日々の泡。

popholic diary

2019年2月のTweet

2019/2/2

イ・チャンドン監督「バーニング」を観た。二人の男と一人の女。不穏な空気がひたすら充満。まはや回収する気も無いし必要もない伏線。不可解さが不可解なまま転がっている。生きていると自分の中にも理解しがたく腑に落ちないままの感情や感覚が多くあって、その言葉にできない何かと共鳴するのだ。

今更だけど年末からAmazonで観ていたドラマ「トッケビ」やっと観終わった。キム・ゴウン、何時間でも観てられるなー。

最近はすっかりライブご無沙汰状態。平日(精神的に)ズタボロに疲れているせいか、休日の夜は家で過ごしたいから。午前中からでもさっと観に行ける映画に偏りがち。相変わらず韓国音楽は追いかけ続けているけど、呟きも少なくしばし隠遁生活。ま、ちょっとしばらくそんな時期なのかも。

2019/2/8

ジェームズ・ワン監督「アクアマン」観てきた。なにこれ、めちゃくちゃ面白いやつやん!ワイルドに過ぎるさかな君がギョギョギョッ!な大活躍!愉快痛快な海洋エンタメ。泳げる奴とは大体友達、アクアマンの海底大戦争海獣海人大百科な快作。ド派手なアクションの中にも小ギャグを忘れない姿勢。最高。金曜夜の仕事後に、大スクリーンで観るには最適な映画。1週間の嫌なことをすべて海水に流してくれる。週末は海鮮鍋にしよう。

2019/2/9

塚本晋也監督「斬、」やっと観ることができた。舞台は江戸時代末期。斬れない浪人・杢之進と剣の達人・澤村が織りなす時代劇でありながら現代を浮き彫りにするような物語。恐れが反転し、やがて勇ましい言葉で鼓舞されていく憎悪と強硬な姿勢。憎しみの連鎖が生む悲劇。共存か分断かが揺れ続ける。むせかえるような血と汗、体液の匂い。人を斬る道具としての刀。死に直結する痛みが生々しくそこにある。憎悪による分断が醸成されていく様、そしてその不毛さ。しかし袋小路に入っていくリベラルの弱さもまた露呈していく。どの道を行くのかを深く考えさせられる。

ノ・ドンソク監督「ゴールデンスランバー」を観た。伊坂幸太郎原作で日本でも数年前に堺雅人主演で映画化されたものの韓国版。最初から最後まで見せ場たっぷりのノンストップエンタメ作。国家権力VS小市民の無謀な戦いを淀みなく魅せ、胸のすくラストに。青春映画の清々しさが余韻として残る。巧いなぁ

「どっきりナイトナイトナイト」。エンディング曲が番組終了前に終わってしまって、もう一回掛け直すハプニング。ディレクターさんの心境お察しします。生放送で時間読み間違いした時、めちゃめちゃ焦るんだよね。

今日は京阪電車に揺られ、出町座へ。出町の商店街では大根炊き。映画の前に温かい大根炊きを食べて、映画を二本。近くの安くて美味しいパン屋でパンを買い帰宅。久々にのんびりとしたいい休日だった。

2019/2/11

デイミアン・チャゼル監督「ファースト・マン」を観た。月面着陸というとてつもないミッションの記録。人類初の偉業でありながらアームストロング船長はひたすら冷静沈着で、物語は静かに進んで行く。しかしその反面、死の恐怖を体感させるほどの映像が映画としての興奮を生む。広大な宇宙で、その偉大な一歩を踏む瞬間の静寂。極限にまで張り詰めた緊張感の延長線上に総ての時間や空間から解き放たれたような開放感が世界を包む。実際の宇宙が心の中の宇宙と繋がるかのような神々しい時間を追体験する。

2019/2/16

イ・ジュンイク監督「金子文子と朴烈」を観た。1923年、東京で出会った朝鮮人アナキスト・朴烈と金子文子。同志であり恋人となった二人は関東大震災後の混乱の中囚われ、歴史的な裁判に挑んで行く。暴走する権力に対峙し人としての尊厳を守るべく激しく生きた二人。国や民族を越えて心に刺さった。時に激しく時に静かに二人の愛と誇りをかけた戦い。登場人物たちも日本人、朝鮮人ではなく一人一人の人間としてしっかりと描いていく。当然、反日なんてことはなく日本人は全員悪なんて描き方は一切していない。しっかりと歴史を見つめた、今に必要な映画だと思う。権力を維持する為、事実を捻じ曲げ意図的に社会を動かそうとする政権。お墨付きをもらったレイシストの暴走。権力に踏みにじられる持たざる者たち。これは国と国の物語ではない。人としてどう生きるかの話なのだ。金子文子を演じるチェ・ヒソがとにかく素晴らしい。過酷な過去を生き抜いてきたであろう強さを感じさせながら、茶目っ気のあるチャーミングさがある。彼女の力のある笑顔が、物語の光となる。

ケヴィン・マクドナルド監督「ホイットニー~オールウェイズ・ラヴ・ユー~」を観た。ポップミュージックシーン最高の歌姫の一人、ホイットニー・ヒューストンのドキュメンタリー。スターの光と影。その光が強ければ強い程、その影もまた黒くなる。幼少期からデビュー、そしてスターに昇りつめていく彼女はこれ以上ない程に輝いている。明るくチャーミングで誰をも魅了する笑顔。ゆえにクスリに溺れ、ボロボロになっていく晩年の姿は観ていてとても辛い。映画は丁寧に証言を集めながら堕ちていかざるをえなかった彼女を映す。

2019/2/18

ビョルン・ルンゲ監督「天才作家の妻」を観た。現代文学の巨匠であるジェゼフのもとにノーベル文学賞受賞の知らせが届く。妻、ジョーンとともに喜ぶジョゼフ。しかしこの夫婦には“秘密”があった-。夫を文字通り“影”となり支えてきた妻。才能のある女性と搾取する男。見応えあり。妻・ジョーンを演じるグレン・クローズが素晴らしい。夫の“ありふれた”受賞スピーチを聞く、そのうんざりしたような表情。忘れ難い表情だった。

2019/2/25

ヨルゴス・ランティモス監督「女王陛下のお気に入り」を観た。時は18世紀初頭。アン女王と彼女を陰で操る女官サラ。そこに侍女としてやってきたサラの従妹・アビゲイル。女王の寵愛を奪い合う女の戦い!笑っていいもんかどうかという状況が続く、実に意地悪な悲喜劇。3女優の強烈な演技合戦が凄い!愛と権力闘争の末、誰ひとり幸せにならないという…ラストのそれぞれの表情がもう…。悲しみの果てに辿りついた先で生きざるを得ない実に複雑なアン女王を演じたオリヴィア・コールマン。アカデミー女優賞も大納得。

これ、素晴らしいな。なんていいメロディなんだ。超がつく名曲! 


www.youtube.com