日々の泡。

popholic diary

2023年7月15日~21日の話。

2023/7/15

7時15分起床。朝から音楽を聴きながら日記を書く。聴いていたのは寺尾紗穂さん。デビュー時から聴き続けているが、彼女はもう別格。曲の深み、強度、浸透力、どれをとっても破格なのだ。一度でも彼女の歌を聴けばそれはもう一聴瞭然だと思う。

もう10年以上前で、ダースレイダーのラップのカバーという異色作。改めてすごい曲だなー。原曲と聴き比べてみると、こんな風にカバーするんだという驚きがさらに倍増する。天才などという言葉では追っつかない。深い深いところ、あるいは高い高いところ、もしくは遠い遠いところから世界を観ている。そして誰よりも細かく近く人間を観ている。


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京都シネマまで。京都は祇園祭でいつにも増して人が多い。なか卯で昼食。時間がなかったので冷やしうどんで済ます。

でまずはナーサ・ニ・キアナン、デクラン・マッグラ監督「ぼくたちの哲学教室」を観る。ベルファストにあるホーリークロス男子小学校が舞台。ここではケヴィン・マカリーヴィー校長を中心として哲学の授業を行っている。徹底して考え、思索を深めることで、自身のいら立ちや暴力的衝動、憎しみの連鎖を断ち切ることを教えていく。ベルファストと言えばケネス・ブラナー監督の自伝的映画でも少し描かれていたように、プロテスタントカトリックの対立が長く続き分断と暴力に支配された街であった。親から子へと暴力には暴力をという考えが継承されていく中で、哲学によってそこからの脱却を図ろうとする。けんかやいざこざ、校内で起こる様々な問題に先生たちは哲学で解決に挑む。生徒たちに考えることを促し、考え、考え、答えを出させる。生徒たちは考えることで人として成長していく。人の話を聞き、言葉を重ね、思索を重ね、相手の気持ち、自分の気持ち、その出所にまで深く目を向け、未来を切り開く。そんな哲学の授業に希望を感じた。相手の言葉を遮り、対話を捨て、短絡的で浅はかな言い切りで論破などと悦に入ることが、いかに馬鹿げた愚行であるか。哲学を通じて静かに、でも確実に成長していく子供たちの姿は希望の光だ。素晴らしいドキュメンタリーだった。

でコーヒーを一杯飲んで、続いてはセバスティアン・マイゼ監督「大いなる自由」を観る。舞台は戦後のドイツ。男性同性愛を禁じる刑法175条。ハンスはこの175条違反で投獄される。同房となった懲役囚ヴィクトールは同性愛者であるハンスを嫌悪し時に暴力すら振るう。だがある日ハンスの腕に刻まれた数字から彼が同性愛者ということでナチス強制収容所にいたことを知る。自分を曲げることなく20年に渡り釈放されては投獄を繰り返すハンスと長期間服役するヴィクトールの間には不思議な絆が芽生える。理不尽な法に抵抗し続けるハンス。少ないセリフながら、しっかりと彼の怒りや悲しみ、尊厳を守ろうとする気骨が感じられる。ヴィクトールは長期服役の中でヤクに溺れ、釈放されることに恐れを抱く。ハンスはそんなヴィクトールに寄り添う。やがて175条は撤廃されハンスの罪は罪でなくなる。彼は自由を手に入れるが、映画はさらに踏み込み「大いなる自由」とは何かを問う。ハンスが求めた自由とは、ヴィクトールが得た自由とは。実に力のある作品。これまた素晴らしかった。

あぁそうか、寺尾紗穂さんの音楽は哲学なんだな。

帰宅し夕飯はちゃちゃっとカレー。スパイスカレーもだいぶ手慣れてきた。でもなんか一味足りないんだなー。

2023/7/16

朝から妻と買い物。蕎麦の昼食。妻と娘は祇園花月にというので、ユナイテッドシネマで宮崎駿監督「君たちはどう生きるか」観る。昨日見た「ぼくたちの哲学教室」と「大いなる自由」はまさに「君たちはどう生きるか」という映画だったが、「君たちはどう生きるか」は大いなる自由を感じさせる宮崎駿の哲学教室みたいな映画だと思った。伴走する者、助言を与えてくれる存在、時に嘘を吹き込む者、勇気をもって踏み出す一歩や襲い来る危機、過去・現在・未来、考えに考えを重ねて歩んだ哲学の道。自身の思索の歩みが描かれていたように感じた。そしてそれを自由に大いに広がっていくイマジネーションとともに、存分に絵の力で表現。圧倒的なアニメーションの強さがあった。大林宣彦監督の晩年作なんかをちょっと思い出したな。自分は熱心な宮崎作品の鑑賞者ではないし読み取りがまだまだ弱いと思う。ずっと深く宮崎作品を追ってきた人にはさらに様々なものを感じ取れる作品なんだろうな。

2023/7/17

祝日。しかし暑い。午前中、ユニクロや100均など覗く。帽子は似合わないからかぶらないのだが、さすがにこの暑さなのでそうも言っていられず購入。昼はゆでたパスタに混ぜるだけのたらこパスタ。

NETFLIX「離婚しようよ」。TVだと気にならないかもしれないけど、やはりNETFLIXだと弱く感じる。軽いコメディに強度を求めるもの変だけど、軽いなら軽いでもっと軽くてもいいような。どうもクドカン作品だと思うと、いやいやもっとできるでしょ!と期待値が高まるので。

夜は家族でお好み焼き&やきそば。お店みたいにフワフワにはならないな。

2023/7/18

休み明け。さすがに仕事が溜まっている。昼ご飯は営業車の中でパンと缶コーヒー。暑さと気疲れでぐったりして帰宅。最近はもう帰宅後何もする気が起きない。

2023/7/19

明日から出張なので仕事をかたっぱしから片付けていく。ま、なかなかうまくはいかない。久々にたっぷり残業。

2023/7/20

東京出張。昼前について、大手町でカレー食べて午後からはがっつりお仕事。で夜は東陽町のビジネスホテルへ。宿泊客用のドリンク一杯サービスに惹かれてホテル下の居酒屋で一人の夕食。寂しいもんだが心地よい。仕事で多くの人と会うので一人の時間がほっとする。コンビニで久しぶりにパピコを買って、風呂上りに食べる。なんて美味しいのか。若村麻由美さん主演のドラマをぼんやりと。彼女のデビュー作、朝ドラ「はっさい先生」高校生の時毎日欠かさず録画して観てたんだよね。溌溂とさわやかで大好きだったなーとか思いながら。

水道橋博士さんのツイキャス、久々に覗く。リラックスムードで博士さんとファンの集い。でそのまま就寝。

2023/7/21

出張2日目。朝食バイキングは適度に。朝から挨拶回りで支局長とともに動き回る。昼は有名店だという赤坂の中華屋で涼風麺。さっぱりと美味しかった!

にしても店の多さ、人の多さに眩暈がする。せっかくの東京なので寄り道したいとこもあったのだが、結局夕方6時過ぎまでお仕事。最後の最後に美味しいというソフトクリームを食べて一息。ですぐに東京駅へ。とんかつ弁当買って新幹線に飛び乗り10時過ぎ帰宅。本日1万7千歩ということでさすがにクタクタ。風呂入ってすぐに就寝。