日々の泡。

popholic diary

2022年12月24日~30日の話。

2022/12/24

クリスマスイブ。ってなんの関係もなく今年最後の休日出勤。朝からショッピング番組のため、カニを茹でる仕事。営業はなんだってするんだよ!でお昼過ぎに仕事終わってそのままびわ湖ホールへ。妻と待ち合わせて観劇。二兎社公演「歌わせたい男たち」観る。初演は2005年。卒業式の朝、学校の保健室。国歌を歌わせたい校長、歌うことを拒否する教師。果たして無事に卒業式を迎えられるのか…。右、左というイデオロギーの話ではなく、これはアティチュード (Attitude)の物語だと思ったな。どのような態度をとるのかの話。心情的に納得いかなくても、ことを円滑に進めるため目をつぶってやり過ごすのか、無謀だとわかっていても抗うのか。税金はあがり、軍事費は上がり、福祉は切り捨てられ、どんな不正をしても政治家は辞めない…それでも政権はひっくり返らない。権力の側に自分を重ねて勝ち組の気分だけを味わおうとする。その果てにあるのが戦争だ。自分が切り捨てられたとき、はじめて気がつく。気づいたときにはなにもかもがもう遅いのだ。

2022/12/25

寒い。9時起床。録画しておいたNHKで深夜に一挙放映した「まんが道 青春篇」を3話分見て、午前中に日記を仕上げる。

昼は野菜たっぷりのちゃんぽん。冬はちゃんぽんがイイネ。

午後から年賀状印刷。プリンターの調子がすこぶる悪かったのでどうしようかと思っていたが、兄から使わなくなったプリンターを譲り受けて、なんとか今年も印刷できた。

作業中はradikoで角田さんの「蛤御門のヘン」。中西正男さんゲスト。いちいちプロレスで例えるのが可笑しい。故・正司敏江師匠のエピソードも良い。正司敏江の人生は絶対映画にすべきだと思う。かしまし娘の家の女中で、字を読むことすらできなかった敏江が、生きていくため夫とともに「どつき漫才」を始める。舞台の上で殴られ蹴られ体当たりで人気者に。しかし夫の浮気が原因で離婚。だが漫才コンビとして人生を添い遂げる。映画化してほしいなぁ。

夜は久々にスパイスカレー作り。基本のチキンカレー、印度カレー子さんレシピで。結構いい感じで出来た。過去一の仕上がりかも。

2022/12/26

仕事。さすがに今日は少し落ち着いてる。夜、ドラマ「エルピス」最終回観る。長澤まさみ演じる恵那と鈴木亮平演じる斎藤が対峙するシーン、さすがに見応えあり。「歌わせたい男たち」と同様これもまたアティチュードの話だ。もっともらしい斎藤の言葉だが、それはただの詭弁だ。その詭弁を待ち構えていたように恵那は交換条件を吹っ掛ける。そこが一つの希望になる。が残念ながらこれはフィクションだ。現実はドラマのさらに先の地獄に踏み出している。

2022/12/27

ここんとこ昼休みに読んでいたのは小林信彦「夢の砦」。60年代、雑誌作りの世界を舞台にした上下巻にわたる氏の代表作の一つ。文庫本は平成2年発行のもの。20代の初めに買ってから、何度か読み始めるもなぜだかそのたびに挫折。50代になった今、やっと上巻を読み終わった。

2022/12/28

諸々片付けて大掃除して仕事納め。帰りにネットカフェでコーヒーと雑誌で一服。文春の顔面相似形、工藤静香ギリヤーク尼ヶ崎には笑った。ラジオ特集での高田先生のラジオ語りが読み応えあり。

2022/12/29

休み。朝から映画館へ。まずはMOVIX京都へ。ケイシー・レモンズ監督「ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE with SOMEBODY」を観る。80年代後半~90年代はまさに彼女の時代だった。その栄光と闇。光が強ければ強いほどその影は濃く黒くなる。2019年に公開されたドキュメンタリーも観ていたので、それがいい予習になった。彼女はまぎれもないスターなのだが、結局ドラッグと金そして身内に身を滅ぼされていく。切ないねぇ。しかしまぁこれもまた諸説ありの世界なので、描いていない部分も相当あるのだろうが。映画は彼女の「歌を聴かせる」ことに重きを置いているようなのでそこはしっかり伝わっている。

MOVIXは昔京都ロキシーだったところ。子供の頃、「銀河鉄道999」とか観に連れてってもらったなぁ。年の瀬の新京極界隈がなんとも懐かしいけど急いで地下鉄に乗って移動。移動中はradikoで「中川家のザ・ラジオ・ショー」ゲストは剛が大ファンだという小泉今日子!我らがキョンキョンはさすが地に足がついている。大アイドルであり、大スターながら、生活者としてきちんと生きている感じがやっぱり好きだなぁ。フフフっと笑う明るい声を聞いてるだけで幸せな気分になるな。

でTジョイ京都にてチョン・ジヨン監督「死を告げる女」を観る。人気ニュースキャスター・セラのもと生放送5分前にある女性から「殺される」と一本の電話が。最初はいたずら電話だと聞き流していたセラだが、放送終了後電話で告げられた住所を訪ねてみるとそこには死体が…ってな話。途切れぬ緊張感と不穏な空気の中、予想だにしない展開へ。セラと母親の関係、謎めいた精神科医…心をかき乱すようなサイコなサスペンススリラー。しかしそこには子を持つことでキャリアを分断される女性の生き辛さがシビアに描かれている。子供を持つことで、自分の夢、自分のキャリアが途絶える。もちろんこれは女性の問題ではなく、本来は社会の問題なのだ。男たちが作ってきた社会が、女性たちを追い込み苦しめている。自分もまた女性を追い込み苦しめてきた一人だ。今となってやっとそのことがわかった。責任や十字架を女性に背負わせて、知らん顔してていいわけない。ひどく考えさせられる映画だった。

さすがに京都駅界隈も人が多い。人込みを避けつつ帰宅。昼飯抜きで映画2本はしご。今年はこれで見納めかな。映画は大いなる娯楽であると同時に学びもある。自分の知らない世界、自分では及ばない考えに触れることができる。今は知識や教養が軽視される時代だけれど、そこをないがしろにしては絶対にならない。

2022/12/30

妻も娘も仕事。朝から「まんが道 青春篇」を観る。東京に出てきてから初めての帰省ですっかり気が抜け、仕事を全てすっぽかしてしまう有名なエピソード。テラさんも怒ってたよ。まだ頬がふっくらした初々しいにもほどがある森高千里や演技も未熟な無名時代の鈴木保奈美もいいね。

radikoで「蛤御門のヘン」聴きながら散歩。商店街の床屋で散髪。食堂アケミでオムライスをと思ってたが休みだった。そりゃそうか。しかし商店街、師走の賑わいも年々寂しくなっていっているな。で予定変更し家から徒歩52秒のラーメン屋で昼食。煮干しラーメンに味玉トッピング。美味しい。

少し歩いて駅前のスーパーで10%引きのショートケーキを。52歳の誕生日。おめでとう俺。いや、もはやめでたくもない。