日々の泡。

popholic diary

2015年3月上旬のTweet

2015/3/1

本日映画の日ということで朝から京都出て映画。チアン・ショウチョン監督「さいはてにて」観てきた。台湾の女性監督による日本映画。幼い頃に別れた父が残した海辺の船小屋で焙煎珈琲店を開く主人公・岬。向いに暮らす若い母と二人の子供。それぞれに事情を抱えた2人の静かな物語。海辺の風景の中で静かに少しづつ再生していく2人の女性。子供たちのちょっとした成長譚。チアン監督、主演の永作博美ともに僕と同世代。丁寧な仕事ぶりが良い。自分もしっかり仕事せねばという気持ちになる。

でもう一本。ジョン・ファヴロー映画「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」観てきた。一流レストランの料理長カール。メニューにまで口出しするオーナーと対立し、店を辞めフードトラックからの再スタートをきる。いやはや最高!めちゃめちゃおもしろかった!監督・脚本・主演を務めるジョン・ファヴローは「アイアンマン」などの監督として知られる人。ハリウッドのドメジャーで仕事してきた監督がその地位を捨てて「自分の作りたい映画はこれだ」と作った渾身作。出てくる料理のうまそうなこと!音楽使いの素晴らしさも最高!モノづくりとは?その原点を見つめ一からスタートするカール。マイアミからニューオリンズ、ロサンゼルスまでを走るフードトラック。さながらロードムービーでもあり、さらに旅と料理を通じて息子との絆を取り戻す人情劇でもあり、とにかく素晴らしかった。笑って泣いて勇気もらえた!

2015/3/6

土日に仕事が入ったので、今日は大阪での収録仕事を終え午後休に。阪急電車で梅田から河原町滋賀県民になってからはほぼJRしか乗らないのでたまの阪急電車が新鮮。サラリーマン成りたての頃に乗っていた地獄のような満員電車にはもう2度と乗りたくないが。

で今日は立誠シネマで映画。まずは山下敦弘監督「谷村美月17歳、京都着」観る。2007年テレビ用に撮られた谷村美月によるフェイクドキュメンタリー。虚実入り混じる中に、女優の一歩手前で揺れる17歳の女の子の「実」が描かれる。嘘の中にある心のホントの瑞々しさにほだされる。

で続いて同じく山下敦弘監督「超能力研究部の3人」観る。実に不思議な映画。映画「超能力研究部の3人」に主演する3人のアイドル。彼女たちがダメ出しされては悩み、揺れ、涙する姿を追うドキュメント。そしてそのドキュメントもまたフェイクという虚と実が複雑に絡まっていく映画。役を演じながら、役を演じる自分自身も演じるという中で、これまた心のホントが浮かび上がってくるから面白い。虚と実に翻弄されて、その綻びから女の子たちの魅力が滲み出てくる。女の子達を追い込む監督役の山下監督の名助演も見もの。

でもう1本。カンパニー松尾監督「劇場版BiSキャノンボール2014」観る。アイドルグループBiSの解散ライブに密着するのはカンパニー松尾隊長率いるAV監督軍団。メンバー1人に1人の監督がついて、「テレキャノ」方式で点数を競いあいながら撮影を敢行。いろんな意味で痺れるドキュメント。真夏の一日を焼き付けた「テレクラキャノンボール」。しかし今回の相手はアイドルグループ。性器の一戦かあるいは正気の凡戦か。虚に生きるアイドルの実に迫ろうとする監督達だが…。いやはやガチゆえの消化不良もまた生々しく惹きつけられた。

2015/3/7

予定通りにはいかない日。仕事長引き映画館には行けず。ゆっくり料理作ってストレス発散。ここんとこ仕事は新しいチャレンジが多く、ずっと胃が痛い状況なれど、なんとか越えていきたい。出来ることを増やして好きなことを仕事に近づけていきたいものだ。

2015/3/14

2週間ぶりの休み。ということで映画。ダンテ・ラム監督「激戦 ハート・オブ・ファイト」観てきた。堕ちた元世界チャンプ、破産した元御曹司、心に深い傷を持つ母娘。総合格闘技MMA)舞台にした負け犬たちのONACE AGAIN映画。砂を掴んで立ち上がる彼らの姿に胸アツ。沁みたっ。躓き、傷ついた者たちのONCE AGAIN映画には弱いんだよね。自らの肉体を改造し、生々しく痛みを感じさせるリアルファイトを演じて見せたニック・チョン、エディ・ポンには心からの拍手を。肉体の痛みが心の痛みを凌駕し、やがて癒していく。こういうのに、弱いんだよ。

みなみ会館居残りで続けてもう一本。イム・ピルソン監督「愛のタリオ」観てきた。大学を追われ田舎町にやってきた大学教授。田舎町で退屈な毎日を過ごす少女。二人は出会い激しい恋に落ちるが、やがて男は女を捨てる。そして始まる復讐の物語ってなメロドラマ。漂うエロスと不穏な復讐劇が凄い。百戦錬磨のインテリ中年男が、恋に恋する田舎娘をがっつり弄び、ポイ捨て。流出するキス写真には「ニセ写真」発言、ニコ生で80股を告白、愛人リストまでもが流出しネットは大炎上…ってこれは「愛のトシオ」でしたな。話し戻して映画「愛のタリオ」。イケメン俳優、チョン・ウソンがパンツ降ろしてクズ男を渋く熱演。ねっとりがっつりの生々しい夜のリアルファイトを演じきる。そのムンムンとした熱気が後に続く復讐の大きな伏線となる。相変わらず韓国俳優は凄い。そして田舎娘のピュアな恋心、愛に触れ押さえきれない身体の火照りを体現し、さらに傷を負って冷酷な復讐の鬼と化す女を演じきるイ・ソムがとてつもなく素晴らしい。少女から女へ、喜びや悲しみをその肉体を持って表現する女優魂。すっかり魅せられた。そしてもう一人、主人公の娘を演じた弱冠17歳のパク・ソヨンもいい。昨年公開の映画「レッド・ファミリー」でも存在感ある演技を見せていたが、さらに進化を遂げてたなぁ。ますます期待の女優さんですよ。

2015/3/15

今日はモルテン・ティルドゥム監督「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」観てきた。時は第二次世界大戦中の英国。ドイツ軍が誇る世界最強の暗号「エニグマ」解読に挑む天才数学者アラン・チューリングの姿を描く実録物。まさに事実は小説より奇なりな物語。引き込まれたなぁ。戦後50年以上も国家機密として封印されていたという暗号解読にまつわる事実。題材そのものにまず興味深く惹きつけられる。そこに天才数学者の秘密と孤独、葛藤が加わり物語が熱く厚くなる。どうしようもない悲しみがずっと物語の底にあって切ない映画でもあったな。天才数学者アラン・チューリングを演じるのはベネディクト・カンバーバッチ。もうこれ以上ないほどのはまり役。「天才」という異形の者の孤独や哀しみがあの顔に、あの眼に、あの表情に宿っていた。震えるほどに素晴らしい演技だった。