日々の泡。

popholic diary

白い花

思ったよりスムーズに仕事が終わったので、今日はさっさと帰る。そのまま映画館に直行だ。
フェルナンド・メイレレス監督「ナイロビの蜂」観る。メイレレス監督は、あの「シティ・オブ・ゴッド」を撮った監督。「シティ・オブ・ゴッド」は、ブラジル版「仁義なき戦い」的ハードコアな史実を、交差する時間軸、緻密な構成、そして超絶的な映画テクニックを惜しげもなく使って描いた大傑作で、僕は上映中何度も仰け反り、観終わった後、興奮のあまりモギリのお姉さんに「めちゃめちゃおもろかった!」と語ってしまったほどだった。でそのメイレレス監督待望の新作が「ナイロビの蜂」。外交官のジャスティン(レイフ・ファインズ)は園芸が趣味の優しいが、平凡な男。そして情熱的な妻・テッサ(レイチェル・ワイズ)はアフリカ人の医師と医療ボランティアとして働く。物語は彼女の不可解でむごたらしい死から始まる。優しく、妻を愛してきたジャスティンは、妻の死の真相を探ろうとする。その過程で彼は、今まで自分が何一つ見ていなかったことを思い知る。アフリカの現状、国家の深い闇、そして彼女の深い愛を。ことなかれ主義で問題から目を背けていた男は、妻の死をきっかけに真実に目を向けていく。息を呑むサスペンスであり、深い愛を描いたラブストーリーでもある。壮大で重厚な社会派ドラマ。これだけ聞くと、なんか重たくて疲れそうだなって思うかもしれないが、そこはあのメイレレス監督。過去である妻と過ごした日々、そして妻の死の謎を追う現在が絶妙にシンクロしストーリーは続く。「シティ・オブ・ゴッド」ほどの派手さはないが、その「画」の切り取り具合、ハッとするような映像テクニックはさらに深みを増している。最初の5分で監督が並々ならぬ絵画的センスの持ち主だということがわかるだろう。色使いと構図、それをつなげていく編集の妙技。ストーリーに惹きつけられるだけじゃなく、映像そのものが持つ魅力にまたも仰け反ったね。映画でしかありえない表現。メイレレス監督の凄まじい「映画力」に脱帽。パク・チャヌク監督(「オールド・ボーイ」「親切なクムジャさん」)も相当なテクニシャンだと思ったが、フェルナンド・メイレレス監督もやっぱスゲーや。とにかくちょっと観てよ、この映画。