日々の泡。

popholic diary

2002年6月の話。

2002/6/1~30

朝から一働きして、午後から後輩の結婚式のため大阪へ。前は結婚式なんてって感じだったが、幸せそうな二人を見てると心洗われるようだ。料理もおいしくいい時間を過ごす。そういえば俺が結婚式をあげたのはもう7年も前か。レストランで身内だけ集めての披露宴、まさに地味婚だった。こういう華やかな、いかにも結婚披露宴ってのを見てると、こういうのも悪くないな、などと思う。次、するときはこうしよう・・なんてね。続いて2次会に参加。で幸せな二人には関係なく個人的な問題なのだが、いつもパーティーからは抜け出したくなる。いつも、なんとなくね。パーティーが終わると同時に誰にも何もいわずにそそくさと会場を後に。梅田を一人とぼとぼ歩きながら、もしこの世界から僕が消えてなくなっても誰も何も思わないんだろうなと思う。喧騒の中にいると世界中から一人取り残されたような気になる。

休日。久々に娘とデート。公園行って、湖岸を散歩して、パルコのスターバックスでお茶して、島村楽器でピアノ弾いたりして遊んで穏やかな休日の午前中を満喫。パルコ行ったついでにちょっとタワーレコードまで付き合ってもらって、佐野元春「SOMEDAY collector's Edition」、はっぴいえんどのトリビュート盤「HAPPY END PARADE」、Reggae Disco Rockersoasis」購入。毎日こんなふうに過ごせたらいいのに。

やっと眼鏡買う。もう6年も同じ眼鏡してたのでさすがにそろそろ新しい眼鏡を、と思い始めて早一年。長年着用してきた眼鏡、愛着もあっただけになかなかそれに替わる眼鏡が決められなかったのだが、やっとのこさ購入。ま、なんてことのない眼鏡なんだけど気分一新ってとこですな。

で新しい眼鏡かけて会社へ。誰も気付かないでやんの。自分が思ってるほど人は自分のことなんか見てないってことだ。いっしょに働くI君なんて1週間もたって「眼鏡替えはりましたぁ」だって。

ビデオで「ナンバ壱番館バッファロー吾郎編」見る。ゲストのリットン調査団・水野氏が「芸人には文化系と体育会系がいる。体育会系の人らは弱肉強食的部分があるが、僕らは文化系芸人。自分らの好きなことでわいわい笑ってたいだけなんすよ・・」という発言にぐっとくる。そう芸人だけじゃなく、人間っつーか「男」には2種類のタイプがいる。「体育会系」か「文化系」かだ。そして現在の社会は基本的に「体育会系」の論理でできている。「勝ち」か「負け」かの二分立の世界。でもなぁ、悪いが俺は紛れも無い「文化系」男だからなぁ。「何もしないで暮らす日々を夢見てる」んだよ。「勝ち」っていったい何なの?金が欲しくないわけじゃないし、人から認められたくないわけでもないけど、そんなことより、大好きな音楽や本やその他、自分にとっての「美しいもの」を大切にしたいんだなぁ。ただ、それだけでいい。「勝ち」も「負け」もそこにはない。そんな男が会社勤めなんて土台、無理があるとは思うよ、実際。資本主義ってのはそーいうもんだって言ってしまえばそうなんだけど会社なんかにいると常に向上心を煽られ上へ上へ(売上でも何でも)というのが正しい姿ってことになってる。でもビジネスマンとしてとかいいつつ日経新聞とか読んで楽しいかぁ?俺には3分間のポップミュージックよりそっちのほうが価値があるなんて到底思えないけどな。質の悪いことに30歳越えてその思いはより強固なものになってる。

途中まで読んでそのままにしていた横尾忠則「コブナ少年」読了。これまたおもろ。自分のことしか書いてないのにどうしてこんなにも嫌味がないのか。自分を見つめてもう自分すら通り過ぎてその先に行ってるからだろうな、この透明感は。ノスタルジックでエロティックなんだけど通り一遍のノスタルジックやエロティックの感覚とはまるで違う感触。一読あれ。

カーネーションから棚谷祐一氏と鳥羽修氏脱退というニュースはちょっとショックだった。数回のメンバーチェンジがあったカーネーションだけど現メンバーはまさに最強で永遠に続くように思っていたからだ。現メンバー揃っての最初のアルバム「天国と地獄」はカーネーション最初の名盤で、就職が決まってまるで夏休みの終わりのような気分だった僕は、そんな気分を抱えてもう何回も何回も聴いた。なんだか聴かずにはおれないって感じになったのだ。カーネーションの歌を聴いていると俺のことを歌ってるんじゃないかってぐらいリアルに感じられる。30代になってその歌の数々はさらにリアルに俺の耳に、心に響いている。3人になったカーネーション、ちょっと寂しいけど俺はついていくよ。

世間はワールドカップで大騒ぎだが、まーったく興味なし。ワールドカップより、むしろDカップやEカップの方に興奮するね、俺は。フーリガンならぬフーリチンになったりしてね。でもテレビつけてもラジオつけてもワールドカップ一色でなんとも嫌な気分。それでなくてもこっちはひねくれてんだから、もう絶対見ないって気になる。まぁ、そんな気にならなくても見ないんだけど。実際、サッカー中継、2秒も見てないしね。そーいう奴が一人ぐらいいないとね。

世間がW杯を見てる時、俺はというとビデオで「ナンバ一番館~Wヤング編」見る。中田は中田でも初代Wヤング、借金苦で自殺した中田軍司の物語に感動。しかし現Wヤングの丸兄こと佐藤氏の腹黒ぶり、ひねくれぶりには今後さらに注目だなぁ。

毎日、毎日テレビつけてもラジオつけてもサッカー、サッカーでほんとたまらんなぁ。サッカーの何が嫌かっていうとあのサポーターとかいう奴。そもそも俺のスポーツ嫌いはある種スポーツファン嫌いってとこある。がんばれ、がんばれって「お前ががんばれよ」といいたくなる。「やったー!」ってお前は何もしてねーじゃねぇかって突っ込みたくなる。道頓堀から飛び込んでる大バカ野郎の映像を見るにつけ、頭打って死ねばいいのにとまじで思う。しかしあらゆるメディアがこれだけ傾いてサッカー、サッカーってほんと不自由な国だな。メディアの中でサッカーなんか興味ないと表明した人は私の知る限り爆笑問題太田光氏ぐらい。彼がテレビブロス誌に書いたW杯狂騒への皮肉を読んで実にすっとした。

ナンシー関、死去の報に驚く。例えば僕みたいにサブカルチャーについてこんなふうに文章書いてる人で彼女の影響を受けていない人はいないでしょう。彼女の「眼」はある種「物差し」だった。合掌。

ジャスコの駄菓子コーナーで「ふ菓子」を買う。黒砂糖をまぶした「ふ菓子」は子供の頃大好きだった。祖母の家の近くにあった駄菓子屋で10円で売られていたあの懐かしい味。10円もらっては買いに行った。30円もらったときは「たこせん」にしようか悩んだ上でやっぱり「ふ菓子」を3本買った。それほど好きだった。30本入りまとめ買いできるそんな大人になったわけだ、俺も。

はっぴいえんどのトリビュート盤「HAPPY END PARADE」について。いきなり小西節全開の「はいからはくち」がいい。「風街ろまん」収録のオリジナルも今聞いてもなおそのドライブ感に感動する傑作。はっぴいえんどか革新的だったのはそのリズムにあったんだなと再認識。小西康陽とともに17年前、細野晴臣のノンスタンダードからデビューしたワールドスタンダードこと鈴木惣一郎の「さよならアメリカ、さよならニッポン」もいい。細野チルドレンだったこの二人のそれぞれの成熟した音楽を聴いて感動した。あと、ひねろうと思えばいくらでもひねれたであろうにエバーグリーンなポップソングとしてカヴァーしたMY LITTLE LOVERの「風をあつめて」や実にのんきなつじあやの暗闇坂むささび変化」がお気に入りだな。

土曜日。今週もよく働いたので自分にご褒美というわけで会社帰りにタワーによって鈴木祥子が数曲プロデュースしてる櫛引彩香「essential」、ムーンライダーズ高野寛参加のジョージハリスンのトリビュート盤「Gentle Guitar Dreams」、クレイジーケンバンドのシングル「まっぴらロック」購入。紀伊国屋では高田文夫「毎日が大衆芸能」、大槻ケンヂリンダリンダラバーソウル」購入。

父の日前の土曜日。今日は娘の通う幼稚園で父親参観日&親子レクリエーション。まさか自分が参観する立場になるとは!友達達と遊ぶ娘を見て、こうして彼女も自分の世界を築いていくのだなぁと感慨もひとしお。彼女も彼女自身の「美しいもの」を見つけてそれを大切にしていってくれればそれでいい。と文化系親父は思うのだ。その「美しいもの」を共有できたり共感できたら最高なんだけどね。ま、それは贅沢ってものか。

活字にまみれたくなってBOOKOFFに立ち寄る。読みたいなと思ってて読みそびれてたニック・ホーンビィ「ハイ・フィデリティ」、みうらじゅん「やりにげ」、周防正行「『Shall we ダンス?』アメリカを行く」、吉川潮「突飛な芸人伝」購入。

今月も働き詰でお酒も飲んでないしってんで会社帰りにタワーに寄って原田知世のシングル「空と糸」、小西康陽モノでYOU THE ROCK「モンスターロック」、F.C.READYMADE「THE OFFICIAL READYMADE FOOTBALL MARCH 2002」、空気公団のミニアルバム「約束しよう」、矢野顕子「reverb」購入。

家族で「餃子の王将」に行く。久々だなぁ、「王将」。子供の頃、「王将」に連れてってもらうのがやたら嬉しかったもんだが、実にリーズナブルでその下世話な味は今も変わらずで最高。昔から俺は「焼きそば」&「鳥の唐揚げ」。初めて憶えた中国語は「イエンザーキー(鳥の唐揚げ)」さ。

休日。先々月、先月とほんと仕事ばっかで家族とともに過ごす時間がなかったから、家族の絆を取り戻すべく朝から自らお弁当作って琵琶湖バレーまで遊びに行く。がケーブルカーにのって辿り着いた山頂は完全に曇り空。小雨までぱらついて最悪のコンディション。寒さに震えつつ遊ぶ。似合わないことをするとこうだ。

浅草キッド「発掘」、爆笑問題「日本原論世界激動編」ほぼ同時に読了。たけしチルドレンのこの二組。漫才形式で事件、時事問題をネタに徹底的に笑いのめすという構造を同じくした2冊。浅草キッドは下世話な芸能ネタと社会的な事件を緻密に計算された徹底した言葉遊びで笑いへと導く。これは相当なスキルがないとできない芸。大傑作「お笑い男の星座」とともに必読の笑いのバイブル。で爆笑問題、日本原論シリーズ3作目。笑えない事件、ニュースをその批評眼と発想をもって実にナンセンスに笑い飛ばす。戦争を笑うことは不謹慎なことなんかじゃない。人が笑ってる時に戦争なんかしてる奴の方がよっぽど不謹慎だ。戦争を笑い飛ばすことが戦争に反対する僕たちの意思表示なのだ。

今月も働いた。というわけでまたもタワーに寄り道し青山陽一のシングル「come and go」、レディメイド一押しのアイドル野本かりあ「the girl from R.E.A.D.Y.M.A.D.E」、クラムボン「Re-clammbon」、川勝正幸氏が激賞していたヒゲの未亡人(岸野雄一ゲイリー芦屋)「ヒゲの未亡人の休日」購入。もはやCD購入がストレス発散という感じだな。