2026/3/7
朝6時過ぎに家を出て彦根まで。朝から小雨降る中屋外イベント仕事。バタバタのヘトヘトで終了。ヘロヘロになりながらも高速飛ばして大津まで帰り着き夕方6時過ぎ帰宅。体力の限界。
僕が子供の頃は55歳が定年という会社も多かった。なんだか社会はあの頃の方がはるかに豊かだったのではと思う。戦争に物価高、貧富の差は激しくなり人々の分断は深刻だ。人は進化しているのか、退化しているのか。
夜はゆっくり風呂に浸かる。NHK ONEで星野源の「おともだち」観る。滋賀発のバンド「ゴリラ祭ーズ」が紹介されていた。最新作「The Drifter」は大傑作。ここんとこずっと聴いていたので嬉しいね。ちょっと前に彼らと話す機会があってタイトルはロジャー・ニコルズから?と訊いたら「そうです」と即答だった。若くて才能あるバンド、その存在が眩しい。
2026/3/8
8時起床。疲れが全く取れない。午前中、妻を誘って映画。ユナイテッドシネマで源孝志監督「木挽町のあだ討ち」観る。木挽町の芝居小屋の裏庭で、大衆の面前で堂々と行われた華麗な仇討ち。果たしてその仇討の真相とは。先週原作を読み終わったところ。章ごとに登場人物たちが一人称の語りで繋いでいくスタイルの小説。これを映画化するのはかなり困難だろう。で映画は大胆なアダプテーションを施している。小説では言葉を発さない「聞き役」を主人公にミステリーを主軸にエンタメ色を強めている。2時間の中に収めようとすればそうするほかないのか。外連味溢れる「仇討ち」シーンを最初にしっかりと見せておき、そこからその裏を見せていく。「あだ討ち」を仕掛けるメンバーが揃い、主人公が探偵役となり謎解きをしながら物語を進めていく。最後は「カメ止め」的なというか伏線回収的な形で「仇討ち」シーンを再度見せる。まぁこうなるか。多分小説を読んでいなかったらなるほどと納得できていたかもしれない。
小説は「仇討ち」の真相を探るミステリー要素を縦糸に、そしてそれに関わる人たちの人間ドラマを横糸に構成されているのだが、その横糸を完全にばっさりとカットしている。ミステリー仕立ての縦糸は確かに物語に面白さを与える重要な要素だが、横糸である人間ドラマ、人情劇こそがこの作品の魂だと個人的には感じていて、そこに僕は深く感動した。故に申し訳ないがちょっと辛口になってしまう。エンタメ作品として2時間にまとめるためには仕方がないといえばそれまでだが、あまりに人間ドラマが薄く、深みが圧倒的にないのだ。小説の中でも最も感動的な小道具職人夫婦などは軽いコメディリリーフ的な役割になっていてもうちょっとやり方なかったか?と思う。また小説にはない「あだ討ち」の裏側で起こるちょっとしたトラブルとドタバタ。はっきり言って完全に蛇足。面白ポイントにしては雑だし中途半端、何より面白くないのだ。なのにやたら時間をかける。その時間があればもっと描けることがあったろう。で真相を探る探偵役を主人公にした弊害でラスト、物語にも対して絡まない正直よくわからない殿様が出てきて締めることになる。この殿様を演じる俳優。いや彼は悪くないのだがキャスティングした奴が悪い。百歩譲って物語の締めとして殿様を登場させるならば有無を言わせぬ説得力と存在感のある俳優をキャスティングをしなきゃ絶対ダメだろう。チャラけたあんちゃんじゃダメなんだよ。
とまぁこれは原作を読み終わってその余韻の中で観てしまった故の感想。エンタメ時代劇として老若男女楽しめる作品ではある。原作とは完全に切り離して観ることをお勧めします。
帰宅し、焼きそばの昼食。いつものごとく「マルコポロリ」観ながらウトウト。気づけば夕方。まだ疲れとれず。
2026/3/9
疲れ引きずったまま月曜。机の上に書類が溜まっていくばかり。あっという間に退社時間。
2026/3/10
溜まっている代休を消化。ということでTジョイ京都まで出て映画を一本。パク・チャヌク監督「しあわせな選択」を観る。製紙会社で25年、真面目に働いてきたマンス。妻と二人の子供に二匹の犬、郊外の大きな家で理想的な暮らしを手に入れた。ところがある日会社から突然リストラされてしまう。「理想の暮らし」を守るため転職活動に精を出すむ負け続き。そして思いついたのはライバルたちを文字通り「蹴落とす」ことだった…。パク・チャヌク×イ・ビョンホンが放つ社会派ブラックコメディー。いや、めちゃくちゃに面白かったなー。製紙会社一筋パルプマンとしてプライドが高く、製紙会社で働くことしか考えていないマンス。彼が狙うライバルたちはまるで彼自身。製紙会社一筋で誇りを持ったパルプマンばかり。いままさに蹴落とそうとしているライバルは彼そのものなのだ。今まで築き上げてきたものが自分の足枷となり、自分で自分を縛り付ける。資本主義社会からはじき落されながら、そこから抜け出すことができない。必死でしがみつくその姿はまさに喜劇であり悲劇。間違い続ける選択の果て、彼が辿り着く先は皮肉の極みだ。そしてそれは我々、現代人が辿り着く先でもある。笑いながらぞっとした。いみじくもマンスを演じるイ・ビョンホンと同じ1970年生まれのおっさんである自分はとても他人ごとに思えなかった。すでに多くの選択を間違っている。だが、そこから抜け出す勇気もない。目を閉じ耳をふさぎ先の見えないレールの上を走っている。怖っ。
それにしてもイ・ビョンホンに外れ無し。イケオジにして名優が頑なで疲れた悲喜劇の最中にいるおっさんをまぁ完璧に演じる。ライバルであるイ・ソンミン、そしてその妻ヨム・ヘランとの三つ巴のドタバタシーン。韓国を代表する演技巧者3人の頂上決戦はもう至福。ここまで面白くなるのかと目が離せなかったなー。主人公マンスの妻を演じるはソン・イェジン。言わずと知れた韓国を代表する美人女優だが、この人も巧い。可愛げがありつつ肝が据わった図太さを見せつける。
働いて、働いて、働いた先には何があるのか?うすうす気づきながら見ないようにしてきた残酷すぎる現実をこの映画はユーモアの包み紙で差し出す。包み紙をほどきその中を覗き込むと一枚の鏡。そこにシミと皴に白髪の自分の顔が映る。
ムーンライダーズの曲「歩いて、車で、スプートニクで」(85年「ANIMAL INDEX」収録、鈴木慶一作詞・曲)のフレーズがふと頭に浮かぶ。「記憶のすべて/置いていけるか/来るべき/知性に/記録のすべて/白紙にするか/去りゆく/怪物 記憶のすべて/置いていけるか/来るべき/怪物に/記録のすべて/白紙にするか/去りゆく/知性 置いていけるか/白紙にするか」
2026/3/11
昼休みの読書。王谷晶著「ババヤガの夜」読了。日本人作家初ダガー賞受賞作ということで読んでみたのだが、これは最高かつ最強に面白かったなー。暴力を唯一の趣味とする新道依子。その腕っぷしを買われ暴力団会長が溺愛する一人娘・尚子の護衛兼運転手として雇われる。正反対の2人だが新道は尚子の置かれた過酷な境遇を知りやがて心を通わせていく。シスターフッドなんて言葉では足りない運命共同体となっていく二人。ハードで血生臭い暴力描写と予想をはるかに超えていく驚くべき大胆不敵な仕掛け。こりゃ確かに世界レベルの面白さだわ。2人の女性が置かれる境遇やその運命は極端なほどにハードで過酷に描かれているが、その根本的な部分は今もなおこの社会に色濃く残り多くの女性たちが晒されている現実だ。彼女たちが持つ痛みや怒りはこの社会のあちらこちらに溢れている。そんな社会を物語は殴りつける。この想いを知れと血の涙を流しながら殴りつけてくるような激しさに、殴られながら心震えた。
2026/3/12
いつもは週末にradikoタイムフリーで聴く「爆笑問題カーボーイ」。太田さんが爆発しているとの評判を聞きつけ我慢しきれずに聴く。「選挙特番」を巡って右派言論人からの的外れな批判(以前の誹謗中傷)に対して冒頭からそれぞれ名指しで反論。一切アクセルを緩めることなく50分の咆哮。これが凄かった!怒りを笑いに変えながらも、その間抜けさ、卑劣さ、的外れさをど真ん中から殴りつけていく。「本当に、日本人なんでしょうか」という右派(というかネトウヨ)のクソな常套句を自身のファミリーヒストリーを語りながら、その愚劣な思想をばっさりと斬る。痺れた。「ニセハンサム」「うんこが臭い」「エロ山口(お前にクズと言われたくねーよ!はど真ん中のツッコミだなー)」と激しく悪態をつきながら、彼ら「言論人」たちの喧嘩を買って、そのしたり顔の幼稚な批判の本質を暴き、真っ向から言葉で叩きのめしている。太田さん、最高!もっとやれ!そしてその話を遮ることなくゲラゲラ笑いながら嬉しそうに時にツッコミ、時に薪をくべる田中さん。面白いなー。
2026/3/13
金曜。朝ドラ「ばけばけ」も佳境。今日もグッと来たね。しかし3月も半ば。なかなか暖かくならないな。寒いと体にダイレクトに堪える。
会社帰りにユナイテッドシネマへ。久々に時間が合った。ジョシュ・サフディ監督「マーティ・シュプリーム 世界をつかめ」を観る。時は1950年代。女たらしで嘘つき、傲慢で自分勝手極まりない男、マーティは卓球選手として世界チャンピオンを目指している。世界大会で日本人選手・遠藤に敗れたマーティはリベンジを図るべく日本行きを熱望するも自業自得なトラブル続きで卓球協会から選手資格をはく奪され日本行きの渡航費もままならない。ということでひたすら金策に走りまくる。まるで激しい卓球のラリーの様に映画は息つく暇もなく疾走する。卓球以外はクソでクズ、愛すべきキャラとは程遠いマーティンをシャラメが全力疾走で演じ切る。あっちに奔走、こっちに奔走、喋りまくってはトラブル起こしまくり、かっての名女優を口説いたかと思えば、幼馴染を不倫の末妊娠させ、バスタブで落下したり、銃撃にあったり、あげくに卓球のラケットでお尻ペンペンされたりとそりゃもう大忙しの大騒ぎ。シャラメが横山やすしにも見えてくる。とにかくなんだかわからないままにその疾走に巻き込まれていく。で、なんだったんだ!?アイツは。となる。明らかに変なバランスの映画なんだけど、映画観たなーという充足感があった。
