日々の泡。

popholic diary

2002年12月の話。

2002/12/1~31

12月最初の休日。家族で、ひらかたパークまで。今年は(も)、娘をろくに遊びに連れていってあげられなかったのでせめてもの罪滅ぼしに、朝から車走らす。ちょうど「おジャ魔女どれみちゃんショー」をやっていたので観る。でショーが終わってどれみちゃんサイン会が始まる。これがまた皆並ぶんだ。色紙が500円、カレンダーが1500円でいずれかを買ったらサイン会に参加できるというシステムなんだが、これがバンバン売れる。かくいう私も娘に「カレンダー欲しい」と泣きつかれちゃ、しゃーないわなぁ。しかしこれはぼろい商売だな。一回のショーで200~300人はサイン会に参加。一日2回のショーで、カレンダーの原価が半分としても・・・。会社つぶれたら、どれみちゃんになりたいとマジ思ったね。

それと初めて「菊人形」ってのを観る。関西人でひらかたパークの菊人形知らない人はいないと思うけど、これはかなりモンドだなぁ。いや、確かにキレイなんだけど、明らかに「変」なんだもん。

12月に入って、仕事はますますハードに。で仕事後、寒いし、腹減ってるしで、連日ラーメン屋へ。来来亭のラーメンにはまってしまう。せっかく、やせたのに、これで逆戻りだなぁ・・・。

大阪出勤し、帰り無理やりタワーレコードへ。大瀧詠一のトリヴュート盤「ナイアガラで恋をして」、クレイジーケンバンドのマキシ「タイガー&ドラゴン」、鈴木慶一プロデュースのカリガリ「舌先3分サイズ」、そしてカーネーション「VENTURE BUSINESS Vol.02」さらに松本人志のDVD「スーパー一人ごっつvol.3」購入。まだまだ欲しい盤はあるが、今日はこのへんにしといたろ。

仕事がハードになればなるほど、ポップカルチャーに触れたくなる。とりあえず帰りにブックオフに寄って中島らも「今夜、すべてのバーで」、爆笑問題の対談集「爆笑問題とウルトラ7」、新潮の事件ルポもの「殺人者はそこにいる」購入。我ながら支離滅裂なラインナップ。

手塚治虫のフィギュアに続いてまたフィギュアにはまる。今度はフィギュアックスから発売の「江口寿史」コレクション。数ヶ月前から発売を知り、首を長くして待ってたのだ。なんせ20年以上江口ファンだからな。で今回は全7種プラスシークレットでもう1種あるとのこと。発売初日、深夜のコンビニでまずは5個購入。さすがに今回はダブり無しとはいかず、一個ダブりの4種ゲット。うん、これまたよく出来てる。マニアでなくとも全種そろえたいもんだ。で翌日、さらに3個購入。クー、ここでも1個ダブりかよ。
でも一番欲しかった「すすめ!パイレーツ」が手に入ったのでまずはOK。これで6種入手したぞ。でやっぱり翌日、コンビニによって2個購入。結局、この店のほぼ一人で買っちゃってるな。でここで公式発表されている中では最後の一種、「ひばりくん」が手に入り7種コンプリート達成。が気になるシークレットがいまだ入手できず。あ~悔しい。

大瀧詠一のトリヴュート盤「ナイアガラで恋をして」。案外、おとなしい出来。前川清が渋く決める「幸せな結末」、クレイジーケンバンドによる見事にはまった「Tシャツに口紅」あたりがいいが、何と言っても圧巻は、首謀者・サエキけんぞうが活動を復活させたパール兄弟による「Niagara Ondo Medley」。窪田晴男による、冴えに冴えたジャズアレンジがとんでもなくかっこいい。

カーネーション「VENTURE BUSINESS Vol.02」はこれまたグットくる出来。「あらくれ」では3ピースのロックバンドとしての勢いとコクを見せつけ、はっぴぃえんど直系の「ぼうふら漂流族」にはクレイジーさとユーモアが溢れ、そして「VENTURE CHRISTMAS TIME」では30男の胸を締め付ける、ロックのロマンティシズムに満ちた必殺の直枝メロディが炸裂。

休日。妻はバイト、娘は実家にお泊りということでひっさびさに一人。朝一でパルコへ自転車走らす。でタワーと紀伊国屋物色(こればっかりだな、おい)でまずはタワーで松任谷由美のトリヴュート盤「Queen's Fellows」、クレイジーケンバンドのヒットシングル「クリスマスなんて大嫌い!!なんちゃって」、キリンジ「OMNIBUS」、REGGAE DISCO ROCKERS「太陽の石」、インスタントシトロンユトレヒト アンド マエストロ」購入。で次、紀伊国屋小林信彦「コラムの逆襲」、リリーフランキーナンシー関「小さなスナック」、花輪和一刑務所の中」購入。今年の買い納めだな。

23日。休日なので家族で一足早くクリスマス。チキンを焼いてケーキを皆で。クリスマスといえば、最近イルミネーションつけてる家が結構あるね。性格上、「余裕のある生活しやがってよぉ」などとひねくれた見方しちゃう部分もあるんだけど、実際、冬の街を一人歩いててふとそんなイルミネーション見ると、なんか暖かな気持ちになる。素直に「あっ、いいなぁ」と感じる自分にちょっと驚きつつ、僕も大人になったのかなぁなんつって思う今日この頃。

で今年もクリスマスイヴはもちろん仕事。それもトラブル発生で大阪出勤してたのに夜になって急遽滋賀の物流センターに。結局、家に帰りついたのは12時前。寝ている娘の枕元に買っておいたプレゼントをセッティング。明日の朝、娘の反応はいかに。

で翌朝。目覚めた娘がプレゼント発見。ねぼけまなこだったのが見る見る輝きだし、満面の笑みになる瞬間。この瞬間のためにクリスマスはあるんだなと思う。プレゼントをもらう子供よりも、その笑顔を見る親のほうが嬉しい。クリスマスってそんな日なんだ。

松任谷由美のトリヴュート盤「Queen's Fellows」がいい。はっきりいってユーミンには何の思い入れもないのだが、これはいい。クレイジーケンバンドキリンジ目当てで買ったんだけど、それより鬼束ちひろの「守ってあげたい」や原田知世の「CHINESE SOUP」とか女性ボーカルものが軒並み素晴らしくて、いい曲だなぁと素直に思った。aikoが歌う「セシルの週末」なんて絶品で、このなんつーか少女であり、女であり、母であり、天使であり、悪魔である、この女性という男から見ると得体の知れない存在の神秘性を、あますことなく引きだすソングライティング力にユーミンの底力を見たね。

NHK笑いがいちばん」で久々に「モロ師岡」のコントを見る。「モロ師岡」はもう10年以上前に確か「テレビ演芸」で見てからずっと気になってて、それからNHKの演芸番組で数本ネタを見てずっと「もっと観たい」と思ってた人。北野武の「キッズリターン」や三谷幸喜の「ラジオの時間」での演技で注目されて、今では知る人ぞ知る俳優としていい味だしてるけど、演芸人「モロ師岡」としてネタをみる機会はテレビではほぼ皆無。東京ではライブなどをしてるようだけど、関西ではまず見られない。なのでこういう機会はウォッチャーとしては決して逃すわけにはいかないのだ。新聞のテレビ欄はくまなくチェックし「笑い」の匂いを嗅ぎ取ったならば押さえにかからないといけない。って俺は何者なんだ?

で僕がこんなウォッチャー体質になったのも小林信彦氏の影響を多分にうけているからなのだが、その小林信彦「コラムの逆襲」を読んで小林氏の元祖ウォッチャーとしての変わらぬ嗅覚の鋭さ、フットワークの軽さに脱帽。60年代から実に40年以上にわたってそれこそ、ビリーワイルダー黒澤明伊東四郎から爆笑問題、大塚寧々までをも同等に「いいものはいい」と評価していく様は凄いとしか言えない。日本のポップカルチャーを語る上で小林信彦の存在は絶対外せないし、特別なものであることは間違いない。
以前、ライターの吉原聖洋氏と話す機会があって、その時「小林信彦を読んでなかったらライターにはなってない」と話されたのが凄い印象深いのだが、そういう人多いと思う。例えば小西康陽が85年「テッチー」誌でスタートさせたコラム「グレイティストヒット」なんて完全に小林信彦の影響下にあるものだし、僕も含めてインターネット上に散らばるポップカルチャーについて書いてるHPなんて皆、なにかしら影響受けてるはず。

年末ということで会社で忘年会。しかし仕事がそううまく終わることはなく、2時間近く遅れて会場に到着。もうすっかり盛り上がり終わってるよね。最近は飲酒の取り締まりも厳しいのでウーロン茶飲んでとりあえず。最近サブカル好きってことが判明し仲良くなったSさんと音楽&お笑い談義をひたすら。しかしなんで俺はこんな場で松本人志のおもしろさについて語ってるのか?

で翌日は仕事の打ち上げでまた飲み。最初はウーロン茶だったが途中からどうでもよくなりチューハイに日本酒。この日本酒が効いた。身体動かずで当然帰ることも不可能、翌日も仕事なので近くのビジネスホテルで一泊。怒涛の年末だな。

29日。やっと仕事納め。今年はめちゃめちゃ働いたな。でそのまま京都へ。今日は友人達と飲み会。ホントに気が合う、話ができる友人達との飲み会はもうそれだけで嬉しい。6時スタートで仕事のことなんか忘れて5時間喋りっぱなしの笑いっぱなしという感じで。来年はきっとなんかあるな。なんの根拠もないけど確信がある。まだ、終わっちゃいないぜ。なんつって。

30日。誕生日。32歳になる。かなり焦るが時間は残酷だ。しかしそれよりも年末の大掃除だ。棚から溢れたCDや本はもう手のつけようがないので机回りだけ申し訳程度に片付ける。で娘連れて近くのスーパー銭湯へ。露天風呂に浸かって、一年の疲れを癒す。大きい風呂はホント気持ちいいや。ここんとこ帰りも遅いのでシャワーだけで済ます日々が続いてたからなぁ。で32歳。まずいことになってるなぁ。確実に悪い年のとりかたしてるもんなぁ。なんか、年々「中年化」しているというより「中学生化」してるからな。来年は中学20年生だよ。

夜、娘と二人近くのケーキ屋に行ってショートケーキ購入。誕生日おめでとう、俺。ハッピーバースディ・トゥー・ミー。年末の誕生日はこういうことになる。

ビデオで「M-1グランプリ」。昨年は番組の構成に難があったが今回はその点若干手直しされてる。例えば素人による審査の廃止とか、基本的に「判ってない」アシスタントにMC(全く要領を得てなかった菊川玲に間違いだらけだった赤坂泰彦ね)を下ろすとか。司会だった島田紳助が審査員に回ったのも正解。但し、前回審査員の西川きよしが司会になったがこれは必要なかった。後、敗者復活も決勝戦もいらないとは思うけど。で優勝は「ますだ・おかだ」。昨年の中川家といい、実に順当な結果。面白みにはかけるが納得せざる得ないでしょう。長らくくすぶってた「ますだ・おかだ」が晴れて優勝できて良かったなぁとちと感慨深いものもある。しかしそんな感情を抜きにしても、その腕の確かさは間違いなし。今回決勝でのネタは若干弱かったが、一本目のネタはネタそのものの完成度、それを演じる技術ともに頭一つ出ていた。時事放談的に話を振るつつ、一つの「IF」からボケを積み重ねていく展開はツービート~爆笑問題の関東系の流れを汲むもので、ますだ・おかだは判りやすいがベタじゃないセンスの良さと言葉のリズム感が抜群で「うまい」と感じさせる。ますだはたけしや太田のようなカリスマ性、鋭さには欠けるが、そこが逆に好感がもてる部分でもある。ボケがとんとんとんと重なっていくときのスピード感、ボケが重なる度に意味を失い、最後にナンセンスなとこにドンと落ちたときの決まり具合はみてて心地いいしやはり優勝は順当か。惜しくも準優勝の「フットボールアワー」は一つのシュチュエーションの中でボケを挟みつつストーリーを展開していく漫才-コントスタイル。「ますだ・おかだ」VS「フットボールアワー」は奇しくも漫才の代表的な基本パターンの対決になった。前回の感想にも書いたように、岩尾の発想のおもしろさは今や関西若手一。一つの事象に対してボケるとき、その発想をどの位置に落とすのが最もおもしろいのか。その飛距離が笑いの基礎体力であり、どの方向に落とすかが笑いのセンスである。その方向性は文句ない。後はいかに飛距離を伸ばして爆笑を生むかであろう。紳助氏が「実力の差はほとんどない」と言っていたがその通りで、今回は舞台慣れしているのと、気迫の部分で「ますだ・おかだ」が一歩抜きん出た。
で後、「笑い飯」は、変化球。個人的にはあまり好みではないな。確かに新鮮味はあるが実力不足。一年後、彼らが残っているかは?というところ。で実は最も気に入ったのは「おぎやはぎ」。テレビで数本ネタ見たんだが、軒並みおもしろく、今回のネタも笑った。ネタの構成、間、どれをとっても昨年から飛躍的に成長してる。大爆笑というタイプではないが、確実に中毒性のある笑いで、はまるとたまらなくおもしろい。もっと、見たいとおもわせるコンビで、しばらく追うことになりそうだな。逆に昨年からパワーダウンしたのが「ハリガネロック」。ずっと期待してたんだが、今回でちょっと見切った。基本的に5年前と同じことしてるってのが致命的で、壁にぶつかったままの状態なのは見てて辛い。感性で突っ走るにはもはや若くはないのだ。よりエンターティメントとしての完成度の高さを目指すべき時期にきてるんじゃないのか。「テツandトモ」は談志師匠が言うように「こんなとこに出なくていい」コンビだ。もはや「なんでだろう」は完成されたもので十分認められているんだから。ネタ自体はたわいないものだがその歌と踊り、表現力たるや素晴らしい。年代問わず笑わせるエンターティメント性は貴重なんものだ。実際、5歳の娘も「なんでだろ~」と真似してるぐらいだから。しかし、一見無軌道に見えるあの踊りは相当練習してると思う。ネタしながら、あそこまでピタッとは普通合わせられないよ。僕も鏡の前で少し「なんでだろ~」の動きを練習してみたが、相当レベル高くて、ちょっとやそっとではマスターできるもんじゃないと実感した。あっ、いかん、いかん。また「笑い」の批評やっちゃったな。一体、何様なんだと自分でも思う。

ビデオでみうらじゅんいとうせいこうの「ザ・スライドショー in ハワイ」見る。やっぱこういう馬鹿げたことを実現させるというとこが偉い。ハワイでスライドショーという行為自体がナンセンスでそれを考えてやっちゃうとこがみうらじゅんの文化系魂という気がする。ネタ自体はさすがに爆発力弱まってるし、相変わらずグダグダなんだけどね。前夜祭で意味なく二人が堺正章の「さらば恋人」を熱唱してるシーンが一番笑った。

で文化系魂を爆発させた偉大なるコンビがバッファロー吾郎。12月頭にあの梅田コマ劇場で行われた公演のドキュメントをビデオで。梅田コマでバッファロー吾郎が「ねずみ小僧次郎吉」を演じるってだけでもう最高にくだらない。梅田コマにバッファロー吾郎の大看板が掲げられてるその光景が壮大なるギャグ。公演のラストでやぐらに乗った木村が「祭り」を熱唱し、出演者全員がそれに合わせ踊るという場面は歴史に残るナンセンスさで、感動した。

年末はダラダラテレビ見るに限る。それにしても80年代を回顧するみたいな番組が結構多いな。「ベストテン」の特番とか見て、80年代アイドルポップスにおけるユーミンの偉大さなんか感じつつしみじみと。昔、親が懐メロ番組とか見てるのを「なにがいいんだか・・・」なんて思ってたが、完全に自分が懐メロ喜んで聴く側に回っちゃってるもんなぁ。でもどう考えても「あゆ」より「聖子」の方が良いもんね。しかし松田聖子40歳にしては若すぎる。「・・十分、“あり”やなぁ・・」と思ってる自分が怖い。

31日。早い、早すぎる。年々、一年が経つのが早く感じるというか、これはもはや錯覚ではなくてホントに早くなってるとしか思えない。去年の12月の日記読んでみたが、あれから1年なんて絶対経ってないよ。確実に一年200日ぐらいになってるって。

で朝から散髪に行ってスッキリ。昼からは家族で買い物。なんか年末感ないなぁ。百貨店で年賀のお菓子とか買って無理やり年末なんだと言い聞かす。

ドラえもんの特番見て、後は紅白とかリモコン片手にダラダラと過ごす。そうそう新しい紅白の見方を発見した。紅白とテレビ東京系の「年忘れ日本の歌」とを交互に見ていくとなかなか楽しい。例えば藤本美貴VS宮四郎なんていう絶妙な歌合戦が見れるのだ。モー娘VS角川博なんか実に良かったね。それと紅白でエレキギターを手に宇崎竜童を従え熱唱する「鳥羽一郎」を見たとき、ロックとは何なのか?とふと思ったね。多分、鳥羽一郎矢沢永吉細野晴臣あたりほぼ同じ年代のはず。どういう音楽を志向するのかって50ぐらいになった時、大きな差を生むなぁ。

で今年最後の仕事っつーことでそばを茹で年越しそば作る。おいおい、最後に厨房に立っちゃってるよ。そんな訳で2002年終了。

さて98年11月30日にスタートしたこのHP。丸4年が過ぎ、ついに5年目突入です。特にこの日記は僕のライフワークというかもはや全てであります。来年はどうなることかわかりませんが、少なくともこの日記は10年は続けるつもり。感想メールくださった方々、この日記を楽しみにしてるかどうかはわかりませんが、なにしろ読んでくれている方々に心から感謝します。ありがとうございました。来年もよろしくお願い申し上げます。