日々の泡。

popholic diary

2015年8月上旬のTweet

2015/8/1

朝一で映画。塚本晋也監督「野火」観てきた。第二次世界大戦末期のフィリピン・レイテ島。一人の兵士が極限状態の中、見たものは…。灼熱の原野を、死に片足突っ込んだまま彷徨う兵士。容赦のない剥き出しの戦争を追体験する映画。積極的平和主義?そこにあるのは飢餓と殺し合いだけだ。映画も主人公も、多くは語らない。ただ淡々と狂気に飲み込まれていく。いや、もしかしたらこれが本当の人間の姿なのかもしれない。知性も理性も人間としての尊厳すらも奪われていく。正義も平和も戦争の意味すら奪われた極限状態で、人は人の肉すら食らう獣になる。照りつける太陽、極限なまでの飢餓状態。銃撃戦で手がちぎれ、内臓が飛び散り、頭が破裂する兵士達。ウジ虫が這う死体の山の中を彷徨い歩く。映画を浴びることでその体験を観客は追体験する。戦争を知らない観客である僕らは追体験することで伝えるべきことを知るだろう。上映後、塚本監督の舞台挨拶。10代の頃に衝撃を受けた作品を数十年を経て、今という時代に完成させた監督。映画を浴びて、主人公とともに体験して欲しいという思い。そしてこの作品が2015年の今、公開されること。全てに意味がある。体験すべき映画。伝えるべき映画。

で少しクールダウンしてもう一本。ビル・ポーラッド監督「ラブ&マーシー終わらないメロディー」観る。ビーチボーイズブライアン・ウィルソン。その天才さ故に狂気の世界に引きずり込まれる60年代、そしてその狂気からの生還を果たそうとする80年代それぞれのブライアンの姿を並行して描く。60年代のブライアンを演じるポール・ダノのそっくりぶり。だんだん目がイッてくる様がなんともリアル。頭の中に溢れくる音楽を止めることが出来ないブライアンの狂気。どこまでもナイーブで、美しくて、悲しい「ペットサウンズ」はブライアンそのものなのだ。

出来たばかりのタワーレコード京都店(五条警察の向かいにあった)で、初めて買った洋楽アルバムはブライアン・ウィルソン88年のソロ作だった。「ペットサウンズ」は山下達郎がライナー書いてた89年再発盤。10代の終わりにひたすら聴いてたなぁ。あの頃は僕もナイーヴな少年でねぇ…なんつって

2015/8/2

朝から映画館へ。樋口真嗣監督「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」観てきた。得体のしれない恐怖を感じながら、高い壁を越えて残酷な世界に挑んでいく。これは実は誰もが人生の中で味わっていることではないか。徹底してハードに描写された「インサイド・ハート」な物語。面白かった!しかし喰ってたなぁ、巨人。芋けんぴ感覚でバクバク人間を喰ってたよ。容赦無い残虐描写は映画的興奮を呼びつつ、心の痛みすらも呼び醒ます。理解できない理不尽な暴力。知性も理性も通用しない暴力の恐ろしさ。それはこの世界そのものでもあるし、だからこそ挑まなければならない。

2015/8/3

カーネーションのライブ観てきた。20年前に出たアルバム「a Beautiful Day」再現ライブ。20年のあれやこれやを全て血肉化して叩き出された今の音。熱くてヤバくてヒリヒリしてて、それでいて身体中の傷もしょうがねぇなと笑ってみせる。あの頃より、より凶暴でより優しい。凄ぇよ。

2015/8/4

ソヒとソネのいないワンガ。全くの別物になった感あるけど...嫌いじゃない!AL発注しちゃったよ

Wonder Girls "I Feel You" M/V - YouTube

お気に入りのSSW、パク・セビョルさんの最高に心地いいシティポップ!イイね

박새별 park sae byul ; happy song _Realmusic난장 - YouTube

2015/8/8

杉瀬陽子さんのライブ@梅田AKASO観てきた。AL「肖像」のレコ発ワンマン。生で聴く彼女の歌、音はとにかくスケールが大きくて、邪気がない。柔らかな陽の光のように、老若男女全ての人に等しく降り注ぐ。その歌の大きさに酔いしれた。音楽の素晴らしさを改めて感じられるそんなライブ。安宅浩司さんや中森泰弘さんといったサポートミュージシャンも素晴らしかった。演奏の確かさはもちろん人間味溢れる暖かな音。そしてそんなミュージシャン達、音を引き寄せたのはやはり杉瀬さんの歌、その人間性によるものだと思う。彼女の歌の前ではどんな子細工も通用しないから。

2015/8/11

先週末は映画館に行かなかったのでDVDで見損ねていた韓国映画を2本。まずはパク・チンピョ監督「ユア・マイ・サンシャイン」。純朴な農村青年と訳あり美女の過酷な純愛物。出世作と言われるだけあって、天国と地獄を往復する青年を演じるファン・ジョンミンが素晴らしい。そしてカンヌ女優、チョン・ドヨンがたまらない。チャーミングに笑って見せたかと思えば、全てを諦めたかのような悲しみの果ての表情を見せる。観ながら思わず身悶えたね。

続いてはイ・ジョンチョル監督「ファミリー」。ム所帰りの娘と、寡黙で厳格な父親。すれ違う2人だが、それぞれの本当の気持ちを知り心通わせる。しかしその先には過酷な運命が…ってな話。娘を想う父の心…もう無条件に涙っすね。

遅ればせながら柴山一幸さんの新作「YELLING」について。「大人のロック」などというとなんだか落ち着いた音を想像しがちだが、本当は若者のロックなんかより熱くてヤバくてヒリヒリしてんだ。耳元で囁かれる「跳べんのか!」という問いに、真っ向から跳んでみせる。この熱に背中押される。彼のデビュー盤はメトロトロンレコードからのリリースだった。ムーンライダーズの鈴木兄弟が主催し、カーネーショングランドファーザーズを擁したレーベル。「YELLING」にはメトロトロンの魂を感じる。聴いてる間中ずっと胸が熱かった。落ち着いてる場合じゃない。ということで一曲。最高!

Headway /柴山一幸 (from 5th Album「YELLING」)MV - YouTube

2015/8/14

特に盆休みも無いまま金曜。「Astudio」に出てる山本美月ちゃんを軽くにやけながら観ている。唐突だけど戦争には反対です。

昨日観たNHKスペシャル「女たちの太平洋戦争~従軍看護婦激戦地の記録」は強烈だった。彼女達は本当の地獄を見たんだな。言葉の重みが違う。つくづく戦争の一番の敵は、時の権力者であり指導者なのだな。隣国よりも権力者の脅威を感じるこの頃。ぼんやりと空虚な談話のそら恐ろしさよ