日々の泡。

popholic diary

2023年3月25日~31日の話。

2023/3/25

午前中は音楽聞きつつ日記を書く。最近はもっぱらこのパターン。推定読者20人。なんのために公開してるのかとも思うが、未来の自分のために残しているんだと続けている。

昼前に家を出てアップリンク京都まで。外はまだ少し肌寒く、微妙な気温で着る服に悩む。で竹中直人監督「零落」を観る。主人公は漫画家の深澤薫。かって絶大な人気を誇った漫画家だが8年に渡る連載が終了、人気に陰りが見え始めている。若手の台頭もあり「過去の作家」になっていく自分に焦り、戸惑い、次代に自堕落になっていく。そんな中、猫のような眼をした風俗嬢ちふゆと出会いさらに堕ちていく…ってな話。久々の竹中直人監督作。自己中心的で自意識過剰でひねくれていて、愛すべき人物とは言いがたい主人公を過剰なほどのセンチメンタリズム、ねっとりとした湿度で描く。結局自分のことしか見ていない主人公、その駄目さに密着してどんどんその内側に入り込んでいく。唯一信じていたものから突き放される皮肉めいたラスト。そこある絶望が深い余韻を生む。終始陰鬱な斎藤工、抗しがたい魅力を放つ趣里、あと本年度ベストオブ嫌な女にノミネートしたくなるほどのアシスタント役を演じた山下リオが素晴らしかった。

主題歌はドレスコーズの「ドレミ」。これ、この前ラジオで聴いて耳を奪われたんだよね。映画もこの曲も、忘れがたい何かがある。


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で帰宅。昼ご飯を食べそこなったので駅前のスーパーで菓子パンを買っておやつ。たまに無性に菓子パン食べたくなる。銀チョコとかチーズ蒸しパンとかサンミーとか昔からあるやつ。冷たい牛乳と一緒に食べる。これが実に美味いのだ。

夜「キングオブコントの会」観る。ロバート秋山作のコントのバカバカしさに腹捩れた。久々に大声出して笑ったなー。

2023/3/26

妻と実家へ。車中で東野幸治の「ホンモノラジオ」聴きながら。ここ数年、車に乗ってるときはほぼradikoで何かしらの番組を聴いてるな。途中もうすぐ誕生日の母に色鮮やかなイチゴのショートケーキをいくつか買っていく。

で実家で母、兄といっしょに出前の寿司。ありがたや。そしてひたすら母のお喋りに付き合って、手作りおはぎのお土産もらって帰宅。帰りはダイアンの「TOKYO STYLE」聴きながら。

大河「どうする家康」。溝端淳平演じる氏真が良かった。MJからSJに昇格だ。大河はいつもBSで観るのだがその後の番組「歴史秘話ヒストリア」で氏真の生涯を取り上げていて興味深く観た。国を没落させたダメ君主、だがしたたかに生き延び文化人としてその名を遺した。どこかシンパシーを感じるな。

2023/3/27

NHK+で「ムジカピッコリーナ」最終回を観る。ラストで歌われた小沢健二の「ぼくらが旅をする理由」改めて名曲だなーと思う。50代にもなると20代の頃に聴いたときとはまた違う感慨がある。「誰もみな手を振ってはしばし別れる」。この「しばし別れる」がいいじゃないか。この年になってくるともう二度と会わないだろうなという別れがほとんどだ。例えば「死」もその一つ。それでも「しばし別れる」だけだと思えば少し心軽やかに生きていける。

2023/3/28

県内某所にて番組収録の立ち合い。少し風は強かったが天気は良く湖岸沿いで気持ちがいい。我が家からも歩いて3分もあれば湖岸に出られるのだが、あまりに近すぎて普段はあまり気にも留めていない。でも水辺の暮らしというのはいいものだ。いつもは路地ばかり散歩しているが、たまには湖岸も散歩してみよう。

2023/3/30

TBSラジオ「たまむすび」最終回か。思えば前の前の番組「ストリーム」の各曜日ごとのコーナー「コラムの花道」をポッドキャストで聴き始め、続いての小島慶子の「キラキラ」は水道橋博士さんや宇多丸さん、ピエール瀧さんなど曜日パートナーに「ストリーム」から引き続きの町山さんや西寺郷太さんのコラム陣が楽しく、これも随分聞いた。そんな「キラキラ」はまぁ何となく後味の悪い終わり方をしたが、その後を継いだ「たまむすび」は一瞬にしてそんな空気を払拭。どこかほのぼのしつつ、血の通った番組で実に実に楽しくすっかりファンになった。ポッドキャスト中心のリスナーではあったが番組開始から今に至るまでなんだかんだで毎週聴いていたし、本当に楽しませてもらった。番組終了は寂しいけれど、こんな幸せな幕引きってあるだろうかとも思う。自分もいくつか経験しているが、番組の終了なんて人気低迷、お金の問題、あとは社内のゴタゴタってのが大半。そんな中、こうしてパーソナリティの意志によるはっきりとした理由があって、それにみんなが納得し、円満に美しく、そして番組の持ち味や楽しさを保ったまま終わるなんて奇跡的なことだ。それも赤江珠緒さんの人柄、まさにパーソナリティ力によるものだと思う。彼女の天真爛漫な朗らかさと聡明さ、そして人に対する優しさと誠実さが番組の魅力になっていたし、多くのリスナーから愛された理由だろう。自分もいつかこういう番組を作りたいなぁと心から思う。

2023/3/31

朝ドラ「舞いあがれ!」も最終回。もう何年も朝ドラは見続けているが、やはり半年に渡って見続けていると情が沸くってもんで、歴代の主役を務めた役者さんたちは応援してしまう。もはや舞ちゃんにいたっては娘を見るような想いだ。

月末、年度末で今週は少しバタついた。帰り少しクールダウンすべく、ネットカフェでコーヒー飲みつつ文春読む。橋本愛さんの「私の読書日記/われらはすでに共にある」に唸る。以前SNSによって発信した自身の言葉についても、検証し、学んだ上でアップデートし言葉にしている。LGBTQ+について、差別について、学び、アップデートしていくのだという姿勢と強い意志。ネット上には今もそこにのっかって差別やデマをまき散らしているものが多数あるが、それらを一蹴する強い言葉が綴られている。それにしても素晴らしい文章力。背筋が伸びた。必読。