日々の泡。

popholic diary

2019年10月のTweet

2019/10/4

トッド・フィリップス監督「ジョーカー」観てきた!出ました、ド級の傑作!もはや笑うしかない悲しみのどん底で悲劇と喜劇が何重にも絡まっていく。ドーランの下に涙の喜劇人(by ポール牧)、持たざる者・アーサーが地獄の底で見つけた笑いに震えた。格差が広がり、持つ者と持たざる者がはっきりと分かれ、もはや覆すこともできない。今、世界中で起こっていることが映画の中にある。ジョーカー=アーサーの悲しみは、現在進行形で世界を覆っている。もはや笑うしかない地獄が足元にあるのだ。

賃金は上がらず、税金は上がり、弱者はどんどん切り捨てられる一方、億の金が行きかってもクソみたいな言い訳でごまかし、政治家は汚い金をやすやすと手にし分断を煽るばかり、政権のケツ舐め野郎どもはレイプ犯でも捕まらずって地獄だろ。もはや笑うしかないとこまで落ちてるよ、この国も。

ということで映画「ジョーカー」。稀代のヴィラン・ジョーカーに思いっきり感情移入してしまう危険な映画。「泣きながら笑う」ホアキン・フェニックスに心揺さぶられる。荒唐無稽なアメコミ映画と思うなかれ、そこにいるのは明日の自分かもしれない。

2019/10/5

ナディーン・ラバキー監督「存在のない子供たち」を観た。出生届が出されていない為、自分の誕生日も知らなければ戸籍も無い少年ゼイン。そんな彼が裁判を起こす。「僕を生んだ罪」で両親を訴えたのだ。貧困の連鎖、行き場を失う移民たち、過酷過ぎる現実。果てしない絶望に言葉を失う。子供であることを許されない、その「存在」すら与えられない子供たち。手を差し伸べるべき大人たちが子供たちをさらに追い詰めていく。罪深い世界が容赦なく映される。怒りや悲しみの感情すら生ぬるい。凄まじい作品。

石川慶監督「蜜蜂と遠雷」を観た。ピアノコンクールに挑む天才たちの物語。4者4様の理由を抱え、それぞれが戦う相手は自分自身。石川監督独特のクールで硬質な画とべたつかない演出と編集が天才たちの崇高な物語にぴったりとはまっていた。天才・松岡茉優(最強のショートボブ)を筆頭に信頼と実績の松坂桃李、神童感が半端ない鈴鹿央士、品の良さが滲み出る森崎ウィンと4人の俳優が見事にそれぞれのキャラクターを体現。クラシックは門外漢だけど、なんともいいものを観たなぁという気持ちになった。

イ・ヘヨン監督「毒戦 BELIEVER」を観た。ジョニー・トー監督の傑作香港ノワール「ドラッグウォー 毒戦」を見事なまでにリメイク。クセ者たちの激しい頭脳戦、肉弾戦、銃撃戦。ツイストしながらずっと続いていくクライマックス。そしてあのラスト!これぞ韓国ノワールって感じで大興奮。ハードボイルドからコメディまでカメレオン俳優チョ・ジヌンに今最も勢いのある若手リュ・ジュンヨル。そして今作が遺作となってしまったキム・ジュヒョクの強烈な怪演と役者陣の身体を張った演技がどれも凄まじい。最高ですよ。タイトルに付けられた「BELIEVER」の意味がくっきりと浮かび上がる鮮烈なラストがお見事。いやーやっぱり韓国映画好きだわ。

2019/10/13

「いだてん」中村七之助圓生もいいね。

2019/10/14

f(x) 出身ソルリ、14日午後、死亡状態で発見。。 ●午後3時21分ごろ、ソウル近郊の京畿道(キョンギド)城南市(ソンナムシ)の自宅。同僚が死亡状態を発見、警 | wowKorea韓流速報 | wowKorea(ワウコリア)

…信じたくない……

2019/10/18

ソルリの死がかなり堪えている。f(x)時代からソルリはずっと心のベストテン上位にランクインしている存在だった。ドラマや映画、インスタまでもチェックしていたし、なによりついこの前出たソロ作が素晴らしく、なんというかソルリはやっと自分の表現を見つけたんだなぁと思っていたから。悲しい。

2019/10/19

キム・ソンホ監督「お料理帖~息子に遺す記憶のレシピ~」を観た。小さな惣菜店を営み女手一つで二人の子供を育てたエラン。そんなエランに認知症の症状が現れはじめ…という物語。彼女が遺す様々な料理のレシピを通じて息子は母の人生に触れる。映画に登場する料理と同じく派手さはないが丁寧な作品。まだらに記憶が失われていくエランを演じるのはベテラン女優、イ・ジュシルさん。質素で丁寧な暮らしぶり、それが少しずつ壊れていく様。しっかりしていると思ったらふと子供のようになってしまう認知症のリアル。記憶が失われていく自分と向き合う芯の強さを見事に演じられている。で映画上映後に、そんなイ・ジュシルさんの舞台挨拶。大ベテランながらとても気さくでチャーミングな方だった。国が違っても映画を通じて共感し心を通わせる事ができる。

2019/10/20

是枝裕和監督「真実」を観た。世界的な大女優ファビエンヌが自伝本「真実」を出版。出版パーティーの為にアメリカで暮らす脚本家の娘リュミエールが家族とともに帰ってきて…ってなお話。「歩いても歩いても」「海よりもまだ深く」に連なるような「実家」もの。軽味とユーモアがあって楽しめた。意地悪だけどなんとも憎めない、真実と嘘の間を軽く行きかいながら、ぐっと深みを見せつける大女優、カトリーヌ・ドヌーヴが最高。生真面目な娘、ジュリエット・ビノシュ、翻弄されるボンクラな娘婿イーサン・ホークも素晴らしかった。笑えて泣けてでも笑えるいいドラマだった。実家という不思議な空間。家族と一緒に実家に帰ると子供でもあり、親でもありというなんとも言えない立場になる。それぞれの顔に真実があり嘘がある。「家」を描き続ける是枝監督の傑作にして最もチャーミングな一本。好きだなぁ。

2019/10/26

久々にライブへ。ジャック達@ムジカジャポニカ。ストレートに捻くれた、ど真ん中のポップロック。熟成された熱さと青さ。とにかく凄く楽しめた!いや、やっぱロックって最高っすね。最近は夜に出歩くのがしんどくてライブにほとんど行ってなかったんだけど、鈴木さえ子さん加入後のジャック達となればさすがに重い腰を上げた。14歳の時にはじめてさえ子さんの音楽に触れてから実に34年。ついにさえ子さんの歌声を、ピアノを生で聴くことができた。サインも貰って感無量であります。

瀬々敬久監督「楽園」を観た。地方都市で起こった少女失踪事件を核に排他的で閉鎖的、まさに日本的な闇を濃厚に描く。人々が持つ悪意や偏見が優しい人を追い詰めていく。被害者と加害者が逆転し捻じれていく様は目を背けたくなるほどに重く悲しい。重厚な映画だった。プロの映画人たちによる素晴らしい仕事。見たくない人間の本質がこれでもかと炙り出されている。綾野剛柄本明佐藤浩市の鬼気迫る演技、そして次代を担う演技派、杉咲花がやはり良い。あと片岡礼子さんが素晴らしかった。

上田慎一郎監督「スペシャルアクターズ」を観た。無名の俳優たちを使ったどんでん返し物。となればどうしても前作「カメ止め」と比べてしまうのだが…。熱量と疾走感はどうしても劣るがその分物語がある。監督の持ち味であるカラっと明るく仕上がった気持ちのいい娯楽作。無名の俳優達を使うっていのうは意味があるんだろうけど、次は熟練した俳優さん達の出演で監督作を観たい。どんな化学反応が起きるか観てみたい。

2019/10/27

いや、ホント「いだてん」ずーーっと素晴らしいよ。同い年のクドカン。たけしや高田先生、清志郎松尾スズキなど笑いやロック、サブカルの先人達に学んできたことを大河というど真ん中でオリンピックを題材に高らかに叫んでる。視聴率?くだらねー。オリンピック2020?やめちまえそんなもん。歴史を直視できない奴らがオリンピック?平和や自由の意味も意義も理解できない奴らがオリンピック?うさんくさいにもほどがあるよ。いいかげんにしろよ!