日々の泡。

popholic diary

2020年8月のTweet

2020/8/1

城定秀夫監督「アルプススタンドのはしの方」を観た。瑞々しく清々しく気持ちの良い映画だった。舞台の真ん中で輝けなかった若者の中にある輝くものを優しく見つめ、舞台の真ん中で輝く人への敬意もある。青春映画のはしの方でありながらど真ん中。この先、多くの人に愛されるであろう作品。自分はアルプススタンドにすら行かなかったクチで、人生の3分の2、いや4分の3を過ぎて「そんなもんだよ、しょうがない(©昭和のいる・こいる)」が身に沁みついてしまっている身だけども、もう一度送りバントぐらいはという心情になったな。

でそんな若者たちの映画の後に阪本順治監督「一度も撃ってません」を観た。74歳の伝説のヒットマン、実は売れない作家。夜の街でハードボイルドに決めながら、家ではせっせと洗濯物を干したりゴミ出ししたりのマメ亭主。石橋蓮司岸部一徳桃井かおり大楠道代。大人たちの粋な遊びが最高。脚本は丸山昇一先生。とぼけたユーモアとハードボイルド。どっきりナイトリスナーなので主人公が先生と重なるよう。石橋蓮司がハードボイルドに決めれば決めるほど、可笑しさが増す。そして桃井かおりがもう桃井かおりで最高!

2020/8/5

「HIROSHI YABE SONGBOOK」素晴らしい!矢部浩志という稀代のメロディメイカーを再発見。ホントいい曲ばっかり!愛と敬意が溢れる最高のカバーアルバム。

2020/8/9

グリンダ・チャーダ監督「カセットテープダイアリーズ」を観た。1987年イギリスのルートンで暮らすパキスタン移民の少年ジャベド。閉鎖的な街、父との確執、毎日を悶々と過ごす彼。そんな中出会ったのはカセットテープから流れてくるブルース・スプリングスティーンだった!一言、最高っ!大好き!音楽との出会いが少年の人生を変えていく。音楽の力が彼の背中を押す。扉が一つ、また一つと開いていく。そしてその過程で彼は大人になっていく。自分の人生を生きていくことで、自分以外の誰かにも人生があることを知る。映画「はちどり」で主人公の少女は塾の先生と出会う。自分のことを理解してくれる存在を知り、大きな世界への一歩を踏み出す。ジェベドが出会うのはブルース・スプリングスティーン。まるで自分のことが歌われているように感じ、閉じた世界の外にある大きな世界へ一歩踏み出すのだ。音楽が世界を変えることは出来ないかもしれないけれど、音楽が誰かの人生を変えることは出来る。これは断言できる。ジャベドと同じ1987年に16歳だった僕も、身を持ってそれを経験しているからだ。物の見方、考え方、生きる指針。カセットテープから流れてくる音楽が導いてくれた。なんていうと大袈裟かもしれないけど、何かを好きになるってこういうことだし、何かを好きになったことがある人ならわかるはず。映画「カセットテープダイアリーズ」はある意味、音楽好きあるあるなのだ。愛すべきあるある!そう早く言いたい。音楽あるある言うよ。音楽に人生変えられる!映画「カセットテープダイアリーズ」でもう一つ。映画の中で主人公は酷い差別にさらされる。街には分断が起こり、ヘイトが横行している。それにNoを叩きつけるのもまた音楽なのだ。決して簡単なことじゃないし、勇気のいることだけれど、声を上げることの大切さを映画は示唆する。

2020/8/14

ドラマ「MIU404」凄いとこまでもっていくなぁ。いやほんと凄いわ。

2020/8/15

山口淳太監督「ドロステのはてで僕ら」を観た。上田誠脚本によるヨーロッパ企画の映画作品。テレビ画面に映る2分先の未来。SF(少し不思議)なタイムトリップもの。入れ子構造になっていく未来と過去、劇団ならではの息の合ったやりとりとどう撮ってるの?という映像、その心地よいスピード感が楽しい。少し不思議でカラッとしてて心地よく煙に巻かれる感じ…大好きな藤子F不二雄のSF短編みたいと思いながら観てたら、最後しっかりそこに繋がっていた。誰が観ても楽しめるし一人で観ても、複数で観ても楽しめるような幸福な映画だったなー。

で映画館から帰宅してアマプラで大林宣彦監督のデビュー作「HOUSE」を観る。随分昔にテレビで観た記憶が断片的にあるんだけど、改めてしっかりと観た。いやーもう大林監督最初から飛ばしてんなー。キッチュなようでいてまごうことなき「映画」。8月15日に観る映画としても相応しい。それにしても若き日の池上季実子、当時10代にしてあの妖艶さ。石原さとみに似てるとか思いつつ。

2020/8/28

長谷川康夫著「つかこうへい正伝」読了。リアル銀ちゃんとヤス。高校生の頃読み耽ったつかこうへい作品と同じ読後感。グッときた。

2020/8/29

えぇっ?ブラックパンサー……(チャドウィック・ボーズマンが43歳で亡くなった。RIP)

2020/8/30

ダン・スキャンロン監督「2分の1の魔法」を観た。相変わらず素晴らしいCGアニメの表現に感嘆しつつ、亡き父を探す兄弟の冒険譚、その結末に心掴まれる。個人的な想いを突き詰めた最上級のエンタメ。ピクサー恐るべし!

ウディ・アレン監督「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」を観た。大学生カップルが過ごすニューヨークでの週末。あれやこれやの恋のトラブルが勃発して…ってなウディ・アレン丸出しの軽妙な恋愛譚。80歳過ぎてまだこれやってんのか!最高だけど。ティモシー・シャラメエル・ファニング(最高!キュートさ炸裂)にセレーナ・ゴメスという今をときめく若手が雨のマンハッタンで小粋なジャズに乗ってウディ・アレン節で喋りまくる。変わらない良さだけど、まぁ時代とはそぐわないわなぁ。本国ではウディ・アレンの疑惑があって未公開な上に出演者たちからも出演したことに後悔してるなど散々な言われようだそうだけど。

無果汁団「マドロム」聴く。いやーもう嫌いな訳ないじゃないという音。Making High-Quality Music By High-Technology ですな。

「町あかりの昭和歌謡曲ガイド」楽しい!聖子ちゃんがベストテンでタラップを降りて滑走路で歌った時のことはよく憶えている。遊びに行ってた叔父の家のテレビで観たんだった。子供ながらになんて可憐でかわいいお姉さんなんだと思ったなぁ。などと思い出に浸りながら読み進める。

しかしまぁ世間は騒々しい。最近はちょっともうTL追うのもしんどい。権力者に尻尾を振る卑怯者がデカイ顔する世界。次に尻尾振る相手は誰だよ。恥ずかしくねーのかな。