日々の泡。

popholic diary

苦役列車にて

そんな訳で思い出したように更新。今日も映画の話。
山下敦弘監督「苦役列車」観た。バブル前夜の華やか気80年代後半。そんな世の中とは無縁のどん底人生のズンドコな青春物語。日雇いのその日暮らし。稼いだ金は、酒と風俗に消えていく。モヤモヤを無頼で飲み込む主人公・貫太の向上心なんて糞食らえな生き様を飄々と描いて見せる。鬱屈、ルサンチマン、海の底から世界を観るような貫太の目。でもその生き方にブレは無い。どこか誇り高さすら感じるのだ。キラキラした青春なんてのとは遠く離れているが、でもなぜか観終わると元気が出る。そのブレ無さ、誇り高さに勇気を貰えるのである。
主演の森山未来はとにかく素晴らしい!得体のしれない魅力を持つ貫太を完璧に体現している。ヒロイン、前田敦子(!)の掴みどころのない現実感の無さも良かった。無防備でこれまた得体のしれない可憐さ。それからマキタスポーツ!物語のキーパーソンとなるバカ役。まさに主人公に火をつける名演。これは助演男優賞モノです。それにしても相変わらず山下監督はいやーな空気感を描くのが巧い。観終わった後にふとシーン、シーンが思い出される。後ひく映画。