日々の泡。

popholic diary

2026年5月9日~15日の話。

2026/5/9

8時起床。卵サンドの朝食。今日も少し部屋の片づけ。なんだかあっちからこっちへこっちからあっちへと移動させてるだけのような。部屋がテトリス状態だ。手元に置いておきたいという欲求もあるが、同時に全部手放してもいいとも思う。これらの本や雑誌、CDにしてももう全部俺の中に入ってるから。脳や心、なんなら骨や血や肉になってるんだからと。

散歩がてら100均まで行って収納グッズなどを買い、スーパーでコロッケと…おやつにフジパン「生ちゅろす」を買って帰宅。コロッケと日清焼きそばという中学生のようなテキトーな昼飯。嫌いじゃないというかむしろ好き。

部屋で岡田徹さんのトリビュート盤などを聞きながら日記。コーヒーと「生ちゅろす」のおやつも食べて。いつも土曜日は映画観に行くのだが、たまにはこうして部屋でゆっくり過ごすのもいいね。

で夕方から妻と大阪まで。大阪駅からすぐのSkyシアターにて三谷幸喜作・演出「新宿発8時15分」観劇。新宿発8時15分発の電車が急停車。電車に乗り合わせた人たち、復旧に力を尽くす駅員たち、電車を待つ人たちと様々な人たちの姿を描く群像劇にしてミュージカル。シンプルな舞台の両側には多くの衣装が並び、天海祐希、香取慎吾、尾上松也、シルビア・グラブなど16人の豪華出演者一人一人がとっかえひっかえ衣装を変えながら様々な人々を演じ分ける。数十人に登る多くの登場人物がいながら混乱することなく、それぞれに見せ場があり笑わせ、泣かせぴったり100分で収める。電車が止まり、また走り出すまでの間、たまたまそこに居合わせだけの、もう二度と会うことのないであろう人達。繋がらないはずの人、繋がらないはずの物語が交差し、星座を織りなす。お見事。三谷幸喜は群像劇の名手だと唸ったな。伏線回収のための作劇に堕ちることなく、ハートウォーミングな感触がありながらもどこか乾いた視線、最高の喜劇を見せながら、ラストはある種突き放すような冷徹さ、人生の残酷さまでをも描く。そして胸が締め付けられるような切なさが余韻として残る。素晴らしかった。演者も皆良かった。天海祐希、香取慎吾はさすがに華があってチャーミング。尾上松也は特に印象に残ったな。表情が良いし、なんと言っても歌声が素晴らしくて驚いた。あと浅野和之の芸巧者ぶりも楽しかった。この素晴らしい芝居をなんと前から二列目のセンターブロックという良席で観られたのも嬉しかった。生声が聞こえるレベルの距離で値打ちあった。いやーいいもの観られた。と観劇後、妻と言い合う。感激の観劇だった。

2026/5/10

8時起床。GW中、実家に帰れなかったので今日は妻と母の日のプレゼント持って実家まで。昼は母の手料理。エビフライにコロッケ。相変わらず実家の飯が美味すぎる。おふくろの味というのを差し引いてもそこらの洋食屋より美味い。

墓参りに行ったり、一しきり母の話を聞いて帰宅。またいろいろお土産をもらったので妻の実家にも寄って義母や娘夫婦に届ける。

夜、NHK ONEでドラマ「まぐだら屋のマリア」最終回観る。生と死を巡る重い話でもあったが希望を感じるラストで後味が良かった。

2026/5/11

昼休みの読書、齊藤彩著「母という呪縛 娘という牢獄」読了。2018年、滋賀県で起こった娘が母親を手にかけた殺人事件。娘は母親に自分の意思とは関係なく超難関医大への進学を強要され9年もの間浪人。看護学科に入学し看護師になることが決っていたにもかかわらず助産師になれと進路を強要され…。地元滋賀での事件、語られた背景の異常さもあって気になっていた。公判を取材し、拘置所にいた犯人である娘と面会を重ね、刑務所移送後も何度も往復書簡を交わした記者によるノンフィクション。ここ数日読んでいたのだが、とにかく疲れた。そこで語られ、炙り出される母と娘の関係、まさに「母という呪縛 娘という牢獄」で犯行に行きつくしかなかった娘の心情、娘を追い詰める母親の凄まじいまでの執着に読んでるだけでもう辛くて…。なぜ娘は母を殺さなければならなかったか。それでも殺すべきではなかった。なんて正論すら二人の現実の前では絵空事だ。娘が語るその人生はまさに生きるか死ぬかのサバイバル。幼少期から虐待ともとれる厳しい過干渉、娘を縛り付け異常なまでの偏見で医大に進学させようと追い込む。家出を試みるもその度、探偵を使ってまでも追いかけ連れ戻す。その一方で一緒にテーマパークに遊びに行くような仲良さを見せる。ショートメールに残された二人のやり取りの異様さ。歪にこんがらがった母娘の関係を解くにはもう切り落とすしかないというところまで行きつくのも理解できる。娘の手記部分を読めば、彼女が自分の置かれている状況を俯瞰的、客観的に見ているのがわかる。それを冷静に言語化していて、それを読めばその冷静さもまた極限状態から生み出されたものなのかもと感じてしまう。自分を観ている自分を置くことで正気を保っていたのかもしれない。今となっては窺い知れないがモンスターと化した母親の心情はどうだったのか。母は学歴詐称していたという。自分自身を認められなかったということだろう。理想と現実とはよく言うが、理想に囚われ娘をも巻き込み最後まで自分の現実を認めることができなかった。うーしかし読み進むのが辛かったなぁ。罪を償い彼女が平穏な生活を送れるようになることを祈る。

2026/5/12

文春オンラインのプチ鹿島さんの記事。毎回鋭く、切り口鮮やかな内容だが「売れない芸能人は左翼になる」説は誰が作るのか…と題された今回の記事も実に素晴らしかった。辺野古報道を巡るプチ鹿島さんの記事に対して産経・皆川豪志による反論コラム。そこではもはや難癖にも満たない言ってもいないことから強引にレッテル張りを仕掛ける。まぁ右左問わず政治的な話題になるとSNSなどで良く見受けられる仕草だ。この反論に対して極めて冷静に反証して見せる。偏見からの決めつけ、イデオロギーに乗っ取ったレッテル貼りに終始する産経コラムへの鋭いツッコミ。これぞ芸であるし、こうしてしっかり反証することの大切さがわかる。形は違うが、爆笑問題・太田さんが選挙特番を巡る保守系メディアの太田批判に対して真っ向から反論して見せた爆笑問題カーボーイの「神回」を想い出した。相手もプロの言論人だ。偏見や差別を助長する杜撰で乱暴な記事に対しては言われっぱなしは止めて、一個一個名指しで反論していくべきだと思う。

bunshun.jp

2026/5/13

TVerで「銀河の一票」観る。現実に抗うドラマ。せめてドラマの中だけでも綺麗事、いやキレイなことを語り続けて欲しい。

にしても現実は汚ねぇことばっかりだな。経歴詐称の嘘つきが政治のトップに立ち、デタラメをやり続けている。国民は追い詰められ、弱い者がさらに弱いものを叩き憂さ晴らしする。地獄だよ地獄。キレイなことはどこへ行った?ホントに汚ねぇ、いや小汚ねぇ政権だ。美しさの欠片も感じられない。

2026/5/14

TVerで「時すでにおスシ」。こちらで描かれるのも呪縛と牢獄の話だった。人のことを認めるには、まずは自分自身を認めてあげなきゃならないんだな。それにしても永作博美、すっかりお母さん役がはまっているなぁ。

2026/5/15

朝ドラ「風、薫る」。可もなく不可もなくという感じで、イマイチ盛り上がりに欠けるなぁ。丁寧だし、文句のつけどころもないんだけど、さらっと流れて行っちゃうというか。BS朝ドラ再放送「ひまわり」の迷走に次ぐ迷走ぶり、欽ちゃんのナレーションの強烈な違和感の方がちょっと面白かったりする。

で一週間、今週も何とか乗り切った。3月からのバタバタがいまだ収まらず。一気に気温も上がって体力の消耗が激しい。あとここにきて老眼が急速に進行。老眼鏡付けたり外したりで眼精疲労も激しく夜になるともう目が疲れ切ってる。老いるショックの連続だ。

2026年5月2日~8日の話。

2026/5/2

今日からGW。8時起床。休日の朝食は卵とトースト。朝の内に少し日記を書いて京都まで。いい天気で暑いぐらい。京都駅から歩いて町中の食堂で人気のオムライスを。カウンターだけの小さな店だが、お客さんがひっきりなしに。オムライス、たまに食べると美味しいな。子供の頃、母が作ってくれるオムライスはケチャップライスではなくポールウインナーと玉ねぎが入った焼き飯を卵で巻いたものだった。そこにケチャップをいっぱいかけて食べる。あれはあれで美味しかった。ずっとそれを食べていたのでケチャップライスがオムライスのデフォルトだということは大学生になるまで知らなかった。

腹ごしらえを終えて京都シネマでマイリス・ヴァラード、リアン=チョー・ハン監督「アメリと雨の物語」を観る。1960年代、外交官である父の赴任先である神戸で生まれたベルギー人の女の子・アメリ。2歳になった彼女が世界と出会っていく様を美しい色彩とイマジネーション豊かな表現で描く。花、雨、虫たち…彼女の目に映る世界、鮮やかで冒険と発見に満ちた日々。ノスタルジックなだけではない。新鮮な驚きが画面のあちこちにあって、まさに「世界と出会う」感覚に飲み込まれる。クラシカルでヨーロピアン、どこか和も感じさせる音楽は福原まりさん!これがまた映像にピッタリで素晴らしいのだ。「Real fish」に「Shi-Shonen」、彼女が在籍したバンドの大ファンだったので思わぬ再会が嬉しい。福原さんのピアノ、作る曲も歌声も大好きだったんだよね。っつーか今でもよく聴いている。映画はとっても美しくって邪気が取り払われるような気持になったな。

京都駅までのんびり歩いて帰宅。駅前のスーパーですっかりはまっているフジパン「生ちゅろす」のチョコ味を。土曜日の夕方、妻に隠れて食べる甘い菓子パンとブラックコーヒー。最高だなー。

2026/5/3

朝から妻と買い物。先日作った老眼鏡が出来てきたので引き取りに。順調に老いてるね。帰宅しうどんの昼食。NETFLIXで「地獄に堕ちるわよ」3~5話を。

夕方から義母宅へ。娘夫婦もいっしょに焼肉。皆で食べると美味しい。こうして家族と過ごす時間が心地よい。これも老いかな。

TVerで「太田光のテレビの向こうで」ゲスト・宮藤官九郎回観る。偉大なる先輩、高田文夫先生賛歌。いまだ現役かつ何度目かの絶好調期を迎えている高田先生。2人が心底、高田先生をリスペクトしてるのがわかるな。

2026/5/4

朝から妻に急き立てられ部屋の片づけ。大量の本、雑誌の整理。何しろ40年前に買った雑誌を捨てられずにいる男だ。いつか大量の蔵書が本棚にずらっと並んだ家に住みたかったが、50を越えて完全に諦めた。マンション住まいではその夢はかなわず。残念だが処分を決意。しかしまぁ出てくる出てくる。本棚に収まっている数百冊の文庫や単行本以外に段ボールに無造作に詰め込まれた86~89年の「宝島」、87~88年の「TECHII」、92~96年頃の「ブルータス」、ほかにも「POP IND'S」「BARFOUT」「MARQUEE」「CUT」「H」「ID-JAPAN」「03」「Relax」「invitation」「映画秘宝」初期の「SPA」とか「サイゾー」までゆうに百冊は越える雑誌、高校生の時に熟読したつかこうへいや筒井康隆の文庫本、やたら出てくるお笑い関係の単行本やムック本、みうらじゅんだけでも「見苦しいほど愛されたい」「カリフォルニアの青いバカ」など最初期の作品群から50冊近くある。押し入れの奥にはさらに小学生の時に買った「ドラえもん」や「オバケのQ太郎」などてんとう虫コミックスから「じゃりン子チエ」全巻、「すすめ!パイレーツ」「Dr.スランプ」などジャンプコミックスに「タッチ」「みゆき」なんてあだち充作品、「ブラックジャック」に「まんが道」なんてクラシック作品も揃っているではないか。数年前にも100冊レベルで処分したのだがそれでもまだまだ残っている。今は以前に比べて買う量は減ったがそれでも月数冊ずつは増えている。本当は全部押し入れや段ボールから出して本棚にきれいに並べて置いておきたい。子供の頃から本棚に本を並べて、それを眺めるのが好きだった。本棚に囲まれて暮らしたいという夢があった。でもしょうがない。子供の頃から愛した宝物だけど自分が死んだらただのゴミ。家族からしたら大迷惑。CDだって数千枚あるわけだから処分に困るだけだろう。悲しいかな、この先はもう処分していくしかないのだ。くーっ泣きそう。しかし片付けだすとあれやこれや出てきてついつい手を止めて眺めてしまうな。タイムカプセルに過ぎる。

昼は妻と徒歩2分のところにある食堂へ。人気店でいつもいっぱいで入れなかったり、完売してたりだったのだが、今日は祝日ということもあって並ばずには入れた。1000円の定食はメイン、副菜のひじき、マカロニサラダに具沢山の味噌汁、ごはんも大盛。こりゃ人気あるわというボリューム、手作りの優しい味で美味い。

帰ってからもひたすら片付け。夜までかかってざっくり整理。といっても結局これは捨てられないからと半分ぐらいは横移動しただけ。雑誌ごとに段ボールに詰めたりとかしてなんとか部屋のスペースを作るが、そもそも部屋の大きさと物量が見合っていないのだ。

片付けしてたら出てきた「パペポ」グッズ。高校の時、パペポのイベント観に行ってもらったやつだったっけ。

NETFLIXで「地獄に堕ちるわよ」6~8話まで。島倉千代子登場で一気に面白くなる。

2026/5/5

6時半起床。朝から妻とJRに乗って姫路まで。毎年恒例、大学時代からの友人が主催する猫イベントのお手伝い。姫路城からほど近いホールで猫グッズの販売やセミナーなど。10時から5時まで楽しく過ごす。妻が食べたことないというので姫路駅でえきそば食べて帰宅。片道2時間ほど、GW唯一のおでかけだ。

2026/5/6

GWのお休みも最終日。今日も部屋の片づけの続き。一部雑誌を引取っていただけることになり安堵。ごみとして捨てられるのは悲しいからね。必要としてくれる誰かの手に渡るだけで救われる。

ちょいと仕事絡みで外出。1時間ばかりで帰宅し引き続きお片付け。問題は500本ほどあるカセットテープ。昔はレコード買ってまずはカセットに録音して繰り返し聴いていた。買ったレコードはもちろん、レンタルレコード屋で借りたり友達に借りたりしたレコードやCDをせっせと録音して聴いたものだ。これはもはや売ることも出来ない完全なるゴミ。なんだけどいまだ捨てられず。今回も結局保留。段ボールをそっと閉じる。

NETFLIX「地獄に堕ちるわよ」最終話まで。面白かった。最初に「事実に基づいた虚構」と宣言される。6話まではまさにその宣言通り、信頼できない語り手である細木数子自身が語る虚構の物語がたっぷり濃厚に描かれる。男に騙され辛苦を味わいそこから這い上がってきた強かで信念を持った女性。だが7話で第三者の視点に変わることでそれが虚構であることが明かされる。ネットなどで感想を観ると事実と違う、美化され過ぎなどと怒ってる人もいるが、いや虚構だって言ってんじゃん。細木によって美化され漂白され、時には盛られた虚構をたっぷり見せた上で、嘘に嘘を重ね欲望に飲み込まれ、金に執着し続けた細木数子とは何だったのかを暴こうとする。戦後の飢えを経験し徹底して欲望に突き進んでいった細木。金、金、金…金が全ての原動力であり金儲けの一点において才能を開花させた錬金術師あるいは詐欺師。あくまでドラマだから7話以降ももちろん事実という訳ではないだろうが、それでもかなり突っ込んでいる。島倉千代子からの搾取、大物フィクサーに仕向ける後妻業、霊感商法に、やくざを使った口封じなどなど、少なくともこれ観て細木数子の占い信じる奴のほうがどうかしてるような気がする。朝ドラ「スカーレット」で女の一代記を見事に演じ切った戸田恵梨香が、裏朝ドラとも言える黒い一代記をこれまたしっかりと演じ切る。お見事。島倉千代子役の三浦透子は誰もが納得の名演。数子と行動を共にし、物語がツイストするキーパーソンとなる弟役の細川岳が印象に残った。あと一番の儲け役はレーザーラモンHGか。まさにセイでしょう。

NETFLIX次は誰のドラマ?とあちこちで語られてるが、そうだな。「たかじん」はどうだろう。過去にドラマ化されてもいるが、観たいのは晩年、むしろ死後のドタバタだ。後妻のさくら、橋下徹や悪徳弁護士・吉村も当然出てくる。たかじんマネーから始まる関西マスコミと維新の闇を炙り出すなんてどうよ。

2026/5/7

休み明け。ヘビーな交渉からこまごました仕事まで大忙し。気が付いたら夜だった。

2026/5/8

仕事で米原まで電車で。スーツだと汗かくな。滞りなく終えてまた電車に乗って会社まで戻る。ちょっとした小旅行だ。

radikoで角田龍平「蛤御門のヘン」聴く。プロレス浪漫回、面白い!昭和のプロレスを愛する還暦過ぎの大きな子供たち、部室での放課後トークのごとき多幸感。僕はプロレスについては詳しくないけど、それでもキャッキャと好きなことを熱く語る男たち、とくにプロレス美術館、湯沢館長が最高だなー。

「爆笑問題カーボーイ」はナイツ・土屋の「美大合格」について。合格したのは「日大」の美術学科であって「美大」ではないと主張する太田さん。そこからなぜか美大か日大かを寿司屋の大将と語り合うという人情落語になっていく。25分に及ぶ大ネタになっていて笑った。

休み明け、たった二日だが休んだ分疲れるな。帰りは気分を変えるべく湖岸沿いを歩く。目の前には琵琶湖が広がる。それだけで気が晴れるってもんだ。

2026年4月25日~5月1日の話。

2026/4/25

8時起床。玉子とチーズのホットサンドの朝食。朝の内にTVerでドラマ「時すでにおスシ」観ながら、日記を。松山ケンイチっていい役者だなぁと改めて。

京都まで出て映画。その前に天気もいいので京都駅から歩いてネットで観て気になっていた店でランチ。夫婦で営む小さな町の洋食屋さん。卵と玉ねぎのスープ、付け合わせの野菜たっぷり、メインはふわっふわの丁寧なハンバーグ。デミグラスソースも美味しい。大満足。

で京都シネマでまずはケン・ローチ監督の新作「オールド・オーク」を観る。かって炭鉱の町として賑わったイングランドの田舎町。今はすっかり寂れた町で唯一残るパブ「オールド・オーク」。町はシリアからの難民を受け入れるがそのことで町人たちは不満を募らせる。かって炭鉱の労働者たちが連帯する場であったオールド・オーク。だが今は難民たちへのヘイトをぶちまける分断の場に。カメラを通じシリア人女性のヤラと友情を育むTJ。彼らはオールド・オークを難民や困窮する人々の為の食堂にし再び連帯の場にしようとするが…。まるで今の日本と同じだ。不満を持つ者たちはその不満の元凶ではなく、さらに弱い者たちを叩く。権力者によって先導され作られた差別の構造。仕向けられた分断と排斥の負の連鎖。ヘイトに染まっていく仲間たちをみるTJの苦渋に満ちた表情。Xのおススメに上がってくるヘイト投稿、何気ない会話の中で知人から発される差別発言に触れた時、僕もまたTJと同じような表情をしているだろう。人々を取り込んでいく差別構造の前で通じない言葉、想い。怒り、悲しみ、やりきれなさ、もどかしさに心が削られていく。ケン・ローチ監督はその構造を物語の中で暴き、その理不尽に怒り、叩き合うことではなく手を取り合うことの大切さを静かに強く訴える。希望はそこにしかないのだと。今、世界のあちこちでは分断が進み、これ以上ないぐらいにヘイトが蔓延している。権力、暴力、強大な力の前で、もう遅いのかもしれないと心が折れそうになる。それでもまだ希望はあるはずだ、まだ間に合う、諦めさえしなければきっと僕たちは希望に辿り着けるはずだと映画は語り掛ける。多くの人に観て欲しい。そしてケン・ローチ監督からのバトンを受け取って欲しい。声を上げ、抗う勇気をくれる作品だ。素晴らしかった。

ロビーで一休みしてもう一本。クロエ・ジャオ監督「ハムネット」を観る。1580年イギリスの小さな村。ラテン語の教師だったウィリアム・シェイクスピアは、森に暮らすアグネスと出会う。2人は結婚し、3人の子供に恵まれる。劇作家としてロンドンでキャリアを積むシェイクスピア、一方でアグネスは一人家を守り子供たちを育てていた。そんな時、息子のハムネットが病気で命を落としてしまう。それが基で徐々に壊れていく夫婦の絆。そんな中、シェイクスピアは魂を削って戯曲「ハムレット」を書き上げる…。という「ハムレット」誕生秘話が描かれる。圧巻は映画のラストに置かれた「ハムレット」上演のシーン。シェイクスピアを探しに来たアグネス。死んだ息子の名前がついた舞台劇に怒り心頭、劇が始まり怒りを抱え文句を言いながらしぶしぶ見始めたアグネスだが、登場したハムレットに目を奪われ、物語の中にどんどんと惹きこまれていく。人はなぜ物語に魅せられるのか、人の心はなぜ物語を求めるのか。アグネスは物語を通じてシェイクスピアがその物語に込めた想いに触れると同時に息子を失った悲しみを浄化させる。シェイクスピアの不器用な繊細さを体現するポール・メスカル、そして濃縮されたシーンの中でその心の動きを見事に演じて見せたジェシー・バックリーがとにかく素晴らしい。ハムレットの物語に魅入られていく観客たち、そしてそれを映画館にいる観客たちは息を飲んで見入る。宗教が生まれる瞬間のような崇高さを感じた。

全然関係ないけど「ハムネット」を演じる子役がネゴシックスに激似だった。途中でそれに気づいてしまい結構なノイズになってしまったことを記しておこう。俺のバカ。

夜はNHK ONEで夜ドラ「ラジオスター」に再放送朝ドラ「マッサン」まとめ観ながら日記を仕上げる。

2026/4/26

少し寝坊。9時起床。妻と買い物。久しぶりに一里山のショッピングモールまで。ここんとこ一気に老眼が進んで読書にも支障をきたしているので眼鏡屋で老眼鏡を作る。調べてもらったら右目の方が幾分か進みが早い。妻は遠近両用メガネを新調。ワークマンで服など買って帰宅。

で今日も京都まで。久々にライブ。直枝政広@京都・冬青庵能舞台。京都の町中にある能舞台、リラックスしたムードの中での弾き語り。なんというか引き算の弾き語り。円熟の名人芸だったな。その中にぐっとエッジの効いた突き刺さるような瞬間がある。「センチメンタル」「蜘蛛のブルーズ」と2000年のAL「LOVE SCULPTURE」曲が今日はなぜか刺さったな。久々の「墨堤にて」も痺れた。

ここのところちょっと疲れている。対話の難しさ、こんがらがる人間関係に辟易としてしまう。自分は正直「人事」的なことには一切興味はない。だがいかんせん歳を取ってそれなりのポジションに着いてしまったので関わらざるを得ない。対話を試みるがそれぞれの主張や言い分には随分と距離がある。もちろん自分も含めてだが主観と客観はここまで違うのかと愕然とするし、唖然ともする。自分は強い人間ではない。気の小さいただただ小心な男だ。リーダーシップもなければ仕事ができる男でもない。投げ出したくもなるが、誠実に、言葉を尽くして向き合うしかないのだ。

などということでちょっと疲れている。そういう時、直枝さんの歌を聴きたくなる。宗教や占いにすがるようなものなのかもしれない。いつになく肩の力を抜き、笑いながらステージを進めていく直枝さん。軽やかさと心の奥に潜む狂気。俺の中にもちょっとぐらい狂気は残っているのか。今こそその狂気が必要なのだと予感している。

夕方のライブだったので終わって帰宅しても7時過ぎ。何ならあと1時間早くてもいいぐらい。最近は夜に出歩くのがちょっとしんどい。特に日曜の夜などは家に居たいという思いが強くライブはすっかり遠ざかっている。

radikoで「爆笑問題カーボーイ」ゲスト千原兄弟。「太田さんが爆笑で、田中さんが問題」はまさに言い得て妙。

夜、NHKスペシャル「臨界世界 月の町タルトンネ ソウル最後のスラム」観る。高級マンションが立ち並ぶソウル・カンナム。その高層マンションを見上げるようにタルトンネと呼ばれるスラム街がある。貧困の果てにそこに辿り着いた人々の暮らしをカメラは追う。退去を求められ、開発公社との対立の中で原因不明の火災が発生し街は焼き尽くされる。経済成長が産み落とした真っ暗な影。自己責任と切り捨てるにはあまりに不公平すぎる。生きることの困難さが月とともに浮かぶ。

2026/4/28

ネットで発注していたムーンライダーズの岡田徹さんトリビュートアルバム「ADVENTURES in MODERN RECORDING by TOHRU OKADA」が届く。岡田さんが亡くなって3年。ムーンライダーズの面々、かって岡田さんがプロデュースを手掛けた面々、岡田さんが参加した様々なユニットのメンバー達が参加し、岡田さんが残した名曲の数々をすべて女性ヴォーカルが歌う。博文さんのBassと佐藤優介のピアノに乗せて佐藤奈々子が歌う「週末の恋人」、お久しぶりのNav Katze「いとこ同士」、PSY・SのCHAKAが良明さんのギターで歌う「(チロリンの)星に願いを」。そのチロリンのヴォーカルだった島﨑夏美の「いつの日かHappyEnd」などなど岡田さんのグッドメロディに酔いしれる。80年代半ば、自分が音楽に夢中になったのは岡田さんの存在が大きい。「岡田徹プロデュース」は絶対的な信頼の印で、レコードを買う重要な指針であった。岡田さんプロデュース作品からムーンライダーズに入っていった。そしてムーンライダーズでの仕事こそが岡田さんの真骨頂だと確信した。慶一さんのヴォーカルを最も輝かせるメロディ、アルバムの中でもキーとなるサウンド、トーンを岡田作品が担っていた。岡田さんのメロディは永遠だなぁ。

2026/4/29

8時起床。朝から「銀河の一票」観る。「綺麗事じゃなくて、きれいなことだよ」など名セリフ続出。おもしろい。昼、妻とランチ。少し歩いてインドカレー店へ。カレーセットとビリヤニをシェアして。ビリヤニ初体験。凄いボリュームだったがお米フワフワで意外と食べられる。実に美味しかった。大満足。

ぐるっと散歩がてら遠回りして帰る。近所のケーキ屋で珍しくケーキを買って、それお土産に義母宅へ。義母もいっしょにコーヒーとケーキ。普段はスーパーの安いロールケーキぐらいしか食べないから(いや、それも美味しいんだけど)、たまにケーキ屋さんの丁寧なショートケーキを食べるとめちゃくちゃ贅沢な気分になるな。義母もえらく喜んでくれた。美味しい美味しいとシェアし合いながら。娘は今日も仕事なので、娘夫婦のケーキ置いて帰宅。

NETFLIXで「地獄へ落ちるわよ」2話まで視聴。存在がコンプライアンス違反みたいな細木数子がテレビの視聴率女王だったなんて今思えばめちゃくちゃだな。そのコンプライアンス違反なところをどこまで描くのか。2話まではまだ序章、ビジュアル的には似ても似つかない戸田恵梨香だがちゃんとそう見えてくるあたりは素晴らしいね。

2026/4/30

GWの狭間。やる気でねーなー。でもやること山積み、あっちこっちで営業トーク。昼休みの読書。とあるノンフィクション本を読んでいるのだが、これがなかなかに重くきつい内容。昼休み終わるとどっと疲れているという…。だけど面白いからやめられないんだなぁ。

2026/5/1

金曜。今日乗り越えればしばしお休み。どうにかこうにか退社時間に辿り着いた。体力の限界。radikoのポッドキャストで「太田光と15人の喋り手」4回目のゲストは花澤香菜。カーボーイリスナーだけあって太田さんの激しめの離婚いじりにもしっかり乗っかり、踏み込んだエピソードトークを披露するなど面白い。ラジオでのトークをどこまで準備しておくかなど珍しく太田さんが真面目に答えているのも興味深い。しかし太田さん、花澤さん出演のアニメもかなり追っていてどれだけ守備範囲広いのか。あれだけの仕事をこなし、漫才ネタをいまだに作り続け、本にアニメにドラマ…と凄まじい勢いで観ている。優れた表現者は優れた観察者でもあるのだな。

2026年4月18日~24日の話。

2026/4/18

BS朝ドラ「どんど晴れ」最終回観るために7時15分起床。予想を1ミリも越えない大団円。東幹久にMVPを。

朝食は母からもらった自家製あんこをたっぷりトーストにのっけて。父も父方の祖母も甘いものが大好きで特におはぎが大好物だった。なので母はよくおはぎを作っていた。大量に作ってはご近所さんにお裾分け。母はあんこ作りの名人で近所の人たちからも大層喜ばれていた。そんなわけで僕も一番好きな食べ物は?と聞かれれば「おはぎ」と答えるあんこ大好きオジさんになってしまった。

午前中少し日記を書いて、ちょいと仕事を済ませ京都まで。御池まで出てまずは腹ごしらえ。やよい軒で大分とり天定食。でアップリンク京都でアンソニー・シム監督「Riceboy」を観る。恋人を亡くし未婚の母となったソヨンは幼い息子ドンヒョンを連れてカナダへ移住する。工場で働きながら懸命に生きるソヨン。言葉や文化の壁、人種差別、お弁当にキムパを持っていくドンヒョンは「ライスボーイ」とからかわれ、いじめられる。月日は流れドンヒョンは15歳。すっかりカナダでの生活に馴染み、髪を金色に染め少々やんちゃな少年に。だが自身のルーツについても考え始めていた。そんな時ソヨンは体調に異変を感じ病院へ。彼女に突きつけられる残酷な宣告。それをきっかけに母と息子は初めて韓国へ帰郷。ドンヒョンは自身のルーツを、ソヨンは悲しい過去と対峙することとなる。少し粗く、そして淡く美しい映像。カナダから韓国へ。ノスタルジックな雰囲気の中に、生々しい感情の動きが感じられる。人生とは悲しいものである。悲しみの連続である。母と息子、二人は深い悲しみの中で漂っている。だがその中にも確かに幸せな瞬間がある。二人の心の中に共通の記憶として淡く美しくその幸せな瞬間が残っている。それがあれば生きていける。人生は悲しいけれどそれだけじゃないのだと教えてくれる。深く響き物語であった。とても良かったな。

で帰宅。駅前のスーパーでまたフジパン「生ちゅろす」買ってしまう。ブラックコーヒー&生ちゅろすで癒しのひと時。

2026/4/19

朝から妻の実家へ。ここ数日ねずみが出没ということで義母からの要請もあり我が家のどらン猫、チャ坊を連れていく。も当然のことながら初めての場所で全く役に立つわけもなく台所の奥に潜り込んで息をひそめるばかり。ごめんよチャ坊。

義母宅の離れで暮らし始めた娘夫婦としばし話。2人は今から僕の実家へ行ってお祖母ちゃんとランチとのこと。母は唯一の孫である娘を溺愛しているので結婚してこうして顔出してくれるのは母の息子で、娘の父である僕からすれば嬉しいことだ。

帰宅し「マルコポロリ」観てからなんとなくアマプラで長谷川和彦監督「太陽を盗んだ男」を観る。随分前に一度見て以来か。1979年、ストリートキングダムの時代だな。懐かしい昭和の風景が嬉しい。今の目で観ればもちろんツッコミどころもあるけれど、主人公が抱える焦燥感、虚無感に包まれるラスト。ジュリー&文太が放つ色気、外連味溢れるアクションは今観ても最高。絶対やっちゃいけないけど、今リメイクするとしたらと考える。菅田将暉&木村拓哉でどうだ。池上季実子の役は河合優実で。だが、監督がいないなー。ポン・ジュノぐらいじゃないと無理だろう。

2026/4/20

BS朝ドラは今日から「ひまわり」ザ・平成。ナレーションは欽ちゃん、松嶋菜々子の初々しくも爽やかな大根芝居が良いね。

2026/4/21

前評判の高いドラマ「銀河の一票」をTVerで。制作陣、キャストと間違いない感じではあるが、まだ第一話。これからこれから。

しかし現実の政治の世界は…。毎日毎日本当に反吐が出るようなことばかり。悲願とやらの減税はあっさり捨てる首相。そんなことだろうとは思っていたが、よこもまぁそんなど真ん中の嘘を吐けるものだ。本当に、意地悪やなぁ~。でやってることはカルト教団の言いなり、ネトウヨ媚びの政治ごっこ。わずか数ヶ月でここまで国は腐ってしまうのか。国民を切り捨て、人権を踏みにじり、独裁国家へ一直線じゃないか。

2026/4/22

プチ鹿島さんの「赤坂タイムス」をポッドキャストで。黒猫ドラ猫さんによる陰謀論・参政党のディープなリポート、毎日新聞遠藤記者による大川原化工機事件の話などまだ始まったばかりの番組なのに飛ばしてるなー。聞き応えが凄い。あとBTSの話題で旧知のK-POP番長ことまつもとたくおさんがわかりやすく確かな解説をされていて嬉しくなる。

NHK ONEでドラマ「魯山人のかまど」。なんとサイモン・ペッグが登場!世界的スターながらさりげなくごくごく自然にさらっと出ていて新鮮さがあったな。でやはり藤竜也。毎週絶賛してますが、晩年の魯山人、人は離れ、何もかも失い、寂しさを滲ませながらもどこか開き直った強さ人間臭さを体現。枯れた演技なんてものじゃなく枯れてるようで泥臭い生命力を感じさせる名演。

2026/4/23

3月~4月と色々あって昼休みもままならずだったが、久々に昼休みの読書。村井理子著「本を読んだら散歩に行こう」読了。全40編、40冊の本が紹介されている。日々の生活の中から1冊の本が浮かび、またその本が記憶の扉を開ける。節度のない想い出、ささやかな日常、ぼんやりと見える未来までもが絶妙なユーモアと切なさの匙加減で書かれている。まさに村井さん流の読書案内であり極上のエッセイ集だ。微笑ましく読んでいると急に胸の奥を鋭く突かれる。そのグッとくる瞬間が村井さんの本を読むときの醍醐味。例えば今作で言えば一枚の古い写真から、幼い頃共に暮らした叔父のことに想いを巡らす一遍。今はもういない叔父、その時はわからなかった叔父の心を想像し、その悲しみに触れる。本を読むことは人の心を知ろうとすることだ。自分ではない誰かの悲しみや喜びに一喜一憂し心に寄り添い、心を重ねようとする。読書の楽しみ、読書の喜びが感じられる一冊。読書は楽し。

NHK ONEでドラマ「まぐだら屋のマリア」観る。朝ドラの印象的な役に続き藤原季節が好演。

2026/4/24

やっと金曜。3月以降いろいろあって多忙を極めている。メールの処理するだけで半日が過ぎ、あっちからこっちからやってくる仕事や相談事に対応してたらもう退社時間。20代、30代の頃の様に終電まで働いてという忙しさではないが、責任の重さに潰されそうになる。サラリーマン生活も33年。それなりに図太くはなった。昔は仕事を引きずり足を引きずり日をまたぐ頃に帰宅していたが、今はさっさと帰る。会社一歩出たらあとは野になれ山となれ。相変わらず足は引きずっているが、それは加齢からくるものだ。

帰りに聴いてたのはPSY・S、1985年の1st「Different View」。懐かしんで聴いているわけじゃない。1985年から今まで絶えることなくずっと現役で聴き続けているのだ。俺もしつこい。しかしいまだに1曲目「Teenage」のイントロを聞くと、うわっ新しいっ!と思うな。


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中野裕之監督によるこのPV。いまだに邦楽PVの中で一番好き。

2026年4月11日~17日の話。

2026/4/11

8時起床。朝の内に日記を書いて京都まで。MOVIX京都にてキム・ヘヨン監督「大丈夫、大丈夫、大丈夫!」を観る。ソウル国際芸術団に所属する踊ることが大好きな女子高生イニョン。母娘の2人暮らしだが、交通事故で母を突然失ってしまう。家賃も払えず家からも追い出され、練習室でこっそり寝泊まりしている。そんなある日、「魔女」と恐れられる完璧主義のソラ先生に見つかり寝泊まりしていることがバレてしまう。行きがかり上イニョンを家に泊めることになったソラ。その日から年齢も性格も生活スタイルもまるで違う二人の奇妙な共同生活が始まる。そんな中、舞踏公演を前にソラの方針が基でイニョン達団員の間で亀裂が生まれてしまい…。ハートウォーミングな実にしみじみと良き映画であった。とにかく明るいイニョンだが、心の奥に大きな悲しみを抱えている。ストイックな生き方を貫くソラは孤独の中にいる。芸術団のエースであるナリは母親からの大きなプレッシャーの前で追い込まれていく。それぞれが自分自身のことでいっぱいいっぱい。そして起こるハレーション。だがその中で彼女たちはそれぞれの心の内を知る。人の心の痛みを知ることで、彼女たちは自分自身が抱える心の痛みと向き合い成長する。イニョンを演じるのはイ・レ。名子役として名をはせた彼女の溌溂とした演技が良い。悲惨な境遇ながら踊ることを楽しみ、生きることに前向きで皆の心を解きほぐしていく。真逆な性格のクールな魔女、ソラとのやり取りが楽しく、二人が心を通わせていく様が微笑ましい。イニョン、ナリ、そして芸術団の面々の青春模様もいいんだよね。ぶつかり合いながらも絆を深めてやがて迎える舞踏公演。もう叔父さんを通り越してお爺さんなので頑張る若者たちの姿観ただけで泣いちゃう。派手な作品ではないけれど、「大丈夫、大丈夫、大丈夫!」というタイトルに込められた優しさに心が温かくなる。好きだなぁ、僕ぁ。

御池通をぶらぶら歩いてホテル地下のレストランで生姜焼きランチ。続いてはアップリンク京都にてハ・ミョンミ監督「済州島 四・三事件 ハラン」観る。1948年4月3日、アメリカ軍が南朝鮮での単独選挙を決定したことを機にそれに反発する一部の済州島民が武装蜂起。政府軍は海岸線から5キロ以上離れた地域を「敵性区域」とみなし、出入りする者を無条件に射殺するという布告を発令。村の女性たち、老人、子供までもを容赦なく射殺する大規模な島民狩りが行われる。そんな中、村に暮らすまだ若い母親アジンと幼い娘ヘセンの命がけの逃避行が始まる…。政府軍による無差別虐殺で30,000人近くの島民が犠牲になった歴史の暗部をその凄惨さから目を逸らすことなく描く。イデオロギーなどとは程遠い、日々懸命に生きている何の罪のない人たちに銃が向けられる。権力の暴走に翻弄され、理不尽な暴力にさらされるのはいつも名もなき小さく弱い者たちだ。なぜこんな目に合わなければならないのか?なぜこうなってしまったのか?その不条理な「?」を映画は突きつける。映画にはもう一方で罪のない者たちへ銃を向けるよう強いられ心が壊れていく兵士の姿も描く。彼らもまた名もなき小さく弱い者たちなのだ。権力、暴力、肥大した力はやがて暴走し、国に、人々に大きな傷を残す。歴史が繰り返してきた愚行を決して忘れてはいけない。無かったことにしてはいけない。現在の済州島。美しい風景の中に無数の墓が並ぶ。そこに刻まれた名前の一つ一つに人生があり物語があったのだと映画は強く訴えかける。観られる機会があれば観て欲しい。

radikoで角田龍平「蛤御門のヘン」お座敷ロックンローラー・バンヒロシさんゲスト。めちゃくちゃ面白い!初デートはユーミンと。なんて嘘みたいなホントの話が続出。教科書には載らない極私的文化史。ポップカルチャー好きにはたまらない放送だった。

2026/4/12

8時起床。妻と実家へ。母手製のおはぎを食べながらしばし話。妻は大阪まで歌舞伎を観に行くというので駅まで送って、そのまま墓参り。父が亡くなってもう19年か。時が経つのは早い。父が亡くなった時、母はまだ60歳だった。今の自分と大して変わらない。いつも陽気で元気な母だが、心の内は寂しかっただろうな。昼はこれまた母手製のミートソーススパゲティ。懐かしい味。美味しい。コーヒー飲みつつ一通り母の話を聞いて、おはぎやら稲荷寿司やら若筍煮やらお土産を山ほど貰って帰宅。一人車を走らせながら親孝行がまだまだ足りないと思う。

プチ鹿島さんの「赤坂タイムス」をポッドキャストで。池尾伸一さんゲストで著作「仮放免の子どもたち 日本人ファーストの標的」について。政治家が票集めの為に外国人を標的にヘイトをまき散らし、そのことがお墨付きを与え差別やヘイトがカジュアルに消費されていく現状。日本の入管の問題などを伝える。もっともっと掘り下げるべき問題だろうが、まずはそのさわりだけでもこうして誰もが気軽に聴けるラジオで取り上げることは大切なことだ。この小さな芽をもっともっといろんな場所でいろんな形で芽吹かせる必要がある。それは自分にもまた責任があると思っている。

帰宅しアマプラでアーロン・シンバーグ監督「顔を捨てた男」を観る。神経線維腫症で顔に極端な変形を持つ俳優志望のエドワード。その見た目もあり自分の殻に閉じこもって生活している。隣人で劇作家を目指すイングリッドに惹かれ、外見を変える治療を受ける。新しい顔を手に入れ別人として歩み出すエドワード。順風満帆な人生を送り始めた矢先、かって自分が捨てた顔とよく似た顔を持つオズワルドが現れる。特異な外見を持ちながらも堂々としカリスマ性のあるオズワルド。彼の出現でエドワードの人生は狂い始めるのだった…。コンプレックスを言い訳にしてきたエドワードはそのコンプレックスをものともせず堂々と生きるオズワルドに徹底的に揺さぶられる。逃げ道を失い自身のアイデンティティを崩壊させる悲劇的な不条理劇。外見か内面か。究極の問いかけを観ている者にもぶつけ揺さぶる。なんとも不敵な映画であった。

夜はうどんと貰ってきた稲荷寿司。ホッとする味だなぁ。好きな言葉は「甘辛く煮る」。甘辛く煮たお揚げさんに寿司飯を詰めた人にノーベル賞をあげたい。

NHK ONEで「お別れホスピタル2」後編を観る。人は必ず死ぬ。いつか自分にも訪れる最期。ドラマで描かれる最期の時とそこに寄り添う人々。内田慈が良いね。あーしかしダメだ、泣けちゃう。

2026/4/13

トラブル続きで忙しい月曜。体力、気力、ともに限界…でもやるんだよ。と言ってもさすがに疲れる。

2026/4/14

radikoで「ビバリー昼ズ」吉田豪ゲスト回聴く。骨折した松本明子さんの代演はナイツ土屋。的確にボケを拾う土屋に高田先生もご満悦。BUBUKA誌にBUNKAタブー誌とさすがに本屋で手に取るにははばかられる雑誌に連載の吉田豪インタビューはネットカフェでチェックしてるので山本譲二に大村崑、泉ピン子、甲本ヒロトなど紹介されたインタビューは読んでいる。お昼のラジオには全く適さない物騒な話のオンパレードなのだが、ギリギリアウトな微妙なラインでの紹介。それをすべて受け止める高田先生。面白かった。

2026/4/16

NHK ONEでドラマ「魯山人のかまど」。藤竜也さんの名演を堪能。表情一つ、指先ひとつで魯山人の歩んできた人生、その心の複雑さを見事に表現する。素晴らしいなぁ。

2026/4/17

BS朝ドラ「どんど晴れ」。行方不明だった彩華に横領の末辞めてった板長まで戻ってくるわ、平治の下で修行していた聡が御曹司だったり、白スーツに身を包んだ石原良純が味方に付いたりとラストに向けてご都合主義のつるべ打ち。完璧すぎてほとんどAI、人間味ゼロの夏美と爽やかな棒読みで常に目が死んでいる柾樹。最終的に「座敷童」で全てを乗り切る面白朝ドラだったなー。

保険屋からのお知らせで妻の誕生日だったことを想い出す。やば、完全に忘れていた。帰りにスーパーでいろんなデザートを買って帰ってお茶を濁す。ま、僕の誕生日は毎回スルーされているので別にいいんだけど。

2026年4月4日~10日の話。

2026/4/4

8時起床。午前中諸々用事を済ませ午後から久々にMOVIXへ。電車が遅れていてひやひやしつつ上映時間ギリギリ間に合う。

キム・ハンギョル監督「PILOT-人生のリフライト-」観る。空軍学校を首席で卒業、大手航空会社のスターパイロットとしてテレビにも取り上げられるほどの人気を誇るジョンウ。だが酒の席での発言がネットに拡散され一夜のうちにすべてを失ってしまう。再就職を試みるも彼を雇い入れる航空会社は無い。やけくそになったジョンウは酔っぱらって妹の名前「ジョンミ」で航空会社にエントリー。なんと書類選考に合格してしまう。こうなったらと美容系ユーチューバーの妹の協力を得て女性として面接を受けると見事合格。女性パイロットとして復活を遂げるも…ってなコメディ。これがまぁ面白かった。まさにコメディのお手本のような作品。客席のあちこちで笑い声。僕も何度も声出して笑っちゃった。もしも男性が女性として働くことになったらで考えうるギャグを詰め込みつつ、大いに優位な立場にいた男性が女性になることで女性たちが晒される様々な不条理や痛みを知り、人として成長していく物語でもある。また女性の痛みを知っていく中で、男性として彼が知らぬ間に捕えられていた家父長制の呪縛からも解放されていく。ラストも単なるめでたしめでたしではなく、報いの後の真の再生まで描かれていてとてもバランスが良い。主演はチョ・ジョンソク。男性と女性を行ったり来たりしながらのベタなギャグも彼が演じることでスマートに決まるし、下ネタさえも下品にならない。華やかなスター性と抜群の身体能力、時にコミカル、時にシリアス、時にクールにと百想芸術大賞最優秀男性演技賞受賞も納得の名演。素晴らしかった。妹のジョンミを元・Secretのソナが演じてるのもオールドK-POPファンの僕には嬉しいところ。チョ・ジョンソクとのやり取りは息もピッタリでコメディエンヌとしての魅力爆発。実に楽しい映画だった。

いつものごとく駅前のスーパーで菓子パン一個買って帰宅。「生どーなつ」とブラックコーヒーをキメて日記など書く。

radikoで角田さんの「蛤御門のヘン」聴く。八百屋の稲田さんによる「ストリートキングダム」評。前回の出演時に京都のパンクシーンを牽引したイベンター時代の話をリザードの楽曲とともにされていたので、まさにその時代を知っている当事者の感想は興味深い。オープニングから「明石家さんま最初期のサイン」についてのエムカクさんの考察を全否定。「その場にいたのは自分だけだ」という言葉が強い。そんなまさにパンクな稲田さん、リザードの近くにもいてその空気を知っている稲田さんの「ストリームキングダム」への評価はいかに。緊張感を持ってぐっと耳を傾けると…なんと高評価。当時のライブハウスの空気を忠実に再現しているとのこと。映画の関係者でも何でもないんだか、なぜかホッとする。まさに当事者としてその時代の空気を浴びてきた稲田さんの愛憎入り乱れるリザードへの想い、その数奇な人生に聴き入る。

「爆笑問題カーボーイ」さんまさんとタイタンメンバーでの食事会話。キュウのピロがMだという話に乗っかり最終的に三角木馬をDIYするところにまで話を広げるさんまさん。そんなさんまさんを太田さんが臨場感たっぷりに再現、笑った。

2026/4/5

8時起床。朝からマンションの理事会。終えてradikoでプチ鹿島さんの新番組「赤坂タイムス」聴きながら湖岸を少し散歩。「サナエトークン」などを例に高市早苗の一国の総理としての迂闊さ、危うさを指摘しその資質を問う。ゲストは古舘伊知郎さん。半信半疑で世を観るということ、ニュースの語り手としてバトンが渡っていく感じにグッとくる。「東京ポッド許可局」を聴き始めたのはまだ喫茶店などで収録されていたポッドキャスト時代。もう15年以上前だろうか。同じ1970年生まれのマキタさんや鹿島さんの会話、チョイスされる言葉、単語、名詞など同時代に生きてきただけにすごくしっくりきてTBSでラジオ番組化されてからも聴き続けている。鹿島さんの単独ライブにも何度か足を運んだし許可局イベントも観に行った。時事芸人としてどんどん仕事を広げいく鹿島さんの姿を観てきたのでTBS土曜お昼、かって久米宏が担当していたまさにど真ん中の枠を鹿島さんが担当するとはファンとしてとても嬉しい。同い年のおっさんとしても、俺もまだ終わらねぇぞという気分になる。ニュースを題材に軽快なトークを繰り広げるラジオ。また楽しみが一つ増えたな。

で琵琶湖ホテルでトイレを借りて帰宅。妻と買い物。ユニクロでシャツを一枚、ニトリでフライパンを新調。軽い。昼は近所のラーメン屋へ。この前、別のラーメン屋で食べた汁なし担々麺が口に合わなかった妻。リベンジしたいということでもう一軒のラーメン屋で担々麺。こちらはばっちりお口にあったよう。

NETFLIXでリュ・スンワン監督の新作「HUMINT/ヒューミント」観る。本国では振るわず早々に配信とのことだが、いやしっかり面白い。確かに今作はスカッと爽快という感じではなく激渋ノワールではあるが。ロシアで麻薬組織を追う韓国国家情報院、チョ課長。そんな中で北朝鮮総領事が絡む人身売買事件に突き当たる。一方、北朝鮮国家保衛省の捜査官パク・ゴンがロシアにやってくる。彼もまた秘密裏にロシアと現地総領事との闇を暴こうとしていた。南北のスパイが双方から一つの事件を追う。そしてそんな2人の男の間には一人の女性が。激しくダークなスパイアクションにしっとりとしたメロドラマが絡む。敵味方入り乱れての心理戦から壮絶なまでの死闘が繰り広げられる。これでもかと詰め込まれたアクションシーンは相変わらずアイデア満載で見応えたっぷり。とくにカーチェイス×銃撃戦の斬新さと迫力が凄い。大画面で観たかった。そして北と南の2人の男が一人の女を救うべく共闘する激しくも切ないメロ×アクションなラストバトル。クールなチョ・インソンも相変わらずかっこいいが、今や韓国映画界の最重要俳優、パク・ジョンミンがいい。陰謀に巻き込まれながら愛に殉教する悲しき北のスパイ。パク・ジョンミンに外れ無し状態。見応えあり。

2026/4/6

朝ドラ「風、薫る」。主人公が結婚するクズ旦那役の三浦貴大。朝ドラの憎まれ役という損しかしない役を真っ当に演じていて逆に好感持てる。三浦友和と山口百恵の息子という超サラブレッドでありながら全くそのオーラを感じさせないむしろ庶民感すらある鼻につかない二世俳優。彼が出演する映画も結構見ているが、毎回しっかりと存在感のある脇役を演じていていいんだよね。

夕方、仕事で彦根まで。7時過ぎ発の電車でのんびり帰宅。車窓眺めつつしばし考え事。いくつになったら悩み事ってなくなるんだろうか。

2026/4/7

妻は上方漫才大賞観覧に行ったので一人夕飯。きつねうどんとかやくごはん。子供の頃、阪急東向日駅の阪急そばで食べたなぁ。

NHK ONEでドラマ「魯山人のかまど」。藤竜也演じる北大路魯山人と柄本明演じる吉田茂。名優二人の演技にうっとりする。物語を越えてその至高の芸にぐっと引き込まれる。

2026/4/8

今日は仕事で大阪まで。スーツだと汗ばむぐらいのいい天気。

radikoポッドキャストで「太田光と15人の喋り手」太田光×ジェーン・スーを聴く。太田さんの奔放なボケをすべて打ち返すジェーン・スーさんの反射神経の良さ。喋り手としての天性の才。2人ともに徹底して対話を大切にしている。愚直なまでに人間を信じている。それでいて自分も含め人間なんて大したもんじゃないとも思っている。勝ち負けや論破なんて無意味だ。違って当たり前、そこから対話が始まる。何度も聴き返したくなるような対談。これは必聴。

NHK ONEでドラマ「お別れホスピタル2」前編観る。ダメだ、泣けちゃう。

なんかNHKのドラマばかり見てる気がするが夜ドラ「ラジオスター」も観ている。舞台は能登のコミュニティラジオ。主演は福地桃子。「魯山人のかまど」の古川琴音、「さよならホスピタル」の岸井ゆきのとNHKドラマのキャスティングは絶妙で良いね。

2026/4/9

夕方から仕事絡みの懇親会。気が付けば自分が一番の年長者になっている。それなりに演じることはできるようになったが相変わらず自分は社交が苦手だ。変わらんもんだな。飲み会の後はいつもぐったりと疲れてしまう。

2026/4/10

午後から通院の為半休。1時間以上待って3分の診察。薬を処方してもらって会計して薬局行ってという作業だけで半日潰れる感じ。病院近くの散髪屋でやっと髪を切る。なかなか時間が取れなくて随分伸びてしまった。ここにきてまた白髪が増えたなぁ。北大路欣也みたいになったもみあげを刈り上げてもらってすっきり。帰宅してスーパーで買ったフジパンの「生ちゅろす」とブラックコーヒーで一服。この「生ちゅろす」前に一度食べた時めちゃ美味かったのだが、やっぱり美味いと確信。もっちり&ザクって感じの独特の食感に優しくも濃厚な甘さ。ブラックコーヒーとの相性抜群。菓子パン大好き叔父さんのおススメです!

TVerでドラマ「時すでにおスシ」観る。関根勤、歳とったなぁと思うがそりゃそうだ。子供の頃、カックラキンのかまきりが大好きだった。それからもう50年近く経ってるわけだからこっちも十分歳とってる。今もなお軽みとくだらなさがあって嬉しくなる。

映画やドラマを観てもう20年以上こうして日記を書いている。いつまで書いていられるだろうか。社会に目を向ければ、もうこんなこと書いていられなくなるんじゃないかと思ってしまう。世界では邪悪なリーダーが理不尽な戦争を起こし、罪のない人たちの命が奪われる。我が国に目を向けてみても無能で邪悪な者たちによってしれっと知らぬ間に様々な社会制度が改悪されていく。自国では教祖が逮捕されているカルト教団が政権に入り込み、<スパイ>を取り締まろうとする。愚かな政治家の暴走を止める為の憲法を愚かな政治家が変えようとする。各地では政権の横暴を糾弾するデモが起きているがニュース番組では政権の支持率の高さが話題になる。悪い冗談としか思えない。きついな。

 

2026年3月28日~4月3日の話。

2026/3/28

8時起床。午前中はNHK ONEでドラマ「片想い」前後編観る。岡田惠和脚本、主演は芦田愛菜。正直、子役時代は達者過ぎてなんだかこまっしゃくれた子供だなぁと思ってたのだが、歳を重ねて聡明さを感じさせる稀有な女優さんになったなぁという印象。「片想い」というタイトルだが恋愛ドラマではなく、片想いされる岡山天音も含め、不器用な人たちの不器用な優しさが沁みる小さな良作であった。芦田愛菜のくるくる変わる表情、全身から発する天真爛漫な生命力、それでいて複雑な内面を時折見せる魅力的な演技。達者だなぁ。でもその達者さに嫌味がなくってずっと観ていたいと思わせる。岡山天音はまさに旬の俳優。出る作品出る作品全部いい。

で京都の桂川イオンシネマまで出る。まずは腹ごしらえ。フードコートでカツ丼を食べてから映画を一本。田口トモロヲ監督「ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。」を観る。1978年、カメラマンのユーイチはラジオから流れてきたセックス・ピストルズに衝撃を受け東京へ。手作りのミニコミ音楽誌「ロッキンドール」に出会い、ライブハウスへと足を運び、パンクに触発された日本のバンドたちと出会う。TOKAGEや軋轢、後に「東京ロッカーズ」というムーブメントを起こしていくバンドたちだ。ユーイチ、TOKAGEを率いるモモ、「ロッキンドール」を手掛け、後に自身もバンドを作るサチを中心に音楽の衝動に突き動かされて走り出す者たちを描く青春群像劇。出会いが出会いを呼び、扉がどんどんと開かれていく感じ。人生の中で一度だけ訪れる季節。映画はそんな季節が始まり、やがて終わっていく様を衝動とユーモアを持って見せていく。青くて、熱くて、切ない。彼らの背中を近い位置で見ていたであろう田口トモロヲ監督、彼らの伝説を遠くから憧れの眼差しで観ていたであろう宮藤官九郎が脚本。彼らもまた東京ロッカーズの面々と同様、自分の音を鳴らし、自分の踊りを踊ることを目指し、もがき、苦しみ、やってきたのだろう。その切実さが映画に息づいている。自分の音を鳴らす、自分の踊りを踊ることの美しさと難しさ。自分も確かにそうありたいと思っていた。そのことを想い出し、切なさに胸がちょっと痛んだ。いいとか悪いとかそんな風には判断できない、いや判断したくない映画だ。過去の物語だが懐古的ではない。誰もが自分自身の青い時代を重ねて感じることができるだろう。

自分は1970年生まれ(クドカンと同じ)で78年はまだ子供だった。音楽に興味を持ちのめり込んでいくのが80年代に入ってからで「東京ロッカーズ」の動きを直接は観ていなかったが、その残り香をぎりぎり感じることができた世代だ。京都の中学生だった僕が毎月楽しみに読んでいた雑誌が「宝島」。まだA5判サイズで最先端のサブカル情報が載った雑誌だった。リザード(映画ではTOKAGE)やフリクション(映画では軋轢)、遠藤ミチロウのスターリンやアケミ率いるじゃがたら、なんなら田口トモロヲ監督が率いたばちかぶりも全部「宝島」で知った名前だ。そこで紹介された記事や写真、伝説を読んでなんだかちょっと怖くて、東京にはスゲーもんがあるんだなぁと袖がテカテカの学生服を着た中学生は胸を高鳴らせたものだ。田口トモロヲが「プロジェクトX」のナレーションで注目を集めた時、「えっ?ステージで脱糞したというあのばちかぶりのトモロヲさん!?」と驚いたぐらいだ。きっとクドカンも同じように思っていたに違いない。映画に出てくるバンドたちの中でリアルタイムで聴いていたのはサチ率いるロボットメイア=ZELDAだ。ボーカルのサヨコは15歳の時に加入と聞いて、さすが東京の中学生は早熟なんだなーと驚いた。1986年6月、初めて行ったライブハウスは大阪のバナナホール。ZELDAのライブだった。当時僕は15歳で2歳上の兄貴とその友達に連れてってもらったのだ。ZELDAは前年にソニーからメジャーデビューしていてムーンライダーズの白井良明プロデュースで音も随分とPOPになっていたが、パンク・ニューウェーブ時代からのファンも多くライブハウスは煙草の煙がもくもくで黒い服を着たお姉さんお兄さんが中心。大阪にすらあまり行ったことがなかった15歳の陰気な少年にはあまりに刺激が強くバナナホールに辿り着くまでですでに相当ドキドキしていた。バナナホールに足を踏み入れた時の風景。ドキドキとワクワクが入り混じった昂揚感をいまもまだ鮮明に想い出せる。ライブが始まる。前方のフロアに出て音に身を任せ、不器用に体をくねらせ、大好きだった曲「Are You Lucky?」では声を張り上げた。あの時、確かに僕も自分の踊りを踊っていたな。おっとまた自分語りをしてしまった。ま、そんな風に映画を観ながら様々な想い出がフラッシュバック。今の自分は随分離れた場所に来てしまったようにも思うし、あの頃みたいに自分の踊りを踊れているかと問われれば、申し訳なく下を向いてしまう。ラスト近く、登場人物たちがじゃがたらの「もうがまんできない」を歌い継いでいくシーンがある。大林版「時をかける少女」のエンディングみたいなそのシーンではサチを演じる吉岡里帆と加代子を演じる中島セナ=ZELDAのさちほとサヨコが二人のユニット「招き猫カゲキ団」の衣装で登場し紙風船をレコードに封入しながら歌う。あぁそのレコード当時買って、今も持ってる。その瞬間、映画と自分が繋がったみたいでなんかちょっと泣けた。

監督の当事者ならではのしっかりした時代考証、ライブシーンのリアルさ。そしてクドカンの脚本がとにかく素晴らしい。東京ロッカーズとは直接関係がない遠藤ミチロウ、アケミ(じゃがたら)という日本のインディーズシーンに爪痕を残す二人をうまく絡ませ、「ちゃんとしてる」という言葉を反転させつつ重要なキーワードにする。モモと母親、ミチヲと学生のやり取りなどしっかり笑わせどころもある。見事な脚本だと唸った。クドカンはオリジナルも良いが原作物の脚色、アダプテーションがめちゃくちゃ巧い人でもある。俳優陣も皆素晴らしい。若葉竜也はかっこいいなー。

実に40年前のライブチケット。¥2,000って安っ!しかしどんだけ「捨てられない男」のか。

テレグラフレコードから発売の招き猫カゲキ団!

土曜は映画と菓子パンの日ということで駅前のスーパーで「大福みたいなホイップあんぱん」買って帰宅。ブラックコーヒーと菓子パンをおやつに日記。

夜は配信にてエムカク×角田龍平「第4回明石家さんまを語る会」を配信にて。まさに自分の踊りを踊り続ける男エムカクさんによる研究発表会。前半は三枝、鶴瓶、紳助そして高校時代からの親友・大西康雄との関係について。杉本高文が明石家さんまになる道程で多大なる影響を与えたであろう人たちとのエピソードを語る。明石家さんま特番のリサーチャーとして再現ドラマのネタ出しをしてきたエムカクさん。テレビ的に零れ落ちてしまったエムカクさん偏愛エピソードの数々。それこそ「ストリートキングダム」的に映画化すべきではないか。後半は「ワイプ」の中のさんまさんについて。ニッチにも程があるテーマながらこれぞエムカクさんの真骨頂。ワイプの中のさんまさんをうっとり眺めるエムカクさんを微笑ましく眺める角田さんの図。そして前回に続いてさんま特番の楽屋裏での振る舞いを悔やむエムカクさんとそれを慰める角田さんのやり取りが面白い。大胆なのか繊細なのか、さんまさんへの熱すぎる想いがもはや自分でもコントロール不能になっているのが面白過ぎる。

2026/3/29

妻と京都まで。母の79歳の誕生日を祝う食事会。兄が贔屓にしているという祇園の路地裏にある料理屋で母、兄とともに。お肉に魚、お寿司にデザートまで。びっくりするほど美味い。さすが京都の某一流企業に勤める兄だけあっていいもん食ってんだなー。なか卯やバーガーキングが行きつけの俺とは大違いだ。ライブハウスに最初に連れてってくれたのも兄だし、結局いまだに兄は兄で、俺は弟なんだな。お世話になっております。で母、兄と別れて妻と二人少し京都を歩く。いい天気で桜も咲いて観光客でいっぱい。三条大橋を渡り、新京極通りから四条通に出て烏丸まで。高校生の頃は新京極通りはカツアゲされそうで怖かったので、なるべく通らないようにしてたな。今では観光客が一杯でその心配はない。昔通った映画館も本屋もレコード屋も今はもう無い。過ぎ去りし日々だ。

2026/3/30

仕事の都合でいつもより1時間前に出社。会議に外回り、年度末は忙しない。昼は外食でまたカツ丼を喰ってしまった。頼んでから土曜食べたばかりだったことに気付く。情けない。

夜は送別会。サラリーマン生活も30年を超えると数限りなく送別会に参加している。送別される側だったこともある。送別会してもらえるうちが花なのかもしれない。ま、いろいろ思うことはある。そんなお年頃だ。

2026/3/31

TVerで「未来のムスコ」(股間に手を当てて)最終回を。いささか強引な展開ながらも無事着地。脱落しそうになりながらも最終回まで観た。結果、面白かった…のか。

2026/4/1

新年度。朝から大忙し。疲れ切って帰宅。

TVerでアメトーーク「ひとり親で育った芸人」観る。笑ったり泣いたりの人間悲喜劇。サッドなエピソードをハッピーな笑いに変えるのはやはり芸人の強み。面白かった。

2026/4/2

朝ドラ「風、薫る」。早々に主人公の父が死んでしまってはてさてどうなっていくのか。W主人公も珍しいし楽しみではある。

2026/4/3

BS朝ドラ「どんど晴れ」。どこをどう見ても胡散臭い石原良純に騙される東幹久。全視聴者が思った通りの展開に。しかし眼鏡に蝶ネクタイでひたすら視聴者に呆れられる損な役を引き受ける東幹久。味方はあき竹城のみ。いつまでたっても棒読みの柾樹さんより俺は応援しているぜ。しかし「どんど晴れ」単純明快なわかりやすさ。「ばけばけ」がいかに進化型の朝ドラだったかがわかるなぁ。

夜はNHK ONEで「ばけばけ」スピンオフをまとめ観。おサワの話とおウメの話。「ばけばけ」の世界観を大切にした小品。円井わん、野内まる、ともにどこか気になる俳優なのでこの二人をフィーチャーするのはよくわかる。