日々の泡。

popholic diary

2021年5月15日~21日の話。

土曜。朝一で自転車に乗って映画館へ。

松居大悟監督「くれなずめ」を観た。高校時代の仲間たちが披露宴の余興を行うべく再会。披露宴と二次会の間、懐かしい友人たちと過ごす束の間の時間。そして交差する様々な気持ち達。特大級の映画的飛躍がありながら日常に根差した愛すべき映画。かけがえのない過ぎ去りし日々を想う。時折ふと思い出す今はもう会わなくなった友達や若くして亡くなった先輩。思い出されるのはたいした場面ではなく、ちょっとした会話の一部や一瞬の感情、そのほとんどはくだらないの中に在る。ふと思い出す胸の奥に生き続けている人々。観終わって優しい気持ちになった。

で自転車で近江大橋を越えて隣町の映画館へ。普段あまり行くことのない映画館だけど、県外移動自粛中の為。

続いては今泉力哉監督「街の上で」を観た。下北沢を舞台に古着屋で働く青を取り巻く人々の群像劇。といっても大きな物語があるわけではなく、街の上で日々起こっているであろう小さな日常が描かれる。街と文化、そこに集う人々。日々の営み、そこにあるちょっとした可笑しみや愛しい瞬間。決して映画にならないような、零れ落ちていく日常。それが愛を持って切り取られていく。映画館にいる自分たちと地続きでありながら、とてつもなく豊かで愛らしい。映画らしくないけど映画としか言えない映画。こういう作品に出合うと映画好きでよかったなと心底思う。映画を好きになる映画。大傑作!コントのような小さな出来事がちょっとづつ絡み合いながらじわじわと沁み込んでくる感じがシティボーイズショーをふと思い出したな。俳優陣が皆いい。若葉竜也の佇まい、街への馴染み具合は本当に素晴らしい。ずっと観ていられる。130分、いい時間を過ごせたな。あっ、後、入江陽さんの音楽も最高。

で再び自転車で橋を渡り、30分かけて帰宅。いい映画を観られて今日は大満足。

日曜。朝からマンションの管理組合総会。このマンションに住み始めて早25年。当時新築で、自分も含めてほとんどが若い夫婦だった。同じぐらいのタイミングで子供が生まれて、その子たちも今はみな社会人。内は一人っ子だったから同じマンションに同世代の子たちがいて赤ちゃんの頃から兄弟姉妹みたいにして成長していけたのはとても良かった。今も娘は同じマンションの子とは親友で休日などはしょっちゅう遊んでいる。

午後からアマプラで映画を一本、チョ・グニョン監督「王の預言書」。腐った権力に庶民たちが立ち向かう話をこうして繰り返し様々な形で映画として語り継いでいく。韓国映画人の根底にある気骨みたいなものを感じる。

朝ドラ「おかえりモネ」始まる。名作「透明なゆりかご」の安達奈緒子脚本、清原果耶主演コンビということで期待も大。さわやかだけどどこか憂いのある清原果耶ちゃんは間違いなく未来の大女優。楽しみ。

「大豆田とわ子と」なにこれ、スゲー展開に。予想のはるか上を行くツイストぶりに翻弄されつつ、こりゃ来週以降も見逃せない。

松田龍平石橋静河のシーンに見入る。石橋凌目線で観たら相当グッとくる。人気ロッカーだった石橋凌松田優作初監督作で俳優デビュー。松田優作の死後、其の遺志を受け継ぎ一時歌手を辞めてまでも俳優業にまい進しハリウッドデビューまで果たす。そして今、松田優作の息子と自分の娘が対峙して素晴らしい演技を見せている。これを星座と呼ばずして何と呼ぶのか。

連日の雨、雨、雨。

radikoで角田龍平さんの「蛤御門のヘン」ゲストは竹内先生。プロレス特集と言いつつ、エヴァンゲリオン小柳ルミ子理論から始まり、脱線に次ぐ脱線で楽し。そして語られる87年ジャイアント馬場とラジャ・ライオンの異種格闘技戦。自ら繰り出したキックでふらつくラジャ・ライオンについてまるでつい最近の話題のように語るお二人。で続けて聴いた「東京ポッド許可局」。いいとも新司会者論、これまた楽し。そして25歳だったコーナーでパキスタンと話題からなんとラジャ・ライオンの話題に。ここでもまたつい最近の話題のように87年ジャイアント馬場異種格闘技戦でふらつくラジャ・ライオンについて嬉々として語られる。2021年にまさかのラジャ・ライオン被りに笑った。いや、確かにあの試合、僕もリアルタイムで観ていた。何週も前から煽りに煽り、ついに訪れた対戦。そのあまりのズンドコぶりに日本中がずっこけた。自ら繰り出したキックでふらつくラジャ・ライオンの姿は多くの視聴者の胸に刻まれたのだった。

金曜、仕事帰りにアレックスシネマ」で大島渚監督「愛のコリーダ」を観た。小学生の頃からそのタイトルは知っていたし、問題作だとは聞いていたが50歳にして初見。ヤベーもんを観たというか、観てはいけないものを観たというか、凄まじい作品。とめどない欲望と人間の業。エロスか、芸術か、いやそんな論争は不毛である。愛と欲望の向こう側にまで行きついた時、人はどうなるのか。何もかもを受け入れる男、藤竜也の色気と藤勃也のハッスルぶりに熱に浮かされそう。

しかし「愛のコリーダ」観た後に朝ドラ「おかえりモネ」に登場する藤竜也をどう見たらいいのか。そのうち×××出すんじゃないかとハラハラしちゃいそうだな。とにかくなんて凄まじく素晴らしい俳優さんなのか!

備忘録的にこの1週間で聴いた音楽を記しておく。