日々の泡。

popholic diary

2022年12月17日~23日の話。

2022/12/17

朝のうちに日記を書く。トイレリフォームのため、業者さんに見積もり取りに来てもらう。新築で入ったマンションもすでに27年。家じゅうあちこちにガタがきている。

で今日も映画館へ。アップリンク京都にてまずは三宅唱監督「ケイコ 目を澄ませて」を観る。聴覚障害を持つプロボクサーのケイコが過ごす日々を描く。しかしそこにはカタルシスをもたらす戦いやお涙頂戴の感動話もない。ホテルで清掃の仕事をし、小さなボクシングジムで地道に練習を積み重ねる。早朝のランニング、朝のひんやりとした空気、ジムへの道のり、街の匂い…フィルムに映される風景。セリフはないけれど、表情、視線、肉体でケイコの想いが伝わる。「栄光」とは程遠い「生きる」姿が胸に迫り、なぜだか涙が溢れた。喜びや悲しみや夢や挫折や様々な想いに揺れながら、なんでもない日常を人を生きる。日々の積み重ねが人生になっていく。ダイアリーがメモリーになりヒストリーになっていくのだ。ケイコを演じたのは岸井ゆきの。愛嬌のある笑顔が印象的な彼女だけれど、ここではほとんど笑うことなく、まさにタイトルにあるようにぐっと目を澄ませている。傷だらけになりながらも、目の前の一歩一歩をひたむきに進むその姿には生きる美しさがある。素晴らしい映画だった。

コーヒーを一杯飲んで、続いてはシモーネ・ゴーダノ監督「泣いたり笑ったり」を観る。バカンスを過ごすために海辺の別荘にやってきた二つの家族。快楽的人生を謳歌するカステロヴェッキオ家と地道に漁師として暮らす労働者階級のぺターニャ家。まるで正反対の家族がこの別荘にやってきたのには訳があった。両家の父親、トニとカルロが結婚するというのだ!父親同士の再婚話に大混乱する家族たち。露骨に不快感を表し、まるで理解できないと反対する息子や娘。なんとか破談に持ち込もうとするも、それぞれの想いや人柄に触れ、その中で家族間の長年のわだかまりまでもがゆっくりと溶けていく。最後はとても温かな気持ちになる良い映画だった。抱き合いキスする二人の父親、それを不快だと野次る男たちに息子が言う「不快だと思う側の問題だ」と。人が人を愛するということ。泣いたり笑ったりの人生賛歌!

2022/12/18

朝から妻と買い物。GUで靴下を買う。もはや靴下や下着が気軽に買える店が歩いて行けるところにはない。

昼は鶏肉やしいたけ、油揚げや野菜類をいっぱい入れた具だくさんのうどん。冬はあったかいうどんがやっぱりイイネ!

午後からは妻とM-1敗者復活から始まりずっとTV。敗者復活観終わって急いで風呂に入り本戦へ。ま、昔は一生懸命点数付けたりして批評的に観ていたが、ここんとこはただ楽しむために観ている。いまや劇場に足を運んで細かくチェックしている妻や娘の方が熱量は高い。ウエストランド優勝に、妻も娘も喜んでいた。ウエストランドといえば「イグチンランド」事件を「爆笑問題カーボーイ」で謝罪した時には爆笑したなぁ。それと東野幸治がひたすら井口をいじり倒す「マルコポロリ」での特集回も笑った。芸人に愛される芸人なんだな。

で明日ゆっくり観ようと録画していた「鎌倉殿の13人」をやっぱり我慢しきれず観る。どう収拾つけるのかと思っていたが、圧巻のラスト。余韻がえぐい。泰時という希望を残し、地獄の底の手前で政子によって救われる壮大なるファミリーヒストリー。昨年観た三谷作のミュージカル「日本の歴史」。これもまたある一家のファミリーヒストリーが、歴史に重ねられていくものだった。「鎌倉殿の13人」北条家の歴史が日本の歴史になっていく様を1年間堪能した。素晴らしかった。

2022/12/19

月曜。諸々会議が続きぐったり。この日記を読んでる人はわかると思うが、50過ぎて映画や音楽、ポップカルチャーに耽溺している男が、仕事できるわけないでしょ!が持ち前の器用貧乏さでなんとなく営業とかこなしてしまう故、難しい役割を与えられがち。ただのボンクラサブカル野郎だということをわかってほしい。

2022/12/20

夕方6時からのアポが入り、なかなかのきっつい商談でぐったり。だから、こちとらボンクラサブカル野郎なんだから。

2022/12/21

radikoウエストランドゲストの「ビバリー昼ズ」。高田先生も嬉しそう。東京芸人の系譜、悪口と愛嬌のバランス。でプチ鹿島さんの「火曜キックス」も聴く。ここ数年の「誰も傷つけない笑い」というまとめ方への違和感は僕もずっと持っていたから鹿島さんの見方に納得。ウエストランドの優勝は「誰も傷つけない笑い」への反発としての「傷つける笑い」なんてものではなく、あくまでプロによる「悪口」芸。鍵カッコつきの悪口であって、誰でもができるものではないし、下手に手を出すべきものじゃない。

2022/12/22

New Jeansの新曲「Ditto」が良い。発表された瞬間から話題になっていたが確かに良くって繰り返し聴いている。揺れながらギリギリのところで踏みとどまっている危うさにぐっとくる。MVがまた素晴らしいんだよね。岩井俊二的な繊細さと切なさがあって、曲をより豊かに響かせている。


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2022/12/23

めちゃくちゃに寒いな。朝から外回り。昼は通りがかったインドカレー屋でカレーのランチ。ナン1枚おかわりOKとのことだったが、十分すぎるほど大きなナンでおかわりすることなくお腹いっぱい。インドカレーはいつ喰っても美味いな。

radikoで「爆笑問題カーボーイ」。事務所の後輩、ウエストランドM-1優勝話。太田さんが嬉しそうでいつも以上にはしゃいでいる感じが楽しい。M-1の時間、さんまさんらとテレビ収録していたという太田さん。その場にいたフワちゃんや東野さん、そしてさんまさんらの太田さんへの反応がそれぞれらしくて面白い。「太田、おめでとう」と一言ささやき颯爽と帰っていくさんまさんがかっこいい!太田さん、さや香の巧みさを激賞しつつ、審査員を巻き込みネタの共犯者にしたことがウエストランドの勝因との評価。後半にはウエストランドも登場で楽しい放送。