日々の泡。

popholic diary

ひとは人間について語る

昨晩も結局夜更かし。「吾輩は主婦である」小ネタが充実してきたねぇ。鼻に詰めたティッシュを吹き飛ばす斉藤由貴、アッパレ。
で出張の往復で読んだ本2冊について。松尾スズキ「ギリギリデイズ」は99年〜01年HP上に書かれた日記をまとめたもの。本文の面白さもさることながら、宮崎吐夢氏による脚注が最高。「吉川ひなの」の脚注「〜とにかく無類のおかま好き」には笑った。
AV時代―村西とおるとその時代 (幻冬舎アウトロー文庫)それと本橋信宏「AV時代〜村西とおるとその時代」も読了。98年単行本で出たとき、あまりの面白さに立ち読みでほぼ読みきってしまったかの名作がついに文庫化。前作「裏本時代」は、ライター志望の若き青年(本橋氏)が、ひょんなことから裏本業界入り。そこで一大裏本流通ネットワークを構築する怪人物・会長こと草野博美に出会い、幻の写真誌「スクランブル」の編集長を任されたりという姿を描いたノンフィクション「青春」モノ。これもまぁめちゃめちゃオモロイのだが、この「AV時代」はその後の物語。前作のラストで裏本界で巨額の富を得ながら怒涛の転落の末、うらぶれた姿で冷めたチーズバーガーにかぶりつき、本橋氏の前から消えていった会長・草野博美。彼が「村西とおる」となって再び本橋氏の前に姿をあらわすところから物語は始まる。30代以上の男性には説明の必要も無いだろう。「ナイスですね〜」とBVDのブリーフ一丁でカメラをかついでいた男、あの男だ。マイナスからのスタート、まさに「裸一貫」でAV界に戻ってきた会長が、その強力な個性と引力で「アダルトビデオの帝王」と呼ばれ一大AV王国を作り上げ、さらに怒涛の転落を迎える姿が描かれる。もうね、面白すぎて疲れる。生の人間、生きることに全力をかけている人間の迫力。「村西サーガ」と呼ぶべき運命の一大ページェント。近松はじめ、黒木香など登場する人物一人、一人もまた可笑しくも悲しい愛すべき人間ばかり。決して歴史には残らない、汗と涙とザーメンの物語。それでいて切ない青春「以降」の物語でもある。徹夜続きで命を削るかのごとく「仕事」をする村西監督に、本橋は思わず「そのがんばりはどこから来るんですか?」と尋ねる。「俺はもう37だ。〜おれにはもう後がないんだ」と答える村西監督。ここで35の僕はドキッとする。「長すぎる余生」なんてふぬけたことを言ってる場合じゃないと思う。
で、まぁとにかく強烈な毒気が充満してるんだが、それでもどこか笑えるとこがいい。監督が元フォーリーブス北公次をマジシャンにしようとする逸話のシュールで間抜けな味わいはコント以上にコント的。
しかしこの「村西サーガ」の壮大さとおもしろさは「スターウォーズ」の比じゃない。なにせまだ完結してないのだから。99年、同じく本橋氏によるインタビュー集「悪人志願」では、40億の負債を抱えた村西監督のインタビューがある。そこには妻である乃木真理子(かってダイヤモンド王国の「イメルダ」と呼ばれるほど村西監督の寵愛を一身に受け、贅沢の限りを尽くした女優。が王国崩壊後、借金まみれになった監督と結婚。この顛末もまた「村西サーガ」の味わい深いエピソードである)と5歳の息子とともに穏やかな笑顔を見せる村西監督の姿が。人間てスゲーなと思わせる傑作。前に「裏本時代」の感想でも書いたが、役所広司主演で映画化希望!
で今日は8時起床。朝からなぜか生協の「親子クッキング教室」に娘と参加することに。バイトで不参加の妻が申し込んでたのだ。参加者は30人ほどで変り餃子作り。お父さんの参加は、僕一人で恥ずかしい。奥さん方に「お父さん」と呼ばれ、「えっ?」と思う。そうか、俺のことか。娘と餃子包みながら、なんか落ち込む。で午後からも娘とデート。自転車でパルコ行ってクレープ食べたり、アーカスでDVD借りたり。
夜、小ぶりのじゃがいもを焼いて、バター、にんにく、醤油で味付けしたらやたら美味かった。また作ろう。