日々の泡。

popholic diary

2021年7月17日~23日の話。

土曜日。朝一でユナイテッドシネマまで。

待ちに待ったMARVEL映画。ケイト・ショートランド監督「ブラック・ウィドウ」を観る。1年待った甲斐あり!単体作品としても、MCU作品としても素晴らしかった!ナターシャという謎めいたキャラを深く掘り下げ、彼女の心をしっかりと描くことで、アベンジャーズにおける彼女の行動の真意、そこに至る心情までもが浮かび上がる。
シビルウォー」と「インフィニティウォー」の間、彼女に何があったのかを描くという変化球でありながら、人間ドラマであり、スパイアクションであり、ファミリー喜劇でもあるという。そして見事に次世代にバトンを渡すという重要な任務を果たす。バトンを渡されるのはフローレンス・ピュー!ピューピューだよっ!ということで「ファイティングファミリー」「ストーリーオブマイライフ」に続く最強の妹役。全世界の妹、フローレンス・ピューがついにMCUに参戦。エンドクレジット後のあのフリ。期待しかない!

一旦帰宅し一休み。しかし一気に暑くなった。

近江八幡まで直枝政広ライブを観に。近江八幡駅から会場の酒遊館までは徒歩30分。汗をかきつつのんびりと歩く。ライブは会場の雰囲気もありどこかリラックスムードで、いつになくノスタルジックな雰囲気もあった。直枝さんのライブはいつも何か答え合わせをしてるような感じがある。今自分が求めているものや進むべき方向を答え合わせするような。最近の自分は少々疲れている。改めて自分の足元を見てみる、そして少し振り返って自分の歩んできた道を見てみる。そこから見えてくるものが確かにある。直枝さんの歌声を反芻し夜道を歩く。全くライブの感想になってないが、直枝さんの歌はなんというかもっと深いところに入り込んでいる。人生のサウンドトラックなのだから。

日曜。朝から実家へ。色々と母の手伝い。というほどのこともできていないが。いっしょにご飯を食べて、話をして。

月曜。まだ夏の序の口なれどすっかり夏バテ。10時には寝てしまう。

火曜、水曜。連休前なので諸々仕事に追われる。

で木曜、休日。朝から京都シネマへ。

まずはマイテ・アルベルディ監督「83歳のやさしいスパイ」を観る。舞台はチリのとある老人ホーム。入所者の虐待が行われていないかを潜入捜査するために送り込まれたスパイは83歳の老人セルヒオ。というドキュメンタリー。沁みた、泣けた、素晴らしい映画だった!紳士的で心優しきセルヒオはいつしか老人ホームの人気者に。一人一人に寄り添い会話をする中で、それぞれの孤独を知っていく。彼もまた妻を亡くし心に孤独を抱えている。「老人」ではなくそこにいるのは長い人生を生きてきた名前のある一人、一人なのだ。

自分ももう50。娘も働き出して子育ても終わった状態。実家には70を越えた母が一人。100を越える祖母は施設に。「老い」という問題が日々大きくなっていく。先日近くの駅で起きた人身事故。翌日の新聞には71歳の女性による飛び込み自殺だったと書かれていた。また別の日には82歳の男性が飛び込み自殺の記事。70年、80年を生きて彼らが選んだ最期に思いを馳せる。何でこんなことになってしまうんだろう。こんな世界あまりにも悲しすぎる。

続いてもう一本はデレク・ツァン監督「少年の君」。大学受験を控える優等生チェン。だが彼女は酷いいじめにあっている。ある日出会った貧困の中に生きるチンピラ、シャオベイ。二つの孤独な魂はやがて惹かれあうが…。ギリギリの場所で出会った二人の今にも壊れてしまいそうな危うく、だが尊い世界。真っ赤な血が噴き出してきそうな胸の痛みを分かち合い、互いが闇の中で見つけた光になる。息をのむような繊細な映像詩。これは紛れもない傑作!これもまた沁みた、泣けた。チョウ・ドンユイ、イー・ヤンチェンシー、二人の若き主演俳優の面構えがとにかく素晴らしかった!

映画館への行き帰りにはradikoで諸々気になった番組を。宮藤官九郎ゲストの「ビバリー昼ズ」。高田先生との丁々発止のやり取り、面白いなー。

「JUNK 爆笑問題カーボーイ」。小山田問題について実に80分にわたっての語り。他人事ではなく自分事として、90年代あの発言をスルーしてしまった社会について、言葉の重さを知る人が、真摯に言葉を尽くしている。意見の違いがあったとしてもその言葉は耳を傾けるに値するし、心を動かす。言葉は重いのだ。

「TOKYO SPEAK EASY」キャイーン×玉袋筋太郎回。「浅草キッド」と「爆笑問題」を間近で見ながら、二組のハイブリッドとして漫才を構築したキャイーン。玉さんからスリリングな話を聞き出そうとする天野君。そしてウドちゃんが場を和ます。

しかし90年代が語られる時代になったんだなー。ってもう2020年代だもんね。自分の中では90年代ってついまだ最近のような気もするがそんなわけないか。ただ思えば90年代って就職、結婚、子育てと自分事に手一杯で社会について考える暇もなかった感がある。

金曜。今日も休み。病院勤めの娘は今日も仕事。娘を送り出し、妻も出かけたので、朝のうちに少し買い物と散髪。午後には映画をまた一本。

イ・ヨンジュ監督「SEIBOK ソボク」を観る。国家の極秘プロジェクトで誕生した人類初のクローン、ソボク。人類に永遠の命をもたらすクローン・ソボクの護衛を命じられたのは余命宣告を受けている元エージェントのギホン。生と死をテーマにしたどこか哲学的なSFアクション。永遠の命を持つソボクと死が目前に迫るギホン。「生きる」とはどういうことなのか、二人は互いの存在を知ることでその意味を知る。壮大でド派手な演出もありつつ、あくまで人間ドラマとしての後味が残る。どこか手塚治虫的な世界観を感じた。

でやっぱりどう考えてもこのタイミングでオリンピックをやることには違和感を感じる。というかここまで金と政治の臭いしかしない汚いオリンピックがかってあっただろうか。本当に酷い国になってしまった。いや、してしまったというべきだろう。

 

今週聴いていた音楽

  • 「ONE」冗談伯爵
  • 「I am a Woman too」Minah
  • 「おとな」YeYe
  • 「[&]」LOONA

 

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2021年7月10日~16日の話。

やっと土曜。久々に朝から京都みなみ会館へ。

まずは石井裕也監督「茜色に焼かれる」を観る。夫を交通事故で亡くしたシングルマザー田中良子。コロナ禍で経営するカフェを閉め、今はホームセンターと風俗店でのアルバイトを掛け持ちしながら息子を育てている。いじめにあう息子、理不尽なリストラ、社会の歪みが波を打って次々と彼女に襲いかかる。社会の上流から流れ落ちてくる醜く淀んだ泥水が彼女を追いつめていく。風俗店の同僚ケイもまた追いつめられた女性。平気な顔を装い社会の理不尽さに怒れない二人だが、まるで合わせ鏡のようにそれぞれの境遇を知り、その理不尽さに気付くのだ。男である僕は男であることを恥ずかしく感じた。なぜなら彼女たちを追いつめる社会の歪み、醜くよどんだ泥水は男の姿をしているからだ。弱い者がさらに弱い者を叩く。すべてのしわ寄せが女性たちに向かい、時に命さえ奪う。連携し、声を上げる二人の姿は他人事じゃない。

主演は尾野真千子。間違いなく彼女の代表作になるだろうし、ケイを演じた片山友希が実に素晴らしかった。あとどこかユーモラスなラストシーンの永瀬正敏に笑った。

続いてもう一本はチェコドキュメンタリー映画SNS 少女たちの10日間」。巨大なスタジオに作られた3つの子供部屋。童顔の女優3人が「12歳」という設定でSNSを通じ「友達募集」。そこに集まってきたのは10日間でなんと2458人もの成人男性。その一部始終をカメラは映し出す。いやはやこれもまた自分が男であることが恥ずかしくなる映画だった。出てくる男たちのクソっぷりたるや、おっさんの僕でさえ顔をそむけたくなるようなおぞましさ。SNSを通じて少女たちに近づく男たちもまた社会の歪みであり、醜く淀んだ泥水だ。自分より弱い者を求めて少女に行きついた男の姿をした社会の歪み。男こそ観るべき映画。

映画館への道中はradikoで「TOKYO SPEAK EASY」水道橋博士×古館伊知郎回。古館さんの無意識下での記憶の改竄。記録と照らし合わせそこを指摘しつつ、深層心理から意味と意図を読み取る博士。猪木愛によって書き換えられた記憶。改めてその真実に気付き古館さん一言「俺は舌先の小保方晴子だ!」面白い!

夜、アマプラ配信映画クリス・マッケイ監督「トゥモロー・ウォー」観る。2051年からやってきたタイムトラベラーたち。彼らは告げる、30年後人類はエイリアンとの戦いに敗れ絶滅すると。それを阻止するため現在の人々が未来に転送され未来人たちと共に戦うことに。いやはやとにかくこれ、敵のエイリアンがべらぼーに強くて笑った。絶対無理やん、勝てる気せーへんという戦闘シーン。知的なエイリアンならまだしも、もうただただ凶暴で人間を餌としてしか見てない野生っぷり。一番怖い奴やん。でそれをどうひっくり返すかという話。なかなか面白い。でもこれやっぱ大スクリーンで観たいやつ。

日曜。梅雨明け前だが、すでに夏バテという感じ。家でのんびり「ABCお笑いグランプリ」。カベポスターが面白かった。特に2本目のコントは二人の奥に広がりが感じられて新鮮な驚きがあった。

月曜。またまた水道橋博士さんのイベント「アサヤンVol.14 青空球児・好児 ゲロッパ!漫才道場」を観る。めちゃくちゃ面白かった!とにかく青空球児・好児師匠の漫才が凄すぎた。あの世とこの世を行き来するかのような球児師匠の表情!映画「ファーザー」のアンソニー・ホプキンスを越えている。大丈夫なのかと思わせつつ、キレッキレのフレーズを連発。そんな球児師匠を自在に操り、時に平気な顔をして誰よりも危険な球を投げ込む好児師匠。何度も声出して笑った。凄いものを観た!

asayan.s-hakase.com

 

火曜。仕事、いろいろと思うことあり。それぞれ見てる世界が違うんだなとつくづく思う。10人いれば10通りの見方、考え方がある。たびたび「優しい」「穏やか」などと評されることがある。でもそれは本当は違うんだ。怒りで怪物に変身してしまうハルクは、自分の怒りを制御している。彼はある時、キャプテン・アメリカに言うのだ。「秘密を教えよう。僕はいつも怒っている」と。まさにそんな気分でいる。

肉体的にも精神的にもハードな日々を過ごしてやっと金曜。

会社帰りに細田守監督「竜とそばかすの姫」を観る。 壮大で想像力と創造性が融合した素晴らしい映像。巨大で無限に広がっていく匿名の世界から、名前が見えるミニマムな現実世界へ。あっという間に増幅されていく悪意や間違った正義が小さな声をかき消す。困っている隣人に手を差し伸べる。そんな小さな優しさが、無数の匿名の暴力にかき消されていくのだ。そこを突き抜けていこうとする主人公の想いが光になる。素晴らしい映像と考えさせる物語。細田監督の最新作にして最高作ではないか。

で特筆すべきはその映像や物語を越えて圧倒的な力を持つ、中村佳穂の歌!とにかく彼女の歌が持つ原始的な響きが、圧倒的な説得力を持って物語を押し上げる。彼女の歌なくしては、もはや成立しないぐらいに。いやそれにしても京都が生んだこの天才シンガーの歌声が、全国の劇場に響き渡っていると思うと実に痛快である。彼女の歌は、この映画を通じて世界のど真ん中を突き破っていくだろう。

 

今週の一枚。猫は宇宙旅行の夢を見る。

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今週聴いた音楽

  • 【&】LOONA
  • 「Ombre」辻林美穂
  • 「AINOU」中村佳穂

2021年7月3日~9日の話。

土曜。朝から京阪電車龍平で京都まで。radikoで「角田龍平の蛤御門のヘン」エムカクさんゲスト回聴きながら。法曹界及び放送界一の「好“カク”家」である角田さんとエムカクさんとの掛け合い楽し。「明石家さんまヒストリー」発売後の河内家菊水丸さんとの邂逅。「やっと会えたね」といったかどうかは知らないが、まさにリアル「花束みたいな恋をした」。出会って数秒で「明石家さんま」話に興じる二人。さんまヒストリーがさらに強固に補完されていく様が素晴らしい。

で開店と同時に丸善書店に飛び込み、やっとエムカク著「明石家さんまヒストリー2 1982~1985 生きてるだけで丸もうけ」購入。地元で唯一の某T書店はなんというか雰囲気だけで本への愛情が感じられない店で、入荷の見込みもないので買い出し。丸善さんはしっかり1と並べてPOP付き平積みしてあった。こうでなくっちゃ。

なか卯で好物の「親子丼」を食べて、久々にMOVIX京都で映画を1本。

チェン・ユーシュン監督「1秒先の彼女」を観た。何をするにもワンテンポ早い郵便局勤めのシャオチー。恋も仕事もイマイチのシャオチーだが、ある日出会ったイケメンダンス講師とバレンタインデートすることに。しかし目を覚ますと大切な一日が無くなり翌日になっていた!?そして毎日郵便局にやってくる何をするにもワンテンポ遅いバス運転手グアタイの視点ではってな藤子F不二雄チックなちょっと不思議で極めてチャーミングな作品!パッと明るく、くるくる変わる表情がとっても魅力的な主人公シャオチーが最高。演じるリー・ペイユーは台湾の人気司会者だとか。ワンテンポ早い女とワンテンポ遅い男。二つの視点で描かれる仕掛けがかわいく楽しい。ちょっと内田けんじ監督の「運命じゃない人」を思い出した。

で即地下鉄に乗って久々にTOHOシネマズ二条へ。デイヴィット・バーン×スパイク・リーの映画「アメリカン・ユートピア」やっと観た!デイヴィット・バーンによるブロードウェイでの革新的なライブショーをスパイク・リー監督が映画化。しょっぱなからちょっと圧倒されちゃった。マーチングバンドのように体と楽器が一体化したメンバーたち、オールワイヤレスでコードから解放され繰り広げられる演奏、パフォーマンス。その革新的でありつつ、プリミティブな音楽の力にもってかれた。頭のてっぺんから足の先まで、その音楽に支配される瞬間が何度もあった。いやこれは噂以上に凄かったなー。

しかしこの素晴らしい音楽映画、絶対観ておくべきだなと思いつつ、実際多くの人には届いていないのも現実。大体地方在住者はほぼ見ることは難しい。僕の住む滋賀県では実際上映されていないし、京都まで映画を見に行くなんてことも比較的京都よりの地域に住んでるからできること。僕の職場はエンタメ業界だし音楽にものすごく近い位置にあるが、じゃ職場や関連する人たちで実際何人がこの映画を観てるだろうか?っつーかほぼ気付いてもいないのが現実だ。ちょっと寂しくなる。

日曜。妻と義母と3人でアレックスシネマで明石家さんまプロデュース、渡辺歩監督「漁港の肉子ちゃん」を観る。漁港に暮らすちょっと訳アリの肉子ちゃんとキクコ母娘。彼女たちと彼女たちを取り巻く隣人たちとの物語。躍動感溢れるパワフルな肉子ちゃんのアニメ的な表現とともに、様々な出来事の中でキクコの心によせる波、その繊細な少女の心を丁寧に描いている。散りばめられたギャグは「心はロンリー、気持ちは…」と地続きだし、大竹しのぶ演じる「肉子ちゃん」はまるで明石家さんまが憑依したようで、さんま=しのぶ=肉子が重なる。「生きてるだけで丸もうけ」という根源的な強さが優しさを生み世界はそれを愛と呼ぶ。明石家さんまが持つ圧倒的な人間愛を感じる。確かにこれは愛の物語だと思う。

月曜。営業外回りでランチは外食。前回「王将」で失敗したので今回は慎重に。定食屋に入ろうとしたが、ついふらふらと隣のお好み焼き屋で、お好み焼き、焼きそば&ライスという炭水化物のスリーカードで決めてしまった。

火曜、水曜でマ・ドンソク主演ドラマ「元カレは天才詐欺師」(邦題が詐欺!)3~5話を。強面ながら気弱で生真面目なマ・ドンソク!ってだけで面白い。情けなく笑うマ・ドンソクの顔がいいんだよね。

木曜。朝から病院で検査。30分安静の後、血液採取、さらに薬飲んで1時間安静の後血液採取でもう30分安静からの血液採取。半日かけるも結果はまた来月。検査するにも時間がかかる。で午後は休みを取ったのでユナイテッドシネマで「ゴジラVSコング」を。ゴジラとコングの肉弾戦!ゴジラにパッチギを食らわすコング、やたら鼻息荒いゴジラ、そして白目の小栗旬!出てくる人間たちがほぼバカという中、コングのイケメンぶりが際立つ。そしてまさかのゴジラ&コングによる少年ジャンプ的展開に!スクリーンで観ないと意味ない映画。

朝ドラ「おかえりモネ」今週もじっくり丁寧に傷ついた人々の心を描く。単純なポジティブさを排して、しっかり寄り添い、噛みしめるような展開で朝から見入ってしまう。

金曜。会社帰りにアレックスシネマでアレサ・フランクリンの72年教会でのライブを収めた「アメイジング・グレイス アレサ・フランクリン」を観る。素晴らしいバックバンド、聖歌隊を従えてのゴスペルライブ。声を発した瞬間から一瞬にして場を制する神々しいまでの歌声。アレサの歌声に時に涙し、時に踊りだし、熱狂する観客たち。魂に直接突き刺さるような歌の力。ここにもまた、頭のてっぺんから足の先まで、その音楽に支配される瞬間が何度もあった。身体と心が乗っ取られるような感覚。

しかし非常事態宣言下でオリンピックって、気狂ってんなー。嘘つきや卑怯者に牛耳られた国。我慢の限界はとっくに越えている。いい加減にしろよ。

そうそう大好きな少女時代のテヨンがカムバ。ありそうでなかったキュートでポップなソロ曲。華やかなステージも楽しい。ほんの3分でも嫌なことが忘れられるってもんだ。


www.youtube.com

 

で聞いていた音楽は

今週の一枚。すっかりだれきっている猫。

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2021年6月26日~7月2日の話。

土曜日。久々の休日仕事で半日。3時過ぎ帰宅して、韓国ドラマ「マイ・ディア・ミスター」を。疲れた身体に、優しさが沁みるぜ。キラッキラのスーパーアイドル、IUのオーラを完全に封印した薄幸演技が素晴らしく、毎回惹き込まれる。くーっ。

日曜。今日は数ヶ月ぶりに京都に出て映画。京都シネマでチョ・チョルヒョン監督「王の願い ハングルの始まり」を。庶民でも平易に理解できる文字を作るべく奮闘する世宗大王と僧・ソンミのハングル事始め。儒教の国で、仏教徒とともに秘密裏に事を進めていくスリリングな展開、点と線と面の組み合わせで朝鮮語をロジカルに文字化していく様が楽しい。物語はあまりにフィクションに過ぎるということで韓国ではあまり評価されなかったようだが、正しい権力者は知識を与えようとするものというテーマに強く惹かれた。自分達の権力を守るために、人々から知識を奪おうとするクソみたいな権力者たちを見過ぎているから。

そのままもう一本。ホン・サンス監督「逃げた女」を。主人公ガミが3人の女友達と会話する。ただそれだけなのにミステリーのような、ロードムービーのような、人情喜劇のような、不条理劇のような、なんとも魅力的な映画。空っぽなのに全てが詰まっているというか、何度も何度も反芻してしまうような作品。繰り返される会話、その表情とトーン、行間。本当のようにも嘘のようにも聞こえる言葉。丁寧に剥かれたリンゴと猫。様々なシーンがふっと頭に浮かんでくる。印象的だったのは3人の女友達との会話は多くを語ってはいなくともどこかで通じ合うのに、それぞれの場所で出てくる男性との会話には絶望的な断絶があるところ。ホン・サンスの映画っていつもなんだか煙に巻かれてしまうのだけど、そこが癖になる。

夜、テレビで「太田・伯山・ウイカのはなつまみ」。志らく VS 伯山、面白かった!芯を食いすぎたダメ出しを、なんとか対決構造で笑いに変えようとする伯山。飄々と受け流してるように見え、やっぱりどっかムカついている志らく、冷静に二人の言葉と行間を読む太田。バラエティの体裁をなんとか保ちつつ、時に火花を散らす本音の芸談。3人の中に談志という巨星が浮かび上がる。ピリッとしたりヒリヒリしたりでたいそう面白かった。

風呂上りに、リンゴ酢と紫蘇ジュースを炭酸水で割ったのを飲みつつ部屋で音楽聴いたりネットを観たり。布団に入る前のこの1時間ほどが唯一の息抜きといった状態。景気の悪い話だね、どうも。

金曜。仕事の関係で営業車飛ばして福井県は高浜まで。京都縦貫道を走り抜けていると、ふと27年前、サラリーマン成り立ての頃を思い出す。今とは違う会社、問屋の営業マンで九州地区担当。レンタカーで山の中の高速をひた走っていた記憶がフラッシュバック。スマホどころかネットもまだ普及していない時代。地図を片手に慣れない土地を走り回ってたなー。あの頃の俺を抱きしめてやりたい。いやがるだろうけど。

帰りにネットカフェに寄って文春をチェック。小林信彦さんの連載終了。80を越えてもなおポップカルチャーの観察者として現役バリバリ。そして戦争経験者として危険な世界に警笛を鳴らす。中学一年生の時、ちょうど横山やすし主演で映画化が決まった「唐獅子株式会社」の新潮文庫版を手にしたのが最初。面白かったんだこれが。小説で爆笑すると言う体験を始めてして、すっかりファンに。続いて買ったのが「日本の喜劇人」。元々お笑いは大好きだったし、芸能史にも興味があったので、これまたしっかりはまった。愛読書は「日本の喜劇人」という中学二年生になっていた。古本屋を回って「オヨヨシリーズ」を始めとにかく「小林信彦」の名前を見つけたらお小遣いで購入。エンタメ小説、文芸作、エッセイ、評論本、評伝。今も本棚の真ん中の列は小林信彦本が鎮座している。映画や音楽について僕がこうしてブログに書いているのも、はっきりと小林信彦の影響下にある。

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で今週聴いてた音楽

  • 「Fly Fly Fly」柴山一幸
  • 「Reboot」ワンダーガールズ
  • 「憐情のメロディ」伊集院幸希
  • 「TOKYO GIRLS TALK」高田みち子
  • 「Live from Yokohama」高田みち子
  • 「Love poem」IU
  • 「Animation」Rainbow note
  • 「What Do I Call You」テヨン

2021年6月19日~25日の話。

土曜。朝から雨の中散歩がてら大津アレックスシネマまで。アニーシュ・チャガンティ監督「RUN」を観る。郊外に暮らすクロエは生まれながらの病気で車いす生活をおくっている。そんなクロエにつきっきりで世話を焼く母ダイアン。しかしその母の愛は…ってなサイコスリラー。母の愛が狂気だと気づいた時の恐怖。スリル溢れる見せ場もたっぷり。最後のぞっとするオチも後を引く。面白かった!大作ではないけども、こういうピリッと山椒の効いたスリラーもいいね。

で帰宅後、今日も韓国ドラマ「マイ・ディア・ミスター」。9、10話を鑑賞。自己肯定感が低く、自分自身を哀れんでいる二人の主人公が、たがいの優しさや思いやりに触れる中で、自分自身を肯定していく。えぇ話やないの。

とにかくここ数年、加速度的に日本は悪い方に向かっていると思う。物事は全て勝ち負けで決められ、その勝ち負けの基準も経済に牛耳られている。親切や優しさはないがしろにされ、弱者は切り捨てられ、金と数による理不尽な暴力が猛威を振るう。卑怯で卑劣であることを隠しもしない者どもが大きな顔でのさばっている。そしてそんな国に吹く風は、優しく親切な人々の心を蝕んでいく。

そんな中でこのドラマに少し救われる気持ちでいる。

夕方から妻、娘とともに実家へ。娘の誕生日が近いということで母と一緒に食事。年々、母のありがたみをひしひしと。父が死んでもう14年。一人で暮らす母の寂しさを思えば胸が痛む。自分の生活にかまけて、親孝行しきれていない自分に罪悪感を感じることもある。

日曜。午後の自宅映画劇場。アリ・アッバシ監督「ボーダー 二つの世界」を。税関に勤めるティーナは、違法な物を持ち込む人間を嗅ぎ分ける能力を持っていたが、生まれつきの醜い容姿に悩まされ、孤独な人生を送っていた。ある日、怪しい旅行者ヴォーレと出会ったことから…ってな話。うーむ、唸った。これは凄い。ダークファンタジーであり、サスペンススリラーであり、実に不思議な感触を持った作品。異形の者の孤独と得も言われぬ哀しみ。想像力と創造性に満ちた傑作であった。

「テレビ千鳥」の一周だけバイキング面白い。ビジネスホテルの朝食バイキングで卵焼きとスクランブルエッグをお皿に乗せてご飯に味噌汁、クロワッサンをとってしまうようなセンスのない男なので、それぞれの気持ちの揺らぎがわかって面白かった。

どうも平日は仕事に追われるばかりで、家に帰ってくるともう何もしたくなくなってしまう。飯食って風呂入って10時には布団に入って11時には眠りたいという感じ。

でもう金曜。営業外回りで久々にランチを外食に。これがいつもうまくいかない。何を食べようか、悩みに悩んでいるうちにあらゆるレストランに入りそびれ、結果「餃子の王将」へ。そこでもまた悩んだ末、焼きそば。これが大きな過ちだった。いや、子供のころから王将の焼きそば大好きで、家でも再現を研究するほどなのだが、調理人の調子が悪かったのか、べちゃっとした仕上がりの上、なにより豚肉が文字通り小指の爪ほどの欠片が一切れしか入っていない。麺の間を何度も探した。向かいのホーム、路地裏の窓、こんなところにいるはずもないのに…。1週間一生懸命働いて、久々の外食ランチ、それも金曜日にこの仕打ち。一粒の涙が頬を伝った…。

しかし今週もつまらない日記になってしまった…。

今週聴いていた音楽

  • 「Don't Know」Kim Suyoung
  • 「Palette」IU
  • 「Jinah Restaurant Full Course」Lee Jin Ah
  • 「Candy Pianist」Lee Jin Ah
  • 「CELLOPHANE」Fromm
  • 空気公団空気公団
  • 「Fine」キリンジ
  • 「ALOHA OE」RossyPP

今週の一枚。ベランダから家の中を覗き見る猫。はい、ひょっこり猫。 

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2021年6月12日~18日の話。

土曜日。朝から庭の枇杷を収穫。20年ほど前、何気なく庭の端に埋めた一粒の種。別に育てる気も無く放ったらかしにしてただけなのだがぐんぐん成長しもはや切ることも容易にできないぐらいになっていた。そんな枇杷の木に去年初めて少し実がついた。ほとんどを鳥につつかれ収穫できたのは10個ほど。で今年、見上げると実が鈴なりに!鳥につつかれる前にと収穫するとまぁこれが凄い量。ゆうに100個、いや200個はあろうかという立派な枇杷。脚立に登って大収穫祭。人生フルーツですな。

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午後はアマプラで韓国ドラマ「マイ・ディア・ミスター」6、7話を。7話の最後でやっとIUの笑顔が観れた。イ・ソンギュン演じる人生に諦め疲れた男ドンフンに思わず感情移入。しかしドンフンが巻き込まれていく会社内の権力争いの物語、IU演じるジアンのケン・ローチ的な貧困と社会の物語、ドンフンの兄弟たちの負け犬達の物語と濃厚な3つの物語が交差し互いに共鳴し合う。見応えあり!

夜はTVで「キングオブコントの会」。俺たちが好きだった、そして観たかった松本人志が帰ってきた!という感じ。最後の「管理人」コントには笑ったし唸った。映画にして欲しいぐらいだ。

日曜。大量収穫した枇杷を前に茫然。とりあえず形のいいものは生食用に。そして残りの半分をまずは砂糖水で煮てコンポートに。これは朝のヨーグルトと合わせて食べよう。そして一部を使って枇杷のゼリー。これは今日と明日のデザート。でさらに残りは枇杷ジャムに。砂糖とレモン汁といっしょにコトコト煮込む。これは毎朝のトースト用だ。

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そんな訳で半日、台所で枇杷と格闘。すっかり疲れた。我慢しきれず「マイ・ディア・ミスター」8話を。あぁジアンには幸せになって欲しい。とすっかりはまる。

月曜。ドンフンのように疲れ切って会社へ。

火曜。「大豆田とわ子と三人の元夫」最終回。まるで円環を描くようにチャーミングなラブコメディで最終回。でも1話に感じたそれとは違った味わい。カメラ目線でタイトルコールを決めるオープニングとエンディング(これ毎回最高だった!)、伊藤沙莉のナレーションと「フィクション」であることをことさらに強調する演出。そう、これは作り物の物語。でもそこに息づく登場人物たちの一挙手一投足、丁々発止のやり取り、役者たちの表情、物語の中に自分の人生を照らし合わせ、泣き、笑い、心を動かす。こんな時代だから、いやどんな時代にだって物語は必要で、それは経済や生活にとってはとるに足らないかもしれないけど、やっぱりかけがえのないとても大切なものだと思う。そんな物語が描いた人生賛歌。気持ちのいいドラマだった。しかし改めて松たか子が素晴らしかったなー。

木曜。タイムフリーでひたすらラジオを聴く日。円楽師匠ゲストの「伊集院光とらじおと」、珠玉の芸談水道橋博士さんゲストの「くにまるジャパン極」はタモリさんの数々の逸話を。「角田龍平の蛤御門のヘン」。ウーマナイザー話に爆笑。そしてNegiccoのKaedeさんがゲストに登場。音楽番組とは違う切り口でたのし。「アフター6ジャンクション」では吉田豪さんによる萩尾望都著「一度きりの大泉の話」を巡る話を。根深いなー。西森路代さんによる「日本のドラマ」話。先の「大豆田とわ子~」に渡辺あや脚本「今ここにある危機とぼくの好感度について」、安達奈緒子脚本「おかえりモネ」などについて。今、日本の社会について知るには腰の引けた報道よりも断然ドラマを観るべきだと思うな。Spotifyの配信番組小泉今日子の「ホントのコイズミさん」宮藤官九郎ゲスト回。「あまちゃん」裏話から勘三郎さんの話、「俺の家の話」の話などなど全部面白い!地に足付いたキョンキョンの対話は素晴らしいなー。

金曜。いろいろ精神的にハードなことがあってヘトヘト。仕事って大変だなーとかなんとか。でもまぁ明日は休みだ。

今週聴いた音楽

  • ムーンライダーズ トリビュート・アルバム 陽気な若き月影の騎士たち」
  • 「1959」Soggy Cheerios
  • 「丁酉目録」桶田知道
  • 「幸福」岡村靖幸
  • 「操」岡村靖幸
  • 「Youth-Original Soundtrack」Kaede
  • 「袖の汀」君島大空

2021年6月5日~11日の話。

土曜。朝からオジ散歩。radikoで「ミッドナイトダイバーシティ~ラジオ版カセットテープミュージック」聴きながら商店街の格安散髪屋へ。しかし随分白髪が増えた。もみあげなんか真っ白。よく言えば北大路欣也、悪く言えば河原さぶと言ったところだろうか。暑くなってきたので皆考えることが同じなのか、10人待ちだったのであきらめてそのまま近くの図書館へ。

吉田豪による前田五郎インタビューが載った「超・人間コク宝」とか気になる本をいくつか斜め読み。スージー鈴木さんによる近田春夫インタビュー聴きながら再び散歩。コロッケを買って帰宅し、昨日の残りのカレーといっしょに食べて、アマプラで韓国ドラマ「マイ・ディア・ミスター」4、5話を。重い展開ながら物語が動き出してきた感じ。我がアイドル、IUの名演に惹き込まれる。しかし時間的に休日に2話観るのが限界だな。

昨日の配信は途中からしか見られなかったので改めて水道橋博士さんの「アサヤン Vol.10 口伝・明石家さんまヒストリー」を。「人生の教科書」(by 水道橋博士)「明石家さんまヒストリー」をじっくり紐解いていく。エムカクさんによるもはや安定の明石家さんま語り。それにしても演者としてのエムカクさんの巧みさよ。よどみなく流れるような語りの根底には深すぎるさんま愛。そして驚愕の貴重映像の数々。「明石家さんまヒストリー」発刊をきっかけに河内屋菊水丸コレクションをはじめとするさらに秘蔵映像の数々がエムカクさんの下に。当時大好きで楽しみに見ていた「ヤングプラザ」の映像。島田紳助との丁々発止のやり取りを見ることができるとは!あと気になったのが「松尾伴内」伝説。たけし、さんまに仕えた寡黙すぎる怪芸人!

asayan.s-hakase.com

日曜午後は家で映画。ライアン・クーグラー監督2013年作「フルートベール駅で」を観る。2009年、22歳の若さで無抵抗なまま警官により射殺された黒人青年オスカー・グラント。その日に至る彼の人生を描く。ある日突然、幕を下ろした彼の人生。黒人であるという一点だけで迫りくる死。2021年、今もまだ続くこの理不尽。いつかこのような映画を作らなくていい日が来るまで、こうして描き、語り続けなければならない。

嫌われ者の月曜。いつか好きになってあげたいけれど、なかなか好きになれない。

火曜の楽しみはドラマ「大豆田とわ子~」。軽妙洒脱なラブコメディな雰囲気で始まったドラマも、進んで行くにつれ、いや、もうこんなところまで辿りつくんだというところに。人生にIFはないけれど、時にIFを想い人生を再確認することもある。

水曜。午前中休みを取って朝から病院。血圧の調整。歳食うといろいろある。ついでに床屋にも行ってすっきり。今週はやたら天気がいい。午後は会社に出て営業仕事。

YouTube「街録Ch」水道橋博士さん前編、後編をチェック。水道橋博士さんは「僕の好きな先生」だ。自分は怠け者で、臆病者だけど、卑怯者にはなりたくない。そんな風に思い続けられるのは水道橋博士と言う先生が居てくれるからだ。

youtu.be

木曜。配信にて韓国ドラマ「元カレは天才詐欺師~38師機動隊~」とりあえず第一話を。邦題に偽りありながら面白いと評判のマ・ドンソク主演ドラマ。

金曜。朝ドラ「おかえりモネ」はじっくり丁寧に作っていて、そこが逆に朝ドラらしくなく新鮮。名作の予感。

金曜の夜ぐらいは会社帰りに映画でも観に行きたいところだが、なかなか観たい映画と時間が合わず。大人しく帰って、さっさと風呂に入りほっと一息。リンゴ酢のソーダ割りを飲みながらYouTubeで韓国音楽巡り。TWICEの新曲、軽くて洒落たアレンジが良い。

ということで今週聴いた音楽は

  • 「LILAC」IU
  • 「FRUITFUL」堀込泰行
  • 「夜明け日記」RIPLEY
  • 「Love poem」IU
  • 「BABY BABY」少女時代
  • 「Serenade」Sunwoojunga
  • 「Aquarium」Bronze
  • 「Taste of Love」TWICE