日々の泡。

popholic diary

2021年3月7日~13日の話

日曜。ハムエッグとレーズンパンのトースト、ヨーグルトの朝食。子供の頃、レーズン苦手だったけど、今はもう大好き。なんかリッチな気分になりますな。東ハトオールレーズン」なんて最高。ナイスコーヒーNo.1ですよ。

映画を一本。岨手由貴子監督「あのこは貴族」を観た。東京生まれ、東京育ちのお嬢様・華子。地方から出てきて名門大学に通うものの学費がままならず退学し、自力で生きる美紀。異なる“階層”に生きる二人の一瞬の邂逅。都会のデスロードからそれぞれが「自分の人生」を自分の足で歩きだす。これは静かなるマッドマックスだ。華子が育った厳格な上流階級と美紀が育った閉鎖的な田舎町は階層こそ違えど、そのシステム構造はまるで同じだ。一人の男性を間に二人は対峙することになるのだけど、台詞でもはっきりと言っているように二人が分断され攻撃しあうことはない。その必要はないのだ。二人が戦うべきは、二人を縛りつけるシステムなのだ。華子は、美紀と出会うことでそのことにはっきりと気づく。半ば諦めの中にいた美紀もまた覚醒していく。それぞれがそのシステムに疑問を投げかけ、自分の人生を生きようとするのだ。そしてそのことが共闘になる。彼女たちのそばにいて、まさに自分の足で立って自分の人生を生きるそれぞれの友人、逸子と里英がいい。心強い友人の存在が、二人に勇気を与え、背中を押すことになる。「あのこは貴族」という物語は多くの人々にとってそんな「心強い友人」のような存在になるだろう。細やかで丁寧、しなやかで強い大傑作であった。

華子と美紀を演じる門脇麦水原希子は一見、配役逆ちゃうなんて思ってしまったけど、これで大正解。逸子役の石橋静河、里英役の山下リオを合わせてこの4人が素晴らしくいい。石橋静河は以前から好きな俳優だが、今回もまた良かったなー。ますますファンになった。

で今週も営業回りに事務処理、取材に収録、原稿書きに提案・見積もりおまけに会議…とひたすらバタバタと過ごす。年度末、気ばかり焦る。

今週の朝ドラ「おちょやん」は板尾創路星田英利がメイン。二人ともすっかり大物性格俳優って感じで見応えあったなぁ。

水道橋博士さんの「藝人春秋3」文庫版発売。もちろん購入。町山さんの1万字解説はちゃんと読みたいので、ちょっと落ち着いてから読むことにしよう。

3.11。あれから10年。正直に思うところは、この10年でこの国は本当に酷い国になってしまった--ということだ。いくら悪いことをしても捕まることも無く、開き直る政治家。そのあきれるほどの劣化ぶり。歴史修正、改竄・隠蔽は横行し、デマ・陰謀論が飛び交い、暴力的なまでの差別やヘイトが溢れている。人々の悲しみの果てで、なぜこんな世界になってしまったのだろう。未だ家に帰れない人が沢山いるのに、復興ってなんなんだろう。国が壊されていくのをただ自分は見ていることしかできないのだろうか。なぜそれをくい止めることが出来ないでいるのだろう。罪悪感と無力感が募る。