日々の泡。

popholic diary

2021年6月26日~7月2日の話。

土曜日。久々の休日仕事で半日。3時過ぎ帰宅して、韓国ドラマ「マイ・ディア・ミスター」を。疲れた身体に、優しさが沁みるぜ。キラッキラのスーパーアイドル、IUのオーラを完全に封印した薄幸演技が素晴らしく、毎回惹き込まれる。くーっ。

日曜。今日は数ヶ月ぶりに京都に出て映画。京都シネマでチョ・チョルヒョン監督「王の願い ハングルの始まり」を。庶民でも平易に理解できる文字を作るべく奮闘する世宗大王と僧・ソンミのハングル事始め。儒教の国で、仏教徒とともに秘密裏に事を進めていくスリリングな展開、点と線と面の組み合わせで朝鮮語をロジカルに文字化していく様が楽しい。物語はあまりにフィクションに過ぎるということで韓国ではあまり評価されなかったようだが、正しい権力者は知識を与えようとするものというテーマに強く惹かれた。自分達の権力を守るために、人々から知識を奪おうとするクソみたいな権力者たちを見過ぎているから。

そのままもう一本。ホン・サンス監督「逃げた女」を。主人公ガミが3人の女友達と会話する。ただそれだけなのにミステリーのような、ロードムービーのような、人情喜劇のような、不条理劇のような、なんとも魅力的な映画。空っぽなのに全てが詰まっているというか、何度も何度も反芻してしまうような作品。繰り返される会話、その表情とトーン、行間。本当のようにも嘘のようにも聞こえる言葉。丁寧に剥かれたリンゴと猫。様々なシーンがふっと頭に浮かんでくる。印象的だったのは3人の女友達との会話は多くを語ってはいなくともどこかで通じ合うのに、それぞれの場所で出てくる男性との会話には絶望的な断絶があるところ。ホン・サンスの映画っていつもなんだか煙に巻かれてしまうのだけど、そこが癖になる。

夜、テレビで「太田・伯山・ウイカのはなつまみ」。志らく VS 伯山、面白かった!芯を食いすぎたダメ出しを、なんとか対決構造で笑いに変えようとする伯山。飄々と受け流してるように見え、やっぱりどっかムカついている志らく、冷静に二人の言葉と行間を読む太田。バラエティの体裁をなんとか保ちつつ、時に火花を散らす本音の芸談。3人の中に談志という巨星が浮かび上がる。ピリッとしたりヒリヒリしたりでたいそう面白かった。

風呂上りに、リンゴ酢と紫蘇ジュースを炭酸水で割ったのを飲みつつ部屋で音楽聴いたりネットを観たり。布団に入る前のこの1時間ほどが唯一の息抜きといった状態。景気の悪い話だね、どうも。

金曜。仕事の関係で営業車飛ばして福井県は高浜まで。京都縦貫道を走り抜けていると、ふと27年前、サラリーマン成り立ての頃を思い出す。今とは違う会社、問屋の営業マンで九州地区担当。レンタカーで山の中の高速をひた走っていた記憶がフラッシュバック。スマホどころかネットもまだ普及していない時代。地図を片手に慣れない土地を走り回ってたなー。あの頃の俺を抱きしめてやりたい。いやがるだろうけど。

帰りにネットカフェに寄って文春をチェック。小林信彦さんの連載終了。80を越えてもなおポップカルチャーの観察者として現役バリバリ。そして戦争経験者として危険な世界に警笛を鳴らす。中学一年生の時、ちょうど横山やすし主演で映画化が決まった「唐獅子株式会社」の新潮文庫版を手にしたのが最初。面白かったんだこれが。小説で爆笑すると言う体験を始めてして、すっかりファンに。続いて買ったのが「日本の喜劇人」。元々お笑いは大好きだったし、芸能史にも興味があったので、これまたしっかりはまった。愛読書は「日本の喜劇人」という中学二年生になっていた。古本屋を回って「オヨヨシリーズ」を始めとにかく「小林信彦」の名前を見つけたらお小遣いで購入。エンタメ小説、文芸作、エッセイ、評論本、評伝。今も本棚の真ん中の列は小林信彦本が鎮座している。映画や音楽について僕がこうしてブログに書いているのも、はっきりと小林信彦の影響下にある。

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で今週聴いてた音楽

  • 「Fly Fly Fly」柴山一幸
  • 「Reboot」ワンダーガールズ
  • 「憐情のメロディ」伊集院幸希
  • 「TOKYO GIRLS TALK」高田みち子
  • 「Live from Yokohama」高田みち子
  • 「Love poem」IU
  • 「Animation」Rainbow note
  • 「What Do I Call You」テヨン