日々の泡。

popholic diary

2021年3月14日~20日の話

チェ・ユンテ監督「野球少女」を観た。“天才野球少女”と呼ばれる高校生・スイン。プロを夢見るも“女子”だからという理由だけでプロテストも受けられないでいる…。派手な熱血青春ドラマかなという予想はいい意味で裏切られた。まさに今という時代にフィットした「わきまえない」女性の映画。プロ野球に挑む女性を主人公にしているが、これはあらゆる分野においてガラスの天井を突き破ろうとする者の苦悩と苦闘、そして強さを静かに描いている。「わきまえる」女であれという母親との確執。しかしこの母親もまた「わきまえる」ことを強いられてきた女性なのだ。主人公を演じるイ・ジュヨンの眼差しの雄弁さ。とてもフレッシュで背筋が伸びる映画であった。

「男だから」「女だから」を代表とする「○○だから」という決めつけ。自分自身にも確かにある固定観念を拭い去ることはとても難しい。でも今それをちゃんとやっておかなければならないと心底思う。世界を正しく見る為には絶対的に必要なことなんじゃないだろうか。

キム・グァンビン監督「クローゼット」を観た。事故で妻を亡くし、娘と共に郊外の新居に越してきたサンウォン。しかしある日、娘が忽然と消えた。必死で娘を探すサンウォンの前に謎の男ギョンフンが現れ…ハ・ジョンウとキム・ナムギル共演の御祈祷ホラー。演技派俳優の共演ながら絶妙なB級感が意外に楽しい。

日曜。朝から妻と実家へ。今週も母の運転手として病院回りや買い出しなど。昼は母お手製の太巻き寿司。本当に美味しい。祖母や叔父のことなどもろもろ今後のことを話しつつ。人生、年とってからの方が長いな。考えると怖くなってくるよ。

で仕事の話は割愛。

録画していた水道橋博士さんの「BOOKSTAND TV」江口寿史先生ゲスト回を。はじめて「すすめ!パイレーツ」を読んだ日のことは今もはっきり覚えている。ジャンプコミックスの6巻。小学4年生の冬休みだ。兄貴が買ったそのコミックスを読んで本当に転げまわって笑った。テンポのいいギャグにとびきりPOPな絵。ちょっと飛びぬけたセンスだなーなんて子供心に思った。それから40年。ずーーっとファンでいる。「遅筆」のあまり「藝人春秋2」単行本の発売日を遅らせたなんてエピソードにも悪びれることなく飄々と。それでもこの人に描いてもらいたいと思わせる「絵」の力。最高。

しかし水道橋博士さんの活動が活発なのでファンとしては追っかけるのが大変。でも一時の休業期間を思えば、これもまた嬉しい悲鳴。新たに立ち上げられたLIVE「阿佐ヶ谷ヤング洋品店」、略して「アサヤン」を配信で。オープニング「春のからっ風」のはまり具合!社長芸人にしてハカセードライバー、ジョニー小野さんの司会でスタート、そこに現れたるは元祖「アサヤン」ルー大柴パール兄弟「君にマニョマニョ」で踊るルーさん。そこからは博士さんによる「知ってるつもりルー大柴編」。世界放浪の旅話からギター弾き語りまでの大サービス。後半は松村邦洋さん登場。無軌道に突っ走る松村さんがおもろ。そしてスリリングな第2回、第3回に向けてのアポなし直電へ。ラストはグレート義太夫さんのギター、マキタスポーツさんのリードで「浅草キッド」ならぬ「阿佐ヶ谷キッド」の大合唱。博士さんの独唱部分は観てるこちらも熱く込み上げてくるものがあった。心身削って書き上げられた「藝人春秋2」単行本発売後、文字通り命を懸けた戦いとなった「HATASHIAI」。そして休養。長く辛い沈黙の果てに辿り着いたライブ。完全復活を告げるような熱唱。会場全体がそれを祝うような多幸感に満ちていく。そんなこんなであっという間の2時間。

GYAO小泉今日子さんの配信ライブ「唄うコイズミさん」を。キョンキョンは多彩な活動でもう存在そのものが強烈だったがゆえ、聖子や明菜のように「歌手」として語られることは比較的少ないが、新ためて素晴らしい「歌手」であると再認識。キョンキョンは82年からもうずっとずっと憧れのかっこよくてかわいいお姉さん。

しかし相変わらずひどいニュースばかりが噴き出てくる。もういい加減にしてくれと言いたくなる。

今週よく聴いていた音楽は台湾のシンガーソングライターPiA。彼女を知ったのは2013年。たまたま手にしたサンプル盤。韓国POPにはすでにどっぷりはまっていたが、未知だった台湾POPの世界。そのキュートでPOPな歌世界に衝撃を受け、自分の番組でONAIRしたり、来日ライブにも駆けつけた。観客わずか20人ぐらいだったけど。

2013年12月29日の僕のTweetから引用。

そして夜は大阪でライブ。梅田マンボカフェにて、前川サチ子、ルルルルズ、そして台湾からPiA楽団と柴群猫。凄くいいライブだったなー

でPiA楽団。ギター、ボーカルのPiAちゃんと、ウクレレ、コーラスその他のWingちゃんの二人。先日リリースされた日本デビュー盤が凄く良くってライブもとても楽しみにしてたが、期待を上回る素晴らしいライブだった。まずはPiAちゃんのギタープレイのかっこよさにびびった

PiA楽団ライブ。CDではゆったりまったりな印象だったが、ライブでのアコギストロークのビシビシくる感じ、伸びやかでまっすぐ届く歌の力。ライブ力が半端なくて惚れ惚れしながら観て聴いた。見た目はアイドルばりにキュートでありながらこの凄まじい演奏力&表現力。大ファンになっちゃったよ

日本と台湾。こうやって音楽を通じて交流することは本当に素晴らしい。音楽に国境はないよ。PiA楽団のライブ観てつくづく思ったなー。感動を共有する。この体験は、これからの世界の為に絶対必要だと思うな。

その後も追いかけ続けているが、配信されたばかりの新曲もすごく良い。

七點半的飛行機 - song by PiA | Spotify

 土曜。今日も仕事の娘を送り出し、ハムエッグとトーストの朝食。朝のうちに散歩がてら近所の映画館へ。

リー・アイザック・チョン監督「ミナリ」を観た。1980年代、アメリカに移住してきた韓国人家族。農業で成功したいと願う父親。荒れ果てた土地とトレーナーハウス。孫の面倒を見るために韓国からやってきた祖母。そんな家族の姿を通して「生きる」ということを描く。そう「生きる」ことを描いているから誰しもの心に刺さるのだ。

口が悪くて「おばあちゃんらしくない」おばあちゃんを演じるには韓国の名女優、ユン・ヨジョン。誰もが郷愁を覚えてしまう懐かしい「おばあちゃん」。孫のデビットとのシーンを観ていると、いやでも祖母のことを思い出してしまう。無謀な夢に挑む夫に振り回されるしっかりものの妻を演じるハン・イェリもまた素晴らしい。ただ振り回されるだけじゃなく、妻として、母として、一人の人間として誠実に生きようとする姿のしなやかな強さを持った美しさ。彼女の出演作はかなり観ているほうだが見るたびに別人に見える。決して目立つタイプじゃないけれど必ず印象を残す。そんな素晴らしい俳優。韓国映画ファンとしてもこの二人の素晴らしい俳優が世界に発見されたことを心から嬉しく思う。

午後は家でのんびり。「明石家電視台」の特番。しかしもはやさんまさんの番組を見ると、必ず頭に「エムカク」さんのことが浮かぶという。

でじっくり時間をかけてスパイスカレーに再挑戦。レシピ動画を日夜見てイメージトレーニングはできている。

がそれなりにはできている。悪くはないが、何かが足りない。何かが……。

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