日々の泡。

popholic diary

若者たち

金曜日。の夜は映画でしょ。ということで今日も会社帰りに一本。古厩智之監督「奈緒子」観る。
さすが金曜の夜、映画館も賑わって…ないな、全く。そして座席には誰もいなかった…。劇場のど真ん中の席に座り、映写師さんとタイマン映画鑑賞。「疾走」「little DJ」に続いて生涯三回目の貸し切り状態。滋賀県人は映画嫌いか?
で映画は人気コミックが原作。読んでませんが。舞台は長崎県波切島。喘息治療の為、島を訪れた奈緒12歳。誤って海に転落した奈緒子を助けるのと引き換えに命を落とした健介。それが健介の息子、雄介と奈緒子の出会い。それから6年。偶然に再会した奈緒子と雄介。雄介は陸上界の期待の星に成長し、駅伝に挑むことになっていた。走ることを通じて二人の時間が動き出す-ってなお話。主演は上野樹里ちゃん。すっかりコメディエンヌのイメージが定着した感のある彼女だが、今作では抑えに抑えた演技。まっすぐだけど暗く沈んだ瞳。どこか物憂げな表情、台詞もほとんどなく、繊細な表情の演技で奈緒子の心情を表現。映画はくどくどとした説明を省き、若い俳優たちの走る姿を時に静かに、時に躍動的に映し出す。走る彼らの肉体は何よりも雄弁で、その姿に胸打たれた。若者たちは笑いあったり、喧嘩したりしながら、悩み、苦しみ、走る。どれもが眩しかった。いや、眩し過ぎたねぇ、眩し過ぎたよぉ。あぁこんなふうに悩むことさえ僕にはもう出来ないんだな…なんておっちゃんは思ったよ。で後半じっくり見せる駅伝シーン。それぞれの走る姿がそれぞれの想いを語る。そしてその想いが一つに繋がっていく。これはお見事だった。泣かされちゃったよ、実際。そしてそこで初めて見せる奈緒子の笑顔が素晴らしい。言葉にならない想い、若さゆえの不器用さを説得力を持って演じた上野樹里ちゃん、演技はまだまだだが、躍動する肉体がひたすら眩しい三浦春馬も好演。監督役の笑福亭鶴瓶師匠は、「母べえ」とこれで助演賞取っちゃうかも。後、印象に残ったのは柄本明の次男坊、柄本時生。ここの兄弟は二人とも巧いなぁ。そしてこれを言っておきたい。映画には二種類ある。光石研が出てる映画と出てない映画だ。これは出てる映画ね。