日々の泡。

popholic diary

No Goodbye

ちょい早めに出勤して、朝からフルスロットルで事務仕事をやっつけ、とある会合の幹事で走り回る。昼はホテルでランチバイキング。接待側なので本気で喰えず。もう一皿デザートいけたのに。夕方会社に戻って事務仕事なぎ倒してやっと休みだ。
ここからちょっと辛気臭いことを書く。
チビがいなくなって、今まで自分がどれだけチビに救われていたかを知る。仕事を終えて会社を出る。ため息を足で転がしながらの帰り道。いくばくかの充足感も、不安と不満に塗りつぶされていく。前を見て歩いてるはずが、気がつけばアスファルトに沈む靴の先を見つめている。
ただいまとドアを開ける。そこにチビがいる。足元を一回りして餌をおくれよと僕を見上げる。はい、ちょっと待って。まず手を洗ってから。そう言って洗面所で手を洗う。チビもいっしょについてきて、足に身体を摺りつける。はやく、はやく、餌をおくれとひと鳴き。しょうがないなぁと餌を皿に入れてやると、もう僕のことなど何の興味もないと餌にがっつく。ソファに座ってチビの背中を眺める。それだけで、不安や不満は薄らぐ。
休みの日の前は大体夜更かし。部屋で音楽聴いたり、ネットしたり。そうしてると部屋のドアを誰かがたたく。ドアを開けるとそこにいるのはチビ。部屋を一回りして、ジャンプして机の上に飛び乗る。そこから僕の膝の上へ。身体を起こして僕の顎から首をひとしきり舐める。ザラザラした舌。ちょっと痛い。気がすんだら大きなあくびを一つ。そして身体を丸めてひと眠り。膝の上のチビの重み。チビの温かさ。
その重さ、その温かさが幸せの重さで、温かさだったのだ。
お前の寝顔を観てるのが好きだった。あの日、外に出たいと窓の前でお前が鳴いて、しょうがないなぁと窓を開けたのは俺だ。いつものように、夕方には腹をすかせて帰ってくると思い込んでた。帰ってこないなんてこれっぽっちも思わなかった。あの時、窓を開けてなかったら、お前は今、俺の膝の上で眠ってたろう。ザラザラした舌で俺の不安を全部舐めっとって、その小さな身体から放たれる熱で俺の心を温かくしてくれただろう。お前がいないと、俺は不安に押しつぶされてしまうよ。
お前はどうだい。お腹は空いてないかい。寒さに凍えていないかい。不安で泣いてないかい。探し出してやれなくてごめん。お前のことを想うと泣けて泣けてしょうがないよ。お前のザラザラした舌に舐められる痛みを忘れてしまいそうで怖いんだ。怖くて、寂しくて、悲しくて、泣けて泣けてしょうがないよ。