日々の泡。

popholic diary

2020年12月のTweet

2020/12/21

パティ・ジェンキンス監督「ワンダーウーマン1984」を観た。オープニングのチビダイアナのSASUKEシーンでもう楽しい。ガル・ガドット先生が大スクリーンに現れた時には思わず「待ってました!」と心で叫んだ。痛みと孤独を知る愛の戦士。最高ですよ、そりゃ。肥大する欲望が分断を生み世界を破滅させようとする。弱きものが踏みにじられた末に闇に落ち邪悪な心を宿す。現代的なテーマを最強の戦士WWがどう解決するのか。とにかくガル・ガドット先生、あんたは偉いっ。危機一髪で助けられた幼い少女達がワンダーウーマンガル・ガドット先生)を見上げるその瞳。キラキラ輝くその瞳こそが力強いメッセージではないか。

2020/12/24

水道橋博士さんの書評に掟破りの書評内書評として私の書評が!お読み下さい!

kangaeruhito.jp

文春、小林信彦さんの連載コラムでエムカクさんの「明石家さんまヒストリー」が!中学生の頃、愛読書は「日本の喜劇人」だった。

「勇ましい勝者が一瞬に光る本ではなく、弱き人を介抱をする、一生燻り続けながらも後世に残る本を作りたい。」
痺れるなぁ(2020年12月24日号|水道橋博士|博士の異常な日常|水道橋博士のメルマ旬報より)

2020/12/26

大阪韓国映画祭でチョン・ヨンギョン監督「私を救わないでください」を観た。借金の末、命を絶った父。12歳の少女ソニュは母と逃げるように誰も知らない街へ。転校先でやんちゃで明るい少年ジョングクと出会い、やがて心を通わせる。だが貧困にあえぐ生活の中で母娘ともにしだいに追い詰められていく。社会から見放された母娘。淡い初恋を生活が押し潰していく。ソニュを救いたいと願うジョングクの姿にはっとさせられる。実際の母子心中事件から着想を得たという本作。隣人に手を差し伸べたいと思う優しさや親切心が人々の心にあることを信じたいし自分自身も大切にしたい。いい映画だった。

手塚眞監督「ばるぼら」を観た。稲垣吾郎×二階堂ふみで描くデカダンでエロティックでキッチュな世界。エンタメとアートの狭間で「創造」を突き詰め追い求めた手塚治虫の心のリアル。決して触れてはいけない創造の神に触れてしまった男=手塚治虫の物語。手塚治虫の宇宙、その広大さと奥深さを思い知る

イ・ジョンオン監督「君の誕生日」を観た。高校生ら300人以上が犠牲となったセウォル号沈没事故。残された父と母が息子の死と向き合うまで。ソル・ギョングチョン・ドヨンという韓国映画界きっての演技派が複雑な事情を抱えた夫婦をギリギリまで抑えに抑えた演技でじっくりと見せる。そして最後の最後に涙腺が鬼のように決壊。ソル・ギョングチョン・ドヨンといえば18年前に共演した「私にも妻がいたらいいのに」は大好きな映画。こっちのチョン・ドヨンはもう最高にかわいらしくってすっかり彼女のファンになったもんだ。鼻のとこにきゅっと皺がいく笑顔が何ともいえずいいんだよ

ナワポン・タムロンラタナリット監督「ハッピー・オールド・イヤー」を観た。北欧から帰国したデザイナーのジーン。ミニマムなライフスタイルを築くべく断捨離に挑むが…。一つ一つの物にはその歴史があり想いがある。要不要、ときめくときめかないでは簡単に分けられないものがある。物を通じて知る誰かとの関係は複雑で答えがない。掛け違えた想いや壊れた関係に揺れる主人公を演じるのは「バッドジーニアス」のチュティモン・ジョンジャルーンスックジン。とっても魅力的な女優さん。

北野誠のズバリサタデー」エムカクさん出演回聴く。誠さんに(マニアックすぎる)質問をぶっこむエムカクさん最高!そこから貴重な話を引き出し、またヒストリーが上書きされていく。ヒストリー2、3…さらに1の増強版が必要になるじゃないか!

1年と1日遅れでポール・フェイグ監督「ラスト・クリスマス」を観た。不運続きのケイトは自堕落な日々を送っているが、ある日トムという青年と出会い…。というクリスマスのロマンチックコメディなだけでなく親切や優しさ、与えることこそが幸せであり願いなのだというクリスマスの意味を知る良作!

正直者が報われ、思いやりや親切が救いとなり心優しき人々が心穏やかに過ごせる世界。クリスマスぐらいそうあって欲しいと願うが、この国ときたら…。恥知らずで卑怯者の嘘つきがデカイ顔でのさばっていやがる。クソ最低だよ。

2020/12/27

マキタスポーツさんとキョンキョンの対談。マキタさんと同じ1970年生まれ。この世代にとってキョンキョンがいかに特別な存在か。明菜、ちえみ、秀美に優とそれぞれ好みはあったとしてもキョンキョンは全員が好きだった。今でもずっとかっこよくてかわいい憧れの女性。彼女と対談なんて1970年生まれ男子全員の夢だよ

2020/12/29

井筒和幸監督「無頼」を観た。あるヤクザ者の生涯を通して戦後の裏昭和史を描く群像劇。いい顔の男たちが織りなすまさに無頼な物語。荒々しくハードな描写もありながら、なぜかほのぼの感すら漂う「ファミリー映画」だった。実在の人物をモデルにしながらの一代記もので、まるで朝ドラのような面白味がある。毎朝15分の連続ドラマで観てみたい。いや絶対ならないだろうけど。ヤクザ者たちの会話の随所に映画ネタが散りばめられてるのも楽しい。松角洋平、清水伸、阿部亮平、清水優といった渋いバイプレイヤー達が主演の松本利夫をがっちり支えるが、その中でもずば抜けた存在感で影の主役と言えるのが中村達也。名優の貫禄!

大九明子監督「私をくいとめて」を観た。まず最初に言わせて。大傑作!めちゃくちゃ面白かった!気ままなおひとりさま生活を送るみつ子が、恋をして…という自問自答映画。最初は恋愛メインの話かと思いきや中盤から一気に深いところに突っ込んで行く。ここまで斬り込んで行くんだというぐらい。社会の中で生きていく上で人は様々な鎧を身につけていかざるをえない。その苦しみや悲しみをどう乗り越えていくか。どう解放されていくかを実に映画的な表現で描いていく。その「映画的」な見せ方がPOPに突き抜けていて楽しく、この見せ方こそが最良にして最善と思える。主演はのん。全編出ずっぱりで80%は一人芝居、それもほぼドアップ。でもうこれが最高!主演女優賞とらなかったら嘘でしょ的名演。桂枝雀ばりの緊張と緩和。心の中を描く映画だが、これはもう心のアクション映画だ。外と内の間にある「玄関」が象徴的に描かれているのは監督・大九明子×原作・綿矢りさの傑作「勝手にふるえてろ」を想起させるし、親友役の橋本愛とのシーンでは「あまちゃん」が浮かぶし、吉住のTHE W優勝も必然としか思えなくなる。全部のパズルがピタッとはまる感じがある。とにかく女優のんの代表作来た!という感じで、なんでこんな凄い天才女優を使えないんでいたんだとここ数年のエンタメ業界を叱りつけたくなる。これからもうがんがんに演技してもらいたい。

「無頼」の後に「私をくいとめて」を観たんだけど、全く違うタイプでありながら、共通点は大滝詠一メロディー。しかしこの2作、タイトル入れ替えても成立するんじゃないか。

2020/12/30

セリーヌ・シアマ監督「燃ゆる女の肖像」を観た。18世紀フランス。望まぬ結婚を控える貴族の娘と彼女の肖像画を描く女性画家。二人が恋に落ち愛に生きた数日を描く。なんという気高さ、名画の品格。完璧なまでに美しい映画。格調高くクラシカルでありながら女たちが寄り添い共闘する現代的なテーマもしっかりある。映画史的にも重要な作品として残り続けるだろう。ハッとするほどに美しいショットの数々が目に、心に焼き付く。見る/見られる関係が反転し、二人は恋に落ちる。決して結ばれることのない愛の結末とその余韻。愛と芸術の関係、その深さを叩きつけるラストの畳みかけが凄い。完全に打ちのめされました。