日々の泡。

popholic diary

2024年3月9日~15日の話。

2024/3/9

あんバタートーストの朝食。あんこはいつ食べても美味しい。朝のうち少し日記を書いて、京都へ。アップリンク京都にて塙宜之監督「漫才協会 THE MOVIE 舞台の上の懲りない面々」を観る。浅草、東洋館を活動拠点とする漫才協会の個性あり過ぎる芸人たちを追うドキュメンタリー。事故で右腕を無くしながらもリハビリに励み芸人復帰を果たす大空遊平は飄々としながらも芸人としてしか生きられない、生きていくしかない男のかっこ悪いかっこよさがある。離婚後も同居し同じ布団で寝、コンビとして舞台に立つはまこ・テラコのカラッとした明るさには芸人の逞しさがある。会費だけを払い続けながら誰もその存在を知らない謎の芸人。薄暗い団地の踊り場で塙監督と対話するもさらに謎が謎を呼ぶ展開で笑った。若手・ドルフィンソングは漫才協会入りのきっかけとなった水道橋博士主催のイベントを配信で観ていたので頑張ってるなーという感じで微笑ましい。なにより二人をあのチャーミングな声で紹介するキョンキョンのナレーションが素晴らしい。そのほか映画に登場する面々は今どきの人気芸人でもないし、そのほとんどはここで終わっていくであろう芸人だ。諦めが悪く、情けなく、かっこ悪い。でもそれが舞台の上ではすべてうらっ返る。しぶとく、たくましく、強く、明るく、笑い飛ばす。泣き笑いの傑作ドキュメントであった。

地下鉄で二条まで移動。はなまるうどんでかけうどんと竹輪天をさっと食べて本日の2本目。TOHOシネマズ二条で金子修介監督「ゴールド・ボーイ」を観る。完全にノーマークだったのだが、町山智浩さんはじめ多くの見巧者が激賞していたこともあり駆けつける。沖縄で大きく事業を手掛ける実業家の婿養子、東昇。事故を装いまんまと義父母を殺害。完全犯罪に思われたが、偶然殺害現場をカメラに収めた朝陽たち中学生が現れ…。原作は中国のベストセラー小説でドラマ化もされている作品。舞台を沖縄に移したリメイク作。いや、これがもうとてつもなく面白かった!何を言ってもネタバレになるので何も言えないが、天才的殺人者のサイコパス男と中学生。繰り広げられる邪悪な頭脳戦と心理戦。二転、三転の上に決着ついたと思ったら、そこからさらに粘り腰でダメ押しの展開へ。職人、金子修介監督が息の詰まるサイコパス対決に、淡い青春ジュブナイルな味わいをまぶし、切なくも忘れえぬ一夏を描く。サイコパス野郎を演じるのは岡田将生。あまりに美しい顔立ちが心の中の真っ暗な空洞を覆い隠し、得体のしれない不気味さと怪しさを際立たせる。絶品。対峙する少年を演じる羽村仁成が無垢な純粋さの裏側にさらにどっぷりと深い闇を漂わせる。とにかく見て!としかない面白さ。観たら絶対、面白いから見て!と誰かに勧めたくなる。見事な大傑作!一押しです。

夜はTVで「R-1」街裏ぴんく優勝。前に爆笑問題カーボーイでホラ漫談披露してたのがめちゃくちゃ面白かったので喜ばしい。

2024/3/10

玉子とチーズのホットサンドの朝食。いつものごとく妻と買い物行ってあとはぼんやり。午後の映画劇場はアマプラでロジャー・ロス・ウィリアムズ監督「カサンドロ リング上のドラァグクイーン」。メキシコのプロレス・ルチャリブレのスターレスラー、カサンドロの伝記映画。差別的な地でゲイとして生きることの困難さを身をもって味わいながらも、自分のままでいたいと願うカサンドロ。認めてもらいたいと願う父からは拒絶され、唯一の理解者である母も死んでしまう。それでも彼はルチャリブレに命を懸け、闘うことで自分自身の誇りを取り戻していく。エキソティコとよばれ通常は悪役や笑われ役になってしまうゲイのレスラーでありながら、華麗な技で人々の人気を集めていく。やがて国民的なルチャリブレの大スター、エル・サントとの対戦で多くの人々の心をつかみスターレスラーとして輝くのだ。まさに「ドーランの下に涙のカサンドロ」ってな物語であった。

2024/3/11

今日も今日とて外回り。遅めのランチは松のやでロースかつ定食。590円で食べられる美味しいとんかつ。夢はとんかつを裏切らない。とんかつは夢を裏切らない。

2024/3/12

雨の中、今日も外回り。会社に戻ってからもひたすら仕事してあっという間に退社時間。最近はもう早く寝たいという感じで11時には寝てしまう。

2024/3/14

大阪営業。いつもランチの時間を逃してしまう。結局3時頃に目に入った店でチキンカツカレーを食べる。いや、美味しかったしコスパもいいし別にいいんだけど、なんかもうちょっと丁寧にランチと向き合うべきだったかも。いや、十分に美味しかったんだけど。

2024/3/15

仕事の後、野洲まで出て珍しく飲み。以前勤めていた会社のT先輩、後輩のI君から誘われ、今から20数年前に毎日のように飲んでいた駅前の居酒屋へ。転職してはや20年とちょっと。以前勤めていた会社は新卒で入社して丸10年働いた。数年前にその会社は潰れてTさんもI君もそれぞれ違う会社の所属となっている。当時は皆30代だったが、今は全員50代。転職後、10年ほど前に一度会ったっきりだったので久々の再会。TさんI君とともに働いていた頃は朝8時には仕事をはじめ、夜10時までノンストップ。そのままこの居酒屋で12時まで飲んで、さらに近所のラウンジで深夜2時まで。そこから帰宅し、次の日も8時には働いているという…ま、それで精神的にも肉体的にもクタクタになり、転職を決心するわけだけど。とにかくハードコアな時代でよく働いたし、よく遊んだ。バイタリティに溢れお酒大好きで最後必ず説教酒になるT先輩にどれだけ説教されたかというのも今となってはいい想い出。飲みの誘いをいかに断るかをI君と相談してたんすよ!なんて話も笑って話せる。しかしそれも含めてあの地獄とも言えるような日々、共に過ごした仲間たちとの濃厚な日々は確かにあれはあれで「青春」だった。今も仕事の愚痴を書いてるけど、あの頃に比べたらなんてことない。余裕っすよ、ホントは。ビールを浴びるように飲んでいたT先輩も大病をして随分酒量が減ったようだ。当時は一番の若手で独身、恋に翻弄されていたI君もいまや2児の父親。僕もまぁそれなりに頑張ってきた。20年分の募る話は尽きることなく気が付けば4時間。またの再会を約束して終電で大津まで。いい夜だった。