日々の泡。

popholic diary

駅前の本屋

会社帰りに久々に本屋に寄る。久々と言っても基本1週間も空いてない。なんせこの30年以上、週に一度も本屋に行かなかったことがないからだ。小学生の頃から塾帰りに本屋に寄っていた。駅前に「ツェルマ」という本屋があった。こじんまりとした本屋だったがいつも本はそこで買ってた。コロコロコミックてんとう虫コミックスも。入ってすぐは文庫本のコーナー。中学生時代には当時出ていた小林信彦の文庫本のほぼすべてをここの本棚から買ったっけ。文庫コーナーを抜けて右側が漫画コーナー。今では当たり前のコミックスを包む透明の袋も、僕が小学生の4年生ごろまではなかった。だから立ち読みし放題。土曜の午後ともなれば漫画コーナーは子供たちで一杯になる。でも1時間も読んでれば本屋のおばちゃんが「立ち読み禁止〜座り読み禁止〜」と言いながら子供たちを追っ払いにくる。漫画本のコーナーの棚の横には毎月発売されるコミックスのリストが貼りだされる。それを眺めるのが好きだった。ジャンプコミックスは毎月10日の発売だったけ。翌月の発売リストを眺めながら「あっ、『Dr.スランプ』と『奇面組』どっちも来月かぁ」なんて購入計画を頭の中で立てて、発売日当日には小遣い握りしめて買いに行った。漫画コーナーの反対側は雑誌。中学生になると音楽雑誌を片っ端から立ち読みした。2週に一度の「FMステーション」は購入。「週刊FM」や「FMレコパル」は立ち読みで済ます。中一の時は毎月「GB」を買ってた。ムーンライダーズの「アマチュアアカデミー」の特集が載った号があったな。中ニになると「アリーナ37℃」。こっちのほうがちょっとロック系だった。アーティスト自らが紹介する形式の新譜情報を舐めるように読んだ。中三になると「宝島」だ。サイズはA5版で端から端まで1ヶ月の間に何度も何度も読んだ。音楽、映画、お笑いetc。ポップカルチャーの洗礼。田舎の中学生には何もかもが輝いて見えた。今思えばあれは人生の教科書だった。
会社帰りに立ち寄った本屋で買ったのは「TVブロス」誌。川勝正幸さんの追悼特集を読んでたら、涙が出た。キラキラと輝いたポップカルチャーを10代の頃からいっぱい教えてもらった。
いつの頃からか「TVブロス」は娘も読むようになっていて、風呂からあがると娘がコタツの中で読んでる。ちょうど川勝さんの特集ページ。「この人、死んでしまわはってん。父ちゃん、ずっと大ファンやったんやで」と言うと「ふ〜ん」と答えて娘はページをめくった。