいじゃないか。何のために生きてるのかわからなくなるからね。

今泉力哉監督「アンダーカレント」観る。なんとなく今泉作品は出町座が似合う。夫、悟と銭湯を営むかなえ。だが悟はある日突然失踪してしまう。途方に暮れながらも銭湯を再開すると、堀と名乗る謎の男が働きたいとやってくる。戸惑いながらも寡黙で仕事熱心な堀を雇い入れ堀はしばし住み込みで働くことになる。夫はなぜ失踪したのか?堀はいったい何者なのか?今泉監督と言えば「好き」を探り、描く監督という印象があるが、今作は「人をわかるってどういうことですか?」というセリフが象徴するように人が人と出会い交流する中で、どこを見て、何を語り、わかりあうのか。そして本当にわかりあえるのか?というところを探っていく。本当の嘘、嘘の中の本当…かなえ、悟、堀…それぞれが本当と嘘の境界線が滲む曖昧な場所で漂っている。ある者は嘘で塗り潰せない本当に戸惑い、ある者は嘘で塗り潰すことで本当を守ろうとする。映画は静かに優しく彼らを見守る。本当と嘘の境界線が滲む場所で時に沈みながら漂う彼らだが、ラストではふっと浮かんでその水面から顔を出す。そして静かにゆっくり息をする。それでもいいのだという優しさがある。主演の真木よう子ももちろんだが「福田村事件」が記憶に新しい井浦新永山瑛太がそれぞれにまた素晴らしい。出番こそ多くないが永山瑛太の多彩な表現力には舌を巻く。「福田村事件」「怪物」「時をかけるな恋人たち」とまるで違う演技だがすべてが印象的で的確。あと風呂屋の常連の爺さん、康すおんが味のある演技で良かったなぁ。

2023/11/19

6時30分起床、7時に家を出て休日出勤イベント仕事。12時間後帰宅。お昼の弁当、白米が巻き寿司作る時ぐらいに薄く敷き詰められた海苔弁当でなかなかの底上げ具合。業者さんも大変なんだねと思うが、我が国は貧しい国になったんだなと実感。そんな訳で腹が減って堪らない状態で帰宅。しかし夕飯の準備はできていなかった…。ちょうど「豚汁の具」セットがあったので一気に作って食べる。冬は豚汁が美味いんだよねぇ…かあちゃ~ん(千昌夫風に)。

2023/11/20

月曜当たり前に仕事。なんだかもう何をしていたのか、忘れようとしても思い出せない。

2023/11/21

外回り、予定が色々変わってバタバタしつつも昼は通りがかった道の駅で日替わり定食。揚げ出し豆腐(揚げナス&ちくわ天付)に白菜と豚肉、お揚げのうま煮。ご飯、みそ汁はお代わりOKで1000円いかないという。今日のランチは大正解だったなー。普段はしないご飯おかわりまでしちゃった。大満足。これで今日の仕事は終わったも同然ですな。

2023/11/22

矢舟テツロー「矢舟テツロー、ベリッシマを歌う」を聴く。1988年の9月にリリースされたピチカート・ファイヴの2nd「ベリッシマ」全曲を小西康陽プロデュースの下、矢舟テツロートリオが全曲、アルバムの曲順通りにカバーするというアルバム。結成20年を迎え脂がのり切ったピアノジャズトリオが名盤「ベリッシマ」を全曲カバーなんて最高のアイデアだし、いいに決まっている。で実際聴いてみるとやっぱりもう最高。オリジナルアルバムは1988年9月20日、発売日の前日にフラゲしたのは17歳の時。前作「カップルズ」に痺れに痺れてた故、ボーカルが佐々木麻美子さんから田島貴男なる人物に変更で男性3人組となるとアナウンスされた時は大いに戸惑った。どんな音になるのか想像もできなかった。で不安と期待半々の気持ちでCDを聴いてぶっとんだ。新メンバー田島貴男は単にボーカリストと言うだけでなく小西、高浪という新進気鋭のソングライターを向こうに回し、素晴らしい曲を連発する天才ソングライターでもあったのだ。その後の活躍を知ればそりゃそうだって感じだが、なんせ当時まだ20代前半で無名の存在。クールでありつつソウルな歌声、これがソウルミュージック、スウイートソウルって音楽か!なんてかっこいいんだ!と田舎の高校生はそりゃもう興奮した。もちろん、クラスどころか学校でもこのCDを聴いてるのは僕だけだった。いやー俺ってセンスいいなーっと勘違いもするわけだ。実際はものすごくダサい童貞陰気男子高校生だったのだが。それから35年間ずっと聴いてきたアルバム。17歳のダサ童貞陰気男子高校生も今や52歳限りなく童貞に近い子持ちダサオジさんだ。でも「矢舟テツロー、ベリッシマを歌う」を聴いてると、いやー俺ってセンスいいなーっと勘違いできる。ピアノトリオによる小粋でスウィートな演奏、朴訥としながらもグルーヴィーな歌声、そして色褪せることなく今も心を躍らせてくれる名曲の数々。最高!

2023/11/23

祝日。週の真ん中の祝日は嬉しい。先月から休日出勤続きだったのでなんだかんだで疲れがたまってる。午前中はTVerで見損ねていた「岸大介のく~る京都」観る。笑い飯・西田扮する岸の盟友、ハリウッドスター、ジョーハットリがくだらなくて最高。前歯が全部金歯とかいきなり襲い掛かってくる大蛇とかバカバカしくて笑い転げる。

で午後から妻と大阪へ。フェスティバルホール清水ミチコのコンサート「清水ミチコアワー~ひとり祝賀会~」観に行く。清水ミチコのコンサートは初。以前、地元滋賀で開催予定だったのでチケット買ってたもののちょうどコロナが流行りだしたところで中止に。なので今回は妻ともどもかなり楽しみにしていた。

いやーさすがに面白かった。音楽と笑い、毒もまた楽し。歌とピアノとまずその技術、芸が素晴らしく、それをただひたすら面白に振り切って全方位的におちょくりまくる。音楽的センスとネタ作りのセンスが合致し相乗効果をもたらし、一人でこれだけのお客さんを2時間半にわたって楽しませる。これぞ「芸」ではなかろうか。まさに清水のごとく溢れ出る才能がミチたステージ。唯一無二、孤高の芸人による素晴らしきエンタメショーであった。

2023/11/24

金曜。仕事終えそそくさと帰宅。夕飯食べて風呂まで入って久々にレイトショーへ。ユナイテッドシネマで北野武監督「首」を観る。「本能寺の変」を題材に豪華キャストで贈る戦国時代劇。いやーもうしょっぱなから最高ですやん。大河ドラマにはない荒々しく生々しい画。全員悪人、全員キチガイなギャグ&バイオレンス時代劇。あるいはハードコアにも程がある「きのう何食べた?」か。バイオレンスを担うのは加瀬亮の信長。これがもう過去多くの役者によって演じられてきた信長史上最凶のいかれっぷりで最高!でギャグパートを担うのは秀吉を演じる我らがビートたけし!思わず笑ってしまいました。な可愛げを見せながらもやっぱり狂気が潜んでる。東京喜劇人の悲哀とお茶目とヤクザな感性を体現するビートたけしがやっぱり好きだ。笑いと隣り合わせの突発的な暴力、男が男に惚れる愛憎劇に数学的な権力闘争、死の匂いが漂うユーモア、岸部一徳津田寛治寺島進勝村政信浅野忠信西島秀俊と役者陣の顔ぶれに至るまでそこかしこに刻まれる北野映画の烙印。様々な映画的記憶がふと蘇るような瞬間瞬間。北野映画を体中に浴びているという独特の感覚。首に始まり、首に終わる、超かっこいいラストの切れ味。もう全部ひっくるめて面白かった!

しかし役者なら誰もが一度は北野武映画に出たいと思うだろうなー。準主役と言っていい役どころのキム兄なんかはもう痺れまくってるだろう。緊張感とともに役者陣から沸き立つ興奮と熱が画面からも伝わってくるもんな。