日々の泡。

popholic diary

2003年12月上旬の話。

2003/12/1
早いものでもう12月。年々、一年が加速度をつけて速くなる。今日は朝から街の清掃活動。こうしてみるとタバコのポイ捨てって多いんだな。僕はタバコ吸わないし、道に平気で物を捨てるセンスは持ち合わせていないので、どうしてこんなことができちゃうのかが理解できない。よく道や駅にガムが吐き捨ててあるが、あれなんかとてもじゃないが信じられないのだ。後ろのポケットに刺繍のあるジーパン履いたり、電車の通路に座り込んだり、車を改造して爆音たてたりするような「センス」が全く僕には理解できないように。で夜は某企業の懇親会に上司とともに参加。折角の料理もほとんど食べられず。2次会にプリンスホテルの「トップ・オブ・オオツ」に連れてかれる。初めてきたが、こんなとこに女性(もちろん妻以外)をつれて自腹で飲みにくる、なんてことができるようになるには多分、2、3回生まれ変わらなければならないだろう。

2003/12/2
クラムボンの新作「imagination」が凄いことになっている。来た、来た、来たーっ!クラムボンが来たぞ!というべき傑作。ポップミュージックはこうして先に進んでいくんだな。こういう音楽を聴くと、言葉が追いつかない。こんな風に文章を「書く」ようになってから、ついつい音楽を言葉にしようとしてしまうんだけど、本当に凄い音楽は言葉なんて追っつかないんだ。例えば5曲目の「Y・S・G・R」なんて曲を聴いてしまうと、言葉なんてものは出ない。それだけパワーのある音楽。

2003/12/3
百瀬博教「プライドの怪人」を読み始める。これが既に激オモロ。株の天才の古本屋店主と出会い、バブルとともに一気に何十億という資産を持つようになるくだり、そしてバブル崩壊とともに一文無しになるジェットコースターぶりに酔う。事実は小説よりも奇なりを実践する生き様。読み終わるのが惜しいぐらい。

2003/12/4
仕事で朝、6時から京都駅。まだ暗いや。でも、イベントはなかなか楽しい。途中、大津に戻って事務仕事などこなし、また京都へ。夜の京都駅はもうクリスマス気分。
駅ビルの巨大なツリーを眺めながら、梅図かずおがインタビューで「人間って自然が大嫌いな生き物なんですよ」と言っていたのを思い出す。この人工的なイルミネーションに惹かれるのは、多分そういうことなんだろうな。もっと言うとポップミュージックに秘められた悲しみってのは「もう、戻れない」という悲しみなんだと思う。

2003/12/5
今日は飛び込み営業ディ。これが疲れる。全てが出会いだ!となんとか耐える。湖岸を営業車で流して夕焼けに目を細める。「自分が選んだ人生」なんじゃない、俺がこの人生に選ばれたのだ。そんなことを考える。疲労困憊した身体を癒そうと帰りタワーに寄り道。ピチカートの再来とか言われるバンドは意識して聴かないようにしてるのだが、信頼できる筋で絶賛されていたので、ついつい誘惑に負けてcapsule「phony phonic」購入。

2003/12/6
休日。朝から妻の用事でバタバタと。で昼からテレビで「M-1グランプリ」の特番。今田・東野の大阪ローカルでのふざけっぷりが最高。で決勝進出者が決まったM-1ですが、やはり優勝候補は「フットボールアワー」でしょうか。「ハリガネロック」も「おぎやはぎ」も落ちちゃってるしね。ま、かたいとこでしょうね。でフットが本命ですが、案外きそうなのが「アメリカザリガニ」。好みではないのですが、なんかそんな気がしてきたな。あと「麒麟」は個人的には推しておきたい。準優勝までいくんじゃないか。「りあるキッズ」が入ってたのは正直予想外だったな。でもボケの安田の発想のおもしろさは天才的なところがあるので、5年後にはマニア支持も狙えると思う。ダイナマイト関西参戦なんてのも有りじゃないか。それから一人で図書館へ。「藤子不二雄論」安西水丸和田誠「青豆とうふ」、横尾忠則「捨てる・拾う」借りる。そして壊滅状態のオーパで最後の砦としてがんばってるヴィレッジヴァンガードへ。映画特集のBRUTUS誌購入。それから家族で買い物行って、この冬初のお鍋の夕食。最後は雑炊で決める。

2003/12/7
朝から娘の幼稚園へ「作品展」を観に両親ともども皆で。絵やら工作やらを見て回る。
これはこんな風に作ったとか色々説明してくれる娘、なんだか随分成長したもんだ。来年には小学生!!なんだもんな。自分が小学生の父親だなんてとても信じられないよ。それから近くの市民センターでバザー。役をやってる妻はこの日の為に、いろいろ手芸品作ったり、準備に追われていた。当日もアイス売りしたり大変そう。終了後は僕も片付けに駆り出されたりしてバタバタ。あっという間に休日が過ぎた。

2003/12/8
capsule「phony phonic」を聴く。これはピチカートとは似て非なるものですねぇ。思い出したのはピチカートの最初期メンバー・鴨宮諒がピチカート脱退後結成した「マンナ」というバンド。ハイセンスなポップサウンドにちょい弱いヴォーカルが似てる。
正直、嫌いじゃないですが、ピチカートの再来とか言われちゃうとどうかと。ピチカートはある意味非常に思想的なバンドでソングライターとしての小西康陽は本人の志向はともかくジョンレノン、忌野清志郎なんかに近いと僕は思っている。だからピチカートの再来!とか言われるバンドを聴いてみても音は似てるのかもしれないが全然違うと思っちゃう。例えばピチカートが高浪敬太郎野宮真貴のユニットとして発展していたらこんな感じかも。そうそう「Yes,mama OK」なんてバンドもあったなぁ。

2003/12/9
寒い。コートを着込み出勤。こう寒いとあったかいうどんが食べたくなるな。そういえば最近、きつねうどん食ってないナァ。どうでもいい話だけどラリーパパ&カーネギーママの「LAST ALBUM」がいい。2003年にこの音かよ!・・・はっきりいって大好きだ。
街の匂い、風景が見える音楽。好きとしか言えない。これがロックってもんだよな。マーケティングされた音楽なんてクソくらえだもんね。アコースティックギターがとにかくいい「枯葉のブルース」が最高。

2003/12/10
今日も寒いねぇ。まぁ何もない一日だ。仕事で京都へ。烏丸の大丸へあがる地下のショーウィンドウはすっかりクリスマス。そういえば、子供の頃、からくり人形でディズプレイされたこのショーウィンドウを見るのが大好きだった。月に一度ぐらい家族でデパートに行くことは、子供の僕としてはちょっとしたイベントでとても楽しいものだった。大きなおもちゃ売り場や食堂で食べるソフトクリーム。河原町高島屋より烏丸の大丸が好きだったのは、阪急烏丸駅から地下道を通って、大丸にはいる階段横にある、このショーウィンドウが見れるからだった。かわいい動物なんかの人形が動くカラフルで楽しいディスプレイがいつも楽しみだったもんだ。そんなことをふと思い出す。仕事も早めに切り上げ、届け物のついでにパルコで寄り道。タワー覗いて紀伊国屋でinvitation誌購入。帰ると娘が泣いてる。母親に叱られたようだ。こういう時、父親である俺はただ抱きしめてあげるだけなのだ。理由はどうあれ泣いてる娘を見るのは辛いから、泣き止むまで抱きしめて、お話して寝付くまで絵本を読んであげる。「藤子不二雄論」読了。黒いAと白いF。子供の頃、「オバケのQ太郎」と「新・オバケのQ太郎」の絵の違いは、一人の作家の絵の変化とは思えないと感じていた。数年たって「オバケのQ太郎」はF(オバQ)、A(正ちゃん他大原家)、石森章太郎ゴジラ・よっちゃん他)という書き分けの上に成り立った共作であり、「新」はF単独作だと知って合点がいったもんだが。ブラックでアグレッシブ、人間の闇を意識的に描いたA作の根底には逆に人間讃歌が見え、明るく楽しい世界を描いたF作には、諦めや挫折、人間のどうしようもない悲しみが見える。だから藤子不二雄はおもしろい。

2003/12/11
夜、雨が降ってたのでちょっと妻に甘えようと車で迎えに来てもらう。これがいけなかった。来てはくれたが「たかが雨ぐらいで迎えに呼ぶとはどういう了見なのか」とそこまで言われるようなことかというぐらい激ギレされる。徒歩20分の距離、別に忙しいわけでもない妻に車でなら10分の距離を迎えにきてもらうことがそんなに悪いことなのか。俺には理解できないが妻の激ギレぶりに、討論する気も失せ、心無く誤り、二度と迎えに来てもらわないし迎えにもいかないということで話つける。あぁやな気分。

2003/12/12
今日は4時半起きで仕事。詳細は省くが琵琶湖一周する自転車隊の伴走として車で琵琶湖一周が今日の仕事。ADの子と車に乗り込み7時半出発。自転車のスピードに合わせ、追い越しては停車しての実に12時間半に及ぶ仕事。途中雨は降るしで自転車隊も大変な状態。で帰って爆笑問題の特番「楽しい地球」後半40分ほど見る。レギュラーへの布石とみていいだろう、これは。時事問題を取り上げた漫才はテレビ的演出がうるさくて二人の話芸のジャマしてるようにしか見えないが、テレビってのはそういうもんなのかな。総理大臣に扮した田中と秘書の太田によるコントは設定は悪くないと思うがもっとナンセンスに暴れてもいいんじゃないか。爆笑問題のコントはポンキッキーズでの「爆チュー問題」という傑作があるが、いろんなゲストを入れるよりも基本的には二人がある設定の中で動き回るというのが合ってるようだ。しゃべりのおもしろさで出てきた二人だが、その二人の組み合わせ、コントラストは漫画的であり、太田のギクシャクした動きは、動きそのものにおかしさがある。番組ラストあたりでタキシードを着た太田がミュージカル仕立てでテーマソングを歌うとこも実に良かった。ふと思いだした藤子F不二雄作品「モジャ公」。F作品には珍しいブラックかつナンセンスなSF喜劇なんだが、爆笑問題の二人でこの世界をコント化したらいいんじゃないか。ブラック、ナンセンス、SFの設定で徹底的に乾いたポップを目指すべく爆笑問題の二人が動き回るコントを観たい。

2003/12/13
朝から少し仕事してその後、娘と二人で電車に乗って姫路まで。姫路はさすがに遠くてちょっとした小旅行。友人M宅にて忘年会。というかこじんまりと飲み会。M夫妻によるパーティー料理をつまみ、ワインを飲みながらダラダラとうだ話。Y嬢のぼやき節が炸裂しておもろ。なんだかんだで結局昼から飲み続け7時。また2時間かけて大津まで。帰ったら妻が「何時やと思ってんの・・」とキレ気味。

2003/12/14
日曜。今日はダラダラ過ごそうと決める。っていつものことか。テレビ見たり「マンハッタンラブストーリー」ビデオで見てサンタファッションのキョンキョンにクラッときたり、部屋でCD聴いたりPC向かったり、本読んだりと、まぁこんなことばっかり。夕方はパルコでちょっと仕事。それから家族で買い物。夜7時のスーパーは、生鮮食品が格安。ご飯作るの面倒なので刺身とか買って帰る。百瀬博教「プライドの怪人」読了。節度のない思い出と現在を縦横無尽に駆け巡り、徹底的に語られる「私」。侠客の家に生まれ、「ニューラテンクォーター」の用心棒として過ごし、石原裕次郎との運命的な出会い、拳銃不法所持による全国指名手配、6年半に及ぶ服役生活、その期間に驚異的な数の書物を読み漁り、出所後は詩人・作家となり、バブル期には960億もの大金を手にしバブル崩壊とともに一文無しに、そして猪木との出会いから「PRIDE」のプロデューサーにというこの経歴だけでも凄いでしょ。これがまた凄い記憶力を基に、クールでありながらロマンティック文章で綴られるんだから、めちゃめちゃおもろい!とりあえず一回読んだら、虜になること間違いなし。浅草キッド水道橋博士による解説も必読。

2003/12/15
さすがに毎日日記は書くことないね。今日は早く帰り、のんびり。横尾忠則「捨てる・拾う」を読み始める。