日々の泡。

popholic diary

2023年2月25日~3月3日の話。

2023/2/25

8時起床。トースト、目玉焼きとヨーグルトの朝食。で今日は朝から妻とお出かけ。伊丹まで出るのにJRだと楽なのだが電車賃がかかりすぎるので、JRと阪急電車を乗り継ぎのんびりと。駅前でカレー食べて腹ごしらえ。で今日は観劇。伊丹のAI・HALLにてMONO公演「なるべく派手な服を着る」を観る。久里家は男ばかりの6人兄弟。上の4人は四つ子で、亡くなった母の教えに従い養子である6男を大層かわいがっている。そしてその間でいつも忘れられてしまう5男。危篤状態の父に会うために久々に家族がそろう。増築を繰り返しおかしな構造になっている久里家はまさに一家を象徴している。おかしな家族のルールをかたくなに守り、それに縛られていることにも気づかない。前半はおかしなルールに縛られるおかしな兄弟たちを笑いをたっぷり詰め込んで描く。そしてあることで一気に家族の関係が壊れていく。笑いに包まれていた丁々発止のやり取りが一転。場は緊張に包まれる。凝り固まっていた「家族の在り方」が音を立てて崩れていく。“社会が変わってしまう”のだ。しかしそれは同時に彼らを縛っていたものからの解放を意味する。社会は変わっていくものだし、変わるべきものである。ラストは解放され、再構築された彼らの関係がほっこりと提示される。MONOの作品には常に優しい眼差しがある。バカで間抜けで時に傷つけあう愛すべき人間という存在を放っておけない優しい眼差しが。観終わった後、心に残る温かさが嬉しい。あとここ数年、公演を追いかけているが新メンバーもそれぞれにしっかりと存在感を放っていて、もはやMONOの世界に欠かせない住人になっている。そういう劇団の成長が見られるのもまた楽しい。

で観終わって少し観光してまた阪急とJRを乗る継ぎながらゆっくりと帰る。

2023/2/26

9時起床。寒くて起きられない。午前中は妻と買い物行って義母宅に寄っていっしょに昼ごはん。帰宅してNETFLIXで映画を一本。今泉力哉監督「ちひろさん」観る。お弁当屋さんで働くちひろさんと彼女の周りに集まる人たちの物語。自由きままなちひろさんに惹かれる人たちは皆どこか居場所がない。ちひろさんはただそこにいて、当たり前のようにそれぞれと正面で向き合う。だが近づいても決して馴れ合わない。自由な魂は自由であると同時に孤独でもある。ちひろさんは決して癒しなんて存在じゃない、徹底的にハードボイルドに孤独を抱きしめている。優しいが優しいだけじゃない映画。今泉監督は「好き」を徹底的に考察し探求して描く監督だが、今回は「好き」を因数分解して、その根本にある「孤独」を描いていると思った。人は孤独を恐れ、誰かや何かに寄り添い馴れ合い混ざりたいと願う。ちひろさんは人は決して孤独から逃れられないことを知っている。どんな「好き」でも埋められない、逃げられない孤独を抱きしめ、「好き」からも解放され自由な魂を手に入れたのだ。有村架純がその自由で孤独な魂を柔らかな笑顔の中に潜ませていて実に素晴らしかった。あと今作でホームレスのおじさんを演じた鈴木慶一さん。そこにいるだけで絵になるという無敵の老人俳優になっているではないか。

2023/2/27

大阪外回り。大した仕事はしてないけど、歩き回ってすっかり疲れる。遅い昼飯は久々に松のやで新メニューソースカツ丼。普通のかつ丼にすりゃ良かったかな。

帰宅して録画してた「ブラッシュアップライフ」。人生の分岐点と可能性。マルチバースの物語にまで広がっている。笑わせながらも、人は何のために生きるのかにまで到達していてめちゃくちゃ面白いなぁ。

2023/2/28

今週はやっぱりムーンライダーズを聴いてしまうな。2014年にリリースされたライブアルバム「Live at FM TOKYO HALL 1986.6.16」を聴く。文字通り86年のライブを収録したアルバム。86年はムーンライダーズ10周年の時で、ちょうど僕がムーンライダーズを好きになった頃。このライブの一部は当時「THE WORST OF MOONRIDERS」に収録されて、当時本当によく聴いた。「さよならは夜明けの夢に」を聴いていると高校生の頃、狭い部屋で一人ヘッドフォンで聴いていたその光景が浮かんでくる。窓の向こうは夜で街灯に照らされた家の前の道路をぼんやりと眺めてた。僕の孤独に寄り添ってくれたのはムーンライダーズの音楽だったなぁ。

2023/3/1

もう3月。去年の今頃はまだ正月だった。このままだとあっという間に夏が来て、また正月を迎えるのだろう。

2023/3/3

朝から外回り。なかなか大変ですわ。昼は関西では珍しい「ゆで太郎」を発見し、入る。日替わりお得メニュー、ミニカツカレーともりそば。学食感あふれる黄色いカレーが懐か美味しい。のどごし抜群の蕎麦もいいね。

今日は久しぶりに会社帰りに映画。サム・メンデス監督「エンパイア・オブ・ライト」を観る。舞台は80年代初頭のイギリス。海岸沿いの映画館、エンパイア劇場で働く中年女性ヒラリーと若い黒人青年スティーヴンを中心に物語は進む。心に問題を抱えるヒラリーと、過酷な社会情勢にさらされるスティーヴンはやがて惹かれあう。だが幸せな時間は長くは続かない。様々な問題を抱えヒラリーの心は壊れてしまう。ステーヴンもまた激しい差別と暴力に傷つけられる。映画はヒリヒリとする痛みと二人の間に生まれる微かだが確かな光を描く。「何十年に一回くらいしかないかもしれないが、“生きていてよかった”と思う夜がある。一度でもそういうことがあれば、その思いだけがあれば、あとはゴミクズみたいな日々であっても生きていける。」とは有名な中島らもの言葉。二人の人生は過酷だが、二人が過ごした時間はその「“生きていてよかった”と思う夜」だ。海岸沿いの古い映画館、そこに映される映画という光。ラストのヒラリーの表情に救われる。オリヴィア・コールマンがとにかくもう素晴らしすぎた。現役最高峰の演技者。傷つき、壊れ、そしてまた再生する心の動きが形となり観る者の心を揺さぶる。忘れがたき名演。本当に素晴らしかった。