日々の泡。

popholic diary

2021年5月2日~7日の話。

土曜の夜はドラマを2本。渡辺あや脚本×(信頼と実績の)松坂桃李主演「今ここにある危機とぼくの好感度について」。コメディの中に芯をつく言葉あり。続いては実力派若手俳優がずらっと揃う「コントが始まる」。有村架純いいね。

日曜。朝から車で実家へ。墓参りして、施設に入っている祖母と面会。といってもこのご時世なのでガラス越しに数分。大柄な祖母だったが、100歳を越えここんとこ入退院を繰り返していたこともあって随分小さくなった。言葉でのコミュニケーションはもはや難しいのだけど、彼女の生きた100年についてもっと聞いておくべきだった。

月曜。朝からひたすら庭木の伐採。放っておくとすぐ伸びる。雑草の勢いもすごい。植物の生命力たるや。夕方、買い物がてら妻の実家へ。仕事終わりの娘も呼びご飯。いつもならこの季節はお祭りがあって、義兄夫婦や義姉一家も集まってにぎやかに過ごしていたが、昨年・今年とお祭りも中止で寂しいGW。それでも80にしてスマホデビューの義母にいろいろ教えたりしながらの楽しい食卓。

火曜。今日も朝から庭木の伐採の続き。早々に終了。天気もいいので近所をオジ散歩。ポッドキャストで町山さんの「アメリカ流れ者」、radikoで杉作さんの「ファニーナイト」など聴きながら。
午後からアマプラで映画を一本。廣木隆一監督「ここは退屈迎えに来て」を。何者にもなれなかった者たちの群像劇。まぶしかった青春の残像に囚われその後の人生に虚しさを覚える登場人物たち。でも誰も迎えに来てはくれないのだ。そこから出ていくには自分の足で歩くしかない。ひどく退屈で、ひどく空しくて、果てしないないまでにやるせないけれど、そこにしか人生はない。ある種、残酷な話なのだがとても良かった。

水曜。GW最終日は雨。朝から妻と買い物に行って1袋9円のそばで昼食。
午後から今日もアマプラで映画を一本。キム・ジウン監督、ソン・ガンホ主演の2000年作「反則王」を観る。さえない銀行員が、反則を得意とする覆面レスラーにってなコメディー。若きソン・ガンホの軽妙さと、かなり本格的なプロレスシーンが楽しい。パク・ソンウン、シン・ハギョンといった今や大スターがちょい役で。
続いて配信で水道橋博士主宰のイベント「アサヤン 阿佐ヶ谷ヤング洋品店」Vol.6。義太夫語り「たけし軍団伝」。あの頃の「たけし軍団」。映像からあふれ出る多幸感たるや。確かにあの頃のたけし軍団はアイドルだった。義太夫さんによる「たけし軍団」話は今後もぜひ聞きたいし、あの頃のたけし軍団狂騒曲はいつか映画にして欲しい。

金曜。仕事帰りに映画を一本。大津アレックスシネマで大島渚監督「戦場のメリークリスマス(4K修復版)」を。中学生の頃、テレビで見て以来だからもはやほぼ初見。改めてこんな映画だったのかと驚愕。愛について、日本という国について、個人と集団について…様々なテーマを内包した歪で複雑な映画。しかし翻弄されつつ最終的には心の中で拍手を送った。個人であることより、集団のルールを重んじ、やがて集団の論理に飲み込まれ、集団であることが全てになる。セリアズと出会い、足元が揺らぐヨノイ。それに対しハラは集団の中での自分の位置・力に十分に自覚的で、集団を冷静かつ客観的に観ているように感じた。個人など最初から無いのだという前提にいるからこその視点。野蛮で暴力的に振舞うことにさえ自覚的であるが、それでもローレンスとの対話の中で彼本来の人間性が顔を出す。もし戦争という異常な状況でなければ彼は少々野暮だがただ気のいい親切な男だったかもしれない。クリスマスの夜、酔っぱらった、あるいは酔っぱらったという自己演出を施したハラの振る舞い、あの表情。やがて戦争が終わり、あのラストシーン。たけし、最高!「世界のキタノ」の最初の一歩が完璧に刻まれた名演!素晴らしい!
それともう一つ。収容所の捕虜たちの姿が、今現在の自分たち、コロナ禍という状況でクソみたいな政権に囚われ首根っこを掴まれた自分たちの姿に見えた。