日々の泡。

popholic diary

オフィーリア

WILD FANTASY昨日、今日と聴き続けているのはカーネーション「WILD FANTASY」。カーネーションが新たに立ち上げたハリケーン・レコーズからこのアルバムが発売されたのは06年7月26日。僕は06年7月25日の夜、会社からの帰り道の途中にあるタワーレコード大津店で購入した。35歳だった。今から約20年前、ラジオから流れてきた彼らのデビューシングル「夜の煙突」をいたく気に入った僕は、アルバム「Duck Boat」(片面がカーネーション、片面がムーンライダーズ鈴木博文と直枝さんのユニット「政風会」)を皮切りに、以降のアルバム、シングルの全てをほぼ発売日に買った。タワーレコードHMVが出来るまではせっせと駅前のレコード屋で予約して、コロムビア移籍後は随分入手しやすくなって予約することはなくなったけど、それでも発売日の前日には待ちきれなくてレコード屋に行った。Amazon限定なんてことは20年前には考えられなかったけど、そんなレコードも迷わず買った。部屋には小さなパイオニアのコンポ。なかなかゆっくり聴く時間もなくて、聴くとしても夜中だから折角のスピーカーも開店休業。夜10時を過ぎて、PCに向かっていろんな言葉を眺めたり、紡いだりしながらヘッドフォンで聴くというパターン。「WILD FANTACY」もそうだった。レコード袋を家人に見つからないようにこっそり部屋へ。はやる気持ちを隠して、ご飯を食べ、シャワーを浴びる。娘を寝かして、自分の部屋に入る。コンポのスイッチをいれ、CDの透明のカバーを破る、焦れば焦るほどうまく破けない。CDを取り出し、一眺めしてCDトレイに乗せる。ディスプレイにトータルタイムが表示されて、おもむろにPLAYボタンを押す。軽くシュッという音がする。新しい音楽との出会いの瞬間。1曲目の「オフィーリア」のイントロ、エレキギターのコードストローク、ドラムとベースがかぶさる。僕はその時、音楽の魔法にかかる。カーネーション史上、いやロック史上最もロマンティックで美しいラブソングかもしれない。ここじゃないどこか、宇宙に繋がる扉が開かれる。直枝さんの歌声の深み、極上のメロディーが胸に響く。歪んでるのにクリア、ギターの音像がとにかく素晴らしい。エンジニア・鳥羽修の手腕が光る。スティールに絡むギターソロの壮大な美しさ。この瞬間を忘れることはない。かなりロマンティックで、最高に切ない、僕の大好きなロックミュージック。この曲が今、35歳の胸に刻まれる。
って既に一曲目で最高。続きは明日。
今日は中島らもの命日。ちょうどお通夜だったので、空に向かって手を合わせる。