日々の泡。

popholic diary

秋休み

いや、それにしても、放置しすぎである。インプットに忙しくてアウトプットができてないという状態か。もはや自分の中での処理能力が落ちていっている。10月は毎週休日出勤予定がすでに入っているのでほぼ更新はしないかも。
なんだろうな。結局俺はずっと「ドラフト待ち」だったんだ。でももうドラフトは終わってる。とっとと全部から足洗うべきなのか。なんてなことを考えつつ。相変わらず音楽聴いて、映画観ての生活。
おっと辛気臭い心の声は置いといて、備忘録的に映画話。

ヤン・ヨンヒ監督「かぞくのくに」観てきた。「帰国事業」によって北朝鮮に移住した兄と日本で自由に育った妹。25年ぶりに一時帰国した兄との再会。ヤン監督の実体験を基に描いた物語。家族すらも引き裂いてしまう、「国」って一体なんだろう。

「かぞくのくに」。子を想う親の気持ち、いたわり合う兄妹。その気持ちはどこに生まれても、どこに住んでいても同じはずなのに、「国」はいつでも不条理で理不尽で、その前に立ちはだかる。悲しくてやりきれない想いは今もまだ残り続けているのだ。

「かぞくのくに」、安藤サクラ井浦新、さらに「息もできない」のヤン・イクチュンの演技のアンサンブル、絶妙な距離感が素晴らしい。それと兄妹の叔父役、諏訪太郎さんには助演男優賞をあげたい

在日二世の女性監督、ヤン・ヨンヒ監督の「かぞくのくに」は自身の体験をもとに描いた作品。かって行われた「帰国事業」によって「北」に移住した兄との物語。「国」がもたらす悲劇。最近は「国」を意識せざるを得ないニュースが多くて複雑な気持ちでいる。「自分の国だけが正しいんだ」と思える人はある意味幸福な人なのかな。
それでは気を取り直して、韓国の骨太なエンタメ作を2本。

ユ・ハ監督「凍える牙」観てきた。乃南アサの小説を韓国で映画化。主演はイ・ナヨンと名優ソン・ガンホ。ハードボイルドで骨太。実に見応えあり。開始早々から最後まで中だるみなしでグイグイ物語に引っ張られた。

映画「凍える牙」。陰惨な事件を通して浮かび上がる、哀しみを湛えた孤独な魂。二人の刑事、狼犬、それぞれの孤独な魂が交差し、迎えるラストのなんともいえぬやりきれなさ、この哀しみ。沁みた…


まずは日本の小説を映画化したユ・ハ監督「凍える牙」。過去には日本でも映像化されているそうなのだが、それには苦言を呈していた作者が、隣国で映像化された今作については激賞しているというのが、なんとも象徴的。結局、日本でなにか作ろうとすると声がでかいよくわからん大人達の意見に振り回されちゃうんだろうな。いや、仕事してるとそういうことあるよねぇ。「とりあえずなんか言いたいだけ」の意見なんか聞くもんじゃない。でも「とりあえずなんか言いたいだけ」の奴に限って、力持ってんだよなー。なんて、それはまた別の話。
「哀しみを湛えた孤独な魂」なんて書いちゃってるけど、まさにそうとしか言えない孤独な魂がいつしか共鳴し合う。いや、実に見ごたえのある映画だった。
で次。

ソン・ヨンソン監督「依頼人」。死体無き殺人事件。逮捕された容疑者と検事と弁護士。三つ巴の心理戦が繰り広げられる法廷劇。陪審員の一人になったような気分で2時間。これまたちゃんとしたいい映画だった

映画「依頼人」。弁護士を演じる韓国若手演技派No1ハ・ジョンウ、さらにパク・ヒスン、チャン・ヒョクと3人の硬派な演技対決は見もの。相乗効果でぐんぐん引き込まれた。どこに決着つくか分からない展開で息つく間もなし。

日本公開されてるって時点でふるいにはかけられてるんだろうけど、韓国映画、力あるわぁ。

ソン・ヨンソン監督の「依頼人」は、これまた骨太な法廷劇。弁護士、検事、容疑者三つ巴の心理戦が滅法おもしろい。いったいどこに決着するんだ!と2時間の間揺れっぱなし。3人のキャラクターそれぞれのバックボーンが見え隠れしつつ、それぞれの葛藤や想いがちゃんと意味をなしてストーリーを紡いでいく。でまた3人の俳優が素晴らしいんだよね。