日々の泡。

popholic diary

2015年5月のTweet

2015/5/1

たまりにたまった代休を1日消化。デイミアン・チャゼル監督「セッション」観てきた。音楽大学に入学した野心に溢れる若きドラマー、ニーマン。彼を待ち受けていたのは鬼教師フレッチャーの狂気のレッスンだった。まさにモーレツドラム教室。狂気の果て、ラストの打ち合いに持ってかれた!お互いが持つ野心や意地が狂気をエスカレートさせていく。やがて訪れる破滅。そしてその先のラウンド2。何もかもを失った二人の精神的な殴り合いから始まるラウンド2が、剥き出しの音楽によって魂のセッションに姿を変える!血液が沸騰しきるラストのカタルシスたるや!坊主頭の戸塚宏と化したJ・K・シモンズの「スパルタのJAZZ」な指導が怖すぎたっ!

で地下鉄移動でもう一本。グザヴィエ・ドラン監督「Mommy」観てきた。最初に言っておきましょう。大傑作!若干26歳の天才監督による映画史に残る一本。奇跡的なショットの数々、そしてなにより強烈で痛みを伴う「愛」と「感動」がある。打ちのめされました。一度キレると感情を抑えられない息子スティーブとシングルマザーのダイアン。そして吃音に悩む女教師カイラ。問題を抱える3人が過ごす奇跡のような時間。何度も倒れ、打ちのめされても、砂を掴んで立ち上がる。やるせなく果てしなく、人生は続く。傷だらけの愛が胸に迫る。映画を観てる間、「こ、これは…。今、凄いものを観ている!」と鳥肌が立つ瞬間が何度もあった。ドラン監督、前作「トム・アット・ザ・ファーム」を観て、そのアンファンテリブルぶり、切れ味鋭いナイフのような才能に驚いたが、その驚きを遥かに超えて揺さぶられた。凄い。

2015/5/2

今日は特に用事も無く、溜まったポッドキャスト聴きながら近所をうろうろと散歩。ビートたけしゲスト出演の「ビバリー昼ズ」に「たまむすび」。テレビではかなりセーブされているが、やっぱりラジオのたけしさんは最高。スピード、言葉のセンス、毒気、どこをとってもこの男、凶暴につき。

2015/5/4

京都みなみ会館で映画。ユン・ジョンビン監督「群盗」観てきた。時は朝鮮王朝末期の1862年。瀕死の状態の中、盗賊団に拾われたトルムチ。貧しき民を救う為、悪政の限りを尽くす武官ユンとの壮絶な戦いが始まる!ってな話。これぞ映画!大画面に相応しいアクション活劇エンタメ大作!見応えあり。とにかく前のめりで引き込まれるスケールの大きな活劇。韓国エンタメの底力をまたまた見せつけられたなぁ。坊主頭のハ・ジョンウが大暴れ。ハ・ジョンウ映画に外れ無しを更新。そして映画史に残る最強にして最悪、それでいて美しくも悲しい悪役を演じたカン・ドンウォンが素晴らしすぎた。監督は「悪いやつら」のユン・ジョンビン。徹底したエンタメ作でありながら骨太な演出。イ・ギョンヨン、イ・ソンミン、マ・ドンソク、チョ・ジヌンなど韓国映画の屋台骨を支える演技派が脇を固める。そして「悪いやつら」のキム・ソンギュンが!韓国映画ファンとしては堪らん!

そしてみなみ会館居残りでもう一本・エドワード・ヤン監督の86年作「恐怖分子」観てきた。1980年代の台北。都会の中に潜むちょっとした悪意が連鎖し交差していく不穏な群像劇。体温低め、クールな映像美の中に潜む衝動。重たく飛び散る血飛沫が頬にかかるような静かな衝撃がある。

2015/5/5

今日は仕事の後、妻の実家へ。甥っ子のとこに生まれた10ヶ月になる男の子が「人生初歩き」。たった3歩だけど皆が幸せに包まれた。それにしても子育ての時間ってのはあっという間に過ぎる。スマホばかりいじってる18の娘に小言を言いつつあの幸せな時間をふと思い出す。

2015/5/6

寺尾紗穂さんのAL「楕円の夢」が本当に素晴らしい。言葉と音がとても深いところで結びついている。彼女の音楽はとても純粋である。余分なものが何一つ無い。まるで鉱石のように、とてつもなく美しくて強い。

今更ですがNegicco「Rice&Snow」ばかり聴いてる今日この頃。全曲最高だけど特に北川勝利氏アレンジの「クリームソーダLove」は僕が思う100点のアイドルポップ!

TWEEDEESのALもお気に入り。結局、14歳の頃からずっとこういうポップソングが好きなんだな、俺は。ポップ職人が丹精込めて作ったポップソングをかわいい声の女の子が歌ってる。ってのが中学の頃から大好きだった。

このシングル(「春して、恋して、見つめて、キスして」ポータブル・ロック)とか当時予約して買ったなぁ。趣味の合う友達なんかいなかったけど

2015/5/9

今日は映画を一本。佐藤祐市監督「脳内ポイズンベリー」観てきた。2人の男性の間で揺れるアラサー女子の現実。そして彼女の脳内で「ポジティブ」「ネガティブ」「衝動」「記憶」「理性」が繰り広げる脳内会議が描かれる。揺れる女心はおっさんには難しいと思ったが乙女成分多めおっさんなので楽しめた。舞台劇さながらの脳内会議部分がやはり楽しい。まさに今一番のっている女優、吉田羊が本領発揮。若きベテラン神木隆之介も巧みだなぁ。現実パートのいつになくキュートな真木よう子、対する古川雄輝、成河。この3人の並び、見た目のフレッシュさも良かった。

2015/5/10

今日も映画を一本。原恵一監督「百日紅~Miss HOKUSAI~」観てきた。原作は杉浦日向子さん。葛飾北斎の娘、お栄の物語。行間で描かれる江戸の町の暮らし。しなやかに凛と生きるお栄を見ながら、杉浦さんってこんな感じの人だったのかなぁなんて思う。特別大きな物語があるわけでもないし、泣ける感動作なんてものでもない。生活の中に生があり、死があり、笑いや涙や想いが滲み出る。まさに「LIFE」を描いている。綻びも含めた美しい佇まい。知らないはずの江戸の空気が感じられた。

2015/5/14

感想はまた後日たっぷり書きますが、是枝裕和監督「海街diary」を試写で観た。ある程度は予想していたがそれを遥かに超える素晴らしい作品だった!心のひだを丁寧に捉えた“家族”の物語。広瀬すずという素晴らしき映画女優の誕生に拍手。女優の魂が継承される、女優映画でもあったな。

2015/5/15

明日5/16から大津アレックスシネマさんで「バードマン」が公開されます。滋賀県初上映!アレックスシネマさんとe-radioが今、映画館で観て欲しい作品を猛PUSHする「LOVE SHIGA LOVE CINEMA」の第一回作品です!映画館でしか味わえない興奮がある作品。ぜひ!

2015/5/17

大津アレックスシネマで滋賀初上映「バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」見てきた。2回目の観賞だったがしっかり興奮させられた。そして新たに感じるところもある。主観の世界だけで生きてきた男がその自分を殺した瞬間、再び世界が動き出す。中年以降の生き方について考えてみたり。

二重行政の解消て府知事と市長がしっかりすりゃええんちゃうんかね。で誰だっけ府知事と市長

2015/5/18

NHKのドラマ「64」見応えがあった。あの重厚でギリギリな物語、韓国で映画化したら絶対と相性いいと思うな。主人公にはチョン・ジェヨンを推薦したい。

2015/5/19

若きSSW、シンリズムのAL「NEW RHYTHM」が素晴らしい。高校生らしからぬこなれたシティポップ?いやいや、無邪気な新しさがはっきりとある、眩しくてちょっと背伸びしたPOP!

少し前に出たDAOKOのALもよく聴いている。こちらも高校生。今時の子供たちは凄い!いや世代じゃない。10代だろうが60代だろうがいいものはいい。

そういえば少し前に紹介した藤原さくらも確かまだ10代。音楽界の未来は明るい。ギョーカイの未来なんて知らないけど。

2015/5/23

朝から映画館へ。シム・ソンボ監督「海にかかる霧」観てきた。6人の乗組員を乗せた漁船チョンジン号。不況の中切羽詰まった船長が引き受けた仕事は中国からの密入国者を運ぶ仕事だった。2001年に実際に起こった事件を基に描く狂気の世界。船上が戦場になる壮絶な物語!プロデュースはポン・ジュノ。そして彼の監督作にして出世作殺人の追憶」の脚本を書いたシム・ソンボが初監督。ほぼ漁船の中だけで展開される息詰まる攻防。潮の匂いと血の匂いが立ち込める中、常軌を逸していく乗組員たち。世界が狂気に染まっていく様の恐ろしさ。船を守ろうとするあまり狂気に足を踏み入れていく船長を演じるはキム・ユンソク。世界一手斧が似合う男。もはや安定の鬼畜怪物ぶり。そして守るべき人の為、1人正気の世界に踏みとどまる青年を演じるパク・ユチョンがいい。ラストの表情が実に素晴らしく、切なさを印象付ける。

でもう一本。ニール・ブロムカンプ監督「チャッピー」見てきた。犯罪多発都市南アフリカ。科学者ディオンによって作られた人工知能を搭載したロボット兵器「チャッピー」。ギャング夫婦に拉致されクールなギャングとして育てられる「チャッピー」の行く末はいかにってな物語。見るべき映画!生まれたての子供である「チャッピー」が置かれた環境の中でいかに育っていくか。暴力と愛情に揺れながら加速度的に育っていく「意識」。今最も注目すべき映画監督の一人、ニール・ブロムカンプが描く現代社会の隠喩でありながら、ロボットアクションとして抜群に魅せてくれる。男心をくすぐる魅力溢れるロボット造形。小物の一つ一つ、剥き出しの配線にすらワクワクする。あと実際のラッパーであるニンジャ&ヨーランディが実名で演じるギャング夫婦も見もの。インド系のデーヴ・パテルや鬼畜な悪役を演じるヒュー・ジャックマンなどキャスティングが絶妙。

2015/5/24

今日も映画。イ・ソクフン監督「パイレーツ」観てきた。巨大なクジラに飲み込まれた朝鮮建国の証である「黄金の国璽」。失われた国璽を巡って海賊、山賊、官軍の壮絶なバトルが繰り広げられる!ってな海上スペクタクルアクション。大盛り、テンコ盛りの超エンタメ作。なにこのアクションレベル。凄い!もはや笑っちゃうレベルのやりすぎアクションが堪らん。この振り切れぶり。ケレン味たっぷりのド派手かつアイデア溢れるアクション。とにかく絵ヂカラが凄くて、目が喜んじゃうな。しかしなんたるサービス精神。こりゃ日本のチマチマアクションじゃかなわんわなぁ。腕は立つけどちょっとマヌケな山賊を演じるはキム・ナムギル。エンタメ作に相応しい二枚目半ぶりが良い。清純派かつ正統派美人女優、ソン・イェジンがかっこいい女海賊を演じる。イメージを覆すワイヤーアクション満載の大暴れっぷりと滲み出るかわいさが良いなぁ。そして韓国映画のお楽しみは芸達者な脇役陣を観ること。激渋俳優、イ・ギョンヨンの恐るべき安定感。山賊と海賊の間を行ったり来たりして爆笑をかっさらうユ・ヘジン(ドリルすんのかい!の新喜劇吉田裕に激似)。そしてK-POPおじさんとしてはf(x)のソルリに目が釘付け。

そして映画館移動してもう一本。ユン・ジェギョン監督「国際市場で逢いましょう」観てきた。朝鮮戦争真っただ中の1950年代から現代にいたる激動の時代を一人の男、ドクスを通じて描く大河ドラマ。家族の為に、歯を食いしばり、涙をこらえた「父」の姿は国境を越えて胸に響く。これは必見作です。戦争の混乱の中、父と妹と生き別れたドクス。自分のことは後回しに、家長として母や弟達の為にただただ必死になって懸命に働く。ドイツへの出稼ぎ、ベトナム戦争といった過酷な状況を生きる彼の姿。国は違えど、市井の人々その家族を想う気持ちに変わりはない。韓国版「三丁目の夕日」などという紹介もされているが、ここには昔は良かった的な懐古趣味はない。厳しく辛い時代を生きた人々の魂が込もっている。この辛い時代を生きたのが自分たちで良かった。子供たちや孫たちじゃなく自分で良かったんだという主人公の言葉に涙。でも決して湿っぽい映画ではない。笑いどころもたっぷりだし、スマートな演出で映画として新しさすら感じる。主人公を演じるのは「新しき世界」のファン・ジョンミン。人懐っこい笑顔がドクスの深い人間力を感じさせる。素晴らしい名演。脂乗ってる感が凄いな。そして主人公の親友ダルグを演じるのは韓国No1バイプレイヤー、オ・ダルス。はっきり言って、最高!影の主役といってもいい活躍ぶり。ファン・ジョンミンとの絶妙な掛け合い、爆笑に次ぐ爆笑の名演。オ・ダルス映画に外れ無し!と言いたい。

映画館が実家の近くということもあり、なんとなく母を誘って2人で観た。一種の「親孝行プレイ」ですな。母と一緒に映画観るなんて小学生の頃に連れて行ってもらった「劇場版ガンダム」以来30数年ぶり。「いい映画やったわぁ」と母にも好評で良かった。