日々の泡。

popholic diary

ないしょの茂みにて

グランドファーザーズ最高だったにゃーと夜中も朝からも余韻に浸る。それにしても立ち見まで出ていた昨日の拾得。あの光景にもう泣きそうになった。
2006年12月のあの伝説のライブから苦節2年、人で溢れる拾得に全米が泣いた-それぐらいの感動があったなぁ。カレーは喰いそびれたけど。それにしても拾得、カレーにどうしてあれだけの時間がかかるのか不思議だ。注文受けてからルーを作り始めるのか。ご飯よそってカレーかけるだけにどうして30分以上かかる。美味しいんだけどね。いや、そんなことはどうでもいい。西村さんにことあるごとに「グランドファーザーズ、拾得でやってくださいよ〜」と言っていたが、まさかこんなに早くその日が来るなんて。前日に西村さん、青山さんのアコースティックライブを企画したTさんにも大いに感謝。
モンカフェでグラファン3人が並んだ時は鳥肌もんだったが、この拾得のステージに3人+夏秋さんが乗ってる姿、目眩がしたよ。一曲目「TRAVELING MOOD」のイントロ。ジャリジャリ響くエレキギター。あっ身体が反応してる。グラファンの音楽が、思ってる以上に自分の中に、頭ん中、胸の奥、身体のアチコチに残ってることがわかる。
グランドファーザーズの名前を最初に知ったのはいつだっけ。「テッチー」誌に載ってたテントレーベルオーディションの記事だったっけか。Compactron-3、メトロトロンから出たファーストアルバム「Western Charnande」。89年の4月、当時メトロトロンのCDが唯一手に入った四条烏丸の十字屋で買った。メトロトロンの長男、カーネーションはブリティッシュなイメージだったのに対し、次男・グランドファーザーズアメリカンな印象があったな。グランドファーザーズなんてバンド名もそうだけど、変なバンドだなーと音聴いても思った。言葉もメロディーも一つ一つのフレーズはキャッチーなのに、どうにも落ち着くとこに落ち着かない楽曲。言葉の響きで紡がれていく詞。どこか寓話的でやけに耳に残る。変なバンドだなー、でもかっこいいや。
印象的なベースライン、ちょっとエロティックでもある「ないしょの茂みにて」、ブラックでシュールな寓話「Baby Fieids」がお気に入りだった。20年後、その2曲を生でデッカイ音で聴くことになるなんて思いもしなかった。
91年のセカンド「BBB」。これは大阪ロフトにあったWAVEで買った。ナンシー関の消しゴム版画ジャケットは今となってはお宝物。音がぶっとくって、ソウル色が強くなったグラファンの音。もちろん十分ひねくれたグラファンの世界は健在。当時ソウルミュージックを好んで聴いてたこともあって、このアルバムには相当熱狂したな。大学に入って音楽の話ができる友達が増え、そんな仲間達に聴かせてまわった。大阪クラブクアトロでの鈴木博文さんとのジョイントライブ、そんな仲間たちと観に行った。コクがあってキレがある青山さんのギター、華やかで且つ切れ味鋭い西村さんのギター、大田さんの重量感あるベース。脂乗ってるな〜と思った。青山さんのメロウネスが光る「二つの魚影」、ファンキーなアレンジがドかっこいい「異常な夜、貴重な月」どれだけ聴いたかわかんない。
新作を期待してるさ中、バンドは解散。僕も社会人になって無邪気に音楽だけを聴いてるわけにはいかなくなった。それでもグラファンは時々引っ張り出しては聴き続けた。通勤の電車で、家族を乗せて走る車の中で、真夜中の部屋で。サラリーマン生活も10年を過ぎたころ、自分にとってやっぱり音楽は大切なものなんだとわかった。捨てられるもんじゃない。再びライブに通う日々が始まる。青山さん、西村さん、それにカーネーション。なんだ、結局聴き続けてるんだグラファン。
夏秋さんも含めた4人のメンバーが拾得の狭いステージで音出してる。身体のあちこちに残ってるグラファンの音が一気に更新されていく。21世紀のグランドファーザーズ。青山さんのギターはずっともっとキレがあってコクがある。いい味出てる。出まくってる。「Good bye」「悲しみのキュトン」「キッチン・ミュージック」聴きなれた西村さんのソロ曲も、ライブのいいアクセントになってグラファンの新たな一面として光ってる。夏秋さん大田さんの鉄壁のリズムが腹に響く。カーネーションの名曲「愚か者、走る」、大田さんヴォーカルのグラファンヴァージョン。カーネーションきってのヘビーなブルースナンバーも、どこか浮遊するような軽みが生まれてグラファンの音になってる。そして新曲!特に「Underground」のかっこよさには度肝抜かれた。懐古趣味な再結成とは訳が違う。バンドがまた転がり始める。2009年のグランドファーザーズ、最新にして最高。ここから始まるんだな。
でライブ後も興奮冷めやらず。グラファンの3人に夏秋さん、観客として来ていた鳥羽さんに加藤千晶さん、古くからのファン、新しいファンと拾得はまるで祭りの如く。この日の為に初遠征されたmoonlightdriveさんと初対面。ネット上では随分前からやりとりしてたのだが、こうして実際に合う日が来るとは、嬉しいもんだ。眼福さんやいつもコメントくれる3104さんとも初対面。なんか不思議な気分、いろんなことが全部素晴らしいや。
とにかくこの二日間は夢のようだった。メトロトロンっ子だった20年前の俺に教えてやりたい。自分の耳を信用してていいぞ、20年後素晴らしいことが起こるからなってね。