日々の泡。

popholic diary

2014年3月上旬のTweet

2014/3/1

今日は映画の日。で朝から映画館へ。ジャン=マルク・ヴァレ監督「ダラス・バイヤーズ・クラブ」観てきた。1985年テキサス。酒とクスリと女に明け暮れるロンが主人公。そんな粗野な男がHIV陽性、余命30日と告げられるところから物語は始まる。生きるために彼がとった行動とはってな話。「生きる」という目的で突き進む男。その中で見えてくる製薬会社や政府のもくろみ、エイズへの偏見。まるでロデオのように「生」にしがみつき、いつしか巨大な力に反骨で立ち向かう。痛々しいまでの荒ぶる魂の映画。とんでもなく凄まじく素晴らしかった!露骨にゲイを蔑視していたロンが、自らが偏見にさらされ、仕事のパートナーとなるトランスジェンダーレイヨンとの交流の中で偏見を捨て去り、一人の人間として向き合うようになるところが凄く良かったな。ロン役のマシュー・マコノヒーレイヨン役のジャレッド・レト、その肉体の変貌ぶりも含め、凄まじいまでの演技。説得力のレベルが違う。主演男優賞、助演男優賞文句なしでしょ。

でもう一本。ジェフ・ワドロウ監督「キック・アス ジャスティス・フォーエバー」観る。前作から4年。思春期を迎えたヒット・ガール=ミンディの青春モノとしての面白さ。今しか演じられない繊細かつ胸キュンな演技。クロエ・グレース・モレッツがまたまた最高だったな。キックアス、ヒットガール、それにマザーファッカー。それぞれの親子の物語、成長の物語が荒唐無稽なアクションの後ろにあって良かった。若い人に楽しみながら、何かを感じてほしい映画だったな。

2014/3/2

今日はマーティン・スコセッシ監督「ウルフ・オブ・ウォールストリート」観てきた。3時間強の上映時間に躊躇してたんだが、観たら観たでやっぱりおもしろい。アメリカ映画の底力を感じたなー。しかしアメリカって国は、もう…。金、金、金の狂騒ぶりにドッと疲れたがこの過剰さこそがアメリカ的なんだな。しかしディカプリオの顔芸につぐ顔芸、大熱演のディカプリオ劇場。作品ごとに怪優化してておもしろい。

2014/3/3

WOWOWアカデミー賞。夢のように華やかで楽しい。ショートカットのジェニファー・ローレンスがめちゃめちゃかわいいなー。

2014/3/4

ビバリストとしては、やまもとまさみに優勝して欲しいなー

2014/3/5

明日の「POP DIVER」。京都が生んだスーパーギタリスト、あの方の新作からも1曲紹介しますよ!

2014/3/6

しかし「POP DIVER」の西村さん紹介ツイート多すぎたかな。これでもかなり削ったのだが…

2014/3/7

休前日の夜。少女時代のカムバステージを大画面表示で観る。至福の時。眼福なり。

2014/3/8

今週の「ごちそうさん」は静かながら強い意志のある内容だったな。はっきり言うけど戦争を美談に仕立てるなんてことは、絶対やっちゃだめだ。「愛する人の為に」とかなんとか、なにいいように言ってんだ。そんな戯言は俺に言わせりゃ永遠に0点だぜ。

ということで今日は京都まで出て映画。スティーヴ・マックイーン監督「それでも夜は明ける」観てきた。1841年、自由の権利を手にしていた「自由黒人」ソロモン。ある日突然誘拐され「奴隷」として売られる。その日から12年に渡る奴隷としての生活が始まるという実話。目を背けたくなるほどの酷い扱いが生々しいまでに描かれる。それが許されるのなら、それが正しいとされるなら、人はどこまでも残虐になってしまうものなのだ。やられる側の恐怖と同時にここまでやってしまえる人間の中にある深くどす黒い闇に震えた。人間ってどこまでも深くて暗い闇を持った存在なんだな。しっかり意志を持ってそこに立ち向かわないと簡単にそっちに足をとられてしまう。映画は冷徹に闇を映し出す。それを観ることで意志を持ってより良き明日に向かうことが出来る。目を背けたくなるが背けてはだめだ。

で二条から四条までブラブラ京都を散歩してもう一本。三浦大輔監督「愛の渦」観る。参加費男2万円、女千円、マンションの一室で繰り広げられる乱交パーティー。その一夜が描かれる。ってなにこれ。まいった!大、大、大傑作!とんでもなくおもしろかった!乱交パーティーに集う男と女。「SEX」を目の前にしながら、交差する欲望と思惑。人間という動物のまぬけさと可笑しみ。まさに野“性”の王国ではないか。123分の本編中、着衣時間18分半という剥き出しの映画。交尾という純粋な行為に、愛だとか頭の中で生まれる欲だとかそういう不純物をいっぱい混ぜ込んだのがSEXなんだな。吐いた唾は飲み込めないように、一度穿いたパンツはもう脱げない。いくら脱いでも穿く前には戻れないのだ。背中を向けてこそこそとパンツを穿く姿の間抜けさよ。この間抜けさこそが人間の本質なんだな。そのなんともいえないどうしようもなさが可笑しくてたまらない。SEXシーン満載の18禁映画ながら、愛しさと間抜けさと清々しさがある傑作人間喜劇。本年度暫定一位!門脇麦(最高!)をはじめ全出演者素晴らしかったなー。池松壮亮は相変わらず巧いし、滝藤賢一の「マンシュウ事変」には笑った。柄本時生、信江勇のバカプルのバカっぷりも可笑しかったし、田中哲司の最後のあの表情!とかもう最高。そんな映画「愛の渦」は映画館で絶対観るべき映画。今日もマン席でタチ見も出てた。映画が終わって客電がついてそそくさと上着を着て顔合わさないように席を立つ感じが、乱交パーティーに参加してたようで可笑しい。思わずキョロキョロ門脇麦ちゃんを捜したね。この感覚は映画館でしか体感できない。意図して隠されたり、意図せずに隠れてたものを露わにするのが映画なんだな。だから面白いんだ、映画って。

2014/3/9

ということで、今日も映画を一本。吉田恵輔監督「銀の匙Silver Spoon」観てきた。去年から今年にかけて「ばしゃ馬さんとビッグマウス」「麦子さんと」と立て続けに良作を発表してきた吉田監督。またもややってくれました。実に気持ちのいい青春映画で素晴らしかった!人気コミックの映画化、主演はジャニーズの男の子ということで、下手な代理店監督とかが作ったら目も当てられない作品になっちゃってたかもしれないが、しっかり吉田監督作品になっていて嬉しかったな。吉田監督、信頼できる。農業高校を舞台にした青春映画。まだ何物でもない若者が、様々な経験の中で一歩ずつ成長していく。ちょっとした痛みや挫折も優しく丁寧に描いていて、そこがまたアクセントになって伸びやかな成長物語に奥行きを与えていた。他の吉田監督作品もそうであるように、この映画も主人公以外の人々、少年・少女や大人たちそれぞれにも物語があって人生があるということがちゃんと感じられる。そこが映画に奥行きを持たせるのだろう。高校生の娘に薦めたい映画。中学、高校生のお子さんをお持ちの方はぜひ薦めてあげてください。爽やかで楽しい物語の中にとても大切なことが描かれているから。