日々の泡。

popholic diary

見晴らし台から

金曜。雨が降ってる。またひどく肩が凝ってる。そんな感じで一日を乗り越え週末に突入。映画でも観たい気分。何も考えないで観れる映画が。でアダム・シャンクマン監督「ヘアスプレー」観る。ミュージカルは嫌いじゃない。まーアメリカンな映画。歌とダンス、大味ながら気持ちいい。特殊メイクで太った母親を演じたジョン・トラボルタ、呑気な父親役のクリストファー・ウォーケン、敵役のミシェル・ファイファーとベテラン陣がお見事で嬉しくなる。主役トレーシーを演じるニッキー・ブロンスキーと相手役のザック・エフロンがねぇ、なんつーかあの「ミニキテネッ」っつーCM同様、ちょっとイラッとくる瞬間があんだよねぇ。ま、それもお愛嬌。トレーシーの友人役のアマンダ・バインズが妙にかわいくてチェック。そして最高なシーンは、「ヘアスプレー」オリジナル版の監督、ジョン・ウォーターズが「露出狂のおじさん」役で一瞬出てくるとこ。
政風会でだ。今日、彼の地・トーキョーではメトロトロンレコードのお祭りやってんだな。あぁ行きたかったな。そんな思いも込めて、「政風会」の話などを。
86年、SWitchから出たA面がカーネーション、B面が政風会という変則的なアルバム「DACK BOAT」。85年に初めてムーンライダーズを聴いて僕はすっかり彼らのファンになった。86年はライダーズ10周年の年で、12インチ「夏の日のオーガズム」やライブ盤「The Worst Of Moonriders」に永遠の名作「ドントラ」。そりゃもう熱狂した。最高に狂ってて最高にかっこいい。これだ!僕が求めてた音楽は。僕はロックの意味を知った。そしてその中で僕の心を一番に捉えたのは鈴木博文の曲だった。その言葉やメロディ、歌声に心酔した。「DACK BOAT」はそんな中、多分87年の頭に買った。当時は月一枚レコード買っちゃったらチロルチョコも買えない状態だったから、正月にお年玉せびってそれで買ったんだ。歌詞カードに写る黒縁の眼鏡をかけた強面の男が直枝政太郎。A面に収められたカーネーションの曲は全てこの男が書いてた。アコースティックサウンドを基調にした繊細な音。だけどそこからはみ出してしまうような男っぽくて骨太な歌声。一時期、休日の朝は布団の中でこのカーネーションサイドを聴くのが決まりだった。そしてもう片面、政風会は夜に聴いてた。少しカーテンを開けて窓の向こうの月を見ながら。湾岸に吹く少し湿った風を感じることができた。シンプルなメロディで歌われる「夜警」は特にお気に入りで、今でも鼻歌として登場する。そして20年。お年玉貰う側からあげる側になったけど、今でも小遣いのほとんどはCD代に消えていく。政風会のファーストフルアルバムが2007年になって発表されて、こうして聴いてるなんて、思ってもみなかったな。何ものでもなかった僕は、いつか大人になって、何ものかになって、音楽なんか聴かなくなってるのかな…なんて思ってた。20年が過ぎて、何ものにもなれないままの僕が月を眺め「政風会」を聴いてる。あぁやっぱり湾岸の風が吹いてる。
と前説段階でえらく長くなっちゃった。どうも20年でぐるっと一回りしちゃった感じがあるな。そんな訳でアルバム「政風会」については、また明日。