日々の泡。

popholic diary

2023年11月25日~12月1日の話。

2023/11/25

朝から京都まで。アップリンク京都にてイ・ヘヨン監督「PHANTOMユリョンと呼ばれたスパイ」観る。舞台は1933年、日本統治下の京城朝鮮総督府内に潜む抗日組織のスパイ“ユリョン(幽霊)”を捕らえるべく、崖の上のホテルに集められた容疑者たち。一体だれが“ユリョン”なのか?謎解きミステリーという訳ではなく、観客には最初の段階で誰がユリョンなのかは明かされている。バレるかバレないかのハラハラ感あふれるサスペンス。も途中までの話。テーブルに集う容疑者たち。荘厳で格調高くまるで絵画のようにそれぞれを捉えたショットから一気に物語が動き出す!

(ここからちょっとネタバレ)

もう一人の“ユリョン”の登場で物語はシスターフッドなバディものに展開。そこからはもう一気に心躍る胸熱な壮絶アクションのつるべ打ち。スタイリッシュで美しい色彩で構成された見事な映像と相まって物語は最高点に達していく。いやーこれは面白かった!パク・ソダムに5億点!ラストカットに拍手を送った!超おすすめです!

で京都駅まで歩いて帰ろうかと思ったが雨がぽつぽつ降ってたので地下鉄でそのまま帰る。大津でスパイスカレーと思ったが人がかなり並んでたので断念し、商店街の「アケミ食堂」へ。こちらは運よくさっと座れたので豚カツ定食。デミグラスソースの正調洋食豚カツ。美味しいなー

帰宅しアマプラで映画をもう一本。イ・ジャンフン監督「手紙と線路と小さな奇跡」を観る。道路がなく町まで行き来できる道は線路しかないのに肝心の駅がない小さな村が舞台。1988年韓国初の私設駅として出来た両元駅をモチーフにした作品。これは思わぬ拾い物だった。数学の天才高校生ジョンギョンは今日も大統領に「駅を作ってほしい」という手紙を送る。彼にはどうしても駅を作りたい理由があったのだ。ある違和感の正体が中盤で種明かしされる一種のファンタジーなのだが、その絶妙な匙加減がうまく優しく笑い泣けるヒューマンコメディとして成功している。中盤以降は駅を巡る息子と父のぎこちない関係の訳、そして溶けていく誤解が描かれぐっとくる。パク・ジョンミンとイ・ソンミンという実力派によるさりげなくも繊細な演技がベタな話もいやらしく見せない。巧い役者が演じると物語が一段上に行くんだな。主人公の同級生で自称・女神を演じるのは少女時代のユナ。これがまた実に良い。彼女はコメディエンヌとしての華と才があって物語に爽やかな笑いを与えている。ホッと心が温まる佳き映画だった。

夜はスパイスカレー作る。うーん塩加減がうまくいかなかった。ちょっと塩辛かったね。

2023/11/26

昨日の残りのカレーでカレートースト。朝から妻と買い物に行ってからいっしょに佐川美術館「ガウディとサグラダ・ファミリア展」へ。完成に近づくサグラダ・ファミリア、映像や様々な資料だけでも見応えたっぷり。学生時代から一度は観てみたいと思ってるが人生も残り少なく正直、生で見ることは半分諦めている。

NHK+で話題になっていた「ドキュメント20min. ニッポンおもひで探訪」を観る。宍戸開が北信濃の集落を訪れ、村の人々とふれあい伝統的な料理や祭りを体験する。という紀行ドキュメンタリー。なのだが、どことなく違和感がある。で番組の途中で番組が終了、そしてある仕掛けが明かされる。オフビートな笑いを含んだモキュメンタリーかなと思って観始めてたんだが、全く違う非常に深い意味を持ったドキュメンタリーだった。なるほど。タイトルの意味が分かる。

2023/11/30

いろいろ用事が出来たので午後休みにする。買い物行ったり、免許更新の手続きに行ったりして帰宅。NETFLIXシルヴェスター・スタローンを追ったドキュメンタリー「スライ:スタローンの物語」を観る。スタローン自らの語りで自身の人生を語る。特に興味深いのは父親との関係だ。息子が幼い頃から、スターになってからまでも対抗心剝き出しの父。「ロッキー」が大ヒットした後に、ボクサーの物語をシナリオにして映画会社に売り込む父。いったいその異常なまでの執着心、対抗心はどこから来るのだろう。常に父との関係がスタローンの心に影を落とす。その分かり合えなさ、ねじ曲がった愛憎の深さ。だがそれがまたスタローンの作り出すキャラクターを独自のものにしている。

夜、配信で水道橋博士×東野幸治with吉田豪を観る。博士さんと東野さんが関西芸人不祥事史を語りつくす!ハカセ会の会員であり、ホンモノラジオのリスナー・本家でもある僕としては絶対見逃せないライブ。アイドリングのオープニングトークから東野さんのデリカシーを蹴破るトークが炸裂。博士さんももはや完全に本調子。自身のことすらも赤裸々に笑い飛ばす。そして本編。関西芸人の不祥事をベストテン方式で発表。演芸墓堀人、我らが演芸男子・柳田光司さんがブレーンとして参加してるというだけあって中身の濃さは特濃。内容はほぼ書けないが、最初の「こだま・ひかり」のところだけでもここまで深堀するのかという内容。この辺りは博士さん-柳田さんのリサーチ力の賜物だなと思う。長年積み重ねてきたからこそのネタの数々。大好物を前に終始笑顔で盛り上がる二人。ポイントポイントで火に油を注ぐ吉田豪さん。TVというメジャーの第一線で活躍する東野さんだが、様々なものに対する興味の持ち方本当に凄い。デリカシーという壁を笑いながら蹴破っていく芸人であると同時に、人への興味、世界への興味が尽きない愛“人”の人なのだな。映画を観たり本を読んだり、下世話なスキャンダルを深堀したり。これって結局は「人間って面白いなぁ、世界って面白いなぁ」だものな。そして危険極まりない内容すらもゲラゲラ笑い飛ばしポップにエンタメ化してしまえるのがまた凄い。芸人としての華、メジャー感が身についてるのだな。そして水道橋博士さんもまた間違いなく芸人なのだと感じた。言葉の反射神経、時に直球、時に変化球、ビートたけしの遺伝子とジャーナリストの目を持つ探求心に溢れた現役の芸人。東野さんとのトークでその凄味をしっかり感じられた。ファンとしてとても嬉しい。

それにしてもこれぞTVで出来ないライブだった。貴重な演芸史であり、裏吉本史、下世話な中に芸人愛、人間愛、業の肯定がある。面白かった。もう一回見直そう。

twitcasting.tv

2023/12/1

もう12月。あっという間に大晦日で正月で成人の日だ。仕事はまぁ息詰まる感じでヘビーだがね。今週はちょっと妻が体調を崩していろいろ大変だった。炊事はまぁ大丈夫なんだが洗濯が苦手。いやべつにボタン押すだけなんだけど洗剤とか柔軟剤の量とかよーわからんのだ。でも頑張る。

NHK「スイッチインタビュー」鈴木慶一×三浦透子観る。先週分を先にNHK+で観て、今週分はリアタイ。ムーンライダーズの映像もたっぷり使われていて嬉しい。三浦透子という俳優さんを最初にチェックしたのは2018年冨永昌敬監督「素敵なダイナマイトスキャンダル」だった。その時の日記には“愛人役の三浦透子も素晴らしかった。妖しげで魅力的で、でもかなりヤバい。圧倒的に印象的だった。”と書いている。以降の活躍はもはや説明不要だし、今年で言うと「大奥」での演技は本当に素晴らしかった。でそんな「彼女のお気に入りは「DON'T TRUST OVER THIRTY」だとか。これは僕も大好きなアルバムと言うか、自分史上最高のロックアルバムに認定の大名盤。若い人に聴き継がれているのも嬉しい。幸宏さん、PANTAさん、そして岡田徹さんと今年は多くの盟友たちが亡くなった慶一さん。でもそんな悲しみすらも音楽に昇華させていくのだろう。背筋をピンと伸ばし丁寧に言葉を紡ぐ三浦透子さん、ぽつりぽつりとでも核心を突く言葉を口にする慶一さん。いい対談でした。