日々の泡。

popholic diary

「蝶の眠り」

チョン・ジェウン監督「蝶の眠り」を観た。

アルツハイマーになった女性作家・涼子。ある日出会った韓国人留学生のチャネに「最後の小説」の執筆を手伝ってもらうことに。やがて惹かれあう2人。しかし残された時間は少なくて…。

ってなしっとりと沁み入る大人のメロドラマ。

主演は中山美穂。彼女が95年に出演した岩井俊二監督の「Love Letter」は韓国でも大ヒットした作品で今もなお人気。Twiceの最新曲「WHAT IS LOVE?」のMVでもパロディが演じられているぐらい韓国では誰でも知っている作品なんだそう。チョン・ジェウン監督も大ファンの一人で、中山美穂の出演を熱望したんだとか。

柔らかな光の具合とか静かで繊細な演出は岩井作品の影響も感じる。韓国のクリエイター達に、この“岩井俊二タッチ”って凄く人気があるのだなぁと感じることが多い。おだやかで繊細で、でもちょっとユーモアがあって、やっぱり切ない。この感じ。一歩間違えれば雰囲気に流されてしまいそうなのだが、日本よりむしろ韓国のほうがその本質を理解しているようで、今作もまたただの雰囲気映画では終わらない誠実さがあった。

美しき中山美穂とこれまた美しいキム・ジェウク。年上の女性と青年。いや、まぁ現実的にはどうなのかわからないが、この2人が演じると実に自然でメロメロにメロウなメロドラマが成立する。

後半の畳み掛けからの美しき回収に、男おばさんはちょっと泣いた。

韓国人監督による脚本・監督の日本映画。まさに日韓合作。日本映画の良さと韓国映画の良さがが寄り添っている感じで僕は好きだなぁ、こういうの。

「Love Letter」大好きな韓国の人たちも、この“中山美穂の生還”を大いに受け入れてくれるんじゃないかな。