日々の泡。

popholic diary

グリーンブックス

天然コケッコー [DVD]で、仕事終わりで滋賀会館シネマホールへ。山下敦弘監督「天然コケッコー」観る。脚本は渡辺あや、大好きな監督と脚本家の作品とあってはどうしても期待値は高まってしまう。その期待をさらっと受け流す、小さくてかわいい作品だったな。「永遠の中学二年」を公言する私ではあるが、これ観て「あぁすっかり汚れちゃってるなぁ俺」と自分が中二ではないことを思い知ったよ。人生というやっかいな物語が始まる手前。とまどいながら青春の入り口に立つところ。どこまでも広がる青い空や幾種類もの緑を湛えた山々、これはファンタジーかもしれない。でもこの風景を確かに知っている。あぁもう随分遠くまで来てしまったんだな。何が起こるってわけでもない。不治の病も出てこなければショッキングな展開が繰り広げられるわけでもない。ゆっくりと時間が流れていくだけ。でも二度と戻れないその時間は、何よりも美しく思える。いや、ほんと、ささやかな映画。でも観終わった瞬間、もう一回観たくなった。主演の夏帆ちゃんは、いい作品に出会えたね。若い女優さんはこういう作品に出会えるかどうかで大きく変わってくるもんな。不安定で瑞々しいこの一瞬の季節を永遠にフィルムに残せたことは奇跡だ。この映画、夏帆ちゃんが全てと言って過言ではないよ。「時をかける少女」の原田知世に並ぶレベルと言っちゃってもいいでしょ。それと特筆しときたいのはレイ・ハラカミの音楽。妙な違和感が新鮮で不思議と胸に残る。そしてラストでくるりがかかるのは反則だなぁ。めちゃめちゃいいんだもん。