2020/10/5
キム・スンウ監督「ブリング・ミー・ホーム 尋ね人」を観た。6年前に行方不明になった息子ユンスを探すジョンヨン。郊外の漁村に似た子供がいるという情報を聞き漁村に向うのだが…ってな話。いや、もうハード&ダークな展開にどんより&ぐったり。疲れた…。主演は14年ぶりのスクリーン復帰となるイ・ヨンエ。彼女の気高さに反して漁村の怪しい警官ユ・ジェミョンを筆頭に彼女を陥れる漁村の面々のまぁなんとも腐りきった極悪非道ぶり。韓国脇役陣の演技力の高さゆえ心底憎々しいのだ。
ミッジ・コスティン監督「ようこそ映画音響の世界へ」を観た。映画の「音」を生み出す達人達を追った丁寧なドキュメンタリー。出てくる面々の凄まじいプロフェッショナルぶりと、映画音響という仕事をまさに嬉々として楽しんでる姿が良い。観てるこっちも楽しくなる。仕事柄、たまにミキサー卓をいじることがあるんだけど、あれホント楽しいんだよね。
2020/10/10
ルル・ワン監督「フェアウェル」を観た。癌で余命3ヶ月と宣告された祖母ナイナイに会うべく中国へ帰郷したビリー。祖母に病気のことを知られない様にいとこの結婚式をでっちあげ親戚一同が集まるのだが…。告知すべきか黙っておくか、正解のない問題に向き合う家族の物語。告知すべきというNY育ちのビリー。中国で育った家族たちはそれに反対する。祖母を思う気持ちは同じなれどすれ違っていく家族。東洋と西洋の違いというだけでなく、やはり対「人」。まさに「正解」がないのだが、まさかの大オチが気持ちを和ませる。
2020/10/12
筒美京平先生、ありがとうございました。
2020/10/17
キム・ドヨン監督「82年生まれ、キム・ジヨン」。現在進行形の絶望を大いなる皮肉も交え突きつけた原作と比べ、コン・ユ演じる夫の比率を高めることで物語は随分ソフトな印象。それによって男性に逃げ道を作ってしまうきらいもあるが、それでもなお男性中心の社会が生む不条理が浮かび上がる。ジヨンの人生の前には母の人生があり、その前には祖母の人生がある。何代にもわたって男性は、社会は、女性たちを虐げその可能性を搾取してきたのだということを強く思い知らされた。そこは映画にあるエモーショナルな展開によってで原作以上のものだったと思う。また映画は原作に無かった「絶望の共感」の先を一つ提示して見せる。それはこの「82年生まれ、キム・ジヨン」という一冊の本が提示して見せた希望であるのだ。またその方法は女性だけでなく、社会の不条理を変えるために弱者ができる唯一の手段なのかもしれない。原作を読み、映画を観て、何を感じどう行動するのか。少なくともこの作品を成立させる力がある韓国社会は、古い社会へと逆行していく日本社会よりも成熟しているように感じる。今観るべき映画である。
しかしアメリカも、日本もなんちゅーかヒーロー映画に出てくる典型的な悪役みたいなやつらがでかい顔してんな。自分たちの利益の為ならどんな悪事も平気でできる嘘つきで卑怯でずるい奴ら。弱きをくじき権力者に群がる恥知らずの下卑た連中。連日のニュースに絶望しか感じない。
連日の筒美京平先生特集、さすが杉作さん。確かな選曲と熱い語り。これぞ音楽番組。それに比べ我が局ときたら…(以下自粛)
2020/10/24
instant cytronの片岡知子が死去。言葉がない。素晴らしい音楽を届けてくれたInstant Cytron。長瀬さんが心配…。Instant Cytron、今もまったく色褪せてない。音楽は残り続ける。
2020/10/25
中野量太監督「浅田家!」を観た。両親、兄とともに様々なコスプレをして撮った「家族写真」で注目を集めた写真家・浅田政志氏の実話を基にした物語。なんとも優しい時間が流れるいい映画だった。ゆったりとした「間」が心地よかった。時にグータラでいい加減に見える主人公が無駄な時間の中でゆっくりと一歩づつ進んでいく。だからこそ見えてくるもの、生み出されるもの。「家族写真」からにじみ出るユーモアと優しさがしっかりと映画化されていた。ノロマな亀のようにゆっくりとじっくりと時間をかけて考え納得し行動する主人公を演じる二宮和也がさすがに素晴らしい。大胆で繊細、グータラだけど誠実、そんな愛すべき人間味が奥底から溢れてくるよう。もう最近はおっさんになってすっかり涙腺のパッキンが壊れているので中盤からずっと涙のお漏らしが…。べつになんてことのないシーンに流れる「優しさ」がたまらないのだ。それだけ現実の中で「優しさ」が失われているからでもある。
2020/10/28
フット後藤の「悲しみSWING」がいい!アレンジはスカート澤部氏。いい仕事してる!