日々の泡。

popholic diary

2023年11月4日~10日の話。

2023/11/4

朝から妻と買い物。改装の為一時閉店のショッピングセンター売り尽くしセールで3割引きのパンツなど。庶民が過ぎる買い物。そのまま妻の実家に寄って裏庭の柿の収穫。特に何の手入れもしてないけど毎年結構な実がなる。高枝切りばさみで大量収穫。1本の木で100個ほど。近所にお裾分けしたりしても相当量ある。山ほど貰って帰る。

夜は日本シリーズを横目にNETFLIXでドキュメンタリー「セイント・オブ・セカンドチャンス ベック家の流儀」を観る。球団オーナーである父、ビル・ベックとともに球場で働くマイク・ベック。楽しい演出でファンを喜ばせ人気を得るも、ある企画で大暴動を起こしてしまい試合放棄、スタジアムの崩壊を招いてしまう。酒に溺れ、薬に溺れどん底にあったマイクだが一念発起し野球界に復帰、ベック家の汚名返上に心血を注ぐのだが…というインタビューと再現ドラマで構成されたドキュメンタリー。主人公であるマイクはガハハと笑う気のいい親父。ドラマでは実の父ベックを演じる。女性選手や障碍者選手、盲目の解説者と様々な人にチャンスを与え自身もまたセカンドチャンスで立ち直る。もう終わっちゃったのかな、?いや、まだ始まってもいねぇよ!とガハハと豪快に笑うマイク。父と息子の物語はやがて父になった息子と娘の話に。後半では豪快にマイクが笑う度に、その裏にある深い悲しみを感じ逆に泣かされる羽目に。俺も精いっぱい生きようと思った次第。いいドキュメンタリーでした。

2023/11/5

今日は朝から妻と実家へ。いつものごとく東野幸治の「ホンモノラジオ」聴きながら。で母と叔父を連れて施設にいる祖母を訪ねる。103歳になる祖母。さすがにもう僕のことはわかってるのかどうかという感じながら、顔色も良く元気そう。叔父は83歳、僕がもうすぐ53歳。祖母は大柄でふくよかな人だった。人柄もおおらかで子供の頃は夏休み、冬休み、春休みと休みのたびに1週間ばかり泊まりに行った。いまはもう潰されてアパートになっている京都の百万遍にあった長屋の一角。今でも懐かしく思い出す。祖母が作る炒り卵や紫蘇のおにぎりの美味しかったこと。特にちらし寿司は絶品で僕があまりに大絶賛するので祖母はしょっちゅう作って持ってきてくれた。車いすに乗った祖母はもうすっかり小さくなってしまった。でも103歳立派なもんである。すでに施設では最高齢、このままいくと市の最高齢者となる勢いだ。そんな祖母の息子で僕の母親の兄である叔父。僕が子供の頃は東京で水商売をやっていて盆暮れ正月だけ京都に帰ってくる「東京のおっちゃん」だった。陽気で明るく小遣いをはずんでくれるおっちゃんは僕や兄、いとこたちから絶大な人気だった。おっちゃんが帰ってくると皆で会いに行ったもんだ。生涯独身を貫いた叔父は60を越えて京都に帰ってきて祖母といっしょに僕の実家近くに越してきて暮らした。自転車に乗ってあっちこっち飛び回る元気で若々しかった叔父も祖母が施設に入ってからは一人暮らし。数年前に風呂場で倒れて骨を折り入院。諸々検査の結果透析を受けることに。相変わらず陽気で明るいが80も越えて身体はやはりつらいようだ。母は毎日のように顔を出し、おかずを届け掃除をし世話をしてる。人は誰でも老いる。叔父や祖母は未来の自分だ。ま、そこまで生きられるかわからないが。

帰りに親父の墓参り。父が死んだのが70歳。新作が公開される「あぶない刑事」のタカこと舘ひろしが73歳でユージこと柴田恭平が72歳だとか。そういえば父は「あぶない刑事」好きで毎週見てたな。しかし70歳とは父は随分早く亡くなったもんだ。なんとなく自分も70まで生きられたらOKとどこかで思っている。

僕が子供の頃からある地元のスーパーに母が松茸弁当を予約してくれてたので帰りに引き取って実家で昼飯。上品な味で美味しかったなー。ありがたいことだ。

で帰宅してNETFLIXで映画を一本。、阪元裕吾監督「ベイビーわるきゅーれ」を観る。公開時、どうしても時間が合わず見そびれていた作品。ちひろとまひろの女子高生殺し屋コンビのゆるーい日常とヤクザ一家との激しいバトルが描かれる。キレがあって容赦ないアクションはお見事。ただゆるーい日常の部分の不自然な自然な演技が僕にはちょっとトゥーマッチだったかな。これはまぁ好みの問題です。

阪神日本一に伴ってのお仕事発生で会社に出て諸々作業。38年ぶりの日本一。38年前の85年は中学3年。その頃から今も変わらず野球には全く興味がないが85年は忘れがたい一年。PSY・S、Shi-Shonen、Pizzicato V、ムーンライダーズ鈴木さえ子、PINK、ストリートスライダーズ…etc。1985年に出会った音楽の数々が今の自分を形成している。

2023/11/6

後輩と外回り。昼はたまたま見つけた蕎麦屋。田舎町のロードサイド、古民家を改装した洒落た蕎麦屋でまだオープンして間なしだそうだ。蕎麦もさることながら天ぷらがサックサクで美味かったなー。

夜、NHK+で見損ねていたNHKスペシャル シリーズ“宗教2世”「神の子はつぶやく」観る。主演は注目の河合優実。宗教にはまる母親役は田中麗奈で迫真の演技だった。宗教二世である自分自身に疑問を持ち家を飛び出す遥。ある時出会った縄師(渋川清彦、素晴らしかった)に縛られることで解放されていく。静かに縛られながら涙を流し解放されてゆくシーンは息をのむような緊迫感と高揚感があり釘付けになった。河合優実恐るべし。

2023/11/7

先週分の「時をかけるな、恋人たち」をTVerで。漫才コンビ役の田村健太郎巧い!現役漫才師である相方役の3時のヒロイン・福田麻紀相手に本業さながらのツッコミ。大体役者さんが漫才師役とかやるとどうも見てられない部分があるのだが、間といい、トーンといい完璧だった。本物の眼鏡細センス芸人に見えたよ。この前観た映画「ほつれる」でも絶妙な嫌味具合で巧いなぁと思ったが、いやはや感心した。

2023/11/8

radikoプチ鹿島さんゲストの「ラジオビバリー昼ズ」を聴く。高田先生×鹿島さん、面白いに決まってる。高田先生のラジオを聴くために上京したという鹿島さんのエピソードは昔から聴いていたのでファンとしてもこの邂逅はとても嬉しい。で二人のトークだが、長年の高田チルドレンである鹿島さんだけにどんな話題でも素早く細かく応じるので、高田先生もどんどん乗ってきて会話がみるみるスウィングしていく。まさにピタッと手が合うトークで多幸感が溢れ聴いていて幸せな気分になった。鹿島さんは同い年。僕が最初に働いた会社は大阪の四天王寺にあって、鹿島さんがバイトしていた上本町の近鉄百貨店とはほど近い。東京では高田先生が「ビバリー昼ズ」という昼帯の番組をやっていてめっぽう面白いといううわさは聞いていたが90年代初頭、関西で聴くことは難しかった。95年頃関東地区の担当になって月の半分ぐらいは関東に出張してレンタカーで得意先を回ることになった。ビバリー聴ける!と喜んだもんだ。11:30~13:00は必ず移動時間にして昼はもっぱら車中でビバリー聴きながら食べていたな。ビバリー聴くために上京までした鹿島さんの気持ちを思えばこっちまで嬉しくなるってもんだ。

2023/11/9

昼は外回りで外食。悩みに悩んだあげくジョイフルで唐揚げ定食。美味しいは美味しいのだけど、この選択で良かったのかと自問自答。ジョイフルと言えばハンバーグだったんじゃないか。いや、確かに日替わりはチキンソテーでちょっと違うかなと思ったが、だからといって唐揚げなのか。もう少し行けば「和食のさと」もあったし、とんかつの「松のや」という手もあったのではないか。っつーかチェーン店で良かったのか。いや、営業車だしロードサイドで駐車場に入りやすいとことなるとチェーンにはなるのだが。

基本仕事中はこんなことばかり考えている。

NHK+で「大奥」。出たよ高嶋政伸!変態極悪野郎を演じたら天下一品。コメディ一歩手前の演技が最高。いつもはクールで強い女性を演じることが多い瀧内公美がその印象を覆す好演。

2023/11/10

金曜。朝ドラ「ブギウギ」、歌い踊るスズ子観てたら元気出た。趣里さんいいね!表情がイチイチ良いのとその身体性。惹きこまれるね。

雨の中、彦根まで高速飛ばしてロングドライブ。商談後、遅い昼食。さぁどこで何食べようと考えるとこだが、どうにもトイレに行きたくなり、ちょうど近くにあった近江ちゃんぽんのちゃんぽん亭に。すでに2時を回っている時間だったし、がっつり食べる感じでもなかったのでと自分に言い聞かせ、豚そばを注文。いや、美味しいんだよ。でもせっかく彦根まで来てるのに他の選択肢もあったんではないか?だがあのまま悩みながら車を走らせたとしたら膀胱が破裂してたぞ…など今日も自問自答。ランチの最適解がいまだ得られない52歳。

radiko竹内義和論説委員長ゲスト回の角田龍平の「蛤御門のヘン」。38年ぶり阪神日本一の話から38年前にはすでに完成していた古典「カッパのカータン」話。もう何回も聴いてるが古典の名作なので毎回おもろい。そして6年越しの斉藤由貴騒動からパンツじゃなくて“気持ち”を被ったのだという男心を一切のエビデンスをとることなくただただ邪推だけで語り切る新作古典「斉藤由貴の“気持ち”を被った男」に爆笑。基本「なんの話しとんねん」の連続なのだが、そうとしか思えなくなるから不思議だ。にしても竹内先生68歳。私もこんな歳の取り方をしたい。…かなぁ

www.kbs-kyoto.co.jp

会社帰りに映画を一本。岸善幸監督「正欲」を観る。ショッピングモールの寝具店で働く夏月は代わり映えのしない毎日を鬱々と過ごしている。ある日中学時代に転校していった佐々木が街に戻っていることを知る。検事の寺井は不登校の息子と妻との3人暮らし。寺井は「人とは違う息子」の気持ちが理解できず、妻との仲もうまくいかなくなっている。誰にも理解されない性癖を抱え、社会と馴染めず孤立していく夏月や佐々木。一方の寺井は普通であることに囚われ、自分の「普通」に当てはまらない人の存在や現実や気持ちをまるで理解することができない。そんな「普通」「普通じゃない」の間で揺れる人々の姿を描く。一般的な人々の理解の範疇から逸脱する夏月と佐々木だが、共通の性癖を持つ二人だけは気持ちを通じ合わせ深く理解しあう。一般的な男女関係とはまるで違うが二人は強く深い部分で繋がりあう。理解と共感が2人を救うのだ。ある事件をきっかけに夏月と寺井は対峙する。このラストシーンが素晴らしい。社会的にも成功者である寺井が突きつけられる敗北感。普通や常識の中で巧く立ち回っているが、真の理解と共感を得ていないは誰か。お前はどうなのだと観ている者にも突きつけてくる。「君が僕を知っている」そんな物語だった。

夏月を演じるのは新垣結衣。苛立ちを滲ませ鬱々とした日々を過ごす前半、やがて理解者と過ごす日々で柔らかくなっていく表情、最後に寺井に突きつける言葉と視線。素晴らしかった。そして佐々木を演じるのは信頼と実績の磯村勇斗。この人が演じるなら大丈夫と思わせる若き名優。今回も間違いない。寺井を演じるのは稲垣吾郎。これがもう絶品。表面上は人当たりの善い常識人、だが常識に凝り固まりそこから抜け出せない頑なさと正論を振りかざす暴力性。そして最後に見せる戸惑いと揺らぎ。でそれぞれが高いレベルの演技を見せる中、一番惹きつけられたのは男性に近づくことができない女学生を演じた東野絢香佐藤寛太演じる大也(彼もまた心に大きな葛藤を抱えている)とのシーンで見せた演技は胸を打つ名演で本当に素晴らしかった。完全に名前を覚えた。これから間違いなくどんどん出てくると思う。

でそんな「正欲」を観て一番に想起したのが角田龍平の「蛤御門のヘン」だったりする。側溝に潜伏し逮捕、裁判で「生まれ変わったら道になりたい」といった男や謎のビニールハウス切り取り事件など様々な事件を取り上げ、人間の持つ様々な性癖に言及。複雑に入り込む「性のリアス式海岸」に切り込んできた「蛤御門のヘン」。稲垣吾郎扮する検事・寺井に対峙できるのは角田弁護士しかいない!