日々の泡。

popholic diary

2004年1月下旬の話。

2004/1/16
会社の新年会。司会役に大抜擢される。喋り上手のディレクターさんといっしょにということではあるがプロの喋り手さんが集まる中での司会は厳しいなぁ。学生時代を思い出して、がんばるが基本的に「引き芸」なので持ち味活かせず。しかしそうそうたるメンバーを使っての「被害者は誰だ」ゲームを仕切れたのはいい思い出になりました。営業部バンドでギターを爆音でかき鳴らせたのもちょっとうれしい。

2004/1/17
雪の中、家族で甲賀まで。イベントでジャグリングみたりしつつ、休日をすごす。寒いので通り道にあった「十二坊温泉」によって一っ風呂浴びる。貸しタオルはバスタオルだけで洗い用のタオルがなかった。しかしタオル無しで温泉に入るのはなんか心細いな。手で前を隠すのもなんか変だし、堂々と、というほど堂々としたモノでもないし。特にサウナは厳しい。タオルを腰に巻かずに入るサウナはかなり恥ずかしくすぐに退散。

2004/1/18
朝からタワーレコード行って、高野寛「確かな光」と590円だったTHE RAY ELLINGTON QUARTET「THAT'S NICE」購入。それから家族で学習机フェアをやってる壊滅状態のオーパまで。娘の「これがいい」の一言でついに学習机購入。それから図書館行って、木村政雄「やすし・きよしと過ごした日々」、和田誠「仕事場対談」借りる。夜はテレビで映画「シュリ」観る。今更ながら、おもろいな。直球勝負のエンターティメントでグイグイひっぱていく力強さがある。荒唐無稽なようでいて「北」の存在の妙なリアリティが怖い。

2004/1/19
高野寛「確かな光」が素晴らしい。ここ数年の高野寛氏の仕事、ナタリーワイズでの活動や小泉今日子をはじめとした数々のプロデュースワークの充実ぶりは目を見張るものがあった。細野さんや高橋幸広やムーンライダーズといったジャパニーズポップの創始者達とポラリスクラムボンといった若きポップミュージシャン達を繋ぐキーマンとして高野氏はもっともっと評価されるべきだし、現時点でポップミュージックシーンの最重要人物の一人だと言ってもいいだろう。でこの数年のいい仕事ぶりの集大成というかひとつの到達点といえるこのアルバム。まず「確かな光」というタイトルにすごく力を感じる。そしてそのタイトル曲の美しさよ。穏やかな光に包まれたスリーブの写真、朝の光が持つ静かな力強さ、このアルバムが持つ感触はまさにそれだ。寒い朝の道を歩きながら聴く。一歩、一歩踏み出していく、何気ない「歩く」という行為に、かけがえのない美しい「生」を感じた。

2004/1/20
なんだかんだでドラマ「僕と彼女と彼女の生きる道」見る。タイトル長すぎやしないか?で「はねるのトビラ」は年末のスペシャルとかもチェックはしてたのだが、正直ドランクドラゴン塚地、インパルス板倉は認めるものの全体としては30点というとこだな。塚地氏は98点いってるが。

2004/1/21
会社帰り、滋賀会館シネマホールへ。「インファナル・アフェア」観る。トニーレオン、アンディラウという2大スターが魅せに魅せる男の物語。痺れた。かっこいい!香港フィルムノワールの大傑作ですな。後半の手に汗握る感、思わぬ展開にのけぞったね。脚本の良さはそれはもう凄いものだが、役者がいい。7~8年前、よく香港映画を見てた時期があってその時にも思ってたのだが香港映画は役者さんがみんな魅力的だ。特に今作はトニー・レオンが素晴らしい!はっきりいって惚れたね。トニー・レオンになら抱かれてもいいぐらい。

2004/1/22
とにかく寒い。最高気温が0度だって。一日営業回りで昼はファミレスのジョイフルで399円のランチ。そういえば前の会社で九州の営業回りしてたとき、よくジョイフルにいったな。確か福岡が本拠だったはず。どーでもいいことだが。

2004/1/23
今日も寒い。今日も昼、ジョイフルで499円の昼膳。週末なのでちょっと高いのにした。会社帰りパルコ寄り道。タワーレコードハナレグミ「日々のあわ」、松尾清憲「SPIN」、空気公団「ねむり」購入。紀伊国屋ぶらぶらして楽しみに待っていた「大長編ドラえもん大全集」の2巻が出てたので即購入。レジに出すのちょっと恥ずかしいのだけど。夜、松尾清憲「SPIN」聴く。これがまた、ドリーミーでロマンティックな傑作。松尾節全快の美メロが炸裂しております。そして松尾本人、サエキけんぞう鈴木慶一が手がけた詞が全部いい。「君への想い」を歌ったラブソング、それは全てのポップソングの始まりであり基本中の基本である。「君がいなけりゃ/僕は/軌道をはずれ/宇宙をさまよってる/ただの隕石」「愛しても/もてあます/輝きのカケラ/魅せられていた/花模様/宇宙へと溶ける」「君と一緒に/気球になろう/命綱を/早々と離して」「ぼくら/逃げる/うさぎだった/生きるだけで/精一杯の/だけど君は/見つけた/あのシュプール/追いかけ/消えていくよ」などなどのフレーズがメロディーとあいまって僕を現実とは違う場所に連れ去っていく。「恋するの気持ち」なんてのはもうすっかり忘れてしまったけど、それは確かにドリーミーでロマンティックな場所や時には真っ暗な不安の森に僕を連れ去っていくものだった。松尾清憲のポップソングがそんなことを思い出させてくれたのだ。そして何が嬉しいって「火星のように 月のように」(このタイトル最高)と「亜熱帯の記憶」の2曲であの「鈴木さえ子」のコーラスが聴けるという事。特に「亜熱帯の記憶」でのあの懐かしい柔らかな歌声にはちょっと涙出そうになった。僕はずっとあなたの音楽を待ってるんだよ。

2004/1/24
休日。娘連れて市民会館へ。新一年生対象の小学館主催のイベント見に行く。交通安全の寸劇とジャグリングショーとドラえもんの上映。ついつい、いくらぐらいお金かかってて、どこがどれだけもってて、どこがどう儲けてるのなどと見てしまう。「ミュージックフェア」で堀込泰行畠山美由紀ハナレグミの「真冬物語」聴く。ふと80年代後半だったっけ、ユーミン小田和正財津和夫の「今だから」を思い出す。そーいえば「ひょうきんベストテン」でユーミン役が山田邦子で、小田和正役は松尾判内(だったかなぁ?)で鶴太郎が財津は財津でも財津一郎っていうネタがあったような、なかったような・・。

2004/1/25
休日。家族で滋賀近代美術館へ。「お話の絵コンクール」ってのに娘の絵が入選。展示されてるってんで見に行く。子供の頃、何度か絵で賞を貰ったことがある。勉強もスポーツも目立って出来たわけじゃないから、絵で賞をもらうということはとても嬉しことだった。今では思いもよらないが「絵を描く人」になりたかった。展示されている子供達の絵を見ながら、久しぶりに絵でも描きたいななんて思う。で近くに先日営業に行ったレストランがあったので家族で。価格手頃でパン・サラダ・スープ・ドリンクは食べ放題というのも気に入った。それからジャスコで買い物。おもちゃ売り場で「松本人志・世界の珍獣」フィギュアが100円で安売りされていたので3体購入。そんなこんなで帰ったらもう5時過ぎ。鍋の夕食を終えたら一日も終わり。

2004/1/26
会社帰りにハナレグミ「日々のあわ」聴く。とてもいい声、いい歌。こういう音楽を素直にやられてしまうと、もう何も言えなくなる。批評するのがばかばかしくなる。歌が生まれ、音を奏で、それが全てでそれ以上も以下もない。何気なく口ずさむ歌が一番美しい。でテレビでは子供虐待の醜いニュース。美しい歌を作り出すのも人間なら、こんなにも醜い事件を起こすのもまた人間。何なんだろう、この胸に沸き起こる感情は。

2004/1/27
ラジオ聞いてたらゲストがトライセラトップス和田唱で、その落ち着きのないしゃべりっぷりが母親である「平野レミ」そっくりで笑う。それでも生ギター一本でビートルズを歌ったのがとても素晴らしくちょっと感心。和田誠平野レミ和田唱ともはや「和田家」のファンとなってしまった。ドランクドラゴンの塚地氏はおもろいなぁ。めちゃめちゃおもろいなぁ・・と思いながら「はねるのトビラ」見る。

2004/1/28
今日は長浜まで営業。商店街を半日かけて地道に営業活動。寒いや。で会社帰りにパルコへ。タワーで小西康陽プロデュースの水森亜土「Suki Suki Songs」、菊池成孔featuring池澤瞳のシングル「普通の恋」購入。本屋で爆笑問題「こんな世界に誰がした」、そして江口寿史「ストップ!!ひばりくん!」の文庫版2冊。もちろん22年前にジャンプ連載は読んでたし、オリジナル単行本は全て発売日には買っているが、今回初の全編完全収録とあって買うしかないわけで。で中古盤市をやってたので覗く。「EPO」再評価の気運が盛り上がっており、長らくカセットで聴いていた87年作「Go Go EPO」350円で購入。

2004/1/29
水森亜土「Suki Suki Songs」が予想を遥かに上回る出来でのけぞる。小西康陽の大物プロデュースシリーズ、02年のムッシュ、03年の和田アキコときて04年は水森亜土ひみつのアッコちゃんの終わりの曲だった「すきすきソング」の“readymade sooky sooky mix”以外は、ジャズ、ジャズ、ジャズで最高にかっこいい。ピチカートのトリビュート盤で既に、名曲「皆、笑った」の秀逸なジャズアレンジのカバーを聴いていたので予想はしていたが、いやいやここまでとは。とにかくおしゃれでかわいくて楽しいのだ。「クラリネットをこわしちゃった」「南の島のハメハメハ大王」「おべんとうばこのうた」などなど誰もが知ってる歌がジャズで蘇る。マイク真木のとぼけた味わいが効いてる「僕は特急の機関士で」の楽しさったら!!もうサルのように何回もリピート。娘に聞かせたい。

2004/1/30
友人を頼って某ホテルに営業。仕事はそこそこに久々の友人と怒涛のトーク。「人脈」という言葉は好きじゃなかった。特に働き出してから言われる「人脈」とは営利関係に結び付けられた感じがあって嫌だった。子供の頃から、人に合わせるなら一人のほうがマシと思ってたし、今でも基本はそう思ってる。でもHPなんかをやりだしてから「個」と「個」が損得勘定を抜きにして出会い、繋がっていくネットワークにおもしろさと魅力を感じるようになった。人に合わせる必要なんてない、愛想笑いなんてクソくらえだ。本当に笑い合える人たちと出会い繋がっていきたい。もしそれがいい形で仕事に結びつけば。今年はその可能性を探ってみたい。

2004/1/31
昼、ちょっと仕事して後はのんびり。江口寿史「ストップ!!ひばりくん!」を読み直す。これは傑作だなぁ。なんだかんだ言って天才・江口寿史の代表作。ラブコメとしてのおもしろさ、その設定からキャラの立ち具合、細部のギャグ、そして「絵」完璧です。その完璧さゆえ、未完に終わってしまったのが残念。今でもまったく古くなくてポップでキュートで魅力のつまった作品。もっとずっと読んでたいと思った。江口寿史本人が「『ひばりくん』が終わってからの20年というものは全て、それを越えるための『あがき』」だったようにも思います。断言するが、僕の絵とギャグはあれからもずっと変化と進化を続けている。その点では20年前の自分より、今の自分の方がずっと上だ。それは自信を持って言えます。だけど、口惜しいことに、『ひばりくん』を越えるキャラクターはまだ生み出せていない」とあとがきに書いていて、結局江口寿史の連載が続かないという今の状況は、この「ひばりくん」が未完であるが故なんだろうな。「ひばりくん」を完結させない限り、この状況は続くような気がする。だから無理を承知でぜひ江口寿史先生にお願いしたい。今の絵、ギャグでもう一度「ひばりくん」を動かしてほしい。リメイクではなく、今、現在の作品として。それと前にも書いたが後藤真希主演で映画化して欲しいな。脚本は宮藤官九郎で。それと「梶先輩」役にはドランクドラゴンの塚地氏をぜひ。