日々の泡。

popholic diary

2024年5月3日~10日の話。

2024/5/3

祝日。7時起床。毎朝の習慣、NHKBSで朝ドラ「オードリー」。若き大竹しのぶ賀来千香子がバリバリと演技するも、藤山直美横綱相撲。で「虎に翼」へ。司法に介入しようとする権力への痛烈な批判を憲法記念日に見事にぶつけてきた。素晴らしい。今、言わなければならないこと、伝えなければならないことをしっかりと、それでいて大層面白くドラマの中で語っている。制作陣の気概を感じるが果たしてNHKの上層部はどう感じるのだろう。ドラマやドキュメンタリーと自分たちの報道との差を。報道部門はますます権力に迎合し政権の広報活動に余念がない。ドラマの作り手たちの気概を踏みにじるような自分たちの報道姿勢をどう思ってるのか。

で今日は一日映画の日だ。いつものごとく角田龍平の「蛤御門のヘン」を聴きながら京都へ向かう。昭和からタイムリープしてきたかのようなプロレス浪漫回。ストロング小林とタイガージェットシンの話が嬉々として語られる。最高!

とりあえず「なか卯」の親子丼で腹ごしらえ。クーポンで50円引きが嬉しい。値打ちあり過ぎの美味しさ。しかし親子丼以外のメニューもたまにはと思いつつ、やっぱり親子丼の誘惑に勝てない。

京都シネマにて濱口竜介監督「悪は存在しない」を観る。参った。何なのこの映画。自然に囲まれた長野県の小さな村。そこにグランピング施設を造る計画が持ち上がる。コロナ禍のあおりを受けた芸能事務所が国からの補助金事業として計画したもので、住民たちへの説明会が行われる。あまりに杜撰で一方的な計画に対して住民たちは反発する。だが、ただ反対しているわけではない。もともと移住者も多く比較的新しい土地であり、話し合いの上、ゆっくりと計画を進めて欲しいという真っ当な意見が。担当者は東京に持ち帰るも補助金事業ゆえ早急に進めたい社長とコンサル会社は聞く耳を持たない。住民側のキーマンと思われる、村の便利屋・巧とコンタクトをとり再び村にやってくる担当者。そして事件が起こる…。石橋英子による音楽とともにカメラは自然の中にある村に入り込んでいく。音楽が止み、物語が自然の中に割り込んでくる。なんとも不思議でどこか不気味。自然との調和、そのバランスの脆さ。唐突にそして衝撃的に展開されるラスト。えっ?と驚き考える隙すら与えずエンドクレジット。そしてエンドクレジットすら余韻を与えず一瞬にして消え去る。寓話にしては生々しく、現実にしては意味深すぎる。危ういバランスが一瞬にして崩れ去る。とにかく凄い映画を観た。

続いて2本目はアンドリュー・ヘイ監督「異人たち」。山田太一の名著「異人たちとの夏」をロンドンを舞台に映画化。大林宣彦の映画版も大名作。鶴ちゃんに泣かされたなー。でこちらの方は、ロンドンで暮らすアダムは40代の脚本家。12歳の時に両親を亡くし、一人孤独に生きてきた。ある日、自分がかって暮らした郊外の家を訪ねてみると、そこには父と母が亡くなった当時の若い姿で暮らしていた…物語の骨格は原作通りだが、そこにゲイである監督自身の物語が重ねられとても個人的な映画になっている。そしてそれ故に、そこにある切実さが胸を打つ。本当の自分のことを伝えられないままに両親は突然いなくなってしまった。深い悲しみを抱え、孤独の中に自分を押し込んできたアダム。両親、そして“恋人”との対話、触れ合いの中で冷たくなった魂は少しづつ温められてゆく。彼は自分を取り戻してゆくのだ。ふと墓参りに行きたくなることがある。今はもういない父に話を聞いてもらいたいと思う。多くの大人は大人のふりをしてるけど本当は子供だ。時々誰かに「大丈夫だよ」と言ってもらいたい。その一言を求めておっさんは墓参りするのだ。そんなわけで涙腺崩壊の見事な「墓参り」映画だった。

3本目までは2時間ほど時間が空くのでゼンデイヤじゃなくてサイゼリヤで一休み。ピザとティラミスとドリンクバー。しめて900円!コーラとピザを腕白に、ティラミスとエスプレッソでアダルトに。父さん、こんな大人になってしまいました。

サイゼリヤで一休みしつつradikoで「爆笑問題カーボーイ」。ウエストランド河本の謝罪。そういえば「いぐチンランド」事件の時も「爆笑問題カーボーイ」で報告だったな。あれは笑った。でこういう時の太田さんは最高。理想の上司だな。笑いにしつつ、叱るところは叱って、「むしろ俺らなんか、お前らにいい思いしかさしてもらってないからね。」の一言。優しいなぁ。

で本日の3本目は小路紘史監督「辰巳」を観る。組織の末端、裏稼業に生きる男、辰巳。元恋人・京子の殺害現場に居合わし、同じく現場にいた京子の妹・葵とともに逃げることに。生意気な葵と反目し合いながらも、姉の復讐を誓い犯人を追う葵に協力することになっていく。とにかく面構えがいい映画。役者陣はもちろん映画そのものの面構えが良い。ざらついた画、ハードな描写、容赦ない暴力と痛みがスクリーンから噴き出してくる、ひと時も目が離せない凶暴で切ない復讐劇。孤独な二人が死への道行きの中で疑似家族となっていく。例え辿り着いた先が地獄であったとしても、変化していく二人の関係がそれぞれに光をもたらす。血が滾り、胸焦がす、文句なしの傑作アクションノワールであった。主演の遠藤雄弥、森田想(主演女優賞物の熱き名演!)をはじめ、佐藤五郎、後藤剛範、やばすぎる悪役を演じる倉本朋幸と「いい顔」が詰まっている。傑作「ケンとカズ」から8年。待った甲斐がある大傑作!ガツンと強烈な映画だった。嬉しくなるな。

2024/5/4

土曜。今日も休みだ。妻が買ってきたちょっといい食パンを軽く焼いて朝食。美味しい。妻とリビングの掃除。マットを夏用のものに変えてヒーターとコタツを片付け扇風機を出す。で今日もまた映画。京阪電車に揺られ三条まで出る。映画まで少し時間があったので丸善で本を眺める。近所唯一の本屋は本棚スペースが縮小され、ほぼ雑貨屋になってしまった。子供の頃からきれいに本が並んだ本棚を観て歩くのが好きだった。中学生の頃なんかは休みの日は本屋でずらり並んだ文庫本やコミックの背表紙を端から端まで眺めたもんだ。本棚からはみ出して床に積み上げられた本を見て、いつかこれをずらっと本棚に並べたいという願望がいまだにある。残念ながらかないそうにないけれど。

でMOVIX京都にてイ・ハン監督「マイ・スイート・ハニー」観る。天才的な味覚を持つお菓子会社の研究員チホ。家と会社の往復、決まりきったルーチンで過ごす生真面目すぎる45歳。そんな彼が明るく前向きなシングルマザーとイルヨンと出会う。少々変わり者だが、心優しいチホに惹かれるイルヨン、そして恋を知らないチホもまたイルヨンに惹かれていく。そんな二人のロマンティックラブコメディ。チホを演じるのは我らがユ・ヘジン。今やその個性派フェイスで人情味あふれる庶民派親父から冷徹で重厚な悪役までをこなす国民的俳優ユ・ヘジンが生真面目純情男を演じる。「犯罪都市」での強烈な悪役で注目を集め「エクストリームジョブ」でお茶目な一面を披露した強面のチン・ソンギュが自信過剰でちょっとズレたお菓子会社の御曹司を、そんな彼と恋に落ちの元Secretのソナ。イ・ジュニョクやキム・ギチョンといった韓国映画お馴染みの脇役俳優たちが大いに笑わせてくれる。そんな中、カメオ出演するとある超大物イケメン俳優が一番の爆笑をかっさらっていく!白目剥いての熱演、さすがに笑ったなー。楽しく笑えて心温まる映画。ベタではあるんだが、名優たちが技術を駆使して演じるラブコメ、ちょっと深みを感じる軽演劇で満足度高し。

radikoで「ホンモノラジオ」「東京ポッド許可局」などを。そして江口寿史ゲストの「TOKYO M.A.A.D SPIN」を聴く。Dr.マシリトこと鳥嶋和彦氏との対談で、江口先生が最も影響を受けた漫画家「ちばてつや」論に。キャラクターを役者のように使い神の視点で物語を構築していく手塚作品、物語の登場人物たちに密着し、彼らの生活をドキュメンタリーのように描いていくちば作品。そんな手塚治虫ちばてつやの違いへの言及など興味深い。

ですぐに大津に戻り、商店街の床屋で散髪。髪を切ると心まですっきりするな。のんびり歩いて帰宅。昼ご飯食べてなかったので結局またトーストを。つくづく安上がりな男だぜ。天気も良いので少し散歩。100均とか覗く。

玉袋筋太郎著「美しく枯れる」を読み進める。言葉の一つ一つ、行間から滲み出る想いをじっくり嚙みしめるように読む。感想はまたちゃんと書きたい。

2024/5/5

8時起床。昼前に妻と娘夫妻といっしょに義母宅へ。スーパーでお寿司などを買って皆で食事。お祭りがあるGWに妻の実家で食事するのは結婚以来毎年の恒例。娘も小さいときは法被着て子供神輿といっしょに歩いたもんだ。そんな娘も結婚して夫婦で顔出してくれている。ありがたいことだ。のんびり楽しく過ごす。

NHKサカナクション山口一郎のドキュメンタリー。うつ病を発症してからの壮絶な日々。簡単なことは言えない。ただ息をのんで観た。誰にでも可能性がある病気だ。

2024/5/6

7時には起きられず、8時起床で「虎に翼」。SNSで「ドラマに政治を持ち込むな」と「虎に翼」を批判する記事が話題になっている。ここまでトンチンカンな奴がいるのだなぁと思うが、書いたのは現Abemaのプロデューサーだとか。さもありなん。「××に政治を持ち込むな」ほど政治的な発言はない。その矛盾にすら気づかない。ま、それぐらいにアレだからこそのトンチキ記事なんだろうけど。しかし「虎に翼」。家父長制万歳なクソ親父たちが一斉に攻撃ということは素晴らしい最高のドラマだってこと。

朝から妻といっしょに近所のお寺でやってるヨガ体験に参加。目指せ!鶴ちゃん。という訳ではないが。駅前を中心に出店が出たり、高校生がライブやってたりと地域のイベントの一環らしい。1時間ばかりヨガ体験。自分でも笑っちゃうぐらいに身体ガチガチ。前屈などはもはや90度が限界点。50肩で手は上がらんわで情けないったらない。でもたまにはこうして体を動かさないとな。

昼からちょいと仕事で会社へ。1時間ばかしで終了。GW中だしなんか食べたいものを食べようと、バーガーキングへ。先にアプリでモバイル注文してたんだけど、混みあっていて結局1時間近く待たされ持ち帰り。3時になっての昼食になってしまった。しかしチーズワッパー大満足のボリュームと味。美味しかった。

NETFLIXで「寄生獣」残り3話を。寄生獣大阪万博のミャクミャクに見えてきた。国民に寄生し血税を吸い上げる寄生獣。維新ともども駆除しないと大変なことになるぜ。でドラマはホン・サンス監督作でお馴染みのクォン・ヘヒョが渋い演技で物語をグッと締める。続編作る気満々のラストも気になる。

夜は久々にスパイスカレー作り。相変わらず味が決まらない。料理は気晴らしになるし、楽しいから好き。最近は帰宅も早いから週の半分以上は作ってるけど、イマイチ才能は無い。

2024/5/7

休み明け。ゆっくり仕事。

2024/5/8

営業で湖西方面に行ったのでついでに小野神社へ。先祖が祭られているというわけでもないけど、近くに行ったら寄るようにしている。境内の「パワーの木」でプラシーボ効果を得よう。…仕事の成果は上がらず。

TVerでドラマ「アンメット」観る。面白い。最初はやな奴かと思っていた岡山天音が回ごとに良くなっていくなー。もちろん杉咲花若葉竜也も素晴らしい。脚本が良く、俳優陣の演技が巧いと安心して観られるな。観応えあり。

2024/5/9

NHK+でドラマ「燕は戻ってこない」。ますます地獄味が出てきた。石橋静河内田有紀双方に襲い掛かる地獄。ますます娘を持つ身としては胸がつぶれる思い。こっちが泣きそう。「アンメット」でも嫌な親父を演じている酒向芳の絶妙すぎる嫌な親父っぷりが最低で最高。殴りつけてやりたい。

2024/5/10

「虎に翼」今日の回も素晴らしかった。弁護士試験に受かった寅子。周りから祝福されるも素直に喜べない。そのモヤモヤを言葉にする。それは現在にもつながる世界中の女性たちや虐げられている人たちの怒りだ。「まずは私を踏みつけているその足をどけろ。話はそれからだ」そんな強い想いが伝わってくる。意志を持っては論外だが、無自覚に誰かを踏みつけていやしないか。自分も含めて中高年男性はそこを常に考えておかなければいけない。自分も過去には男らしさの呪縛に囚われていたり、誤った不公平感からミソジニー的な行動や態度をとってしまっていたこともある。今もなお途上だろうけれど、しっかり意識していたいとは思っている。

昼はいっしょに外出していた上司とラーメン。義姉宅の近所に住んでいて義姉一家のことも知っているということが判明。世間は狭い。

夜は早めに風呂に入って、部屋で美酢のソーダ割を飲みながらゆっくり。金曜夜のこの時間が一番リラックスできるな。TVerでドラマ「滅相も無い」。タイムリーなことに「辰巳」で葵を演じた森田想さん主役回。言われなきゃ同じ俳優とは思えない真逆の演技で脱帽。素晴らしい。