日々の泡。

popholic diary

2014年9月下旬のTweet

2014/9/22

明日は休みということで会社帰りに映画を一本。イム・ホー監督「浮城」観てきた。貧しい水上生活者夫婦に売られた中英混血児・華泉。混血であるがゆえ自らのアイデンティティに悩みながらも貧しい漁民から中国人として初の英企業重役に登りつめる彼の人生を香港の歴史と重ねて描く。中国人と英国人との混血児である彼は、すなわち香港そのもの。戦後から90年代まで移りゆく香港とともに悩み揺れながらも懸命に生きる主人公。ある種ベタなヒューマンドラマになりそうなところをスタイリッシュでエッジの効いた映像で見せ、緊張感のある音響で聴かせるのに驚いた。

2014/9/23

今日は軽く仕事してから映画を一本。ジェームズ・ガン監督「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」観てきた。地球から宇宙に誘拐されてきたクイルを中心に凶暴なアライグマや樹木型ヒューマノイドなど「アパッチ野球軍」的なはみ出し者集団が銀河滅亡を救う。いやー面白かった!そして音楽が最高!SONYWALKMANと70年代ヒット曲満載のMIXテープ。宇宙の壮大な戦いとの組み合わせにイチイチグッとくる。マーヴィン・ゲイ&タミー・テレルに思わず涙も込み上げる。米エンタメ映画の底力感じるなー

2014/9/27

で本日も映画。ここんとこ毎週通ってる感がある京都みなみ会館で、まずはペトリ・ルーッカイネン監督「365日のシンプルライフ」。フィンランド発のドキュメンタリー。自分の持ち物を全て倉庫に預け、一日一個持ってくることができる。これを1年続ける。そして買い物はしない。そんな実験を追う。真夜中、雪が降る中、素っ裸で部屋から倉庫へ走る姿から映画は始まる。自分にとって本当に必要なものは何か?を身を持って探っていくペトリ監督。モノが溢れかえる部屋で映画を思い返す。僕もいつかモノを捨てられるかなぁ。垣間見えるフィンランドの街や暮らし。リペア、リサイクル、DIYが根付いていて、自然との付き合い方が実に自然。映画全体もさりげなく洒落てて国が持つ文化の温かみにほっこりきたなぁ。

そしてもう一本。キム・ビョンウ監督「テロ,ライブ」。TVキャスターVS爆弾テロ犯。主人公はスタジオ内から一歩も出ることなく、98分リアルタイムでストーリーは進む。これまたなんなんだよ韓国映画のレベルの高さ!32歳の新人監督にしてとてつもない面白さ!観るべし!強引さはあるものの、頭からお尻までまーったくダレることなくひたすら緊張感が続く、まさにライブな演出。主演はハ・ジョンウ!ハ・ジョンウ映画に外れなしをまたま更新。息詰まる攻防を柱に、メディアの在り方、国家権力の在り方を問う脚本。そして特上のエンタメ作。参った。映画内時間と実時間がイコールという制約の中、主人公が置かれた立場、背後にある人間関係、さらにガチンコなメディア批判、国家権力批判を描ききる巧みさに脱帽。そして行き着く先のビター過ぎる後味。なんなんだ、この面白さは!

それに引き換え…なんて言っては悪いが、朝ドラの最終回。そこまで言葉で説明しなくても。視聴者の「想像の翼」もぎ過ぎ。思えば「カーネーション」や「あまちゃん」の素晴らしさは、「行間の語り口」にあったのだな。それと登場人物の老け方の度合いがバラバラすぎて完全に醒めたなー。

2014/9/28

本屋は子供の頃からずっと好きな場所だった。本屋に住みたいと思ってたぐらい。だけどここのところ少し足が遠ざかっている。ヘイトを撒き散らす醜い本の数々をポップまでつけて大々的に展開する本屋の増えたことよ。いくつかの本屋ではもう二度と本を買うことはないだろう。本屋に並んでる本の背表紙を眺めてるとそれだけでワクワクした。どれもが未知なる世界へ通じる扉に見えた。世界には様々な人がいて、国があって、考えがある。世界は多種多様で多層であるということを本は教えてくれた。映画や音楽もそう。そういう場がヘイトで汚されることに耐えられない。自国も含め様々な国の映画や音楽、文化を、観て、聴いて、感じて、「いい」ものを「いい」と紹介する。それは即効性はないかもしれないけれど、ヘイトへのカウンターだと思っている。自分が映画や音楽のことをいつまでも書き続けているのは、だからなんだ。今、改めてそう思う。

おっ、NHKBSで台湾のバンド、宇宙人出てる。いいバンドなんだよ、これが。