日々の泡。

popholic diary

2019年7月のTweet

2019/7/7

白石和彌監督「凪待ち」を観た。ギャンブル狂いのろくでなしが辿る、最低で最悪な再生の物語。ヒリヒリとする暴力の中で、愚か者たちが持ち寄る不器用な優しさが沁みる。誰もがちょっとしたことで間違いを犯してしまう。その愚かさこそが人間であり、そこに救いの手を差し伸べるのも人間なのだ。

スパイダーマン ファー・フロム・ホーム」をやっと観た。いやー最高!ヒーロー映画の爽快感と青春映画の甘酸っぱさ。そしてエンドゲームを受けての、その先へ向かう成長の物語。フェイクを操るヴィランもなんだか象徴的。MARVEL、まだまだ楽しませてくれるなぁ

チョ・ナムジュ著「82年生まれ、キム・ジヨン」読了。韓国でベストセラーとなり社会現象を起こしたフェミニズム小説。82年生まれのキム・ジヨンを通して社会が、男性が女性達に対してどのような態度をとってきたかが描かれる。いかに自分が無知で無自覚に女性を酷く扱っていたかを思い大反省。今日の「いだてん」では女性アスリート人見絹江さんが描かれた。それと同時に男たちが、社会が、彼女や女性をどのように扱い、どのような態度をとっていたかも描かれる。ひたすら無神経で差別的、無自覚に人を傷つける様は、今もそう変わっていない。自戒も含めて言うが男たちこそが変わるべき。

2019/7/14

デヴィッド・ロウリー監督「さらば愛しきアウトロー」を観た。スーツを着こなし、穏やかな頬笑みをたたえて銀行強盗をする老紳士。彼こそが16回もの脱獄を繰り返した伝説のアウトロー、フォレスト・タッカー。人生を軽やかに生きるまさに愛しきアウトロー。誰もがこの老紳士を好きになる。主演は今作が俳優引退作となるロバート・レッドフォード。粋な会話とユーモア、誰も傷つけずに行われる銀行強盗、優雅にすら見える警察とのカーチェイス。豊かな映画の記憶が呼び起こされ、なんとも心地よい。爽やかな軽味がとてもいいのだ。

ジル・ルルーシュ監督「シンク・オア・スイム」を観た。主人公ベルトランはうつ病を患い引きこもり生活を送るさえない中年男。ある日出会った「男子シンクロナイズドスイミング」。チームに加入することになったベルトランだがそこにいたのはそれぞれに問題を抱えたオヤジ達とコーチだったってな話。冴えないにも程があるおっさんたちのシンクロチームが奇跡を生む。まさにベタ中のベタ、みんな大好き、負け犬達のONCE AGAINな物語。キャラの立った登場人物たち、それぞれが抱える複雑な問題、それを越えて輝くラスト。いやそりゃ最高でしょう。

2019/7/20

ふと目に入った車内吊り広告。政権にすり寄る雑誌が相も変わらずヘイトを撒き散らしている。こんなことでしか自分たちを表現できないなんて悲しくないか。他者を攻撃することでしか自分を語れないなんて虚しくないか。権力者のケツをなめて自分も権力者になったつもりか。はっきりいってクソだよ。選挙前に張り出された吊り広告には、隣国や野党に向けられたヘイトにまみれた醜悪な言葉が並ぶ。これこそが現政権の本質だろう。そしてこれだけでこの政権を支持できない。あの言葉がいつか自分にも向けられるとどうして想像できないんだろう。

ユン・ジョンビン監督「工作 黒金星と呼ばれた男」観てきた!北に潜入した工作員「黒金星」。ついには最高権力者・金正日にまで接見。しかしその中で北の脅威を謳い軍事政権を維持したい与党と北側の裏取引を知り…。わずか20数年前、実際にあった話。いやはや自国の闇をエンタメに。スゲー映画力!主演は我らがファン・ジョンミン兄貴!陽気な商売人を演じる国の為に命さえ捨てるスパイ。その悲哀と覚悟、硬軟巧みな演技はさすがっす。そしてイ・ソンミンが激渋の好演。ラストは思わず涙!

2019/7/25

では吉本関連の話題を。ガレッジセール・ゴリこと照屋年之監督「洗骨」をやっと観た。文字通り骨を洗うという風習とそこに宿る受け継がれていく命の物語。笑いながら泣くようなとても豊かな映画だった。奥田瑛二の見事なダメ親父っぷり、助演女優賞ものの大島蓉子コメディリリーフ鈴木Q太郎も良い。この映画を勧めてくれたのは滋賀出身のアイデア溢れる芸人さんだった。ファン・ジョンミンの新作も公開されたことだし、いつかまたゆっくり映画の話ができたらいいな。

2019/7/28

京都レコード祭りで久しぶりに直枝さんの弾き語りを堪能。魂込もってたな。「やるせなく果てしなく」「Ooh!Baby」は自分にとって特別な歌で、人生の節目に現れては背中を押してくれる。しんどい時にどう立ち上がるかを教えてくれる。京都レコ祭りでの直枝さんのフリーライブ。最後には多くの人が拍手を送っていた。たまたま通りがかって初めて聴いた人もいるかもしれない。それはとても素晴らしいことだと思う。より広くより遠くに届くべきだと常に思っている。

ロバート・ゼメキス監督「マーウェン」を観た。ヘイトクライムにより人生を、記憶を奪われた男。PDSDに苦しみながら、架空の街「マーウェン」を舞台にしたフィギュアの写真を撮り続ける。空想の世界と現実の世界が交差するストレンジな映像表現に舌を巻いた。だがこの表現こそが必然であり意味がある。全く前知識無しで観たんだが、フィギュアが演じる空想世界の物語、その表現に度肝抜かれた。そして大好きな俳優、スティーブ・カレルの繊細な演技。空想の物語、そして彼に寄り添う人たちが現実を救う。大好きな映画になった。