日々の泡。

popholic diary

抱きしめてトゥナイト

そんな訳で全然追いついてませんが映画のお話。イ・ジョンボム監督「アジョシ」を観る。最初に言っておくと、本年度No.1です。現時点で。
古びたビルの片隅でひっそりと質屋を営む孤独な男・テシク。そんな彼を唯一慕ってくるのは隣の部屋に暮らす少女・ソミ。ソミもまた愛情に飢え孤独の中に生きていた。ある日、犯罪組織から麻薬を盗んだ母親とともにソミが拉致される。ソミを救うため、テシクは単身、犯罪組織との戦いに挑む…ってなお話。まーあらすじだけきくと、なんかよくありそうなパターンね。と思うかもしれないが、これがもうすこぶるおもしろいのだ。まずはとにかくテシクを演じるウォンビンが素晴らしいの一言に尽きる。ウォンビンになら抱かれてもいい!(40歳、男性・談)というぐらいにかっこいいのだよ。映画の中で明かされていく男の過去、深い悲しみの果ての孤独。そして唯一の希望を守るために全てを捨て戦うその姿。決して多くはない台詞ながら、ちょっとした表情、瞳の中の光、そのパーフェクトボディ(ケインコスギの声で)で見事に表現。ドハードなヴァイオレンス描写、アクションシーンも完璧すぎてクラクラした。でこの映画の凄いとこはそんなウォンビン演じるテシクをはじめどんな端役に至るまでそのキャラの立ち具合が凄いとこだ。最悪最凶の悪役マンシク兄弟、謎のタイ人殺し屋(この人主役に映画一本できるぐらい良い)、テシクを追う刑事達、駄菓子屋のおっちゃんに、子さらいのババァにいたるまでちょっとしたシーンからその人物がどういう性格なのか、どういう人生を送ってきたのかがまさに浮かび上がってくるのだ。この演出の確かさは相当なもので、いかにも映画的なありえない設定ながら、その演出と役者たちの演技によって、リアルを越えた深みが感じられるのである。壮絶なるヴァイオレンスシーンに手に汗握り、テシクとソミの孤独な魂が触れ合う瞬間に涙がとどめなく…。それにしてもここまでハードな映画が昨年度の韓国興行収入No1ってんだから、韓国恐るべし。その文化レベルの高さに心底恐れ入る。
あーそれにしてもウォンビン。もはやこれは「ウォンビンびんびん物語」だ!