日々の泡。

popholic diary

2022年12月10日~16日の話。

2022/12/10

8時起床。ベーコンエッグとトースト、ヨーグルトの朝食。朝のうちに日記を書いて、相も変わらず映画館へ。電車で京都まで出て、radikoで「蛤御門のヘン」聴きながら烏丸通を歩く。まずはなか卯で腹ごしらえ。これまた相も変わらず親子丼。別メニューにチャレンジしようと思うも券売機の前に立つと無意識に親子丼をタッチ。そして相変わらず美味しい。

京都シネマでまずはアレックス・ガーランド監督「MEN 同じ顔の男たち」を観る。夫の死を目撃してしまったハーパーは、心を落ち着かせる為にイギリスの田舎町を訪れる。豪華なカントリーハウスを借りて一人過ごすハーパー。だが数日を過ごして妙な違和感に襲われる。カントリーハウスの管理人、街で出会った神父や少年、警察官、そして不審者…男たちの顔が皆同じなのだ。ってななんとも不気味な映画。加害者でありながら被害者面を決め込む死んだ夫、わがままにかまって欲しがる少年、自分の考えを押し付けてくる神父、セクハラ、パワハラモラハラ…不快な男たちの顔、顔、顔…。グロテスクが加速し悪夢の様に襲い掛かる男たち。最初は怯えていたハーパーだったが、クソ男のマトリューシカ状態にやがては心底呆れきった表情に。この表情がもうなんとも言えなくて、男として情けないやら申し訳ないやら。有害な男性性を徹底的にグロテスクにビジュアル化。でも実際女性からはこう見えてるんだということでもある。「君らとはやっとれんわ」という女性たちの嘆きがズシンと響いた。

自販機のコーヒーを一杯飲んでもう一本。見損ねていたヴァルディミール・ヨハンソン監督「LAMB」を観る。これまた変わった一本。山奥に暮らす羊飼いの夫婦。ある日、羊から生まれてきたのは、羊ではなかった。子供を亡くしていた夫婦はその“子”を家族として育て始めるのだが…。壮大な自然の中で静かに過ぎていく時間。なんだかわからないが世界に引き込まれた。しかしよくまぁこんな企画を考え、映画化したなぁ。

「ちょっと映画の企画考えたんスけど、聞いてもらっていいっスか?」「ま、ええけど、当たる企画なんやろな」「ま、とりあえず聞いてくださいよ。ある山奥に羊飼いの夫婦が住んでるんスよ」「羊飼いって、また古臭いなぁ」「いや、いや、それがいいんスよ。ほら、なんつーか、大自然の感じが、癒し?っつーんですか、疲れた現代人に受けると思うんスよね」「でなに?おじいさんと孫の女の子とか出てくんの?教えておじいさん的な?クララが立ったぁっ的な(笑)」「いや、ハイジですやん!昭和かっ!ちゃいますやん」「で、その羊飼いの夫婦がどうなんの?」「いや、それがですね、羊の子供が生まれるんすよ」「フツーやん」「いやいや、ここにひねりがあるんスよ。その子羊ってのがですね、フツーじゃないんです」「なになに?ここポイントよ。ある日生まれた子羊、ちょっとフツーじゃありませんでした。さて、どんな子羊?」「大喜利やないんですから、真面目な企画なんですよ」「ごめんごめん、でどうフツーやないねんな」「いや、顔が羊、身体が人間なんですわ」「えっ?顔が羊で、身体が…人間?人面魚的な?いや、顔が羊か…羊面人…いや、それ飛び過ぎやろ!いくらなんでも」「いやいやこれぐらいインパクトが必要なんスよ、SNSの時代なんスから」「いや、顔が羊、身体が人間て、顔は子供、身体は大人やったら嫌いやないけど…」「夫婦がその生まれてきた子羊を育てていくんですわ」「いや、その顔が羊で身体が人間って、なんかこうメタファー的な、なんか意味あるの?」「そこは、ほら、なんか…考えますやん。こうなんか意味ありげな風に、そこはもうほらいつもの感じでふわっと、なんか観客に投げかけるみたいに…」「いける?それでいけるか?」「いけますて!みんな考察とか好きですやん。そこは言いますやん、観る人の数だけ答えがある。とかなんとか」「で、オチは?」「それなんすよ…そこがまだあれなんスよ」「いや、最後どう締めるかで評価変わってくるやん、それは」「ま、最終的には××するしかないっスかね」「いや、それはもう放棄してるやん、××してもたら、もう投げっぱなしみたいなことになるやん」「っつーかむしろ、今はその方がいいんとちゃいます。変に伏線回収みたいなんはもうええんとちゃいます。回収のための伏線みたいなん多すぎますて。これはもうほら、カンヌとか狙うやつですから」「えっそうなん?おもしろエンタメちゃうの?」「ちゃいますよ!芸術作品ですよ。アートっスよ。」「なにがアートやねん、アントンみたいな顔して」「元気ですかーっ!って、だれがアントンみたいな顔や!」…というような会話が交わされたとか交わされなかったとか。

夜、家族で「THE W」。お気に入りの爛々のチョメがプチブレイクしてて嬉しい。

2022/12/11

朝から実家へ。車中では「東野幸治のホンモノラジオ」聴きながら。妻も毎週欠かさず聴いてる番組。頼まれていた年賀状を届けて、墓参りして、スーパーで買ったお寿司の昼ご飯に、おやつにコーヒーと散々食べて、おかずもらって帰る。

NETFLIXで「ナルコの神」を2話分。見応えあるなー。でNHK「鎌倉殿の13人」。いよいよ佳境でこちらも見応えたっぷり。しかし北条政子を演じる小池栄子、見事な女優さんになったなー。大河史にも残る名演。三谷幸喜作品はやはり役者をしっかりと立たせ、それぞれにちゃんと見せ場が作られてる。大所帯の劇団を率いてきた脚本家だなと思う。

2022/12/12

月曜はドラマ「エルピス」。どんどん深いところに攻めていくなぁ。でもニュースを見ればドラマ以上に現実はひどいことになっている。ここまで国民をないがしろにできるのかというぐらいに、政権はやりたい放題好き放題。中国やロシアをお手本にしてるとしか思えないぐらいにどんどん独裁国家へ向かっているよう。

2022/12/13

今日も寒い。ドラマ「ファーストペンギン」の最終回をTVerで。単純なハッピーエンドにはならない、ちょっとビターな結末。社会の壁は現在進行形でまだまだ厚いと感じさせる。

2022/12/14

テレワークなんだが、部屋が寒い。暖房器具がない部屋なので毛布にくるまってお仕事。テレワーク飯はキャベツとモヤシをいっぱい入れたインスタントの味噌ラーメン。味噌が染みる季節ですな。

radikoで「中川家のザ・ラジオ・ショー」。オープニングトークでの二丁拳銃・小堀のクソっぷりを語るのだが、これがまた面白い。

2022/12/15

例年この時期になるとK-POP界隈ではクリスマスソングで賑わう。いつもながら華やかで完璧なディレクションのSMエンタ。今年はRed Velvet×aespaという強力な布陣でザッツエンタティメント。それぞれの見せ場に聴かせどころ、曲も良い。もはや数珠もってありがたやと拝みたくなるような仕上がり。


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2022/12/16

代休。秋は休日出勤だらけだったので代休がたまりにたまっている。しかし最近はスマホでメールチェックも出来てしまうし、もちろん普通に電話はかかってくるしで気が休まらんね。会社に持たされるスマホってのは足に繋がれた鎖みたいなもんだな。

で休日は映画館へ。radikoで角田さんの「蛤御門のヘン」聴きながら。竹内先生とのトークはやはり面白い。どうでもいい話の中に真理がある。ってほどでもない、いい具合の緩さに安心する。

JRと地下鉄乗り継ぎ、久々に出町座へ。まずはローケーシュ・カナガラーン監督「マスター 先生が来る!」を観る。型破りの大学教授JDが少年院の教師として赴任。酒と麻薬で最凶のギャング・バワーニに支配されている少年院の子供たち。アルコール依存症で、最初はやる気のなかったJDだったが、ある事件をきっかけに酒を断ち、子供たちの為にバワーニと戦うことに。「熱中時代・インド編」あるいは「3年B組 印八先生」はたまた「教師ビニヤリ物語」。歌って踊って、大アクションに涙まで。喜怒哀楽すべてをぶち込むインド映画のセオリーを守りつつ、ちょっとノワール風のシャープでダークなアクションシーンやぶっといビートが響く最新型のインド音楽などスタイリッシュなかっこよさもある。たっぷり3時間の映画ながら長さを感じないのが凄い。

いつものごとく近くのパン屋「ボナペティ」で焼き立てパンを買って、鴨川沿いで遅い昼食。アクセントに福神漬けが入ったカレーパンが美味しい。しかしさすがに寒い…。

でもう一本は竹林亮監督「MONDAYS/このタイムループ、上司に気付かせないと終わらない」。ずっと気になってたんだけどやっと観られた。ある小さなオフィスで起きた社員全員が陥る1週間のタイムリープ。ひたすら同じ1週間を過ごすことになった社員たちはタイムループから抜け出せるのか?いやーこれは面白かった!タイムループしていることを社員一人一人に気付かせていく前半から、そこを抜け出すための後半とスピーディーな展開の中に数々のアイデアが詰まっている。また同じような一週間が始まる-というサラリーマンなら誰しもが感じたことがある「あるある」を基に、繰り返すうちにどんどん効率を上げて仕事をこなしていったり、キーとなる部長にタイムループを気づかせようとするゲーム的な面白さ。そしてそこから抜け出すべく協力し合っていく後半には、それぞれの成長とちょっとした感動がある。面白い映画の要素が見事に揃っていて、それがポップに最適な長さに収められている。部長役のマキタスポーツの「日本の喜劇人」的な名演、主人公の円井わんの面構えもまた良い。多くの人に愛されるであろう映画なので上映館が増え、どんどんその魅力が口コミで拡がっていけば嬉しいな。いや、でもこういう作品に出会えると映画って本当に面白いなって思える。