日々の泡。

popholic diary

2024年1月20日~26日の話。

2024/1/20

6時半起床。7時には家を出て雨の中イベント仕事へ。体調不良の同僚に変わり急遽出動。屋内ではあったがドア開けっぱなし状態で寒いのなんの。午後には終了。会社に戻り後片付けして3時前にやっと昼ごはんにありつける。ココイチでカツカレー。美味しい。ネットカフェに寄って食後のコーヒー飲みつつ文春などチェックしてから帰宅。急いで日記を書く。簡単なメモ書き程度書いといて土曜に仕上げるというパターンなのだが、やっぱり毎日ちゃんと書かないと零れ落ちるものがあるな。例えば先週で言えば西川のりお師匠のラジオとか。

2024/1/21

いつもは土曜日は一人で映画館、日曜日は妻と過ごすようにしているのだが昨日急遽仕事になったので、今日は朝から映画観に行く。

MOVIX京都でウディ・アレン監督「サン・セバスチャンへ、ようこそ」を観る。映画広報の仕事をする妻・スーとともにサン・セバスチャン映画祭にやってきたリフキン。かっては大学で映画を教え、今は小説の執筆に取り組んでいる。妻とフランス人映画監督の仲に嫉妬しつつ、出会った女医のジョーに恋をして…ってなウディ・アレン丸出しの映画。90近くになって、まだ色恋沙汰やってんのかという気もするし、そこがいいんじゃないという気もする。傑作小説をものにするぞと言いながら結果何もしてないリフキン。妻への嫉妬も、女医との恋も完全なひとり相撲。時にぼんやりと映画の世界に入り込みそこから出られない。サブカルおやじの末路を観ているようで辛い…。サン・セバスチャンの美しい風景と軽くて俗で枯れているというウディ・アレンのスケッチ映画。ハリウッドを追われ、ヨーロッパに流れ着いても何事もなかったかのように撮り続ける。もはや面白いとかどうとか関係なく日記を書くように映画を撮ってる。

映画館横のラーメン屋で昼食。半券提示でチャーシュー麵にっつーことで。ラーメン食べたいなぁとずっと思ってたんだけどいざ食べたらちょっと胃にもたれる。ですぐにまた映画館に戻ってもう一本。

山下敦弘監督「カラオケ行こ!」を観る。合唱部部長の中学生・聡実はどうしても歌がうまくなりたいヤクザの狂児に半ば強引に歌唱指導を頼まれる。いやいやながらもカラオケBOXでレッスンを繰り返す中で二人には奇妙な友情が芽生える…ってなコミック原作だけにマンガみたいなお話。橋本じゅんチャンス大城が演じるヤクザの面々の歌に聡実がアドバイスしていくシーンなどはベタながらも楽しい。桑名正博の歌を桑名正博そっくりの癖強こぶしで歌いダメ出しされるとこは笑った。あと聡実の合唱部での学園生活を描くパートが良い。特に部長に憧れつつアンビバレンスな感情を爆発させる後輩の和田君と、そんな和田君をお守する副部長の中川さんがいい味出してる。キラキラはしてないけど瑞々しい学園生活の一端。狂児との関係性よりむしろこちらの方に惹かれたな。

夜は妻の実家へ。お肉があるからということで義母、義兄夫婦と夕食。美味しい近江牛を頂く。ただし「焼き肉のたれ」はないから、醤油orソースor塩コショウで!というストロングスタイル。塩コショウだけで十分美味しかったからいいんだけど。

2024/1/22

仕事が立て込みハードな一日。もはや記憶がない。

夜はぼんやりYouTubeでウディアレン×太田光のミニ対談など。

2024/1/23

今日もなかなかに忙しかった。夜は部屋でコーヒーを飲みつつ、カーネーションの40周年記念本「カーネーションの偉大なる40年」と「72年間のTOKYO、鈴木慶一の記憶」をパラパラと。ムーンライダーズカーネーション。10代の頃から聴いている二つのバンド、50代になった今でも最高の新作が聴けてこうして関連本が刊行され読める幸せ。よくぞこの二つのバンドのファンになったもんだ、偉いぞ10代の俺。

2024/1/24

寒い。営業車に雪がちらちらと。しかし長く営業仕事をしていると、まぁ営業トークが滑らかで流暢になってくる。「いやぁ寒くなりましたねぇ、雪がちらついてますよぉ」なんて天気の話から入って、テープレコーダーを押したみたいにすらすらすらっと営業トークに展開。「ぜひご検討をお願いします!」なんてことを言って出されたお茶をすする。にこやかに頭を下げ、営業車に乗り込む。エンジンをかけると真顔になり酷く落ち込む。別に人と喋るのは苦にならないし、売れれば嬉しい。でもなぜかビジネスシューズの靴底みたいに心がすり減る。

おっといかんいかん。こういうことを書くからいつまでも中二病を引きずってると言われる。

2024/1/25

この冬一番の寒さ。雪もうっすら積もっている。北部は50cm以上も積もってるとか。通勤もすべらないように気を付けて歩く。もはやこの年になると転倒は命取りになりかねない。

夜は「博士と町山」YouTube生配信。ゲストは青柳拓監督。まだ30歳の若きドキュメンタリー監督。話を聞くだけで青柳監督の世界を観る眼差しの優しさやまっすぐさがわかる。残念ながら映画未見なので新作はぜひ劇場で観たい。監督の話を聴いていると自分がいかに頭でっかちで冷ややかに捻くれて世界を観てしまっているかがわかる。内的宇宙に囚われ小さな自己完結を繰り返す、ひとり相撲の幕下力士。自分は何も知らない、何もわかっていない、腐れサブカル親父に過ぎないとちょっと落ち込む。

2024/1/26

今週はハードだったので代休消化で午後は休みに。3月末までに取り切らないといけない代休が溜まりまくっている。まぁ毎年消化しきれないでいるけど。吉野家で牛すき鍋膳の昼食。これでもう十分満足できる。美味しい。

でユナイテッドシネマで映画を一本。ヨルゴス・ランティモス監督「哀れなるものたち」を観る。橋から身投げする身重の女性。天才外科医ゴッドウィンは死んだ彼女の体に胎児の脳みそを移植し蘇生させる。身体は大人、頭は赤ちゃん、ベラと名付けられた彼女はゴッドウィンの庇護の下、日に日に成長していく。だが籠の鳥のように邸宅に閉じ込められ外の世界を知らない。ある日やってきた遊び人の弁護士ダンカンに誘惑されベラは彼といっしょに冒険の旅に出る。数々の性と生の冒険を体験し学び成長していくベラの姿をキッチュでストレンジ、そしてダイナミックに描く。最初に言っちゃうと大傑作!素晴らしかった!常識や偏見の外側にいて人間の本質を自らの経験で学び取っていくベラ。身体的な喜びの行為であった性行為が時に経済を生み、愛憎や支配関係を生む。娼館で働きながら哲学を学び社会の構造、その不均衡さに気付く。彼女を取り巻く男たちは彼女を独占しその身体を支配しようとする。だが、彼女は自らの知見と力によって奔放に軽々と男たちを飛び越えていく。男たちに踏みにじられ身を投げた一人の女性は、生まれ変わり、冒険を通じて学び、成長し「自分の体は、自分のものだ!」と高らかに宣言する。

彼女を取り巻く男たちがどうなっていくかも見ものだ。ベラを生み出したゴッドウィンは最初は彼女を自分の所有物として支配しようとしたが、彼女に愛情を注ぎ成長する過程を観る中で自身もまた学び成長し彼女を解き放つ。ゴッドウィンの助手マックスはベラの成長を記録していくうちに彼女に恋してしまう。だが彼女を想い、彼女の自由を見守ることにする。遊び人のダンカンは優位者としてベラに接し弄び支配するも、学び成長した彼女にあっさり捨てられ泣いて叫んですがりつく。ベラが生まれ変わる前を知るサディスティックな男・アルフィーは暴力で彼女を支配しようとする。ラストそれぞれの男たちが迎える結末。男たちは刮目せよ!

で撮影はもちろん美術も衣装も音楽がまたもう最高!どこか不気味で歪、だけど同時にとびきり美しい。そして本作のプロデューサーでもある主演のエマ・ストーンが凄すぎた。ここまでやってのけるのかと驚いた。身体性を伴った超絶的な演技。まさに演じる技の凄味を見せつけられた。マーゴット・ロビーは「バービー」を作り、エマ・ストーンは今作を作った。どちらも素晴らしい。マッチョな男性性を振りかざすダンカンを演じるマーク・ラファロも絶品。落ちぶれ具合がとにかく最高。

こういう映画を観ると、本当に映画って面白いなーと思う。これぞ総合芸術。アート映画でありながら難しくなくて学びがある。何度も言うけど素晴らしかった!

そうそう、もしこれを日本でリメイクするなら、ダンカン役を松本人志に、ドSのクソ野郎アルフィー役を長渕剛に演じさせたい。自分たちに何が足りないかを学ぶべき。

夜は宮藤官九郎の新作ドラマ「不適切にもほどがある!」を観る。1986年から2024年へ。クドカン、主演の阿部サダヲと同じ1970年生まれなので、阿部サダヲ高田文夫先生張りに速射砲のように繰り出す言葉の意味がくっきりはっきり分かる。大注目の河合優実に信頼と実績の磯村勇斗なのでそこも今後楽しみ。アップデートを繰り返しているクドカンなので単なる「昭和は良かった、コンプラくそくらえ」で終わるはずないのでこの先どうなるかに期待。