日々の泡。

popholic diary

韓国映画特集

思い立ったように更新。あまりに書き忘れてることが多いので自分のTwitterみて思いだしつつ。
韓国映画3本分を駆け足で。
まずはパク・ジョンボム監督・脚本・主演「ムサン日記〜白い犬」。脱北者の青年を主人公にした物語。半端ない孤独と焦燥感。無垢であることを捨てることでそこから逃れられるという皮肉。映画史に残るビターなエンディングに向けてのやるせなさに胸が痛い。それにしても「息もできない」のヤン・イクチュン監督といい、このパク・ジョンボム監督も自ら主演・脚本までこなしてのデビュー作でこの作家性と芸術性。韓国映画界、どうなってんだ。

さらにキム・ギドク監督「アリラン」。まさに強烈な一本。映画を撮れなくなった鬼才キム・ギドクが人里離れた山小屋で徹底的に自分自身と向き合う極私的ドキュメンタリー。これが映画になりうるのか?という内容だが、結果、「映画」としか呼べない強烈な「映画」になっていた。画面に映るのはキム・ギドク監督と猫一匹だけ。とにかく文字通り自問自答するキム・ギドク。モニターから質問をぶつけるキム・ギドク、それに応えるモニターの前のキム・ギドク。さらにその姿に突っ込みを入れるキム・ギドク。時に怒りをぶつけ、時に涙を流しながら「自分」を追い詰めていく。そして映画に飲み込まれてしまった監督は、3年の隠遁生活と自問自答を撮影する中でついには映画を飲み込んでいくのだ。そう、キム・ギドク自身がもはや映画なのだ!まさに凄い映画を見た!

で続いてキムサンマン監督「ミッドナイトFM」。ラジオ局を舞台にDJとストーカーが繰り広げるサイコスリラー。こちらはもう徹底したエンタテイメント。無茶な設定ながら、とにかく開始数分から緊張を緩ましてくれない怒涛の展開。一難去ってまた一難。この「これでもか」という上乗せ感はさすがの韓国映画。徹底してるなぁ。あと舞台がラジオ局ということもあって、その最新鋭の機材やらブースの描写にも目が行く。ま、僕が勤める地方の弱小局とは相当違うけどね。それからプロデューサー役に出てたチョン・マンシク。「息もできない」「哀しき獣」でも印象的だった俳優さん。「チョン・マンシクに外れなし」と言ってしまおう。