日々の泡。

popholic diary

2024年1月27日~31日の話。

2024/1/27

8時起床。朝から映画館へ。京都シネマでマドレーヌ・ギャヴィン監督「ビヨンド・ユートピア 脱北」を観る。北朝鮮からの脱出を図る幼い娘2人と老婆を含めた5人家族。1000人以上の脱北者を手助けした韓国のキム牧師指揮の下、壮絶な脱出劇が繰り広げられる。中国、ベトナムラオス、タイを経由する道行。見つかれば即刻強制送還。それは死を意味する。川を渡り、ジャングルを数時間かけて抜けていく。ブローカーたちは金だけが目的、隙を見せれば騙し高額をゆすろうとする。そんな命がけの道行きにカメラは密着する。尋常じゃない緊迫感がスクリーンに充満する。映画は脱出劇とともに脱北者のインタビュー、北にいる家族を脱北させようと奔走する母親の姿も映し、北朝鮮と言う偽りのユートピアの地獄を炙り出す。死と隣り合わせの脱出をしながらもインタビューでは金正恩を讃える老婆。北朝鮮と言う国が徹底した洗脳によって保たれ、成り立っていることがわかる。この恐ろしさは今はまだ自由であるはずの日本にも芽生え始めている。権力が長きにわたり一か所に集中した先にあるのはこの地獄だ。壮絶なドキュメンタリーは決して他人事ではない。

昼は少し歩いて路地裏の食堂でとんかつ定食。ステンレス皿にのせられた薄めのとんかつにデミグラスソース。付け合わせのマカロニサラダにスパゲティという昭和の洋食スタイル。美味しい。

少し歩いてアップリンク京都へ移動しもう一本。コルム・バレード監督「コット、はじまりの夏」を観る。1981年夏、アイルランドの片田舎の物語。大家族と暮らす9歳のコット。彼女はうまく自分の感情を表すことができない。両親は喧嘩ばかり、姉たちには相手にされず、学校にも馴染めずにいる。母の出産に伴い、母のいとこであるアイリンとショーン夫婦のもとに預けられることになる。コットの汚れた姿を見て、アイリンは彼女をお風呂に入れ優しく丁寧に髪をとかす。心優しいアイリンによってコットは少しずつ変わっていく。最初はコットと距離を置いていたシェーンだったが、彼もまた愛情深く彼女と接する。コットはアイリンとシェーンによって生きる喜びを知る。また悲しい過去があるアイリンとシェーンもコットによって生きる喜びを思い出すのだ。コットの寒々としていた小さな心に、暖かな火が灯っていく。縮こまっていた身体が伸びやかになり表情が変わっていく。自分自身が愛されていい存在なのだと気づく。静かで小さくて優しい、とてもいい映画だった。コットの未来は決して明るいだけのものではないだろうが、この夏の日々がある限り彼女はきっと生きていける。いやー、お父さんはこういう映画に弱いのだよ。

行き帰りに聴いてたのは「爆笑問題カーボーイ」。対談したウディアレンとの話をたっぷりと。MeToo問題でハリウッドを追われたウディアレンとミア・ファローとの泥沼についてもかなり詳しく話しつつ、そのモヤモヤぶりも余すことなく。僕も双方の発言を調べたり本を読んだりしたが、泥沼過ぎてもはや理解が追い付かないという太田さんに同意だなー。

2024/1/28

8時起床。妻と買い物に行って午後の映画劇場はNETFLIXでホ・ミョンヘン監督「バッドランド・ハンターズ」観る。大災害によって荒野となったソウル。「コンクリートユートピア」と同じ世界の数年後の物語。生き残った人々はたくましく生きているが、一人のマッドサイエンティストを頂点とする軍隊組織が唯一残ったアパートを拠点に人々を支配しようとしている。ある日、少女が彼らに連れ去られたことで一人のハンターが立ち上がる・その男は、マ・ドンソク!ということでジャンルはマ・ドンソク映画。オープニングシーンから巨大ワニをぶった切るマ・ドンソク!巨悪を剛腕で張り倒す心優しく力持ち、安心安全なマ・ドンソク劇場。これでいいのか?いや、いいんです!マ・ドンソク映画なんだから。

夜はTVerで1981年の山田太一脚本ドラマ「想い出づくり」を。古手川祐子、田中裕子、森昌子、それにシッ!バッ!タッ!恭兵。さすがにみんな若い。にしても田中裕子のなんとも魅力的なことか。小学生の頃、CMで彼女を見るたびにポーッとしていたことを思い出す。あの目がなんとも、その…。しかし今の俺の年齢は、このドラマと照らし合わせれば児玉清前田武彦、そして佐藤慶の年齢!昭和の親父の落ち着きぶりよ。

指名手配写真の爽やかな笑顔でお馴染み、桐島逮捕。新聞で報じられたその暮らしぶりに「PERFECT DAYS」を想起する。トイレ掃除を終え走り去る役所広司。カメラがそのトイレの壁に貼られたポスターに近づくと、そこには指名手配犯の文字とともに若き日の役所広司の写真が!ってなもう一つのラストシーンを妄想する。

2024/1/29

午後から仕事で大阪へ。ランチのタイミングをまたもや逃し、結局3時過ぎにサブウェイへ。毎度ながら巧く注文ができずどぎまぎしてしまう。最適解がわからない。

2024/1/31

配信で「水道橋博士 VS 東野幸治 with 吉田豪 vol.2」。関西芸人スキャンダル列伝の第二弾。まさに吉本の大スキャンダル勃発中、ダウンタウン一派の左大臣でありながら火中に自ら飛び込む東野幸治の男意気。でしょっぱなから忖度、NG無しで飛ばしまくる。TVのど真ん中、第一芸能界で活躍しつつ、第二芸能界、アンダーグランドなライブに独り身でやってくるかっこよさ。「のりお・よしおTシャツ」をその場で着込み、あくまでフラットに語りつくす。やっぱりこの人は人への興味が強いんだなー。人の心がない、白い悪魔とさえ言われつつ、映画にドラマ、本だけじゃなく、山登りをしたかと思えば様々な芸人たちに会い、話を聴き面白がる。常に世界に対して門戸を開けているのだ。そんな第一線の人間観察者にして人間研究家。博士そして吉田豪と共鳴するのは当然。でトークライブは予定の芸人不祥事関東編に辿り着く前にすでに2時間。どれだけ濃い話が繰り広げられたかということがわかるだろう。ついつい深追い、深堀りする博士に対して、これ以上いけばダラダラと行ってしまう手前でスパッと切り上げたその嗅覚とバランス。現役中の現役、テレビの覇者の手腕を観た。

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さて、ちょっと多忙と言うか、いろいろありまして、しばし日記更新はお休み。とはいえ数週間で復活できると思いますが。では、また。