日々の泡。

popholic diary

2024年1月13日~19日の話。

2024/1/13

朝から日記を少し書いて、ユナイテッドシネマでヴィム・ヴェンダース監督「PERFECT DAYS」を観る。主人公はトイレ清掃員の平山。毎朝決まった時間に目覚め、植物に水をやり、身支度をして家を出る。缶コーヒー(BOSS)を一本買って車に乗り込む、お気に入りのカセットテープをカーステレオにセットし音楽を聴く。熱心に丁寧に仕事に打ち込む、昼はコンビニで買ったサンドイッチと牛乳。ポケットに忍ばせたフィルムカメラで木漏れ日を撮る。仕事が終わると銭湯で汗を流し、行きつけの居酒屋で晩酌。そして夜は文庫本を読んでから眠る。そんな彼の暮らしぶり、そこに起こるちょっとした出来事をカメラは静かに捉える。清貧とでも言うような彼の慎ましやかな生活。孤独なように見えて、行きつけの古本屋や居酒屋の店員たちは言葉をかけてくれる。彼は決して仕方なく今の生活に甘んじてるわけではない。それは彼の選択である。自由で気高い生き方を彼は選択しそこにいるのだ。

彼が掃除するトイレは東京渋谷のオシャレトイレ。決してち〇この落書きだらけでウ〇コがはみ出したトイレではない。彼が暮らすのはボロアパートではあるが、一人暮らすには十分な広さがあり仕事にも使う車を所有している。昼はコンビニ、夜は居酒屋、毎日銭湯通い。うざい後輩はいるものの何となく憎めない奴で振舞わされつつも適度な距離感。後輩の彼女は平山のかける70年代の音楽に惹かれ、借りたカセットテープのお礼に頬にキスをしてくれる。家出してきた姪っ子は無条件に慕ってくれている。…あれ、なんか皮肉めいた文章になっちゃった。実は彼の暮らしは、日々を情報や経済に追われ、煩悩に惑わされて暮らす我々の理想である。夢のような暮らし。ファンタジーなのだ。正直、観ている間うらやましいなぁと思っちゃったよ。寡黙で誠実な役所広司演じる平山。こんな風に生きられたらいいんだけどねぇ…。

映画が終わりエンドクレジット。企画・プロデュースは柳井康治氏。世界有数の大富豪、ユニクロ柳井正氏の息子で同社の取締役。大富豪が描く清貧…嫌味かっ!

役所広司の演技はそりゃもう絶品。清い心で観れば本当に日々が愛おしくなるすばらしい映画である。だが俺の中のひねくれ者が、映画の裏に見え隠れする傲慢さにモヤモヤとしてしまう。どうもすいません。

一旦家に帰って、インスタントラーメンの昼食。コンビニのサンドイッチは高いので買わない。でまた少し日記を書く。

で再びユナイテッドシネマへ。ジェームズ・ワン監督「アクアマン 失われた王国」を観る。ジェイソン・モモア演じるワイルドで陽気なアトランティスの王・アクアマン。前作では敵役だった異父兄弟の弟・オームとバディを組んで大暴れ。マリオブラザーズみたいなアクション活劇。兄弟喧嘩しながら様々な困難を乗り越え、絆を深めていく二人。ド派手で豪快なアクションにギャグを盛り込みお祭り騒ぎな大エンタメ。あー楽しかった!だけが残る陽気なDC映画の集大成。

夜、YouTube「博士と町山」生配信。今回は早坂伸さん、睡蓮みどりさん、加賀賢三さんを迎えて「性被害」をテーマに。そして過去博士さんや町山さんが行った松江哲明監督擁護や園子温監督へのエールがなぜ問題だったのかを掘り下げ、公開での謝罪が行われた。背筋の伸びるシビアな内容。ただ自分自身も無自覚であり無知であったことがよく分かった。「被害者に寄り添う」と言葉ではわかっていても、そのために何をすべきか、何をしてはいけないか。そう考えると、「松本人志問題」で語られている言葉たちになんと暴力的な二次加害が多いかを痛感する。それにしても自らのYouTubeでここまで自分自身にとって居心地の悪い場を作って向き合って見せた二人の覚悟。そしてそれ以上にゲストのお三方が今までどれだけ晒され、傷つき、心を踏みにじられてきたかを想う。

2024/1/14

サンジャポ」と「ワイドナショー」をザッピング。語ってるようで何も語らずそろりそろりと地雷を避けるワイドナ。週刊誌に乗っかって聴取率稼ぎしてるのに的外れな週刊誌批判。なんだかなー。「サンジャポ」はこの前の「爆笑問題カーボーイ」で語っていた内容をより丁寧に語った感じ。全方位に気を配る太田さん。いつも考えすぎて言葉足らずになっちゃうのだが、太田さんは根底に人間愛があるから好きなんだよね。

妻と買い物行って、昼は焼きそば。麺は具と別に、最初にしっかり焼くスタイル。最後に具とソースと和える。もはやこの作り方でしか食べない。

アマプラで映画を一本。ヨンス監督「パーフェクト・バディ 最後の約束」観る。暴行事件で逮捕されたチンピラのヨンギ。、裁判で社会奉仕活動を命じられ、事故により右手以外の四肢が麻痺し、余命わずかの法律事務所の代表・ジャンスの介助をすることに。真反対の二人だがやがて絆を深めていく…元ネタはフランス、アメリカで映画化された「最強の二人」。さらに韓国ノワール的な要素やそれぞれのバックボーンをがっつり盛り込み中身がぎゅうぎゅうに詰まった作品に。チョ・ジヌンとソル・ギョングという名優二人の共演なんでそこはもう安定に次ぐ安定。ただいかんせん詰め込み過ぎでシナリオに追われてる感があったかな。

夜は先日の博士さんアル北郷さんらの北野映画イベント観て、辛抱たまらずTSUTAYAで借りてきた北野武監督「その男、凶暴につき」を観る。30数年ぶり3回目の鑑賞。もうずっとかっこいい!横の移動、前後の移動、ただ歩くビートたけしの痺れるようなかっこよさと色気。突発的で痛さが伝わる暴力描写、死と隣り合わせのユーモア、漂う無常。韓国ノワールの源流ではないのか。一作目にして映画の神様に愛されてるということがわかるなー。

2024/1/15

寒い。大島育宙松本人志関連動画などを観る。ここまで冷静に言語化できてしまう若い世代が出てきたんだなぁと思う。自分なんぞはもう感性も何もかもが古びてしまってると痛感する。しかしまぁ月曜はいつも疲れ切ってしまい10時過ぎには寝る。

2024/1/16

本日は北野武監督「3-4X10月」を観る。こちらも30数年ぶりの鑑賞。何となく難解な映画だったなーと言う印象が残っているのだが、いやいやめちゃくちゃ面白いし、むしろわかりやすい。大胆なジャンプカットと、普通なら切ってしまうとこを延々映し続ける長回しが独特のリズムと笑いを生み出す。柳ユーレイの「透明感」、ガダルカダル・タカの「本物感」そしてダンカン。裏主役と言わざるを得ないダンカンの活躍ぶり。表情、動き、歌!どこをとっても面白い。また巻き込まれつつもとぼけて愛情深いなんともいい役なんだ。こんなに面白かったの!?とすっかり昔観た時の印象が覆ったなぁ。ま、確かに女性の扱いの酷さは今見るとちょっと引くものがあるが、若き石田ゆり子さんの溌溂さが救い。ぜひ改めてご覧いただきたい傑作ですな。

2024/1/17

マキタスポーツさんの配信マンスリーマキタ。松本人志焼肉屋論。肉の切り分け方を変え細分化することで価値を高めていった焼肉屋=笑いを「大喜利」や「すべらない話」というように細分化することで価値を高めていった松本人志という話、面白い。

水曜日のダウンタウン」。テレビの松本人志もそろそろ見納めか。

2024/1/18

最近はTVよりTVerを観ることの方が多いな。「M-1アナザーストーリー」令和ロマンとヤーレンズ、時々トムブラウン。「霜降り80's」はゲストに早見優松本伊代。82年組話は大好物。しっかりものの早見優、すっとぼけた松本伊代のコンビがまた楽し。デビュー当時の二人は顔がよく似てたんだよね。久々に聴いた早見優のデビュー曲「急いで初恋」最高だなー。

Voicyで「アル北郷の朝礼ラジオ」を聴くのが完全に日課になった。北野映画と私シリーズが本当に面白くて、北野映画全部見返したくなる。手塚治虫のドキュメンタリーで「アイデアは売るほどある。アイデアだけは全く尽きない」という旨の話をしていたのがとても印象的だったんだが、北野監督もまさにそうなんだな。そしてそのアイデアの源泉は絶え間ないインプットと学びにある。

そして今日は天才、たけしの誕生日。77歳。母親と同学年。いやはやかっこ良すぎるよ。人生何度目かのビートたけし北野武ブームが到来中。ということでメモ帳にスケッチした下手なファンアートを。

2024/1/19

会議で久しぶりに神戸まで。凡そ2時間の長旅だが、たまには。本当は会議の後は直帰にしてゆっくりと思ってたのだが、会社に戻らなければならなくなり1時間ばかりの会議の後、ルミナリエを横目にまた2時間かけてとんぼ返り。ま、おかげで「蛤御門のヘン」(プロレス浪漫回相変わらず濃いなー)、水道橋博士ゲスト回のNHK高橋源一郎飛ぶ教室」(時間短すぎる!もっと二人の会話聴きたい!)などゆっくり聴けたけど。